与信管理システムとは
与信管理システムとは、取引先の信用枠(与信限度額)と売上債権残高を一元管理するためのシステムです。取引先の支払い状況や財務状況などの企業情報を効率よく取得し、スピーディーな与信判断を支援します。
与信管理は「取引先情報の収集→信用調査→与信限度額の設定→与信事後管理」の手順で実施されます。各手順の詳しい方法ついて理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。
与信管理システムの導入がおすすめの企業
以下のような課題をもつ企業には、与信管理システムの導入が適しています。
- ●多くの顧客や取引先を抱え、信用リスクを個別に管理するのが難しい
- ●新規取引先が増加するにつれ、リスク管理が複雑化し対応しきれなくなっている
- ●信用リスク基準が不明瞭で、判断ミスが起こりやすい
- ●専門知識をもつ従業員が限られていて、与信管理業務が属人化している
- ●人員不足により、取引先の継続的なモニタリングまで手が回らない
与信管理システムをお探しの方へ
この記事では、おすすめの与信管理システムを特徴別に分類し、機能や価格などを比較しています。「すぐにツール選定に移りたい」という方は、以下の見出しをクリックして、詳しい製品情報をご覧ください。
また、おすすめ製品を一覧表で比較したい方は、以下の見出しよりご確認ください。
▶【比較表】おすすめの与信管理システム
与信管理システムの機能
与信管理システムの主な機能は以下のとおりです。
- ■与信情報の収集
- 新規取引先の支払い状況や財務状況など、与信情報を自動で調査・収集する機能。国内企業のほか、海外企業に対応したシステムもある。
- ■与信情報の管理
- 収集した与信情報を蓄積し、システム上で一元管理する機能。複数部署やグループ全体の与信情報も一括管理できる。
- ■信用スコアリング(信用格付)
- 与信情報や企業情報をもとに、取引先の信用度を格付する機能。取引先ごとに5段階や9段階などで、信用状況が表示される。
- ■与信限度額算出
- 取引先ごとの信用スコアリングをもとに、取引金額の上限を算出する機能。与信情報の変動にあわせて、限度枠の更新も可能。
- ■取引履歴管理
- 取引内容や履歴、債権残高などを取引先ごとに管理する機能。過去の与信状況も参照できる。
- ■モニタリング・アラート
- 既存取引先の与信リスク変動をモニタリングする機能。与信取引に関する重要な変化が発生した際には、アラートを表示する。
- ■反社チェック
- 取引先や関連会社が反社会的勢力と関わりがないかを確認する機能。データベース化された企業情報から参照する場合が多い。
- ■債権保証
- 売掛債権に支払い保証がかけられる機能。保証会社との連携や、保険契約などを利用して債権を保証するケースが一般的。
与信管理システムの導入メリット
与信管理システムの導入で得られるメリットを3つ紹介します。
リスク管理の効率化
与信管理システムは、取引先の信用情報をリアルタイムにモニタリングし、支払い遅延や信用悪化などの兆候を即座に検知します。これにより、問題が発生する前に適切な対策を講じ、資金未回収による損失を回避できます。既存取引先の与信状況が自動でモニタリングされるため、継続管理業務の負荷も減らせます。
与信判断スピードの向上
与信審査プロセスが自動化されることで、手作業によるデータ収集や分析にかかっていた時間が大幅に軽減されます。さらに、取引先の信用情報や取引履歴の一元管理によって、情報の正確性と整合性も向上。正確なデータにもとづいた迅速な判断が可能になり、スムーズな取引が実現します。
内部統制の強化
与信管理システムを導入すれば、新規取引先の信用情報や与信審査の基準が明確化されます。これにより、与信判断の属人化やヒューマンエラーを防ぎ、公正な与信管理が可能に。すべての審査プロセスがシステム内に記録されるため、リスク管理の透明性が確保され、内部統制の強化にもつながります。
与信管理システムの導入デメリット
与信管理システムの導入には、以下のようなデメリットも考えられます。
- ■運用コストがかかる
- システム購入の初期費用に加え、保守やアップデート、サポート契約などに継続的なコストがかかる。導入に際して従業員への教育コストも発生する。導入費用や運用コストが予算内に収まるか、費用対効果が見合うかどうかの慎重な検討が必要。
- ■データ移行のリスク
- 旧システムからのデータ移行時に、データの損失や不整合のリスクがある。過去の取引履歴や顧客データの不正確な移行は、将来の与信判断に影響を与える可能性が高いため、慎重なデータ移行が不可欠。
- ■システム障害による業務停止リスク
- システム依存が強くなるため、障害が発生した際に業務停止する可能性が考えられる。例えば、システムダウンにより取引先の信用審査が遅れ、重要な取引が中断するリスクも。システムの安定稼働と迅速なサポート体制が求められる。
これらのデメリットを事前に理解し、対応策を考慮することが重要です。
与信管理システムの2つのタイプ
与信管理システムは、特徴別に以下の2つのタイプにわけられます。
与信管理業務を効率化する汎用タイプ
与信情報の収集からスコアリング、モニタリングまで一貫して実施できるシステムです。与信管理にかかる工数が削減するほか、モニタリングによる継続管理によって与信判断の正確性を高められます。
▶おすすめの与信管理システム(与信管理業務を効率化)の見出しへジャンプ!
