生体認証システムの使いやすさを分解して考える
「使いやすい」という言葉は人によって受け止め方が異なり、そのままでは製品を比較できません。まずは使いやすさを利用者と管理者の2つの立場に分け、それぞれにとっての使いやすさが何を意味するのかを整理しましょう。
利用者にとっての使いやすさ
毎日認証を行う従業員にとっての使いやすさは、認証にかかる時間が短く、失敗が少ないことです。端末の前で何度もやり直す状況が続くと、出入口に行列ができたり、パスワード入力に戻したいという声が出たりするおそれがあります。
また、どこに顔を向ければよいか、どの指を置けばよいかが画面や音声で案内されるかどうかも、使いやすさを左右します。身長や年齢、国籍の異なる従業員が使う場合は、誰でも同じように認証できるかを確認しておくことが大切です。
管理者にとっての使いやすさ
システムを運用する管理者にとっての使いやすさは、利用者の登録や削除、権限の変更、認証ログの確認といった作業を迷わずに行えることです。管理画面のメニュー構成がわかりやすいか、よく使う操作にすぐたどり着けるかが判断のポイントです。
情報システムの専任者がいない会社では、ITの専門用語が少なく、画面の案内にそって操作できるかも重要です。管理者の使いやすさは導入後の運用負担に直結するため、利用者向けの機能だけでなく管理画面も比較しましょう。
シンプルで操作が簡単な生体認証の見極め方
とにかくシンプルな製品を求める場合は、機能の少なさではなく、日常の操作に必要な手順の少なさで比較することが大切です。利用者の認証動作と管理画面の構成という2つの観点で、資料やデモで確認できる見極め方を紹介します。
認証までの動作が少ないか
認証の動作がシンプルな製品は、端末の前に立つ、指を置くといった1つの動作で認証が完了します。一方、IDの入力やICカードの提示と組み合わせる方式では、本人確認の要素は増やせても、利用者の動作も増えます。
顔認証の場合は、端末から少し離れた位置でも認証できるか、歩きながら通過できるかによって動作の手間が変わります。自社のセキュリティ要件を満たせる範囲で、どこまで動作を減らせるかを確認し、利用場面にあった方式を選びましょう。
管理画面の構成がわかりやすいか
管理画面のわかりやすさは、利用者の追加や削除といった頻度の高い操作を、何回のクリックで完了できるかで比べると判断しやすくなります。メニューの階層が深い製品では、目的の操作を探すのに時間がかかり、担当者が操作手順を覚えるまでに手間取る場合があります。
よく使う機能をトップ画面に配置できるか、利用者を名前や部署で検索できるかも確認しましょう。画面の文言が日本語で表示され、専門用語に説明が添えられているかどうかも、IT操作に慣れていない担当者にとっては重要な確認点です。
初心者でも迷いにくい初期設定の条件
生体認証システムの導入でつまずきやすいのが初期設定です。端末の設置から利用者の登録まで、初心者でも迷わずに進められるかどうかは、製品の設計と提供会社の支援内容によって変わります。設置と登録の2つの段階に分けて確認点を見ていきましょう。
端末の設置とネットワーク設定の手間
初期設定の手間を左右する要素の一つが、端末の設置とネットワークの設定です。電源とネットワークにつなぐだけで管理画面と接続できる製品もあれば、固定IPアドレスの設定や社内のファイアウォールの調整が必要な製品もあります。
扉の電気錠と連動させる場合は、配線工事が必要な場合もあり、自社だけで設定を完了するのは難しいことがあります。どこまでを自社で行い、どこからを提供会社や施工業者に依頼するのかを事前に確認し、見積もりにも反映しておきましょう。
利用者の一括登録と初期値の設定
利用者が多い会社では、氏名や所属といった基本情報をCSVファイルで一括登録できるかが重要です。顔写真の事前登録に対応していれば、各自が端末の前に並んで登録する時間を減らせる場合があります。
また、権限や認証の設定について、あらかじめ推奨の初期値が用意されている製品であれば、設定項目を一から検討する必要がありません。初期値のまま運用を始め、必要に応じて調整できるかを確認すると、初めての導入でも設定の負担を抑えやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生体認証の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
生体認証のサポート体制を比べる際の確認項目
サポートが手厚いかどうかは、サポートの種類と対応範囲、受付条件を具体的に比べることで判断できます。「サポート充実」といった表現だけで決めず、自社が必要とする支援を受けられるかを確認しましょう。
- ■導入時の支援
- 初期設定の案内、設定作業の代行、利用者向けの説明会など
- ■運用中の支援
- 問い合わせ窓口、マニュアルやFAQ、操作方法の案内など
- ■障害時の支援
- 端末の交換、リモートでの原因調査、訪問対応など
サポートの種類と対応範囲
サポートには、マニュアルやFAQの提供、問い合わせ窓口での回答、初期設定の案内、設定作業の代行など複数の種類があります。「設定を支援する」と書かれていても、手順を案内するだけなのか、作業を代わりに行うのかは製品や契約によって異なります。
情報システムの専任者がいない会社では、設定作業の代行や訪問対応を依頼できるか、それが標準の料金に含まれるのか有償なのかを確認しましょう。支援内容を一覧にして複数の製品を比べると、違いがわかりやすくなります。
問い合わせの受付時間と手段
問い合わせの受付時間は、平日の日中のみの製品もあれば、夜間や休日に対応する製品もあります。24時間稼働する工場や物流倉庫で使う場合は、夜間に端末が動かなくなったときに連絡できる窓口があるかが重要です。
