電子署名の基本的な使い方を知る
電子署名を使いこなすには、まず全体の流れと、混同されやすい用語の違いを理解しておくことが役立ちます。ここでは基本の2点を確認します。初めて利用する担当者は、まず全体像を把握してから細かい設定に進むと理解しやすくなります。
電子署名を利用する基本的な流れ
電子署名の一般的な流れは、書類をシステムにアップロードし、署名者を指定してから送信し、相手が内容を確認して署名するという手順です。紙の郵送に比べ、やり取りにかかる時間を短縮できます。印刷や郵送の準備が不要になるため、担当者の作業負担も軽くなります。
署名後は、改ざんを検知できるタイムスタンプなどの技術が付与される仕組みが一般的です。締結が完了した書類はシステム上で保管され、必要なときに検索して確認できる点も特徴のひとつです。紙の書類を保管する場所やキャビネットが不要になる点も、実務上のメリットといえます。
電子署名と電子サインの違い
電子署名と電子サインは似た言葉ですが、指し示す範囲が異なる場合があります。電子署名は暗号技術を用いて本人性や改ざんの有無を確認できる仕組みを指すことが多く、電子サインはより広い意味で使われる傾向があります。両者を明確に区別せずに使われている場面もあり、混同されやすい用語のひとつです。
サービスによって使われ方に幅があるため、導入を検討する際は、それぞれの製品がどのような技術を用いているかを確認しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。契約の相手先と用語の認識がずれていないかも、事前に確認しておくと安心です。
契約書に電子署名を付与する方法
実際に契約書へ電子署名を付与する際は、操作の手順とあわせて、複数人が関わる場合の進め方も押さえておくと安心です。初めて操作する際は、一度テスト用の書類で流れを確認しておくと本番でも落ち着いて対応できます。操作に慣れるまでは、社内の担当者同士で練習しておくのもよい方法です。
PDFファイルに署名する手順
契約書をPDF形式で用意し、電子署名サービスにアップロードします。署名欄の位置を指定したうえで、署名者にメールなどで通知を送る流れが一般的です。テンプレートとして署名欄の位置を保存できる製品を使うと、次回以降の設定作業を減らせます。
署名者はリンクから書類を開き、内容を確認したうえで署名操作を行います。操作自体は難しくありませんが、送信前に署名欄の位置や必要事項に誤りがないか確認しておくことが望ましいでしょう。誤った書類を送信してしまうと、相手先の確認の手間も増えてしまいます。
複数人が署名する際の進め方
複数人が署名する契約書では、署名の順番を設定できる機能を使うと、決められた順序で署名を進められます。担当者の承認を経てから取引先に送るといった運用にも対応しやすくなります。順番を誤って設定すると、署名待ちの状態が長引く原因になるため注意が必要です。
全員の署名が完了すると、自動で通知が届く仕組みを備えた製品もあります。誰の署名待ちになっているかを進捗として確認できると、催促の手間を減らせます。案件数が多い部署ほど、進捗管理の機能が業務効率に影響しやすくなります。
電子署名を業務に取り入れる場面を広げる
電子署名は契約書だけでなく、社内外のさまざまな書類に活用できます。ここでは代表的な2つの場面を紹介します。活用範囲を広げるほど、紙の書類を扱う機会を減らしやすくなります。
契約書以外に活用できる書類
発注書や見積書、業務委託に関する覚書など、契約書以外の書類にも電子署名を活用できます。取引先とのやり取りが多い書類ほど、電子化による時間短縮の効果を感じやすくなります。月次で発生する定型書類から取り入れると、効果を実感しやすい傾向があります。
あわせて、書類の種類ごとに保管期間や管理方法が異なる場合があるため、社内の文書管理ルールと照らし合わせて運用を決めておくとよいでしょう。法令で保管期間が定められている書類については、あらかじめ十分に確認しておくことが欠かせません。
社内稟議や申請書への応用
社内で使う稟議書や休暇申請書などにも、電子署名の仕組みを応用できます。紙の回覧では確認に時間がかかっていた承認作業も、システム上でまとめて進められます。出社していない社員がいても、承認の流れが止まりにくくなります。
承認者が複数いる場合でも、承認の順番や状況を可視化できるため、どこで止まっているかを把握しやすくなります。テレワークが多い組織では、特に効果を実感しやすい場面といえます。押印のために出社する必要がなくなる点も、働き方の観点から評価されています。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で電子署名の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
