止められないシステム向けクラウド構築・運用サービスとは
止められないシステム向けクラウド構築・運用サービスとは、高い可用性が求められるシステムに対し、クラウド環境の設計・構築から監視、保守、障害対応まで支援するサービスです。
基幹システムやECサイト、予約システム、金融・決済関連システムなどは、短時間の停止でも業務や売上、顧客対応に影響する可能性があります。そのため、単にAWSやMicrosoft Azureなどへ移行するだけでなく、障害発生時にもサービスを継続しやすい構成が必要です。
具体的には、サーバやデータベースの冗長化、ロードバランサによる負荷分散、複数のアベイラビリティゾーンへの分散、バックアップ・DR、24時間365日の監視などを組み合わせます。サービスによっては、障害の検知から一次対応、復旧支援まで任せられます。
クラウド構築サービスの仕組みや導入メリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
止められないシステムでクラウド構築・運用サービスが重要な理由
クラウドへ移行しただけで、システム停止のリスクがなくなるわけではありません。安定稼働を維持するには、障害を想定した構成設計に加え、継続的な監視や保守、復旧体制の整備が必要です。ここでは、クラウド構築・運用サービスを活用する主な理由を解説します。
システム停止のリスクを抑えるため
クラウド環境でも、サーバやネットワーク、データベース、アプリケーションなどに障害が発生する可能性があります。特定のサーバやデータセンターに依存した構成では、一部の障害がシステム全体の停止につながりかねません。
クラウド構築の専門事業者を活用すれば、冗長化や負荷分散、複数拠点への分散配置などを組み合わせ、自社の可用性要件に応じた構成を設計しやすくなります。
障害発生時の復旧を迅速化するため
重要システムでは、障害を防ぐ対策だけでなく、異常を早期に検知し、復旧までの時間を短縮する体制も重要です。
24時間365日の監視や障害の一次対応に対応するサービスなら、夜間や休日のトラブルにも備えられます。障害の検知から原因調査、復旧対応まで委託できれば、社内担当者の負担軽減にもつながります。
クラウド運用の属人化を防ぐため
AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスには、多数の機能や設定項目があります。特定の担当者だけが環境や運用手順を把握している状態では、異動や退職によって運用品質が低下するおそれがあります。
クラウド構築・運用サービスを活用し、構成情報や運用手順を整理したうえで、監視や定型作業を外部へ委託すれば、属人化を抑えながら安定した運用体制を整えやすくなります。
止められないシステム向けクラウド構築・運用サービスの選び方
重要システム向けのサービスを比較する際は、「どのクラウドに対応しているか」だけで判断せず、障害を想定した設計や運用体制まで確認する必要があります。特に以下のポイントを比較しましょう。
- ●求める可用性に応じた構成を設計できるか
- ●24時間365日の監視が可能か
- ●バックアップ・DRに対応しているか
- ●ネットワークまで一貫して任せられるか
- ●自社が利用するクラウドに対応しているか
- ●構築後の改善・最適化まで支援してもらえるか
求める可用性に応じた構成を設計できるか
まず確認したいのが、どの程度の可用性を求めるのかです。システムによって許容できる停止時間は異なるため、必要以上に高可用な構成にするとコストが膨らむ一方、冗長性が不足すれば障害時の事業影響が大きくなります。
サーバの冗長化だけでなく、ロードバランサやデータベース、ストレージ、ネットワークなども含めて障害点を洗い出せる事業者が適しています。また、AWSのマルチAZや複数リージョン、異なるデータセンターへの分散配置など、要件にあわせた構成を提案できるか確認しましょう。
24時間365日の監視が可能か
止められないシステムでは、監視体制も重要です。ただし、「24時間365日監視」と記載されていても、対応範囲はサービスによって異なります。
障害を検知して担当者へ通知するだけなのか、原因調査や再起動などの一次対応まで行うのか、復旧作業まで任せられるのかを確認しましょう。OSやミドルウェア、アプリケーションまで監視対象にできるかも比較ポイントです。
障害発生時の連絡方法やエスカレーション手順、対応可能な範囲も事前に確認しておくと安心です。
バックアップ・DRに対応しているか
大規模障害や自然災害、サイバー攻撃などを想定すると、通常の冗長化だけでは十分とはいえません。データのバックアップに加えて、別拠点や別リージョンでシステムを復旧するDR環境を構築できるか確認しましょう。
その際は、「何時間以内に復旧する必要があるか」を示すRTO(目標復旧時間)と、「どの時点までデータを戻せればよいか」を示すRPO(目標復旧時点)を整理しておくと、必要な構成を判断しやすくなります。
バックアップの取得だけでなく、定期的な復元確認やDR切り替えテストまで支援してもらえるかも確認してください。
ネットワークまで一貫して任せられるか
基幹システムや社内システムをクラウド化する場合、クラウド基盤だけでなく、本社・拠点・データセンターとのネットワーク接続も重要です。
