ログ監視ツールに求められる運用体制の考え方
ログ監視ツールは、ネットワーク機器やサーバー、アプリケーションのログを収集し異常を検知する仕組みです。ただし機能を導入するだけでは効果は限定的で、誰が監視し誰が対応するかという運用体制を事前に設計しておくことが重要です。
運用体制を検討すべき理由
ログ監視ツールは、アラートを検知した後の一次対応や原因調査、報告までの流れを人が担う場面が多く残ります。ツールの選定と同時に、担当者の役割や対応フローを決めておかないと、異常を検知しても対応が遅れる状況が発生する場合があります。
例えば、深夜のアラートを誰が確認するか、休日はどう対応するかといった運用ルールが未整備だと、せっかくの検知機能が生かされません。導入前の段階から、体制面の設計を並行して進めることが有効です。
体制設計で押さえるべき観点
体制設計では、監視対象の範囲、アラートを受け取る担当者、エスカレーションの手順という3つの観点を整理しておくと検討が進めやすくなります。加えて、自社だけで完結させるか外部に一部を委託するかも早い段階で方向性を決めておくとよいでしょう。
担当者が少ない企業では自動化や外部サービスの活用が選択肢になり、拠点が多い企業では集約管理の仕組みが必要になります。自社の規模や課題に合わせて、どの観点を優先するか整理してから製品を比較することが重要です。
少人数担当者でも回せる運用体制の作り方
情シス担当者が1人しかいない、あるいは専任者が不在という企業では、監視業務に多くの工数を割けないという課題があります。アラートの絞り込みや自動化機能を活用し、限られた人員でも継続できる体制を作る工夫が求められます。
少人数運用の課題と対策
情シスが少人数の企業では、日常業務と並行してログ監視を続けることになり、アラート対応に十分な時間を割けない状況が起こる可能性があります。担当者が不在の時間帯に異常が発生すると、対応が翌営業日までずれ込む場合もあります。
この課題への対策としては、重要度に応じてアラートを分類し、緊急性の高いものだけを担当者に通知する設定が有効です。あわせて、休日や夜間の一次対応を外部サービスに委託する選択肢を検討する企業も増えています。
アラート精度を高める設定
アラートの通知件数が多いと、本当に対応が必要な異常が埋もれてしまう恐れがあります。しきい値や検知条件を業務実態に合わせて調整し、通知の精度を高めておくことが少人数運用を続けるうえでの前提になります。
具体的には、平常時の通信量やログ量を基準値として設定し、そこから大きく外れた挙動のみを通知対象とする方法があります。運用開始後も定期的にしきい値を見直すことで、誤検知を減らしながら精度を保てます。
自動化による負荷軽減
ログの収集や一次集計、定型レポートの作成といった作業を自動化できれば、担当者は異常時の判断に時間を割けるようになります。自動化機能の有無は、少人数体制でツールを使い続けられるかどうかを左右する要素の一つです。
例えば、日次でログをまとめて可視化するダッシュボード機能や、条件に合致した際に自動でチケットを起票する仕組みがあれば、手作業での確認作業を減らせます。運用開始前に、自動化できる範囲を洗い出しておくとよいでしょう。
多拠点・グループ会社のログを一括管理する仕組み
拠点ごと、あるいは会社ごとにログ監視の仕組みがばらばらだと、全体の状況を把握しにくくなります。多拠点やグループ会社を抱える企業では、ログを一元的に集約し、本社側で横断的に状況を確認できる仕組みづくりが課題になります。
拠点間ログを一元集約する仕組み
拠点ごとに個別のログ監視ツールを導入していると、異常の全体像をつかむまでに時間がかかり、拠点間で対応レベルにばらつきが生じる可能性があります。ログを1つの基盤に集約し、共通の基準で監視できる状態を目指すことが重要です。
集約の方法としては、各拠点のログを中央のサーバーやクラウド環境に転送し、一つの管理画面で横断的に確認できるようにする構成が一般的です。回線状況やログ量によって転送方式を選ぶ必要があります。
グループ会社統合管理のポイント
グループ会社を含めて統合管理する場合は、各社の情報システム部門との役割分担や、ログの取り扱いに関する社内ルールのすり合わせが欠かせません。管理主体を本社に一本化するか、各社に権限を残すかで運用の設計が変わります。
実務では、監視の基本方針は本社で統一しつつ、各社の担当者が自社分のログを確認できる権限を持たせる構成がよく採用されます。導入前にグループ全体での運用ルールを文書化しておくと、後の混乱を防ぎやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でログ監視の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
本社集約型の運用体制を構築するポイント
本社で全社のログ状況を一括管理する体制を目指す場合、権限設計とダッシュボードの見せ方が運用のしやすさを大きく左右します。誰がどこまでの情報にアクセスできるかを明確にしておくことが、安定した運用の前提になります。
権限設計とアクセス制御
本社の担当者がすべてのログを閲覧できる一方で、拠点側の担当者は自拠点のログしか見られないという権限設計が一般的です。権限の粒度を細かく設定できるかどうかは、統合管理を検討する際の重要な確認ポイントになります。
