ウイルス対策ソフトの複数導入が起こすトラブル
セキュリティ対策の基本であるウイルス対策ソフトは、1つに限定して導入することが推奨されています。複数導入した場合、どのようなトラブルが発生するか見ていきましょう。
互いに干渉しあって動作が重くなる
ウイルス対策ソフトは対象となるプロセスを監視し、OSと密接に関わって動きます。もし同様のウイルス対策ソフトをインストールすれば、お互いに全てのプロセスをスキャンしようとするでしょう。
このようにソフトが複数あるとスキャンする対象が増え、導入している端末のメモリを消費します。また、動作が重くなるだけでなく、互いに競合してしまうため不具合が発生する可能性も否めません。
場合によっては利用しているシステム全体が不安定になり、障害が発生することもあります。
互いに排除しようとして不具合が起こる
ウイルス対策ソフトはインストールされた端末内のシステムを監視し、害があるソフトやプログラムがあれば検知、削除します。この機能が、複数のウイルス対策ソフトを導入していた場合に誤作動をすることがあります。
ウイルス対策ソフトは、最新の情報へ更新するために外部と接続することが多いです。したがって一方のソフトのアップデートを、もう一方のウイルス対策ソフトが、外部と接続しようとする不審な動きと判断してしまう可能性があります。
そうすれば、お互いを排除しようと働いてしまい、システムに不具合が発生します。場合によっては深刻な障害が起きる可能性もあるため注意しましょう。
ウイルス対策ソフトを複数入れてしまった場合の対処法
複数のウイルス対策ソフトを入れてしまった場合、どのように対処すれば良いのかを見ていきましょう。
使わない対策ソフトを削除する
ウイルス対策ソフトが複数ある状態で動作が重くなるなどの不具合が出た場合は、1つを残して他を削除してください。ソフトによって機能は異なるため、優先度が低いソフトをアンインストールします。
基本的にはPC画面上で該当するウイルス対策ソフトを選び「アンインストール」を選択することで対応可能なことが多いです。手順は各ソフトによって異なるため、公式のマニュアルを参考にするか、提供しているベンダーに問い合わせてください。
セーフモードで起動する
ウイルス対策ソフトには専用のアンインストールツールがあり、公式サイトで提供しているケースがあります。
この場合は、必要なツールをダウンロードし、PCの電源を落としてからセーフモードで立ち上げてください。その後、ツールを使ってウイルス対策ソフトを削除すれば、症状を解消できます。
しかし、セーフモードでもソフトの削除が上手くいかないケースもあります。この場合も、対象となるセキュリティソフトの公式サイトに問い合わせて指示を仰いでください。
不要なソフトを整理した後は、自社の環境にあった最新のセキュリティソフトへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。以下のボタンから、人気のウイルス対策ソフトの資料をまとめて請求し、機能や価格を手軽に比較できます。
「複数入れたい」人へ:目的別の正しい解決策
そもそも、なぜ複数のウイルス対策ソフトを導入したいと考えるのでしょうか。その目的によって、とるべき解決策は異なります。「セキュリティ強度を高めたい」場合と「複数台の端末を守りたい」場合に分けて、適切な方法を解説します。
セキュリティ強度を高めたい場合
「ソフトを増やせば、防御力も上がるはずだ」と考える方もいるかもしれません。しかし、前述のとおり、複数導入はトラブルの原因になるだけで、セキュリティ強度の向上にはつながりません。
より高度なセキュリティを求める場合は、ウイルス対策だけでなく、ファイアウォール、不正侵入検知、迷惑メール対策など、さまざまな防御機能を1つにまとめた「統合型セキュリティソフト(総合セキュリティソフト)」を選ぶのが正解です。1本で多層的な防御を実現できるため、干渉のリスクなくセキュリティレベルを高められます。
PCとスマホなど「複数台」を守りたい場合
「会社のPCだけでなく、業務用スマートフォンやタブレットも保護したい」というニーズも多いでしょう。この場合、端末ごとにソフトを購入する必要はありません。
多くのベンダーが提供している「マルチデバイス対応」のライセンスプランを選びましょう。1つのライセンス契約で、3台、5台、あるいは台数無制限で複数の端末にソフトをインストールできます。管理がしやすく、コストを抑えられる点も大きなメリットです。
