連結会計システムとは
連結会計システム(連結会計ソフト)とは、複雑な連結決算業務をシステム化し、スムーズに処理するための機能を搭載したツールです。連結会計(連結決算)とは、親会社と子会社・グループ会社を単一企業としてとらえ、まとめて決算を行う方法です。グループ企業間の黒字や赤字の付け替えなどの不正防止や、単体会計だけでは見えにくいグループ全体の経営判断が的確に行えるメリットがあります。
連結会計に必要な連結財務諸表の作成には、関連会社のデータ収集や選別が必要です。加えて会計基準や法令の確認・遵守などもあり、作業工数は非常に多くなります。連結会計システムは「データの収集」を行い、「データを元に自動で仕訳作成」が可能なため、連結会計業務の効率化に貢献します。
連結会計システムの必要性
連結会計業務は子会社におけるすべての資産・負債の時価評価や為替レートの計算など、煩雑になりがちです。また、連結会計によってグループ全体の経営判断を的確に行うには、タイムリーなデータの把握が重要です。
会計システムをすでに導入していたとしても、各社で異なるシステムだった場合は会計処理や勘定科目が統一化されていないため、合算前に修正が必要になります。情報収集は自動化できても、データの整合性確保までは難しいでしょう。このような課題を解決するために、業務効率化と担当者の負担軽減で決算早期化を実現する連結会計システムの必要性が高まっています。
ほかにも連結会計制度の法改正への対応や業務属人化の防止、業務の標準化にも貢献するため、連結会計を行う企業の経理部門では連結会計システムの導入が進んでいます。
連結会計システムの代表機能
連結会計システムに搭載されている機能は、主に以下のとおりです。一般的な会計処理ではなく、連結会計に求められる代表的な機能を紹介します。
- ●子会社情報収集
- 各子会社から、連結財務諸表作成に必要なデータや注記作成に必要な定性的なデータ等を収集します。エラーチェック機能によりデータの整合性保持が可能です。
- ●連結財務諸表作成
- 会計基準に準拠した連結BS・PL・SS・CFおよびセグメントデータを作成します。業務負担の軽減が可能です。
- ●連結予算作成・予実管理
- 単体予算からの連結予算、前年実績からの連結予算を作成し、予実管理ができます。
- ●範囲連結
- 連結の範囲を定義し、複数のグループを対象にした連結財務諸表を作成します。
- ●サブ連結機能
- 親会社と子会社、さらに孫会社がある場合、子会社と孫会社のサブ連結財務諸表を作成します。
- ●セキュリティ機能
- アクセスログの管理やアクセス権限の付与・管理など、内部統制の強化が可能です。
- ●多言語対応・外貨対応
- 海外のグループ企業でも利用できるようになります。
- ●IFRS(国際会計基準)対応
- IFRSは現在国内で導入が進んでいる新しい国際会計基準です。グローバルな会計処理が可能となるため、海外に拠点をもつ企業に適した機能です。
連結会計システムを選ぶポイント
最適な連結会計システムを選ぶために確認しておくべきポイントをチェックしましょう。具体的な選定ポイントは以下のとおりです。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
機能
業種業態や子会社の数、経営スタイルなどに応じて必要な機能は異なるでしょう。会計データの連結処理など基本的な機能に加え、自社にとって必要な機能の見極めも重要です。
例えば、子会社・グループ会社も含めて予実管理や経営分析などを行いたい場合は、管理会計に関する機能が搭載されているか確認しましょう。海外に子会社がある場合や、外国人従業員が多数在籍していたり海外との取引が多かったりする企業は、グローバル対応機能があると便利です。
また、自社に適した機能の有無に加え操作性がよいかも確認しておきましょう。使いにくい連結会計システムであれば、思うように業務効率化につながらない場合があるためです。
提供形態
連結会計システムの主な提供形態は、クラウド型とオンプレミス型の2つが挙げられます。クラウド型の連結会計システムは、自社でサーバなどインフラ環境の整備が不要なことから、運用管理のしやすさが特徴です。またインターネットに接続できれば場所を問わずに活用が可能なため、社外や多拠点でのシステム活用もできます。
オンプレミス型の連結会計システムは、自社内に設置したサーバでシステムを活用するため、セキュリティ性・カスタマイズ性の高さが特徴です。
コスト
連結会計システムを導入するにあたって、初期費用やランニングコストが適切であることは重要です。搭載機能が多く高性能なシステムほど高額になる傾向にあるため、まずは自社に必要な機能を備え、かつ不要な機能が多く搭載されていないか比較するとよいでしょう。
