ファイアウォールの連携で問題が起きやすい箇所
ファイアウォールとは、社内ネットワークと外部の通信を監視し、許可した通信だけを通す仕組みです。他のシステムとつなぐ際は、情報を送る側と受け取る側の両方に条件があります。
接続の条件がそろわなくなる場面
連携は、通信の経路、認証の情報、データの形式という3つの条件がそろって成り立ちます。いずれかが変わると情報が届かなくなります。認証に使う情報に有効期限が設定されている場合、期限切れによって連携が止まる可能性があります。
導入時には、それぞれの条件を一覧にして記録しておきましょう。使用する経路と宛先、認証情報の種類と有効期限、データの形式と項目を書き出しておくと、問題が起きた際の確認が早まります。有効期限がある情報については、更新の時期を管理表に登録し、複数の担当者が把握できる状態にしておくことをおすすめします。
仕様の変更が影響する場面
連携先のシステムが更新されると、受け付ける形式や項目が変わる場合があります。ファイアウォール側の更新によって、送信する内容が変わることもあります。どちらの変更でも連携に影響が及ぶ可能性があるため、双方の更新予定を把握しておく必要があります。
確認しておきたいのは、更新の告知がどの手段で行われるか、旧仕様がいつまで利用できるか、検証できる環境が提供されているかという点です。両方のベンダーへ同じ確認を行い、回答を記録しておきましょう。更新の適用時期を自社で選べる場合は、業務への影響が小さい時期に検証してから適用する計画が立てられます。
ログ転送でつまずく場面と確認
ファイアウォールのログを外部の基盤へ送る構成では、転送が滞る事象が生じる場合があります。原因は複数の箇所に分かれます。
転送が届かない場合の切り分け
ログが受け取り側に表示されない場合、送信側の設定、経路上の通信、受け取り側の処理という3つの箇所を順に確認します。まず送信側で転送の設定が有効か、送信の記録が残っているかを確認しましょう。
送信されている場合は、経路上で通信が許可されているかを確認します。受け取り側まで届いているなら、形式が合わずに取り込まれていない可能性があります。受け取り側の取り込み処理でエラーが記録されていないかも確認しましょう。原因が一方に限られるとは限らないため、双方のベンダーへ状況を伝えて確認を進める方法が有効です。
量が多い場合に生じる事象
通信量が増えるとログの件数も増え、送信側の処理や受け取り側の取り込みが追いつかない場合があります。件数の急増は、業務の変化だけでなく、繰り返し発生している遮断の記録が要因になることもあります。
対応としては、転送する対象を絞り込む設定が可能かを確認します。すべての記録ではなく、必要な種類だけを送る構成にすると負荷を抑えられる場合があります。あわせて、受け取り側の料金が件数や容量に応じて変わる形態であれば、費用への影響も確認しておきましょう。転送が滞った際に管理者へ通知が届く設定も、あわせて検討してください。
端末対策との連携でつまずく場面
端末の動きを監視する仕組みと組み合わせた運用では、想定した動作にならない場合があります。連携の形態によって確認する箇所が変わります。
連動が働かない場合の確認
一方が検知した情報をもとに他方が通信を制限する構成では、検知の条件、情報を受け渡す経路、受け取った側の動作設定のいずれかに原因がある可能性があります。まず、検知そのものが記録されているかを確認しましょう。
検知が記録されていれば、連携の設定と経路を確認します。組み合わせによっては、同一メーカーの製品同士でのみ動作する場合や、特定の版数以上が必要な場合があります。導入時に確認した組み合わせの条件を記録しておくと、更新後に条件から外れていないかを確認できます。判断が難しい場合は、双方のベンダーへ構成を伝えて確認を依頼してください。
意図しない制限が発生した場合の対応
連動によって業務に必要な通信が制限された場合、速やかに解除できる手順が必要です。解除の操作をどちらの製品で行うか、解除した状態がどの程度維持されるかを、導入時に確認しておきましょう。
あわせて、制限が発生した際に管理者へ通知が届く設定にしておくと、業務部門からの連絡を待たずに対応を始められます。運用の初期は、自動で制限する設定ではなく通知のみを行う設定から始め、状況を見ながら切り替える進め方も選択肢です。判断の基準は情報システム部門と相談して決めてください。
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APIの制限にかかわる場面
外部のプログラムから操作する構成では、実行回数や操作範囲の条件が動作に影響します。仕様を確認したうえで設計することが大切です。
実行回数の上限に達する場合
APIとは、外部のプログラムからシステムを操作するための接続手段です。多くの製品では、一定時間あたりの実行回数に上限が設けられています。上限を超えると要求が受け付けられず、処理が完了しない状態になる可能性があります。
設計の段階で、想定する処理の回数と頻度を算出し、上限に収まるかを確認しましょう。定期的に情報を取得する処理では、実行の間隔を調整することで負荷を抑えられます。上限を超えた場合にどのような応答が返るか、時間をおいて再実行する仕組みを組み込めるかも、開発を担当する部門や委託先と確認してください。
操作できない項目がある場合