与信取引に保証がかけられるタイプ
与信管理のほか、資金未回収に備えて債権に保証がかけられるシステムです。取引先の倒産や資金難などによる未払い、支払い遅延リスクを軽減します。債権保証に特化した製品も提供されています。
▶おすすめの与信管理システム(取引保証が可能)の見出しへジャンプ!
与信管理システムの比較ポイント・選び方
与信管理システムを比較する際には、以下の3つのポイントを確認してみてください。
データベースの信頼度
与信管理システムのデータベースは、登録されている企業件数が多いほど有用です。ただし、取引上のリスクを最小限に抑えるためには、登録件数だけでなく情報の正確性も見極める必要があります。例えば、情報のアップデート頻度が高い製品であれば、鮮度の高い最新の企業情報を取得可能です。
与信管理システムには大手調査会社のデータベースを活用した製品と、ベンダー独自のデータベースを用いた製品があります。それぞれに取得できる企業情報の種類は異なるため、自社のニーズに適しているかもあわせて確認してください。
分析手法の充実度
精度の高いリスク評価を行うためには、充実した分析手法が不可欠です。例えば、AI活用や統計的手法にもとづくスコアリングにより、過去の取引データや外部信用情報を多角的に分析できる選品があります。
また、与信判断に関するアナリストの見解やアドバイスを含めて調査レポートとして一括取得できる製品も。データベース検索とあわせて活用することで、より的確な与信判断が可能になります。
既存システムとの連携性
既存の業務システムやERP、会計ソフトとスムーズに連携できるかどうかも重要なポイントです。連携性の高いシステムなら、社内データを一元管理できるため、各部門でのデータ共有や二重管理のリスクを防ぎます。将来的なシステム拡張やデータ管理も容易に。与信管理システム導入前に、既存のソフトウェアとの互換性やAPI連携の有無を確認しましょう。
システム連携や初期設定などに不安のある企業には、サポート体制の充実した製品がおすすめです。導入時の各種設定から運用中のトラブルまで、幅広いサポートが受けられる製品を選びましょう。
【比較表】おすすめの与信管理システム
ここからは、おすすめの与信管理システムを紹介します。まずは製品の機能や提供形態、無料トライアルの有無などを一覧表で比較してみましょう。また、ITトレンド編集部が調査し見えてきた与信管理システムの傾向もまとめています。製品の比較・検討にお役立てください。
- ●国内企業の信用調査を対象とした製品が大半。海外企業に対応している製品は少ない。
- ●信用スコアリングや与信限度額算出など、新規取引先の与信判断に役立つ機能を搭載した製品は約半数。
- ●モニタリング・アラート通知や限度額の見直しなど、既存取引先の与信管理に対応している製品は3割ほどと少ない。
- ●調査レポートを取得できる製品は約半数。オプションの場合もある。
- ●債権保証機能のある製品は少数。債権保証のみに特化した製品も提供されている。
与信管理システムの人気傾向が知りたい方は、以下の月間ランキングもご覧ください。
与信管理システムの料金相場
与信管理システムは、利用する機能によって相場が変わります。与信情報の取得では、1企業あたり1,500円~3,000円ほどが相場です。与信情報取得に加え、モニタリングや反社チェックなどの機能を活用する場合はさらに金額が上がります。また、債権保証は月額10,000円ほどが相場です。保障額が増加するほど月額料金も高くなり、例えば7,000万円まで保証可能な月額約100,000円のプランも提供されています。
料金プランが公開されておらず、個別の見積が必要なサービスも多くあります。気になる製品は見積や資料請求を活用して、積極的に情報収集してみてください。
おすすめの与信管理システム(与信管理業務を効率化)
ここからは、企業情報の収集やモニタリングなど、与信業務の効率化に役立つ汎用的なシステムを紹介します。
《SMART》のPOINT
- 三井物産が培ってきたリスクマネジメントの管理手法でサポート
- オンライン上でスピーディかつリーズナブルに信用情報をご提供
- 40年磨き上げてきた格付算出ロジックに基づく高精度な信用格付
三井物産クレジットコンサルティング株式会社が提供する「SMART」は、国内・海外の取引先に対応した与信管理サービスです。オンラインで企業情報や信用調書などのデータ取得が可能です。独自開発した信用格付を活用して、リスクの見える化を実現します。モニタリングやアラート通知により、取引先の変動も素早く把握できます。
