連結決算で手間がかかる作業
連結決算は、単に各社の数字を足し合わせるだけでは終わりません。どんな作業が必要かを知ると、システムに何を求めるべきかも見えてきます。
各社から数字を集める作業
グループの各社から、決算の数字を決められた書式で提出してもらいます。会社ごとに使っている会計システムが違うと、書式をそろえる作業が発生します。海外の子会社があれば、通貨や会計のルールの違いも調整が必要です。
提出の期限を守ってもらう管理も欠かせません。1社でも遅れると、その後の作業がすべて止まります。誰が提出済みで誰がまだかを追う作業も、担当者の負担になります。提出された数字に誤りがあれば、差し戻して直してもらう往復も生じます。
グループ内の取引を差し引く作業
グループ内で商品をやり取りしていた場合、その売上と仕入れはグループ全体で見ると存在しないものとして扱います。この調整を内部取引の相殺と呼びます。親会社から子会社への貸付や、未回収の代金なども同じように差し引きます。
この作業では、両社の数字が一致している必要があります。金額がずれていると原因を調べることになり、時間がかかります。取引の件数が多いほど、突き合わせの作業も増えていきます。計上した時期の違いや、為替の換算によってずれが生じることもあります。
子会社の資本に関する調整
子会社の株式をすべて持っていない場合、親会社に帰属しない部分を分けて示す必要があります。買収したときに生じた差額の処理も必要です。これらの計算は決まった手順にもとづいて行われますが、手作業では間違いも起こりやすくなります。
子会社が増減したときは、さらに調整が加わります。期の途中で買収した会社をいつから含めるかといった判断も生じます。判断に迷う場合は、監査法人や顧問の会計士に確認する流れを決めておきましょう。
連結会計システムを使うメリット
この仕組みの効果は、計算が速くなることだけではありません。数字の信頼性や、後からの確認にも関わります。3つの角度から整理します。
決算にかかる日数を短くできる
各社が同じ画面から数字を入力する形にすれば、書式をそろえる作業が不要です。集計や相殺の計算も自動で行われるため、表計算ソフトでの作業と比べて時間を減らせます。提出の状況も画面で確認できます。
決算が早くまとまれば、その数字をもとにした経営の判断も早く行えます。開示の期限に追われる状態から抜け出しやすくなる点も、担当部門にとっての利点です。月次で連結の数字を出す運用に移せる場合もあります。四半期ごとの開示が必要な会社ほど、短縮できる効果は大きくなります。
計算の誤りを減らせる
相殺や資本の調整は、決まった手順で計算されます。手作業では計算式の書き換えや入力の誤りが起こりますが、仕組みに任せればその心配が減ります。両社の数字が一致しない場合に、警告を出せる製品もあります。差の原因を早く見つけられます。
誰がいつどの数字を入力したかの記録も残ります。監査で根拠を求められたときに、経緯を示しやすくなります。前期との比較や、修正した箇所の確認も画面から行えるため、確認作業の負担も軽くなります。
担当者一人に依存しない体制をつくれる
表計算ソフトで組んだ計算式は、作った本人しか中身を理解していないことがあります。その担当者が異動すると、決算そのものが止まる恐れがあります。処理の手順が仕組みとして定義されていれば、こうした状態を避けられます。
作業を複数人で分担することもできます。誰がどこまで進めたかが見えるため、引き継ぎもしやすくなります。特定の人だけに頼る運用から抜け出せる点は、長く続けるうえで重要です。急な休みが出ても、決算の進行を止めずに済みます。
導入前に確かめたい注意点
導入すればすぐ効果が出るわけではありません。次の点を押さえたうえで検討しましょう。
費用と対象範囲を確かめる
料金は、対象となる会社の数や、利用する人数で決まる形があります。子会社が増えると費用も上がるため、将来の構成を想定して見積もることが重要です。海外の会社を含める場合、対応する機能が追加料金になることもあります。
費用を比べるときは、今の決算にかかっている日数と人数を書き出す方法があります。残業や外部への依頼が発生している場合は、その費用も含めて比べましょう。設定を手伝ってもらう費用が別かどうかも確認します。
初期の設定に時間がかかる
使い始めるには、グループの構成、各社の勘定科目の対応づけ、相殺の条件などを登録する必要があります。この設定が実態と合っていないと、正しい数字が出ません。会計の知識を持つ担当者が関わる作業です。
設定の作業は、決算の時期を避けて進めましょう。並行して従来の方法でも計算し、数字が一致するかを確かめる期間を設けると安心です。どこまで支援を受けられるかを、契約前に確認しておくことが重要です。
子会社側の協力が必要になる
各社に入力してもらう形にする場合、子会社の担当者にも操作を覚えてもらう必要があります。人数の少ない子会社では、負担に感じられることもあります。説明の機会を設け、入力の手順を資料にまとめておきましょう。
海外の子会社がある場合は、言語への対応も確かめる点です。画面が日本語だけだと、現地の担当者が使えません。時差のある拠点との連絡方法も、あらかじめ決めておくことが重要です。問い合わせを受ける窓口を決めておけば、決算期の混乱を抑えられます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で連結会計システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