特に大量のデータを扱うシステムや安定した通信品質が求められる環境では、インターネットVPNだけでなく、閉域網やAWS Direct Connectなどの利用も検討します。
クラウドとネットワークを別々の事業者へ依頼すると、障害発生時に原因の切り分けや問い合わせに時間がかかる場合があります。クラウド基盤から接続回線、ネットワーク監視まで一括して任せられるサービスであれば、窓口を集約しやすいでしょう。
自社が利用するクラウドに対応しているか
AWSを中心に支援するサービスもあれば、Microsoft AzureやGoogle Cloud、国産クラウドなど複数のクラウドに対応するサービスもあります。
すでに利用するクラウドが決まっている場合は、その環境での設計・構築・運用実績を確認しましょう。一方、オンプレミス環境を残す場合や複数クラウドを併用する場合は、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを一元的に支援できる事業者が適しています。
構築後の改善・最適化まで支援してもらえるか
クラウド環境は、構築して終わりではありません。利用量の増減やシステム変更、新しいクラウドサービスの登場などにあわせて、継続的に構成を見直す必要があります。
リソース利用状況の分析やコスト最適化、セキュリティ設定の見直し、パッチ適用、運用自動化などを継続的に支援してもらえるか確認しましょう。将来的なシステム拡張やクラウド移行まで相談できるサービスであれば、長期的な運用にも対応しやすくなります。
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クラウド基盤・ネットワーク・運用を一括支援するサービスを比較
クラウド基盤の設計・構築だけでなく、ネットワーク接続やデータセンター、構築後の監視・運用までまとめて任せたい企業には、一貫支援型のサービスが適しています。複数の事業者へ個別に依頼する必要がなく、障害発生時の問い合わせ先や運用窓口も集約しやすいでしょう。ここでは、クラウドを含むITインフラ全体を幅広く支援するサービスを紹介します。
社会インフラ品質のクラウド構築と運用
- AWS・OCF等サービスの選定から設計、構築、移行まで一貫支援
- クラウドやデータセンターを高品質・低遅延な閉域網で接続
- 24時間365日の監視と、ニーズに応じた運用保守を提供
北電情報システムサービス株式会社が提供する「社会インフラ品質のクラウド構築と運用」は、AWSの設計・構築・移行から、閉域ネットワーク接続、24時間365日の運用・保守まで一貫して支援するサービスです。FIT-OCXによりクラウドやデータセンター、拠点間を閉域接続でき、FirstOPSでは監視や障害対応、構成管理、パッチ適用などを支援します。クラウド基盤・ネットワーク・運用をまとめて任せたい企業に適しています。
XManaged (NTTドコモビジネス株式会社)
- デザイン・デリバリ・オペレーションを一貫提供
- 柔軟に組み立て可能なサービス体系。
- 先端技術を支える運用基盤
AWSを中心に構築・運用を支援するサービスを比較
AWSを利用する予定の企業や、既存システムをAWSへ移行したい企業には、AWSの設計・構築から監視・運用まで支援するサービスが適しています。AWSに関する専門知識をもつ事業者へ任せることで、可用性を考慮した構成設計や障害対応、運用負荷の軽減につなげられます。ここでは、AWS環境の構築・運用を中心に支援するサービスを紹介します。
AWSソリューション(クラウド移行/サーバーレス開発/運用保守/内製化)
- オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境構築に対応
- 一緒に悩み寄り添いながら全国どこでも対面フォロー
- AWS最上位となる「AWSプレミアティアサービスパートナー」を取得
株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供する「AWSソリューション(クラウド移行/サーバーレス開発/運用保守/内製化)」は、AWSの導入・設計・構築から移行、運用保守まで幅広く支援するサービスです。オンプレミスとAWSを組み合わせたハイブリッド環境の構築にも対応しています。AWSプレミアティアサービスパートナーとして、要件整理や設計、移行などを支援するため、既存システムをAWSへ移行したい企業や、構築後の運用までまとめて相談したい企業に適しています。
株式会社ディーネットのAWS導入・運用支援サービス
- AWS環境のみならず、OSやミドルウェアまで含めた対応が可能
- 導入後も24時間365日体制でお客様のAWS環境を有人で運用監視
- 構築のみ、運用のみのご相談でも大歓迎
「株式会社ディーネットのAWS導入・運用支援サービス」は、AWS環境の要件定義・設計・構築から移行、24時間365日の有人運用監視まで一貫して支援するサービスです。AWSだけでなく、OSやミドルウェアの導入・運用にも対応。構築のみ、運用のみの依頼も可能なため、AWSの専門人材が不足している企業や、サーバ周辺の運用負荷を軽減したい企業に向いています。
