CASBの連携性が運用の負担を左右する理由
CASB(Cloud Access Security Broker)は、社員とクラウドサービスの間に入り、利用を見守るセキュリティの仕組みです。単体でも機能しますが、ほかのシステムと連携することで、手作業を減らし、より多くの情報をもとに判断しやすくなります。
連携によって自動化できる作業
CASBを他のシステムと連携すると、ユーザー情報の反映、アラートの通知、ログの集約といった作業を自動化できる場合があります。例えばID管理の仕組みと連携すれば、入社や異動のたびに手作業でユーザーや所属部署を登録する手間を減らせます。
また、ログ監視の仕組みと連携すれば、CASBで検知した事象をほかのセキュリティ製品の記録とあわせて分析できます。連携できる範囲が狭いと、こうした作業が手作業で残る点を意識しておきましょう。
CASBの主な連携方式
CASBの主な連携方式は3つです。クラウドサービスが公開するAPI(システム同士をつなぐ窓口)を使う方式、通信を中継するプロキシとして動作する方式、ログファイルを取り込む方式があります。さらに、CASB自身がAPIを公開し、外部のシステムから設定やログを操作できる製品もあります。
どの方式で連携できるかによって、取得できる情報や制御のタイミングが異なります。連携先ごとに、対応している方式と、それで実現できる内容を確認しましょう。
Microsoft 365などSaaSとのCASB連携
CASBの管理対象として、Microsoft 365などの業務用SaaSを想定する企業もあります。ここでは、Microsoft 365との連携で確認したい範囲と、SaaSとのAPI連携がしやすいかを見極めるための項目を解説します。
Microsoft 365との連携で確認したい範囲
Microsoft 365との連携では、どのサービスが対象になるかを確認します。Microsoft 365にはメールやファイル共有、チャット、オンラインストレージなど複数のサービスが含まれます。CASB製品によって、どのサービスに対応しているかが異なるためです。
あわせて、ファイルの外部共有の検知、保存済みファイルのDLP検査、操作ログの取得といった機能が、各サービスでどこまで使えるかを確認しましょう。利用中のMicrosoft 365のプランによって取得できるログが異なる場合もあるため、ベンダーに条件を確かめておくと安心です。
API連携のしやすさを見極める項目
API連携のしやすさは、対応しているSaaSの一覧と連携の設定手順が公開されているかで判断します。管理者権限の設定方法が具体的に案内されているかも確認しましょう。手順が具体的であれば、導入時の作業量を見積もりやすくなります。
また、CASB側が外部向けのAPIを公開しているかも確認したい点です。APIで設定変更やログの取得ができれば、社内のほかのシステムと組み合わせた自動化を進められます。
IDaaSやSWG・プロキシとのCASB連携
CASBは、ID管理やネットワークのセキュリティ製品と組み合わせることで、誰が、どの経路で、どのサービスを使っているかを一体で管理できます。IDaaSやSWGとの連携方法と、SASEとして一体で導入する選択肢を紹介します。
IDaaSとの連携で実現できること
IDaaSとは、クラウドでIDとパスワードを一元管理し、シングルサインオンを提供するサービスです。CASBと連携すると、IDaaSに登録されたユーザーや部署の情報をもとに、部署ごとのポリシーを適用したり、退職者のアクセスを止めたりする運用が考えられます。
連携方式としては、SAML(ログイン認証の情報を受け渡す規格)による認証連携が用いられる場合があります。SCIM(ユーザー情報を自動で同期する規格)を使い、アカウントの追加や削除を反映する方法もあります。自社で使うIDaaSとの連携実績や手順書があるかを確認しましょう。
SWG・プロキシとの役割分担
SWG(Secure Web Gateway)は、Webアクセス全般を監視し、危険なサイトへの接続を防ぐ仕組みです。CASBがクラウドサービスの利用に特化しているのに対し、SWGはWeb全体を対象にするため、両者を組み合わせて使う企業もあります。
既存のSWGやプロキシがある場合は、そのログをCASBへ取り込めるか、CASBのポリシーと二重に設定する必要がないかを確認します。役割が重なる部分を整理しておくと、管理の手間を抑えられます。
SASEとして一体で導入する選択肢
SASEとは、ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で統合して提供する考え方です。CASB、SWG、ZTNA(社内システムへの安全な接続)などを1つの基盤で提供するSASE製品であれば、個別に連携を設定する手間を減らせる場合があります。
一方で、既存のネットワーク製品を置き換える必要が生じる可能性もあります。現在の環境と移行の負担を比べたうえで、CASB単体とSASEのどちらが自社にあうかを検討しましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCASBの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
ログを活用するためのCASB連携
CASBが記録したログは、セキュリティ事故の調査や監査対応に欠かせない情報です。ログを社内のほかの仕組みで活用するための連携として、SIEMへの転送とCSV出力について確認したい点を解説します。
SIEMやログ監視基盤への転送
SIEM(Security Information and Event Management)とは、複数のシステムのログを集めて分析し、不審な動きを検知する仕組みです。CASBのログをSIEMへ転送できれば、ファイアウォールや端末のログとあわせて、事象を横断的に調査できます。
