DoS攻撃とDDoS攻撃の違い
DoS攻撃とDDoS攻撃はいずれも、サーバやWebサイトに大量の通信を送り、サービス停止や遅延を引き起こすサイバー攻撃です。大きな違いは攻撃元の数で、DoS攻撃は主に1台または少数の端末、DDoS攻撃は多数の端末から攻撃します。
| 比較項目 | DoS攻撃 | DDoS攻撃 |
|---|---|---|
| 攻撃元 | 1台または少数の端末 | 多数の端末・ボットネット |
| 攻撃規模 | 比較的小規模 | 大規模化しやすい |
| 攻撃者の特定 | 比較的しやすい | 困難な場合が多い |
| 対策の難易度 | 比較的対処しやすい | 攻撃元が分散するため対処が難しい |
| 主な対策 | IP制限、アクセス制御、サーバ設定の見直し | DDoS対策サービス、CDN、WAF、監視体制の強化 |
DoS攻撃は攻撃元が限定されるため、特定のIPアドレスを遮断するなどの方法で対処できるケースがあります。
一方、DDoS攻撃は多数の端末から同時に通信が送られるため、単純なアクセス制限だけでは防ぎにくいのが特徴です。攻撃規模も大きくなりやすく、サービス停止や売上機会の損失など、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
DoS攻撃とは
まず、DoS攻撃の仕組みと代表的な攻撃手法について見ていきましょう。
1台または少数の端末からサーバに負荷をかける攻撃
DoS攻撃とは「Denial of Service attack」の略で、主に1台または少数の端末から大量の通信を送り、サーバやネットワークに負荷をかけるサイバー攻撃です。攻撃を受けたサーバは処理能力を圧迫され、Webサイトの表示遅延やサービス停止などにつながります。
DoS攻撃は、情報を盗み取ったりシステム内部を直接改ざんしたりするのではなく、サービスを正常に利用できない状態にすることを主な目的とします。ECサイトや業務システムなどが停止すれば、売上や業務にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
メールボム攻撃やF5攻撃などの手法がある
DoS攻撃にはさまざまな手法があります。代表例は以下のとおりです。
- ■メールボム攻撃
- メールサーバに大量のメールを送りつけ、処理能力や保存容量を圧迫する攻撃です。大量のメールによって、通常のメールを送受信しにくくなる場合があります。
- ■F5攻撃
- Webサイトの再読み込みを繰り返し、サーバへ大量のリクエストを送る攻撃です。ブラウザの更新に使われるF5キーに由来して、この名称で呼ばれています。
DDoS攻撃とは
DDoS攻撃はDoS攻撃の一種ですが、複数の端末を利用して攻撃する点が大きく異なります。
多数の端末を踏み台にしてサーバへ負荷をかける攻撃
DDoS攻撃とは「Distributed Denial of Service attack」の略で、多数の端末から一斉に大量の通信を送り、サーバやネットワークに負荷をかけるサイバー攻撃です。「Distributed」は「分散した」という意味をもちます。
攻撃者はマルウェアなどに感染させたパソコンやIoT機器を遠隔操作し、多数の端末で構成されたボットネットを利用して攻撃を仕掛けます。攻撃元が世界中に分散するケースもあり、特定の通信だけを遮断するのが難しい点が特徴です。
また、端末の所有者が気づかないうちにDDoS攻撃へ加担してしまう場合もあります。自社が攻撃を受けるだけでなく、自社の端末が攻撃の踏み台にならないよう、マルウェア対策や機器の適切な管理も重要です。
SYNフラッド攻撃などの手法がある
DDoS攻撃には複数の手法があり、代表例の一つがSYNフラッド攻撃です。
SYNフラッド攻撃では、通信を開始する際に使用するSYNパケットを大量に送り、サーバの接続処理を圧迫します。多数の端末から実行されると攻撃元の特定や遮断が難しくなり、サーバが正常なユーザーからのアクセスを処理できなくなる可能性があります。
DDoS攻撃はなぜDoS攻撃より対策が難しいのか
DDoS攻撃は攻撃元が多数の端末に分散しているため、特定のIPアドレスだけを遮断しても攻撃を止めにくいのが特徴です。また、正規ユーザーからのアクセスと攻撃による通信が混在しやすく、単純なアクセス制限では正常な利用者まで遮断してしまう可能性があります。
さらに、大規模なDDoS攻撃では自社の回線容量やサーバの処理能力を超える通信が発生することもあります。そのため、CDNやWAF、DDoS対策サービスなどを組み合わせ、外部から大量の通信が届くことを前提とした対策が重要です。
DoS攻撃・DDoS攻撃によって生じる被害
DoS攻撃やDDoS攻撃によってサービスが停止すると、売上だけでなく企業の信用にも影響が及びます。主な被害を見ていきましょう。
サービス停止による金銭的損失
DoS攻撃やDDoS攻撃によってサーバが停止すると、正規ユーザーはWebサイトやシステムを利用できません。例えばECサイトが停止した場合、その間の商品購入ができなくなり、販売機会の損失につながります。
また、障害の原因調査やシステム復旧、顧客対応などにも人的・金銭的コストが発生します。クラウドサービスなどを従量課金で利用している場合には、大量の通信によって利用料が増える可能性にも注意が必要です。