権限設計が粗いと、他拠点の情報まで閲覧できてしまい、情報管理の観点で懸念が生じる可能性があります。導入前に、自社の組織構造に合わせて権限をどこまで細かく分けられるかをベンダーに確認しておくと安心です。
一元的な可視化のための工夫
拠点数が多くなるほど、状況を一目で把握できるダッシュボードの重要性が高まります。全社の異常件数や対応状況を1画面で確認できれば、本社の担当者が優先度をつけて対応にあたりやすくなります。
ダッシュボードには、拠点別の異常発生件数や対応の進捗状況を表示できる機能があると便利です。表示項目をカスタマイズできるツールであれば、自社の管理フローに合わせた運用がしやすくなります。
情シスと外部SOCが分業する運用モデル
すべての監視業務を自社で抱え込まず、専門性の高い部分を外部のSOC(セキュリティオペレーションセンター)に委託する分業モデルを採る企業も増えています。役割分担とポリシー運用の統一が成功の分かれ目になります。
役割分担の基本設計
情シスと外部SOCが分業する場合、一次監視や高度な分析を外部SOCが担い、社内固有の判断や最終的な意思決定を情シスが担当するという役割分担が一般的です。境界をあいまいにすると、対応の抜け漏れが発生する可能性があります。
役割分担を明確にするには、どの段階で情シスに引き継ぐかという基準をあらかじめ文書化しておくことが有効です。契約時にエスカレーション基準や報告のタイミングをすり合わせておくと、運用開始後の認識齟齬を防ぎやすくなります。
ポリシー運用を統一する方法
情シスと外部SOCで検知基準や対応手順が異なると、判断のばらつきが生じ、重要な異常を見落とす要因になりかねません。監視ポリシーを共通の文書として整備し、双方が同じ基準で運用できる状態を保つことが重要です。
具体的には、しきい値の設定変更や新規ルールの追加を行う際に、情シスと外部SOCの双方が確認するレビュー体制を設けると、ポリシーの一貫性を保ちやすくなります。定期的な見直しの機会を設けることも有効です。
運用体制の設計に役立つログ監視ツール
ここまで見てきた少人数運用の効率化、多拠点・グループ会社の一元管理、外部との分業体制という観点をふまえ、運用体制づくりに活用しやすいログ監視関連ツールを紹介します。
Watchy
- 低価格で始められる
- ログ管理〜IT資産管理まで幅広く管理ができる
- 運用の保守点検負担が少ないクラウドサービス
株式会社スタメンが提供する「Watchy」は、社内PCのフォルダ操作やUSB利用、Webブラウザ操作などを監視し、指定した条件に合致した際に管理者へアラートを通知するクラウド型のIT資産管理・操作ログ管理ツールです。必要な機能だけを選んで導入できるため、限られた人数の情シス担当者でも監視業務にかかる負荷を抑えながら運用を続けやすくなっています。通知先やアラートの分類を工夫することで、対応が必要な事象を見落としにくくする運用体制の構築に活用できます。
MaLionCloud
- Windows、Mac、スマホを一元管理
- IT資産を見える化して、ライフサイクルを徹底管理
- 労働状況の見える化で、長時間労働・サービス残業を把握・是正
株式会社インターコムが提供する「MaLionCloud」は、クラウド上でPCの操作ログや利用状況を収集・管理できるツールです。複数拠点や複数部署にまたがる端末のログを一つの管理画面で確認できるため、本社が全社の状況を横断的に把握する体制を整えたい企業に向いています。取得したログをもとに利用状況を可視化できるほか、管理者権限の設定にも対応しており、拠点間で管理レベルを統一した運用がしやすくなっています。
UserLock (株式会社オーシャンブリッジ)
- 放置セッションの自動ログオフでセキュアにリソース確保!
- ログイン関連のアクティビティをすべてモニタリング!
- 同一ユーザーの複数ログインを防止してコンプラ遵守!
ログ監視ツールに関するFAQ
ログ監視ツールの運用体制に関して、導入検討時によく挙がる質問をまとめました。体制づくりの参考にしてください。
- Q1:情シス担当者が1人でもログ監視ツールを運用できますか?
- アラートの絞り込みや自動化機能を活用すれば、少人数でも運用しやすくなります。夜間や休日の一次対応を外部サービスに委託する組み合わせも選択肢です。
- Q2:情シスがいない会社でも導入は可能ですか?
- 専任の担当者がいない場合でも、設定や監視の一部をベンダーや外部SOCに委託できるツールであれば導入しやすくなります。サポート体制の範囲を事前に確認しておくとよいでしょう。
- Q3:ツールの導入や運用にかかる費用の考え方は?
- 費用は監視対象の範囲や自動化機能の有無、サポート体制によって異なります。自社の運用体制に必要な機能を洗い出したうえで、複数の製品を比較検討することが有効です。
- Q4:拠点間やグループ会社間の連携でうまくいかない事例はありますか?
- 権限設計や運用ルールの整備が不十分な場合、情報共有が滞ったり対応の抜け漏れが発生したりする可能性があります。導入前にグループ全体でルールを文書化しておくことが予防策になります。
まとめ
ログ監視ツールを機能させるには、ツール選定と同時に運用体制の設計を進めることが重要です。少人数の情シスであれば自動化やアラートの絞り込みを、多拠点やグループ会社であれば本社集約型の権限設計を検討しましょう。外部SOCとの分業を選ぶ場合も、役割分担とポリシーの統一を意識することで、無理のない運用体制を築きやすくなります。