確認したいのは、転送の方式がsyslog(ログを送受信する標準的な仕組み)かAPIか、転送できるログの種類、転送の頻度です。自社で使うSIEM製品との連携手順が用意されているかも、ベンダーに問い合わせておきましょう。
CSV出力の柔軟さを確かめる項目
SIEMを使っていない企業では、CSVでログやレポートを出力し、表計算ソフトで集計するケースがあります。CSV出力が柔軟かどうかは、出力する項目を選べるか、期間やユーザーで絞り込めるか、文字コードを指定できるかで判断できます。
また、一度に出力できる件数の上限や、定期的に自動出力できるかも確認しましょう。上限が低いと、大量のログを扱う際に分割して出力する手間が発生する可能性があります。
CASBの連携性を比較する手順
連携性は、カタログの対応一覧だけでは判断しにくい項目です。自社の環境にあわせて確認項目を整理し、実際に連携を試すことで、導入後に手作業が残るリスクを抑えられます。比較の手順を紹介します。
連携先ごとの確認表を作る
まず、自社で使っているSaaS、ID管理、ネットワーク製品、ログ監視の仕組みを書き出し、それぞれについてCASBで確認したい項目を表にまとめます。下の表は確認項目の一例です。
| 連携先 | 確認したい項目 |
|---|---|
| Microsoft 365などのSaaS | 対象サービスの範囲、取得できるログ、外部共有の検知 |
| IDaaS | 認証連携の方式、ユーザー情報の自動同期 |
| SWG・プロキシ | ログの取り込み、ポリシーの重複の有無 |
| SIEM・CSV | 転送方式と頻度、出力項目と件数の上限 |
各社の回答をこの表に記入していくと、連携の対応状況を同じ基準で比べられます。不明な項目は資料請求や問い合わせで確認し、回答の根拠となる資料や手順書の有無もあわせて記録しておきましょう。
検証環境で連携を試す
候補を絞り込んだら、トライアルや検証環境で、実際に連携を設定して動作を確かめます。ユーザー情報が正しく同期されるか、ログが想定どおりの項目で転送されるか、アラートが通知されるまでの時間はどの程度かを確認しましょう。
検証は本番環境への影響を避けるため、テスト用のアカウントや一部の部署に限定して行うと安心です。連携に必要な管理者権限の範囲も、このときに確認しておきます。必要以上に強い権限を求められないかを確かめ、権限を付与したアカウントの管理方法も社内で決めておきましょう。
連携先の対応範囲で比べたいCASB関連製品
SaaSやID管理、Webゲートウェイ、ログ分析基盤との連携方式を確認しながら比較したいCASB関連製品を紹介します。連携先ごとの対応範囲は、資料や検証で確かめましょう。
CYGIENE ECAP(サイジーン イーキャップ)
- 社内外問わず、インターネットアクセスを保護、不正な通信は遮断
- クラウドサービスやWebサイトへのアクセスをAIが自動識別&分類
- 国産・自社開発だから提供できる、日本語・日本時間・日本円
スカイゲートテクノロジズ株式会社が提供する国産ゼロトラストセキュリティ『Cygiene(サイジーン)』は、CASBに加えてSWG、SIEMなどの機能を一元的に提供するセキュリティサービスです。ITトレンドの掲載情報では、シャドーIT検出とアクセス制御に対応しています。SWGやログ分析の機能を別製品で組み合わせる場合と比べ、連携させる製品の数を抑えた構成を検討できます。既存環境とのつなぎ方は、個社別のカスタマイズサービスも含めて相談するとよいでしょう。
マネーフォワードAdmina
- エージェントレスで社内のシャドーITを簡単検知
- 監査ログ、ブラウザ拡張、会計システムからの多段検知を採用
- 90000 SaaSのDBと検知SaaSをマッチング。日本のSaaSにも多数対応
マネーフォワードi株式会社が提供する「マネーフォワードAdmina」は、複数のSaaSと連携して、社内で利用されているSaaSを可視化するサービスです。監査ログやブラウザ拡張に加え、会計システムからの情報も使った多段検知を採用しています。端末へのエージェント導入は不要で、検知したSaaSをデータベースと照合し、日本のSaaSにも対応しています。連携できるSaaSの範囲は、自社の利用サービスと照らして確認しましょう。
CloudSOCCASB (Broadcom Inc.)
- クラウドアプリを可視化し、シャドーITとリスクを把握。
- 機密データ検出とポリシーで情報漏えいを抑止。
- DLP・プロキシ連携でクラウド利用を統合的に保護。
Forcepoint ONE (株式会社日立ソリューションズ)
- 社内クラウドの利用状況とリスクを可視化。
- ポリシーでアクセス操作をリアルタイム制御
- エージェント不要で導入、既存環境と連携。
Bitglass (Bitglass)
- ゼロトラストに基づき、常にあらゆるアクセスを検証。
- 単一プラットフォームでセキュリティ機能を統合。
- シャドーIT、マルウェア、データ損失から包括的に保護。
Netskope (伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)
- 4万種以上のクラウドサービスを検出可能
- SaaS、Web、IaaSセキュリティに対応。
- 利用実態に即した細やかな制御
Netskope CASB (Netskope Japan株式会社)
- 高度なDLP機能で機密情報の漏洩を徹底防止!
- ATPエンジンを強化しマルウェアや高度な脅威を排除!
- 場所やデバイスにとらわれないトラフィック制御を実現!
まとめ
CASBの連携性は、Microsoft 365などのSaaS、IDaaS、SWG・プロキシ、SIEMといった連携先ごとに、対応している方式と範囲を確認することが大切です。連携が十分であれば、ユーザー情報の反映やログの集約を自動化しやすくなります。
連携先ごとの確認表を作り、複数製品の資料請求や検証を通じて、自社の環境にあうCASBを比較検討してください。