社会的な信用の低下
Webサイトやサービスが長時間停止すると、顧客や取引先から「セキュリティ対策が十分ではないのではないか」と受け取られる場合があります。
特に、多くの顧客が利用するECサイトやWebサービスでは、停止時間が長引くほど利用者への影響も大きくなります。復旧後も顧客離れや問い合わせ対応が続く可能性があるため、被害を最小限に抑える体制づくりが重要です。
DoS攻撃・DDoS攻撃の被害事例
近年も国内企業を狙ったDDoS攻撃が発生しています。2024年末から2025年初頭にかけては、航空会社や金融機関、通信事業者などでDDoS攻撃によるサービス障害が相次ぎました。
例えばNTTドコモでは、2025年1月2日にDDoS攻撃によるネットワーク輻輳が発生し、gooサービス全般やOCNトップページ、dメニューニュースなど複数のサービスが利用しづらい状態となりました。アクセスしづらい状態は同日午後4時10分に回復しています。
また、2024年12月には三菱UFJ銀行でも、外部からの不正な大量データ送付によって、一部利用者でインターネットバンキングの生体認証や法人向けサービスへのログインが不安定になる事象が発生しました。
このようにDDoS攻撃は、Webサイトだけでなく金融や通信など社会生活に欠かせないサービスにも影響を及ぼします。サービス停止による機会損失や利用者への影響を抑えるためにも、平常時から対策を講じておくことが重要です。
参考:ドコモからのお知らせ : 【お詫び/暫定復旧】gooサービス及びドコモの一部サービスがご利用しづらい事象について(2025年1月2日午後6時30分時点)|株式会社NTTドコモ
参考:ネットワーク不具合による各種サービスの影響について(12月26日18時45分時点)|株式会社三菱UFJ銀行
DoS攻撃・DDoS攻撃への対策方法
DoS攻撃とDDoS攻撃では攻撃元や規模が異なるため、それぞれの特徴に応じた対策が必要です。
DoS攻撃:IP制限やアクセス制御を行う
DoS攻撃では攻撃元が限定されている場合、攻撃元のIPアドレスを特定し、該当する通信を遮断する方法が有効です。サーバやファイアウォールのアクセス制限、同一IPアドレスからのリクエスト数を制御するレートリミットなども対策として挙げられます。
ただし、攻撃元のIPアドレスが変更されるケースもあるため、通信状況を継続的に監視し、異常なアクセスを早期に検知する体制も整えておきましょう。
DDoS攻撃:WAF・CDN・DDoS対策サービスを活用する
DDoS攻撃では多数の端末から通信が送られるため、IPアドレスの遮断だけでは十分に対処できない場合があります。
Webアプリケーションへの攻撃にはWAF、アクセスの分散にはCDNなどが有効です。また、大規模な通信を検知・遮断するには、DDoS対策サービスを活用し、自社サーバへ到達する前に不正なトラフィックを軽減する方法もあります。
攻撃の規模や守りたいWebサイト・システムによって必要な対策は異なります。複数の対策を組み合わせた多層防御を検討しましょう。
なお、DDoS対策ツールには、DDoS攻撃の検知・遮断に特化したサービスのほか、WAFやCDNなどの機能をあわせて提供する製品もあります。具体的な製品を比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。
大規模なDDoS攻撃に備えるには、攻撃規模や守りたいシステム、予算に応じて対策製品・サービスを選ぶことが重要です。自社に合う候補を整理したい方は、無料診断もご活用ください。
DoS攻撃・DDoS攻撃に関するよくある質問
ここでは、DoS攻撃とDDoS攻撃についてよくある疑問をまとめます。
- ■Q1:DoS攻撃とDDoS攻撃の一番大きな違いは?
- 主な違いは攻撃元の数です。DoS攻撃は主に1台または少数の端末から行われるのに対し、DDoS攻撃では多数の端末から一斉に攻撃します。
- ■Q2:DDoS攻撃の「D」は何を意味する?
- 「Distributed(分散した)」を意味します。攻撃元となる多数の端末が分散していることから、Distributed Denial of Service attackと呼ばれます。
- ■Q3:DoS攻撃とDDoS攻撃ではどちらが危険?
- 一般的には、DDoS攻撃のほうが攻撃規模が大きくなりやすく、対策も難しい傾向があります。ただし、DoS攻撃でも対象となるサービスや攻撃規模によっては大きな被害につながるため、どちらも適切な対策が必要です。
- ■Q4:DDoS攻撃はWAFだけで防げる?
- すべてのDDoS攻撃をWAFだけで防げるとは限りません。WAFは主にWebアプリケーション層への攻撃対策に用いられますが、大量のトラフィックによって回線を圧迫する攻撃にはCDNやDDoS対策サービスなどとの併用が必要になる場合があります。
まとめ
DoS攻撃とDDoS攻撃の主な違いは、攻撃元の数です。DoS攻撃は主に1台または少数の端末から行われるのに対し、DDoS攻撃では多数の端末を利用して大量の通信を送ります。
特にDDoS攻撃は攻撃元が分散するため、自社だけで防御するのが難しい場合があります。被害を最小限に抑えるためにも、アクセス制御やWAF、CDN、DDoS対策サービスなどを組み合わせ、自社のシステムに適した対策を検討しましょう。


