業務可視化とは
業務可視化の概要や目的を説明します。
業務内容を可視化して、従業員がわかるようにすること
業務可視化とは、「把握できていない部分を全従業員が見えるようにすること」です。業務の全体像や工程同士のつながりなど、見えづらいところが対象です。
全体的なプロセスを見据えた作業を実現させ、業務効率化やコストカットを図る目的で実施されています。
内部統制への対応で不可欠
内部統制とは、適正に業務を行うためにルールを策定し、運用する体制のことです。これが守られていないと経営目標が達成できなかったり、企業の機能不全により社会的信用に傷がついたりする可能性もあるでしょう。
上場企業など特定の会社には、内部統制に関する書類提出の義務があります。このとき必要となる書類には、業務手順をわかりやすく図で表したものも含まれます。業務可視化で作業のプロセスが明確になっていれば、内部統制に関連する書類を迅速に用意することが可能です。
業務可視化のメリット
業務可視化により、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
業務の現状や改善点を把握できる
業務を可視化すると、各業務におけるウエイトのバランスを図れます。それにより、時間を要している作業や、人手が足りていない業務を割り出せます。
その結果、業務時間の短縮や人員・経費の見直しが可能です。作業内容などによって差が出やすい残業時間の削減や均一化などにも期待が高まります。
さらに、現状に問題があると判断した業務の改善方法を検討し、それをほかの業務に生かす相乗効果も期待できます。
属人化の解決につながる
「属人化」とは、ある業務を特定の担当者に頼っている状態を指します。業務の標準化ができていないために引継ぎなどの場面で困ってしまう企業は少なくないでしょう。
属人化問題の解決には、業務可視化が有効です。業務可視化により、担当者のみが保有するノウハウや作業内容が明確になります。それをほかの従業員に共有することで、担当者が休んだ際の作業や退職時の引継ぎができるようになります。
業務に対する認識を合わせることでミスを防止できる
業務に関する認識のずれは、作業の巻き戻しや差し戻し、成果物のレベルダウンを引き起こす可能性があります。工程が多い作業や複数の担当者がいる業務では、注意しなければいけません。
それぞれの認識を合わせるために業務可視化が役立ちます。業務の概要・目的を示したワークフローが掲載されたマニュアルを、業務の担当者全体で共有します。それにより、業務がスムーズに進められるようになったり、成果物における質の高さを維持したりすることが可能です。
従業員を適正に評価できる
担当者の主観で人事評価を実施している場合、公平性を欠いてしまい、従業員の不満につながりやすいです。また、業務の様子を直に見られないテレワーク環境下でも適切な評価は難しいです。
業務可視化によって業務の過程が明らかになります。その結果、数値以外の評価ポイントが見つけやすくなります。これは実際のオフィスでも、テレワークでも変わりません。隠れた努力も正当に評価してもらえる環境であれば、従業員のモチベーションアップが期待できます。
業務可視化の方法
ここでは、業務可視化の方法を2つ紹介します。
表やプロセスマップ・フローチャートを作成する
業務の進捗状況や内容管理などの表を作成すると、全体像を把握するための仕組みを作れます。エクセル用のテンプレートを利用すればコストもかかりません。
業務の全体像を階層で図にした「プロセスマップ」や、作業の過程を流れに沿って記号で記載する「フローチャート」の活用もおすすめです。
業務可視化ツールを導入する
業務可視化ツールとは、作業の流れを図で表示してくれるシステムです。タスクの量が多い従業員が一目でわかり、業務の平準化につながります。
また、ログ収集機能によりパソコンの使用状況が把握できるという特徴もあります。業務の実態と従業員から申告された稼働時間が合致しないときは、メールなどで報告を受け取ることが可能です。業務の生産性や勤怠管理に課題を抱えている場合は、導入を検討してみるとよいでしょう。
業務可視化は自社でやりやすい方法から始めていこう!
業務可視化とは、作業の内容や手順を全従業員が把握できる状態にすることです。以下のメリットがあります。
- 業務の現状や課題点の把握
- 属人化の解決
- ミスの防止
- 適正な人事評価
下記を利用すると業務可視化に役立てられます。
- 表
- プロセスマップ
- フローチャート
- 業務可視化ツール
まずは自社に適した方法で業務可視化を実践してみてはいかがでしょうか。