最適なウイルス対策ソフトの選び方
ウイルス対策ソフトは複数あるため、セキュリティ強度を高めるには適したソフトを選ばなければなりません。最後に、最適なウイルス対策ソフトの選び方を見ていきましょう。
マルチデバイス対応か・台数は適切か
まず、保護したい端末の種類と台数を確認しましょう。PC(Windows/Mac)だけでなく、スマートフォンやタブレット(iOS/Android)も保護対象に含めるか検討します。そのうえで、必要な台数分のライセンスをカバーできる製品やプランを選びます。将来的な従業員の増加なども見越して、少し余裕のあるライセンス数を選ぶと安心です。
有料のウイルス対策ソフトか
ウイルス対策ソフトには無料版と有料版があり、機能面では検出率に大きな違いがあります。
いくら検出率の違いが微差でも、最新のウイルスは数万種類も生まれているため、非常に大きな差になるため注意しましょう。少しでも自社のセキュリティを強化したい場合、有料版のソフトを選ぶことをおすすめします。
また、有料版と違い無料版のツールは機能が制限されていることが多いです。有料版であればアンチウイルス以外にもファイアウォールやアンチスパムなどの機能もあるためおすすめです。
さらに、無料版のソフトは法人での利用を認めていないことが多いです。また、近年偽ウイルスソフトによるウイルス被害が増加していることからも、有料版の製品をおすすめします。
ウイルス対策性能が良いか
ウイルス対策ソフトを選ぶときは、ウイルス対策の性能を比較してください。ソフトには調査機関による性能試験の結果を公開しているものもあります。これを参考にすると、検出率以外にどのような種類のウイルスに対応できるかという判断も可能です。
近年では脆弱性を狙った攻撃が増えているため、脆弱性対策機能を搭載したソフトもおすすめです。何か1つの機能が優れているよりも、総合的に脅威をブロックできるかどうかを重視しましょう。
動作が軽いか
セキュリティソフトはPCのメモリを消費してウイルスを検知・駆除しています。そのため、ソフトによってはPCの動作を重くしてしまうことも少なくありません。
場合によっては業務に支障が出たり、大きなストレスを感じたりするでしょう。ウイルス対策ソフトを選ぶときは、無料体験版などを利用して、動作が軽いか確認してください。
サポート内容と受付時間が希望に合っているか
どんなに優れたセキュリティ製品でも脅威を完全に防ぐことはできません。そのため、万が一の事態に陥ったときに、対処が可能かどうかが重要なポイントです。
自社で対応できないような事態が発生した場合でも、製品のサポート体制が充実していると安心できます。実際にウイルスの被害に遭ってしまうと、長時間業務を停止しなければならないこともあります。
そのため、サポート内容だけでなく受付時間などが自社と合っているか確認してください。
おすすめのウイルス対策ソフト
ウイルス対策ソフトは、端末台数や利用環境(テレワーク・私物端末の有無など)によって必要な機能が変わります。まずは「自社に必要な条件」を押さえたうえで、候補製品の特長と、ほか製品との違いを確認しておくと導入後のミスマッチを防げます。
以下では、ITトレンドでおすすめのウイルス対策ソフトを紹介します。
AppGuard Small Business Edition (SBE)
- AppGuard Enterpriseと同様に集中管理型
- クラウド管理システムで短期間導入と容易な運用
- テレワークやモバイルPCを強力に保護
「ほかの製品も比較して決めたい」「料金相場や選び方もまとめて確認したい」という方は、以下の記事で主要製品を横並びで比較できます。
ウイルス対策ソフトは複数ではなく最適な1本を入れよう!
1台のPCに複数のウイルス対策ソフトを導入することは、動作の遅延や不具合の原因となるため避けるべきです。もしセキュリティ強化が目的ならば「統合型セキュリティソフト」を、複数端末の保護が目的ならば「マルチデバイス対応ソフト」を選ぶのが正しい解決策です。
自社の保護したい端末の台数やOS、求めるセキュリティレベル、予算などを明確にし、最適な1本を選びましょう。どの製品がよいか迷った際は、資料請求などを活用して複数の製品を比較検討することをおすすめします。