提供されている接続手段で、すべての設定を操作できるとは限りません。参照のみに対応している項目や、管理画面でしか変更できない項目が残る場合があります。仕様書を確認し、自社が自動化したい処理が対象に含まれるかを事前に確かめましょう。
対象外の処理が見つかった場合は、その部分を手作業として運用に組み込むか、別の方法で代替できるかを検討します。ベンダーへ要望として伝えておくと、今後の更新で対応される可能性もあります。自動化できる範囲と手作業が残る範囲を整理し、手順書に明記しておくと担当者が変わっても運用を維持できます。
クラウド環境の運用で手作業が残る場面
クラウド上の環境と組み合わせた構成では、社内の機器と同じようには扱えない部分が生じる場合があります。
設定の一部が個別管理になる場面
クラウド事業者が提供する通信制御の仕組みと、導入したファイアウォールの設定は、それぞれ別の画面で管理される場合があります。両方に同じような設定項目があるため、どちらで制御しているかを整理しておかないと、確認の手間が増えます。
整理の方法としては、通信の経路ごとにどの仕組みで制御しているかを図と一覧にまとめる方法が有効です。役割を分けて記録しておくと、変更が必要になった際にどちらを操作すればよいかが分かります。あわせて、両方の設定を定期的に突き合わせる機会を設けると、重複や食い違いに気づきやすくなります。
確認作業を減らす工夫
手作業が残る部分については、確認の手順を定型化すると負担を抑えられます。確認する項目、頻度、担当者を決めた一覧を用意し、実施した記録を残す形にしましょう。
また、社内の機器とクラウド上の環境を同じ管理画面で扱える製品であれば、確認する箇所を減らせる場合があります。現在使用しているクラウドの種類と構成を伝えたうえで、どこまで共通化できるかをベンダーへ確認してください。共通化できない部分については、手順書へ明記し、複数の担当者が対応できる状態にしておくことをおすすめします。
記録の受け渡しを確かめたいファイアウォール
ログを集約する基盤や監視の仕組みへ、どの形式でデータを渡せるかは連携の前提になります。仕様を確認したい製品を集めました。
MRB-Cloud
- 常時最新のセキュリティを提供。ソフトの導入や定義の更新は不要
- 3つのインバウンドセキュリティで外からの脅威を防御します
- 外出先でも安全に通信可能でリモートワークにも対応します
株式会社アンペールが提供する「MRB-Cloud」は、専用の機器を必要としないクラウド型のUTMサービスです。既存のルーターから接続する形で導入でき、社内へ入る通信と外へ出る通信の両方を対象にした対策を利用できます。機器の老朽化にともなう更新を検討している企業が、構成そのものを見直す際の選択肢になります。
ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、機器の構築と運用、保守をあわせて提供するUTM製品です。アンチウイルスやWebフィルタリング、不正侵入の検知と防御を備え、24時間365日の障害対応が含まれます。オプションとして社外から社内へ接続する仕組みや負荷分散の機能も用意されています。
SymantecEndpointProtectionCloud (Broadcom Inc.)
- 機械学習と多層防御で高度な脅威を防御。
- PC・モバイル・サーバーをクラウド管理コンソールで一元管理
- iOS/Android端末をモバイル脅威から保護。
パロアルトネットワークス次世代ファイアウォール (パロアルトネットワークス株式会社)
- インライン ディープラーニングで未知のゼロデイ攻撃を阻止
- 遅延ゼロのシグネチャが数秒で更新
- ML活用可視性でIoTデバイスのプロファイル生成
ファイアウォールに関するFAQ
ファイアウォールの連携で生じる事象について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: ログが連携先に届かない場合、どこから確認すべきですか?
- 送信側の設定と記録、経路上の通信、受け取り側の取り込み処理の順に確認します。原因が一方に限られるとは限らないため、双方のベンダーへ状況を伝えて進めましょう。
- Q2: 連携が止まったことに気づく方法はありますか?
- 転送や連携が滞った際に管理者へ通知を送れる設定があるかを確認しましょう。定期的に受け取り側で件数を確認する運用を組み合わせる方法もあります。
- Q3: APIの実行回数の上限はどこで分かりますか?
- 仕様書に記載されている場合があります。記載がなければ、想定する処理の内容と頻度を伝えたうえで、上限の有無と超過時の動作をベンダーへ確認してください。
- Q4: クラウド環境の設定もまとめて管理できますか?
- 共通化できる範囲は製品や利用しているクラウドによって異なります。現在の構成を伝えて、どの部分が個別管理として残るかを事前に確認しておきましょう。
まとめ
ファイアウォールの連携で生じる事象は、接続の条件と仕様の変更という2つの観点から確認すると整理しやすくなります。ログ転送は送信側と受け取り側の双方から、端末対策との連動は組み合わせの条件から、APIは上限と操作範囲から確認しましょう。手作業が残る部分は手順書に明記しておくと運用を維持できます。連携の要件を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