電子署名を使ううえで知っておきたい法的効力
電子署名を業務で使うには、法的な効力についても理解しておくことが大切です。ここでは基本的な考え方を整理します。法的な仕組みを理解しておくと、取引先への説明もしやすくなります。
電子署名法における効力の考え方
電子署名法では、一定の要件を満たす電子署名について、本人による作成と推定される効力が認められています。要件を満たしているかどうかは、利用するサービスの仕組みによって異なります。導入前に、利用予定のサービスが要件を満たしているかを確認しておくと安心です。
すべての電子署名が同じ法的効力を持つわけではないため、契約の重要度に応じて、どのサービスを使うか検討することが求められます。不明な点があれば、法務担当者や専門家に確認する方法も有効です。重要度の高い契約ほど、事前の確認をより丁寧に行うことが望ましいでしょう。判断に迷う場合は、社内で結論を急がず時間をかけて検討する姿勢も大切です。
当事者型と立会人型の違いを理解する
電子署名には、契約当事者自身の電子証明書を用いる当事者型と、サービス事業者が本人確認をしたうえで署名を行う立会人型があります。それぞれ必要な準備や手続きが異なります。用語だけでは違いが分かりにくいため、資料や説明会で確認しておくとよいでしょう。
当事者型は本人性の証明力が高いとされる一方で、事前の証明書取得などの準備がいくつか必要です。立会人型はメールアドレスの確認などで手軽に始められるため、日常的な契約業務で広く使われています。契約の重要度や相手先の状況にあわせて、使い分けを検討するとよいでしょう。
電子署名をスムーズに導入するための準備
電子署名を実務に取り入れる際は、社内のルール整備と取引先への配慮の両方が欠かせません。ここでは導入前に確認したい2つのポイントを紹介します。準備を丁寧に行うことで、導入後の混乱を防ぎやすくなります。
社内の運用ルールを整える
誰が署名の権限を持つか、どの書類を電子署名の対象とするかなど、社内でのルールをあらかじめ決めておくことが重要です。ルールが曖昧なままだと、部署ごとに対応が分かれてしまう可能性があります。権限を持つ担当者が不在の際の代理対応についても、あわせて決めておくと安心です。
既存の稟議フローや承認体制とあわせて見直すことで、無理なく電子署名を組み込みやすくなります。運用開始後も、利用状況を見ながら細かい調整を続けるとよいでしょう。小さな範囲から試験的に始め、徐々に対象を広げる進め方も選択肢のひとつです。関係部署の意見を聞きながら進めると、現場に定着しやすい運用を築けます。
取引先への周知と合意形成
電子署名を利用するには、取引先にも仕組みを理解してもらう必要があります。初めて利用する相手には、操作方法や導入の目的をあわせて説明すると、スムーズに合意を得やすくなります。不安を感じる相手には、セキュリティ面の仕組みもあわせて伝えると理解を得やすくなります。
取引先によっては、紙の契約書を希望する場合もあります。すべてを電子化するのではなく、相手の状況に応じて併用する柔軟さも実務では役立ちます。事前に案内文を用意しておくと、問い合わせ対応の手間を減らせます。移行期間を設けて双方に慣れてもらう進め方も一つの方法です。
電子署名サービスの使い方をイメージできる製品例
文書の作成から署名、保管までの流れを具体的にイメージするために、電子署名サービスの製品例を紹介します。
AcrobatSign (アドビ株式会社)
- AIアシスタントで文書の要約・質問回答がワンクリックで可能
- 法的電子サインをデバイス問わず送受信
- 既存アプリとスムーズに連携可能
スティータイムスタンプ (株式会社AKUODIGITAL)
- 総務大臣認定タイムスタンプ利用
- PDF変換不要で全ファイル形式に対応
- 14日間無料トライアルあり
iTrust電子処方箋管理サービス向け署名共通モジュール (サイバートラスト株式会社)
- HPKIカードに対応
- 厚労省ガイドライン準拠の電子署名・タイムスタンプ付与
- XML文書の電子署名規格XAdESに対応
まとめ
電子署名は、基本的な使い方や法的効力の考え方を理解したうえで導入すると、契約業務の時間短縮につながります。契約書だけでなく社内稟議など幅広い場面に活用できるため、自社の業務にあわせて活用範囲を検討してみてください。導入時は、複数の製品を比較しながら自社に合う仕組みを選ぶことをおすすめします。運用ルールを整えたうえで、無理のない範囲から取り入れてみましょう。

