従来型では防ぎきれない課題
まず、既存のウイルス対策ソフトで取りこぼしが起きる理由を押さえましょう。攻撃の手口が変わったことで、従来の守り方が通じにくくなっています。二つの代表的な課題を取り上げます。
パターンマッチングの限界とランサムウェア
従来型の多くは「パターンマッチング」という方式を使います。既知のウイルスの特徴を集めた一覧と照合し、一致したものを止める仕組みです。裏を返せば、一覧に載っていない新しい攻撃はすり抜けます。ランサムウェアは、データを暗号化して身代金を要求する攻撃です。日々新しい亜種が生まれるため、照合だけでは追いつきません。
この課題には、プログラムの「振る舞い」で判断する方式が有効です。ファイルを次々と暗号化するなど、不審な動きそのものを検知して止めます。未知の攻撃にも反応できる点が、従来型との違いです。加えて、感染後の動きを追跡して封じ込めるEDRという仕組みもあります。EDRは端末の操作履歴を記録し、被害の範囲を素早く特定する製品を指します。
パターンファイルの更新漏れ
照合用の一覧は「パターンファイル」と呼ばれ、こまめな更新が前提です。ところが端末の電源が入っていない、通信が届かないといった理由で、更新が止まることがあります。古いまま使い続ければ、最新の攻撃には無防備です。担当者が気づかないうちに、守りに穴が空いている状態です。長期出張や休職で使われていない端末ほど、見落とされがちです。
防ぐには、更新状況を管理画面で一覧できる製品が役立ちます。どの端末が古いままかがすぐ分かり、放置を防げます。クラウド上の情報を参照して判定する方式なら、端末側の更新に頼る割合を減らせるでしょう。更新の成否を自動で通知する機能があれば、確認の手間もかかりません。長期間つながっていない端末を洗い出せると、退職者の放置端末にも気づけます。
働き方の変化が生んだ課題
オフィスの外で働く人が増え、守るべき範囲は広がりました。社内ネットワークの内側を固める従来の発想では追いつきません。二つの課題を確認しましょう。
テレワーク端末の管理が属人化する
自宅や外出先の端末は、担当者の目が届きにくくなります。設定が正しいか、更新が済んでいるかを本人任せにすると、状態は人によってばらつきます。「あの人の端末だけ古い」という属人化が、そのまま弱点です。持ち帰った端末が家庭のネットワークにつながる点も、リスクを高めます。家族と共用している端末なら、危険はさらに増すでしょう。
解決の軸は、社内・社外を問わず同じ基準で管理できる仕組みです。クラウド型の管理画面なら、インターネットにつながってさえいれば状態を確認できます。ポリシーを一括で配れば、設定のばらつきも抑えられるでしょう。本人の操作に頼らず、中央から統一的に守る形が現実的です。紛失時に遠隔でデータを消せる機能があれば、持ち出しの不安も和らぎます。
シャドーITが見えない
シャドーITとは、会社が許可していないアプリやサービスを社員が勝手に使うことです。便利だからと個人のファイル共有サービスを業務に使う、といった例が当てはまります。会社側は使用実態を把握できず、情報がどこに出ているか分かりません。悪意がなくても、漏えいの入り口になり得ます。
対処には、端末で動いているアプリを可視化する機能が有効です。何が使われているかが分かれば、許可と禁止の線引きができます。指定したアプリだけを動かせるよう制御する製品もあります。まず実態を見えるようにし、そのうえでルールを整える。この順番で進めると、現場の反発も抑えられるでしょう。代わりとなる公式のツールを用意すると、切り替えも進みます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でウィルス対策の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
使い勝手の課題を解決する
守りを固めても、業務が止まっては本末転倒です。現場から不満が出る典型が、動作の重さ。検知方式とあわせて考え方を整理します。
動作が重くて業務が止まる
スキャン中にパソコンが重くなり、作業が進まない。こうした不満は、現場でよく聞かれます。負荷が高いと、社員が勝手に機能を止めてしまう恐れもあります。守るはずの仕組みが、かえって穴を生む結果です。古い端末を使い続けている職場ほど、影響は大きくなります。現場の不満を放置すると、対策そのものが形骸化しかねません。
近年は、判定処理の多くをクラウド側で行う製品が増えました。端末の負担が軽くなり、スキャン中でも作業を続けやすくなります。スキャンの時間帯を業務外に指定できる機能も、負荷対策として有効です。導入前に試用し、実際の端末で体感を確かめることをおすすめします。社内で最も古い端末で試すと、影響の大きさを見極められるでしょう。
検知方式の違いを理解して選ぶ
検知の方式は一つではありません。既知の攻撃を照合で止める方式、不審な動きで判断する方式、そして感染後の追跡に強いEDR。それぞれ得意な場面が異なります。どれか一つで万全になるわけではない、という前提が大切です。照合は動作が軽い一方で未知に弱く、振る舞い検知は未知に強い反面、正常なソフトを誤って止める場合もあります。
実務では、複数の方式を組み合わせて層をつくる考え方が主流です。入り口で防ぎ、すり抜けたものを振る舞いで捕まえ、それでも入られたら追跡して封じる。自社が最も恐れる被害は何かを決めると、どの層を厚くすべきか見えてきます。守りたい情報から逆算して選びましょう。予算に限りがあるなら、被害の大きい順に手当てする考え方が現実的です。
運用の課題は内製か外部委託か
製品を入れても、警告を読み解いて動く人が必要です。その役割を自社で担うか、外に出すか。判断の軸を整理します。