AWS総合支援サービス (クラスメソッド株式会社)
- AWS利用料の割引と円建て請求書払い
- 365日24時間の技術サポートと専任担当の支援
- 導入コンサルから構築・運用保守まで一括支援。
マルチクラウド・国産クラウドに対応するサービスを比較
AWS以外のクラウドを利用したい企業や、複数のクラウドを組み合わせてシステムを構築したい企業には、マルチクラウド・国産クラウド対応のサービスが適しています。クラウドごとの特徴や既存環境を踏まえて構成を選択できるため、可用性やコスト、データ保管場所など自社の要件にあわせた環境を構築しやすくなります。
「さくらのクラウド」構築・運用パック
- データ転送無料メリット最大化。予実管理しやすい定額運用を支援
- 夜間休日も緊急対応まで全て代行。実績に基づいたサポートで安心
- 専門知識、いりません。設計から請求の一元化まで丸投げOK
株式会社フューチャースピリッツが提供する「『さくらのクラウド』構築・運用パック」は、国産クラウド「さくらのクラウド」の設計・構築から24時間365日の監視・復旧まで任せられるフルマネージドサービスです。構成の検討や移行、運用まで一貫して支援し、夜間・休日の緊急対応も行います。国内基盤のクラウドを活用しながら、専門スタッフへ運用を任せたい企業に適しています。
クラウドサーバー構築・運用保守サービス
- 大規模・高負荷なインフラ環境の豊富な構築実績
- 24時間365日の有人監視と障害対応
- AWS等各種クラウドに対応したサーバー構築および運用支援
株式会社ビヨンドが提供する「クラウドサーバー構築・運用保守サービス」は、各種クラウドに対応し、サーバの設計・構築から24時間365日の有人監視・障害対応まで支援するサービスです。大規模・高負荷なインフラ環境の構築実績をもち、構築後の運用監視までまとめて任せられます。クラウドやサーバの専門人材が不足している企業や、障害発生時を含めた運用体制を外部へ委託したい企業に向いています。
Rackspace (Rackspace Technology, Inc.)
- AWS, Azure, GCP対応のマルチクラウド管理サービス
- 24時間365日専任エンジニアのサポート
- セキュリティとコンプライアンスを強化。
クラウド構築・運用サービス導入前に整理しておきたいこと
サービスへ問い合わせる前に、自社システムの重要度や必要な運用条件を整理しておきましょう。特に、許容できる停止時間、復旧までに求める時間、バックアップ対象、24時間365日対応の必要性、既存システムとの接続方法などを明確にすると、各社から自社に合った提案を受けやすくなります。
また、「止められないシステム」とひとくくりにせず、停止した場合にどの業務へどの程度影響するのかを整理することも重要です。すべてのシステムに最高水準の冗長構成を採用するとコストが膨らむため、重要度に応じて必要な可用性やRTO・RPOを設定し、予算とのバランスを検討しましょう。
止められないシステム向けクラウド構築・運用サービスのFAQ
止められないシステム向けのクラウド構築・運用サービスを検討する際によくある疑問をまとめました。監視体制や可用性、構築・運用を委託する際の考え方を確認しておきましょう。
- Q1:止められないシステムでは24時間365日の監視が必要ですか?
- すべてのシステムで必須とは限りません。ただし、夜間や休日も稼働する基幹システムやECサイト、予約システムなどでは、障害の早期検知と復旧時間の短縮につながります。通知のみか、一次対応や復旧作業まで任せられるかも確認しましょう。
- Q2:クラウドに移行すればシステムは停止しなくなりますか?
- クラウドへ移行するだけで停止リスクがなくなるわけではありません。サーバやデータベース、ネットワークの冗長化、バックアップ、DR環境などを組み合わせ、障害を想定した構成を設計する必要があります。
- Q3:クラウド構築と運用を同じ会社に依頼するメリットは何ですか?
- 構築時の設計や構成を把握した事業者が運用も担当するため、障害発生時の原因切り分けや対応を進めやすくなります。クラウド基盤やネットワーク、監視を複数社へ分ける場合と比べて、問い合わせ窓口を一本化しやすい点もメリットです。
- Q4:クラウド構築・運用サービスを選ぶ際に何を重視すべきですか?
- 自社に必要な可用性と、障害発生時の対応範囲を確認することが重要です。24時間365日の監視、バックアップ・DR、閉域接続、対応クラウド、復旧支援の範囲などを比較し、自社のRTO・RPOや運用体制に合うサービスを選びましょう。
まとめ
止められないシステムのクラウド化では、クラウド基盤を用意するだけでなく、障害を想定した冗長設計やバックアップ・DR、24時間365日の監視、障害発生時の復旧体制まで含めて検討することが重要です。また、本社や拠点、データセンターとの接続が必要な場合は、閉域網を含むネットワークまで一貫して支援できるかも確認しましょう。
サービスによって、対応クラウドや監視対象、障害時の対応範囲、運用支援の内容は異なります。まずは許容できる停止時間やRTO・RPO、必要な監視体制を整理したうえで複数サービスを比較し、自社のシステム要件や運用体制に適したサービスを選定してください。