また、提供形態によってもコストは異なります。クラウド型は初期費用や運用管理費を抑えて導入が可能です。その反面、月額制のものが多く、ランニングコストがかかります。対してオンプレミス型はサーバ設置などで初期費用が高額になる傾向にあります。しかし月額費用がかからないため、長期的に使用する場合はコストが低くなることもあります。
機能や提供形態などとあわせて総合的に比較検討するのがおすすめです。
サポート体制
連結会計制度は頻繁に改正されるため、システムでも都度対応が求められます。また、グループ再編などが行われる場合もあるでしょう。これらの変化に対してどのようなサポートが受けられるのかも事前に確認しておくとよいでしょう。
また、連結会計やIFRSなどの専門的な経験が不足している場合は、コンサルティングが可能な事業者を選ぶことも必要かもしれません。
【比較表】連結会計システム一覧
ITトレンド編集部がおすすめする連結会計システムを比較表で紹介します。
各製品の詳細情報についてはのちほど紹介するので、気になる製品をチェックしてみてください。
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連結会計システムおすすめ製品比較
ここでは、ITトレンドがおすすめする連結会計システムを紹介します。気になった製品は「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加をしておき、あとでまとめて資料請求もできます。
《iCAS (連結決算システム)》のPOINT
- 連結業務にとどまらず、さまざまな課題を一緒に解決できる
- 子会社、関連会社の増加減少時のメンテナンス作業が簡単
- 大手企業から中小企業まで、業種業態を問わず連結会計業務に対応
「iCAS (連結決算システム)」は株式会社インプレスが提供しており、業種業態や企業規模を問わずに、迅速で正確な連結決算処理を実現します。個別会計システムとの連携やデータ収集、エラーチェック機能により、二重入力や転記ミスの防止に効果的です。管理連結機能では、現状分析から予測シミュレーションを行うことで、グループ全体の経営戦略に役立ちます。
製品・サービスのPOINT
- 会計システム連携、Excelインポート機能でデータ収集を効率化
- グループの経営状況をいつでもどこでもリアルタイムに把握できる
- 短期間・低価格で導入可能!クラウドなのでインストールも不要
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド連結会計」は、子会社の鑑定科目から連結科目へ自動変換や変換定義漏れの識別など、データ収集を効率化する機能が豊富です。クラウド型連結会計システムのため、リアルタイムにグループ全体の経営数値を確認できます。専用機器やインストールは不要で、最短1か月でのシステム導入が可能です。
《eCA-DRIVER》のPOINT
- 業務フローに沿った直感的なメニュー構成で「決算早期化」を実現
- 監査で求められる標準帳表に加え、独自様式の管理帳表も出力可能
- 連結決算の実務経験豊富な公認会計士が「決算効率化」をサポート
株式会社TKCが提供するクラウド連結会計システム「eCA-DRIVER」は、子会社のレポーティング・パッケージ収集から連結処理、連結財務諸表作成までをカバーします。会計システムとの連携やデータ収集ツールの活用により入力作業を効率化し、整合性チェック機能で誤入力や入力漏れを防ぎます。実務に精通した公認会計士・税理士が導入から運用までサポートするため、初めての導入でも安心でしょう。
《DivaSystem LCA》のPOINT
- 業務テンプレートにより初めての連結決済でも安心
- 開示システムとの連携で開示業務も円滑化
- 明細データの収集でグループ企業を透明化
「DivaSystem LCA」は、株式会社ディーバが提供する連結会計・連結決算システムです。決算準備からデータ収集、連結数値作成、監査・開示・レポーティングまで、一連の業務の効率化が可能です。また、会計規則の変更にあわせ、自動でパッケージをアップデートします。
連結会計システムとして活用できるおすすめ製品
続いて、単体もしくはシステムと連携して連結会計対応ができる会計ソフトを紹介します。
製品・サービスのPOINT
- 単体会計から連結会計、債権・債務や原価管理まで一貫サポート
- 豊富な業務系システムと業界ソリューションとの連携で全社最適化
- スキャナ保存など先進技術を採用。制度改正にもタイムリーに対応