自社の情シスで内製する
社内で運用すれば、自社の事情に合わせて柔軟に判断できます。どの業務が止まると困るかを分かっているため、対応の優先順位もつけやすいでしょう。社内の事情を説明する手間がかからない点も、内製ならではの強みです。費用を抑えやすい点も利点です。ただし、担当者に一定の知識が求められます。警告の内容を読み解き、本物の脅威か誤検知かを見分ける力が必要になるためです。
課題は、人が育つまでの時間と、夜間・休日の対応です。攻撃は業務時間を選びません。担当が1人なら、休みの日の警告は翌日まで放置されます。内製を選ぶなら、複数人で見る体制と、判断に迷ったときの相談先を用意しておきましょう。製品の提供元が緊急時の支援を行っているかも、確認しておきたい点です。
SOCへ外部委託する
SOCとは、セキュリティの警告を専門家が監視する拠点やサービスを指します。委託すれば、常時の監視と初動を任せられます。夜間や休日の攻撃にも対応でき、社内に知識がなくても水準を保てる点が魅力です。人材の採用が難しい企業ほど、選ぶ価値があります。誤検知の切り分けを任せられるため、担当者の負担も軽くなるでしょう。
一方で、費用は内製より高くなりがちです。また、自社の業務を理解してもらうまでには時間がかかります。監視の対象範囲や報告の頻度によっても、料金は変わります。どこまでを任せ、どこから自社が判断するかの線引きも必要です。緊急時に端末を止める判断を誰が下すかも、契約前に決めておきましょう。まず監視だけ委託し、範囲を広げる進め方なら無理がありません。
課題から製品を選ぶ視点
課題と解決の方向が見えたら、製品選びに落とし込みます。機能の多さではなく、自社の課題に効くかどうかで判断しましょう。
自社の課題を洗い出す
最初にやるべきは、困っていることの言語化です。感染が起きているのか、運用が回らないのか、現場から不満が出ているのか。監査で指摘を受けた、という外部からのきっかけもあるでしょう。課題によって、選ぶべき機能はまったく変わります。漠然と「セキュリティを強化したい」と考えるだけでは、判断の軸が定まりません。現場へのヒアリングや、過去に起きた事象の棚卸しから始めましょう。
洗い出した課題には、優先順位をつけましょう。すべてを一度に解決しようとすると、費用も運用負荷も膨らみます。最も痛い課題から着手し、効果を見ながら広げる。この進め方なら、投資の妥当性も説明しやすくなります。解決したい課題を一覧にして、関係者と共有しておくとよいでしょう。
| 課題 | 解決の方向性 |
|---|---|
| ランサムウェアが防げない | 振る舞い検知やEDRを備えた製品で未知の攻撃に備える |
| 更新漏れで穴が空く | 更新状況を一覧でき、自動で通知される製品を選ぶ |
| テレワーク端末が管理できない | クラウド型の管理画面で社外の端末も同じ基準で守る |
| シャドーITが見えない | 端末で動くアプリを可視化し、必要に応じて制御する |
| 動作が重い | 判定をクラウド側で行う方式や、スキャン時間の指定で軽くする |
検証で効果を確かめる
カタログの機能一覧だけでは、自社に効くかは分かりません。試用期間を使い、実際の端末で動かしてみましょう。動作の重さ、管理画面の見やすさ、警告の分かりやすさは、触ってみて初めて判断できます。現場の担当者にも操作してもらうと、定着するかどうかが見えてきます。一部の部署で先に試し、問題がなければ全社へ広げる進め方も有効です。
検証では、既存の業務アプリと干渉しないかも確かめたい点です。誤って正常なソフトを止めてしまうと、業務が滞ります。自社独自のシステムを使っている場合は、特に注意が要ります。除外設定がしやすいかもあわせて確認しましょう。数字と体感の両面から評価し、納得したうえで導入を決めてください。試用の結果を記録に残せば、社内の合意形成にも役立ちます。
ウイルス対策の課題解決に関するFAQ
ウイルス対策で解決できる課題についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1:ランサムウェアに強い製品はどう選びますか?
- 既知の攻撃を照合する方式だけでなく、不審な動きで判断する振る舞い検知やEDRを備えた製品が向いています。未知の亜種にも反応できるためです。感染後に被害範囲を追跡できるかもあわせて確認しましょう。
- Q2:更新漏れを防ぐ方法はありますか?
- 更新状況を管理画面で一覧でき、古い端末を自動で通知してくれる製品が有効です。クラウド上の情報を参照して判定する方式なら、端末側の更新に頼る割合も減らせます。
- Q3:動作が重い問題は解決できますか?
- 判定処理の多くをクラウド側で行う製品なら、端末の負担を軽くできます。スキャンの時間帯を業務外に指定する方法も有効です。試用期間に実機で体感を確かめてから判断するとよいでしょう。
- Q4:運用は内製とSOC委託のどちらがよいですか?
- 自社に知識のある担当者がいて、夜間・休日も複数人で見られるなら内製が候補です。人材が確保できない場合や、常時監視が必要な場合はSOCへの委託が現実的といえます。
まとめ
ウイルス対策の課題は、ランサムウェアへの弱さ、更新漏れ、テレワーク端末の属人化、シャドーIT、動作の重さなど多岐にわたります。解決の鍵は、まず自社が最も困っている点を言語化し、優先順位をつけることです。そのうえで、振る舞い検知やクラウド管理といった、課題に効く機能を備えた製品を選びましょう。運用を内製するか委託するかも、人員に照らして判断してください。試用で効果を確かめてから、導入を決めることをおすすめします。