価格 |
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無料トライアル |
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機能 |
データベース検索/与信情報収集/調査レポート/スコアリング/モニタリング/与信限度額算出など |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《kintone》のPOINT
- 与信管理関連の情報を一元管理することで与信管理業務を効率化
- パーツをドラッグ&ドロップするだけで簡単にシステム作成
- 様々な機能が利用でき、自社にあったシステムを構築可能
K&Kソリューション株式会社が代理店として提供する「kintone」は、Webデータベース型業務アプリ構築クラウドサービスです。与信管理に関係する情報入力から調査会社への依頼、与信申請などを一元管理するテンプレートを提供。ドラッグ&ドロップで簡単にシステム構築できるのも特徴です。カスタマイズやプロジェクト型の導入支援も受けられます。
価格 |
テンプレート販売:最低利用価格900,000円 簡易カスタマイズ:最低利用価格3,000,000円 テンプレート導入支援:最低利用価格6,000,000円 |
無料トライアル |
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機能 |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
e-与信ナビ
リスクモンスター株式会社が提供する「e-与信ナビ」は、約540万社超の独自データベースから最新の取引先情報を検索できます。業績や仕入先・販売先などの基本情報に加え、過去5期分以上の変遷や公知の決算情報など、幅広い情報の蓄積が特徴です。さらに、取引先の信用格付と与信限度額の算出など、与信判断に必要な指標も瞬時に取得可能。取引先のリスクに応じて、即時に対応が取れます。
価格 |
入会金:30,000円、システム利用料金・月額20,000円、企業情報取得:1,200円/件 |
無料トライアル |
◯(1か月間) |
機能 |
データベース検索/与信情報収集/スコアリング/与信限度額算出など |
Neuro Watcher
AGS株式会社が提供する「Neuro Watcher」は、大手調査会社である東京商工リサーチの企業情報とAI分析を活用した与信管理サービスです。予測年間倒産率と、それにもとづいた9段階の信用格付が提示されます。また、取引先の企業情報や財務情報、格付情報は毎月更新され、変更があった場合はメールで通知可能。海外企業の与信管理にも対応しています。
価格 |
基本料金無料 ※スコアリング信用格付:1,200円/件、与信管理ファイル登録料:月額2,000円/~10件など |
無料トライアル |
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機能 |
データベース検索/与信情報収集/調査レポート/スコアリング/モニタリング/与信限度額算出など |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
CONOCER
三井物産クレジットコンサルティング株式会社が提供する「CONOCER」は、海外企業のリスク管理を行う信用調査・取引先管理サービスです。格付つきの信用調査レポートを最短7営業日程度で取得できます。クラウドにてデータを管理し、過去データと比較して分析に役立てられます。
価格 |
海外企業レポート:13,500円~/件 |
無料トライアル |
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機能 |
データベース検索/与信情報収集/調査レポート/与信限度額算出など |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
SCORE LINK
TIS西日本株式会社が提供する「SCORE LINK」は、AI活用で生産性の向上を実現する与信管理ソリューションです。決算書登録を効率化する「財務諸表入力」と、迅速な財務診断を実現する「企業審査分析」の2つのパッケージを利用できます。企業審査分析では、貸借対照表や損益計算書などから取引先の財務データを解析し、財務上の問題点を自動で可視化します。信用格付や企業診断レポートなどの利用も可能です。与信管理で国内金融機関における導入数No.1の実績を誇ります。