受付手段も、電話、メール、チャット、問い合わせフォームなど製品によって異なります。回答までの目安時間が示されているか、緊急度に応じて優先的に対応してもらえる仕組みがあるかも確認しましょう。事前に確認しておくと、トラブル時の対応をイメージしやすくなります。
操作説明会や研修の有無
生体認証システムを初めて導入する会社では、管理者や利用者向けの操作説明会を開いてもらえるかも確認したい項目です。オンラインでの説明会や録画された操作動画が用意されていれば、拠点が離れていても同じ内容を共有できます。
担当者が交代した際に改めて研修を受けられるかも重要です。導入時だけでなく運用中も学べる機会があれば、特定の担当者だけが操作を理解している状態を避けやすくなり、長く使い続けやすくなります。説明会の費用が標準の料金に含まれるかもあわせて確認しましょう。
無料トライアルやデモで使いやすさを確かめる
使いやすさは資料だけでは判断しにくいため、無料トライアルやデモ機の貸し出しを活用して実際に操作することをおすすめします。試用で確認したい操作と、評価を進める際の体制を紹介します。試用期間は限られているため、事前に確認項目を決めておきましょう。
試用時に確認したい操作
試用では、日常的に発生する操作を一通り試しましょう。利用者の登録、認証、登録内容の変更、削除、認証ログの確認という流れを、実際の担当者が操作手順書を見ずに進められるかを確かめます。同じ流れで試すと、製品間の違いがわかりやすくなるでしょう。
認証の操作は、実際に設置する予定の場所に近い明るさや環境で試すことが大切です。認証にかかった時間や失敗した回数を記録しておくと、複数の製品を比較する際の判断材料として活用できます。マスクや眼鏡を着けた状態など、日常の条件も試しておきましょう。
複数の部署や立場による評価
使いやすさの感じ方は、ITに慣れているかどうかや業務内容によって異なります。情報システム部門の担当者だけで評価すると、現場の従業員が感じる操作のわかりにくさや、案内表示の見づらさを見落とすおそれがあります。
試用には、管理を担当する部門に加えて、実際に毎日認証を行う現場の従業員にも参加してもらいましょう。評価の観点をまとめたチェックシートを用意し、同じ基準で意見を集めると、主観に偏らない比較が可能です。
利用者の手間に配慮した生体認証製品
読み取りのしやすさや、パスワード管理の手間の少なさなど、利用者の負担に配慮した生体認証製品を紹介します。
DigitalPersona SDK
- 乾燥指に強い指紋リーダーを使用可能
- 360度どこからでも認証可能な指紋リーダーを使用可能
- 登録時の指の置き方を再現不要な指紋リーダーを使用可能
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する「DigitalPersona SDK」は、アプリケーションに指紋認証システムを組み込むための開発キットです。乾燥した指に強い指紋リーダーや、360度どの向きからでも認証できる指紋リーダーを利用できます。登録したときの指の置き方を再現しなくても認証できる指紋リーダーも選べるため、利用者の手間を比べる際の材料の一つです。自社のアプリケーションに組み込んで使う開発者向けの製品のため、導入時は開発体制もあわせて確認しましょう。
EdgeFACE
- オフィスや工場のDXを推進するエッジ・オンプレ顔認証システム
- 完全売り切りで1台から導入可能!SDKは無償提供で量産活用可能
- パスワード忘れ・鍵紛失の心配なし!ICカード書き換え作業も不要
イノテック株式会社が提供する「EdgeFACE」は、エッジとオンプレミスで動作する顔認証システムです。顔で本人を確認するため、パスワードを忘れたり鍵を紛失したりする心配がなく、ICカードの書き換え作業も不要です。利用者と管理者の双方で、認証まわりの細かな手間を減らせる点は使いやすさを比べる際の材料になるでしょう。国産の顔認証AIと国産の産業用パソコンメーカーの強みを掛け合わせた製品で、売り切り型で1台から導入できます。
KPASクラウド (パナソニック コネクト株式会社)
- 世界最高水準の顔認証精度を実証済み。
- 汎用端末+API連携によるスピーディな導入。
- 入退場管理・勤怠・決済連携など幅広いユースケースに対応。
NDS顔認証システム (NDSインフォス株式会社)
- 顔認証による本人確認と他システムとの自動連携。
- 入退室管理や宅配ボックス等の施設サービスと統合運用が可能
- 来客者の事前登録により、顔認証でのスムーズな受付が可能。
VisionPass / VisionPass SP (株式会社昭電)
- 3D・赤外線カメラ搭載で、マスクや横顔でも認証可能。
- 非接触の高速顔認証で、円滑なアクセス管理を実現。
- 屋内外対応で既存の入退室管理システムと統合可能
AUTH thru (株式会社ロココ)
- 顔認証で手ぶら解錠、ICカード・暗証番号不要。
- 認証ログを自動記録し、管理画面から確認可能。
- 拠点・扉ごとに細かく入退場制限を設定可能。
FaceMe (サイバーリンク株式会社)
- 高精度AIエンジンにより認証精度99.7%を実現
- 多様な環境下で安定した顔認証。
- APIで柔軟なシステム連携
まとめ
使いやすい生体認証システムを選ぶには、利用者と管理者の両方の立場から操作性を確かめることが重要です。認証までの動作の少なさや管理画面のわかりやすさ、初期設定の手間、サポートの種類と対応範囲を具体的な項目として比較しましょう。
最終的な判断は、無料トライアルやデモで実際に操作してから行うと安心です。気になる製品を資料請求し、使いやすさを比べてみてください。