製品を選ぶときの確認項目
必要な機能は、グループの構成と開示の要件によって変わります。対応範囲と、運用の進め方という2つの点から確認しましょう。
自社のグループ構成に対応できるか
子会社の数、持分法を適用する会社の有無、海外の会社があるかによって、必要な機能は変わります。外貨の換算や、現地の会計ルールから日本の基準へ組み替える作業に対応しているかを確かめましょう。決算日が異なる会社がある場合の扱いも確認します。
あわせて、作成が必要な書類にも対応しているかを確かめます。有価証券報告書に必要な注記や、キャッシュ・フロー計算書を作れるかを確認しましょう。会計基準が改正された際の対応がどう行われるかも、契約前に聞いておきたい点です。
既存の会計システムとつなげられるか
親会社や子会社が使っている会計システムから、数字を取り込めるかを確認します。手入力が残ると、その分の手間と誤りの可能性が残ります。取り込める形式や項目は製品ごとに違うため、実際のデータで試せると確実です。
つなぐ仕組みが動かない場合、製品の仕様、社内のネットワーク設定、つなぐ相手のサービスの制限など、複数の原因が考えられます。取り込みが止まったときに管理者へ知らせが届くか、手動でやり直せるかも聞いておきましょう。
グループ全体の決算を支える連結会計システム
子会社を含めた決算資料の作成にかかる時間を抑えたい場合に候補となるシステムを紹介します。
マネーフォワード クラウド連結会計
- 会計システム連携、Excelインポート機能でデータ収集を効率化
- グループの経営状況をいつでもどこでもリアルタイムに把握できる
- 短期間・低価格で導入可能!クラウドなのでインストールも不要
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド連結会計」は、グループ会社の決算データを集約し、連結決算の資料を作成するシステムです。各社の会計システムからデータを取り込み、内部取引の相殺といった処理を進められます。クラウド上で提供されるため、拠点が分かれたグループでも同じ環境で作業を進めやすくなります。
eCA-DRIVER
- 業務フローに沿った直感的なメニュー構成で「決算早期化」を実現
- 監査で求められる標準帳表に加え、独自様式の管理帳表も出力可能
- 連結決算の実務経験豊富な公認会計士が「決算効率化」をサポート
株式会社TKCが提供する「eCA-DRIVER」は、連結決算に関わる業務を支えるシステムです。子会社から集めた財務データをもとに、連結精算表や開示資料の作成を進められます。会計事務所との連携を前提とした支援体制も備えており、決算業務に不安がある企業でも相談しながら進めやすい構成です。
iCAS (連結決算システム)
- 連結業務にとどまらず、さまざまな課題を一緒に解決できる
- 子会社、関連会社の増加減少時のメンテナンス作業が簡単
- 大手企業から中小企業まで、業種業態を問わず連結会計業務に対応
株式会社インプレスが提供する「iCAS (連結決算システム)」は、グループ会社の決算情報を集約して連結決算の処理を進めるシステムです。各社から提出されたデータを取りまとめ、連結の仕訳や開示資料の作成を支援します。子会社の数や取引の複雑さに応じた設定が可能で、グループの構成にあわせた運用を検討できます。
DivaSystem LCA (株式会社ディーバ)
- 業務テンプレートにより初めての連結決済でも安心
- 開示システムとの連携で開示業務も円滑化
- 明細データの収集でグループ企業を透明化
ASP1000R (株式会社TKC)
- 電子申告義務化対象法人の利用多数、継続率99%超。
- 税金申告書をワンクリックで電子申告。
- 税法に完全準拠した年度版システムを毎年提供(約40年の実績)。
連結会計システムに関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 子会社が少なくても導入する価値はありますか?
- 会社数が少なければ表計算ソフトでも対応できる場合があります。ただし、内部取引が多い、海外の会社があるといった条件があると手間が増えます。今の決算にかかっている日数をもとに判断しましょう。
- Q2: 会計システムを入れ替える必要はありますか?
- 各社の会計システムをそのまま使い、数字だけを取り込む形が多く採られています。ただし、勘定科目の対応づけは必要です。入れ替えずに始められるかを、比べる段階で確認しましょう。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- グループの構成と設定の範囲で変わります。数か月を見込む例が多くあります。決算の時期と重ならないよう、逆算して計画を立てましょう。並行して確認する期間も含めておくことが重要です。
- Q4: 会計基準が変わったときはどうなりますか?
- クラウド型の製品では、提供する会社が対応する形が採られています。ただし、対応の時期や範囲は製品によって違います。改正への対応方法と、追加費用の有無を契約前に確認しましょう。
まとめ
連結会計システムには、決算にかかる日数を短くできること、計算の誤りを減らせること、担当者一人に依存しない体制をつくれることというメリットがあります。一方で、費用や初期設定の手間、子会社側の協力という点も押さえておく必要があります。まずは今の決算にかかっている日数と、グループの構成を整理しましょう。資料請求を活用して比べてみてください。