価格 |
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無料トライアル |
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機能 |
調査レポート/スコアリングなど |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
おすすめの与信管理システムを効率よく比較検討したい方は、一括資料請求(無料)をご利用ください。
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おすすめの与信管理システム(取引保証が可能)
取引代金の保証サービスが利用できる与信管理システムを紹介します。
《アラームボックス》のPOINT
- 取引を始める前に、信用情報を収集する〔パワーサーチ〕
- 取引を始めた後に、変化を自動でお知らせ 〔モニタリング〕
- 取引の際に、必要な分だけ売掛保証をかけられる〔ギャランティ〕
アラームボックス株式会社が提供する「アラームボックス」は、企業調査を自動化し、与信管理業務のDX推進を支援するサービスです。取引先の調査やスコアリング、モニタリングのほか、売掛金回収まで幅広く対応します。オプションで反社チェックも利用可能です。また、収集した企業情報はAI分析後、専任の調査担当者が与信判断に関する見解とアドバイスをまとめた報告書を作成。調査報告書は1〜3営業日程度で届き、1年間いつでも確認できます。
価格 |
【モニタリング】ライトプラン:月額2,800円/~5社、ビジネスプラン:月額9,800円/20~100社、エンタープライズプラン:月額48,000円/100社~無制限 【パワーサーチ】ライトプラン:月額3,000円/10名、ビジネスプラン:月額7,500円/20名、エンタープライズプラン:月額50,000円/100名 【ギャランティ】システム利用料:月額10,000円、保証料率0.1%~ |
無料トライアル |
◯(モニタリング15日間、パワーサーチとギャランティは30日間) |
機能 |
与信情報収集/調査レポート/スコアリング/モニタリング/債権保証/反社チェック/APIなど |
改善してほしい点
人材サービス
100名以上 250名未満
《URIHO》のPOINT
- URIHOは「倒産・支払い遅延」も保証対象で使いやすい!
- 審査は最短即日!
- 安心の定額制。かかるのは月額料金だけ!登録は何社でも!
株式会社ラクーンフィナンシャルが提供する「URIHO」は、取引先からの代金未払いに備える保証サービスです。取引先の倒産や資金不足などによる未入金・遅延金を保証します。システム上で簡単に登録でき、保証できる取引企業数に制限はありません。年間12万社以上の保証実績をもちます。
価格 |
Aプラン:月額9,800円/1取引先あたり保証額1円~50万円 Bプラン:月額29,800円/1取引先あたり保証額1円~500万円 Cプラン:月額99,800円/1取引先あたり保証額制限なし |
無料トライアル |
◯ |
機能 |
債権保証 |
改善してほしい点
卸売・小売業・商業(商社含む)
10名以上 50名未満
請求まるなげロボ
株式会社ROBOT PAYMENTが提供する「請求まるなげロボ」は、企業間の集金/代金回収・請求業務代行サービスです。契約前の与信審査から依頼できるため、与信管理から入金までの請求業務全般を一括して任せられます。クラウド上で請求書のデータ保存が可能で、資金未払いが発生しても100%保証されるのも特徴です。
価格 |
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無料トライアル |
ー |
機能 |
与信情報収集/債権保証など |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
まとめ
与信管理システムを活用すれば、リスクを最小限に抑えながら従業員の業務負担を軽減できます。「与信情報の変動を継続的に確認する余力がない」「与信基準があいまいで判断ミスが起こりやすい」などの課題を抱えている企業は、ぜひシステム導入を検討してみてください。
多種多様な与信管理システムから自社に適した製品を選択するためには、詳細確認が必須です。まずは資料請求をして、各製品の特徴や価格、機能などを把握することからはじめましょう。