株式会社オービックが提供する「OBIC7会計情報ソリューション」は、連結会計やグループ管理会計にも対応した会計情報ソリューションです。グループ企業の会計情報を収集して連結仕訳や資本連結仕訳の自動生成、予算対比などの管理連結が可能です。また、オプションでグループ経営における予算統制や収益先行予測、多言語・多通貨にも対応できます。
《MJSLINK DX 財務大将》のPOINT
- 管理会計機能が充実し、オプションが豊富な財務システム
- 多彩なモジュールと豊富なオプション
- 建設工事業、公益法人等の業種特有の会計基準にも対応
「MJSLINK DX 財務大将」は、株式会社ミロク情報サービスが提供する会計システムです。データを部署ごとに仮入力したり、分散入力しておいたデータを後から連結できたりと複数の子会社の決済情報をまとめて管理が可能です。また、グループ経営システム「BizForecast」と連携すると、連結会計業務や予算業務を効率化できます。
《Biz∫会計》のPOINT
- グループ会社共通のシステムで連結決算業務が効率化
- 最大限に標準機能を活用し、短期間・低価格での導入が実現
- 電子帳簿保存法等、迅速に法的要件へ対応
「Biz∫会計」は株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが提供しており、個別会計のほかグループ会社の連結決算業務や財務分析に対応したグループ経営ソリューションです。グループ全体で共通データベースに集約し、同じ環境での運用が実現します。連結決算を行う前に、グループ間の残高不一致が発生していないかを明確にし、原因の追求や把握も可能です。
《PCAクラウド 会計》のPOINT
- 金融機関の取引明細に関する仕訳処理の手間を大幅に削減
- より使いやすく進化。快適な業務環境を実現
- ワンクリックで直接送信可能。安心・効果的な電子申告機能
ピー・シー・エー株式会社が提供する「PCAクラウド 会計」は、子会社や関連会社にPCA会計シリーズを導入することで、親会社の連結決算システムに連動し連結決算業務を行えます。連結決算業務機能は、オプションでの利用が可能です。集計期間を指定してデータ作成するため、本決算のほか中間決済や四半期ごとの連結にも対応しています。
《PCAクラウド 公益法人会計》のPOINT
- 公益法人の特殊な会計処理に最適化された基本機能
- バージョンアップで使いやすくなりセキュリティ性も向上
- 他の会計・経理システムと連携してさらなる効率化を実現
ピー・シー・エー株式会社が提供する「PCAクラウド 公益法人会計」は、公益法人の会計処理にも対応した会計処理ソリューションです。公益法人の特殊な会計処理でも、関連会社が利用するPCA会計シリーズと親会社の連結決算システムが連動し、連結決算業務をオプションで行えます。伝票や予算、伺書における承認権限をユーザーごとに設定に対応しているなど、セキュリティ面における機能も豊富です。
《SuperStream》のPOINT
- 連結決算や損益管理、キャッシュ・フローといった情報管理を実現
- IFRS(国際会計基準)にも対応
- 柔軟なコード体系で管理会計コードまでも保持可能!
株式会社日立システムズが提供する「SuperStream」シリーズの最新版「SuperStream-NX」は、国際財務報告基準(IFRS)対応の連結決算や損益管理を実現する統合業務パッケージです。グループ企業の会計情報を集約・更新し、グループ全体の決算早期化をサポートします。連結会計システム「BTrex連結会計」「DivaSystem」との連携が可能です。
STRAVIS
「STRAVIS」は、株式会社電通総研が提供する連結会計ソリューションです。データ収集や連結精算処理・レポート作成など、連結会計業務に必要な機能が揃っています。制度連結だけでなく、管理連結業務にも対応可能です。
BTrex連結会計
「BTrex連結会計」は、株式会社ビジネストラストが提供するグループ企業での展開を想定した連結会計システムです。検証性や操作性・サポート体制・IFRS対応にこだわって設計されており、連結会計のほか決算業務から管理会計分野まで対応可能です。
以下の記事では、ITトレンド編集部がおすすめする会計システムを紹介しています。連結会計システムだけではなく、会計システムとも比較してみたい方はあわせて参考にしてください。
まとめ
連結会計は複雑な業務なうえ、子会社やグループ会社のデータを収集収集し仕訳するなど煩雑になりがちです。連結会計システムで業務を効率化し、会計部門の負担を軽減するとよいでしょう。
まずはどのような連結会計システムがあるかを知り、製品を比較しながら自社に最適な連結会計システムを検討してみるのがおすすめです。以下のボタンから各社製品資料の一括請求ができるので、ぜひ活用してください。