部品管理(BOM)システムとは
部品管理(BOM)システムとは、製品を構成する部品や原材料、ユニットなどの情報を一元的に管理するためのITソリューションです。製造業で用いられる「BOM(Bill of Materials)=部品表」をデジタル化し、設計から製造までの運用を効率化する目的で導入されています。
BOMの役割と重要性
BOMは、製品が「何から構成されているか」を示す設計図のような存在です。品番や数量、材質、仕様といった基本情報に加え、親部品と子部品の階層構造(親子関係)を整理することで、製品全体の構造が可視化されます。BOMが正確に整備されていなければ、必要な部品の調達や製造工程の管理にも支障が出てしまいます。
E-BOMとM-BOMの違い
部品管理で押さえておきたいのは、部門ごとにBOMの役割や使い方が異なる点です。
- ■E-BOM(設計部品表)
- 設計部門が利用し、製品の機能や仕様を重視して作成されます。「どのような仕様で作るか」を明確にする役割を担います。
- ■M-BOM(製造部品表)
- 生産管理部門や製造現場で使用され、工程や調達単位を踏まえて構成されます。「どのように製造するか」を整理する部品表です。
部品管理(BOM)システムは、これらの情報を統合して管理し、設計と製造の間に生じやすい情報の断絶を防ぎます。部門間の連携がスムーズになり、設計変更への対応力も高まります。
部品管理(BOM)システムを導入するメリット
従来のExcelや紙による部品表管理と比べると、専用の部品管理(BOM)システムを導入するメリットは非常に大きいといえます。ここでは、代表的な4つの効果を紹介します。
情報の検索性と共有スピードの向上
部品情報をシステムで一元管理すれば、膨大なデータの中から必要な情報をすぐに探し出せます。類似部品の参照や過去データの流用もしやすくなり、設計業務の効率化につながります。また、全部門で常に最新データを共有できるため、「どれが最新版かわからない」といった混乱も起こりにくくなります。
設計変更の確実な伝達とミス防止
設計変更(設変)が発生した際も、システム上で変更内容を管理しておけば関連部門へ迅速に情報が行き渡ります。旧版図面を使った誤発注や誤製造のリスクを抑え、手戻りによるコスト増大を防げます。E-BOMとM-BOMを連携させておけば、影響範囲の把握もスムーズです。
部品の標準化と原価低減
部品情報をデータベース化すると、重複登録されている部品やスペック過剰な部材を整理しやすくなります。標準部品の活用が進めば購入部品の種類が減り、調達コストや在庫管理負担の軽減にもつながるでしょう。原価管理の精度向上にも役立ちます。
属人化の解消とナレッジの継承
担当者の経験に依存していた部品情報や、設計ノウハウをシステム上に蓄積すれば、業務の属人化を防げます。ベテラン技術者の知見をBOM情報として共有することで、技術伝承や若手社員の育成にも効果が期待できます。
部品管理(BOM)システムの選び方
部品管理(BOM)システムにはさまざまな製品があり、機能や得意分野も異なります。自社に最適なシステムを導入するために、比較検討の際に意識したい6つのポイントを紹介します。
自社の生産形態との適合性
製造業といっても、見込生産(MTS)や受注生産(MTO)、個別受注生産(ETO)など生産形態は多様です。量産メーカーでは部品の共通化や原価管理が重視される一方、個別受注型では製番管理や柔軟な設計変更への対応力が求められます。まずは自社の生産プロセスに合う製品を選定しましょう。
E-BOMとM-BOMの連携機能
設計部門と生産部門の連携を強化するなら、E-BOMとM-BOMを統合的に管理できる仕組みが欠かせません。変換や連携がスムーズな製品を選べば、「設計変更が現場に伝わらない」といった課題の解消にもつながります。
CADシステムとの連携性
CADデータから部品情報を取り込み、BOM作成を効率化できる機能があると入力負担を大きく減らせます。自社で使用しているCADソフト(2D/3D)と連携可能か、専用プラグインの有無も含めて確認しておくと安心です。
使いやすさと操作性
高機能なシステムであっても、現場で活用されなければ導入効果は限定的です。直感的な画面設計か、Excelに近い操作感で扱えるかなど、利用者目線で操作性を見極める必要があります。無料トライアルを活用し、実際の使い勝手を比較するのも有効でしょう。
提供形態(クラウドかオンプレミスか)
近年は初期費用を抑えやすく、拠点間でも共有しやすいクラウド型(SaaS)が主流になりつつあります。一方で、セキュリティ要件やカスタマイズの必要性によってはオンプレミス型が適する場合もあります。自社の運用環境や予算に合わせて検討しましょう。
サポート体制と導入実績
BOMシステムの導入は業務フローの見直しを伴うため、ベンダーの支援体制も重要です。操作方法のレクチャーや初期設定支援、運用ルールの整備など、導入時にどこまで伴走してくれるかによって定着度は大きく変わります。
また、同業種での導入実績が豊富なベンダーであれば、製造現場特有の課題を理解した提案を受けやすくなるでしょう。導入後も問い合わせ対応やアップデート支援が継続されるかを確認しておくと、運用面での不安を減らせます。
おすすめの部品管理(BOM)システム比較
ここからは、製造業の設計部門や生産管理部門で導入が進んでいるおすすめの部品管理(BOM)システムを厳選して紹介します。自社の課題や運用体制に合ったシステムを選ぶためにも、特徴を比較しながら最適な製品を検討してみてください。
TomorakuPLM
トモラク株式会社が提供する「TomorakuPLM」は、図面・BOM・関連資料をクラウド上で一元管理する設計管理基盤です。AI検索による設計資産の活用に加え、リビジョン管理や承認ワークフローにも対応しています。設計情報の品質向上と部門間連携を支援したい企業に適したサービスです。
WorkGearシリーズ
モリックス株式会社が提供する「WorkGearシリーズ」は、中小製造業向けに展開されている生産管理システムシリーズです。受発注や在庫、工程管理などを統合的に扱えるため、現場の運用負荷軽減につながります。部品構成情報を含めた生産管理を効率化したい企業にも活用されています。
ズメーン
株式会社FactBaseが提供する「ズメーン」は、図面データを起点に関連情報を紐付けて管理できるクラウド型図面管理システムです。図面検索や最新版管理を効率化でき、設計資料の共有もスムーズに行えます。紙やExcel中心の管理から脱却したい製造業に適したサービスです。
PowerBOM (株式会社日立パワーソリューションズ)
株式会社日立パワーソリューションズが提供する「PowerBOM」は、設計BOM(E-BOM)と生産準備BOM(P-BOM)を統合管理できる部品管理システムです。構成情報や変更履歴、版管理に対応し、部門間の情報共有をシームレスにします。CSV入出力や既存システム連携にも対応しています。
部品管理の自動化ソリューション (JUKI株式会社)
JUKI株式会社が提供する「部品管理の自動化ソリューション」は、電子部品の在庫管理や供給業務を自動化し、製造現場の効率化を支援するシステムです。自動倉庫との連携により入出庫作業を省力化できるほか、在庫状況をリアルタイムで把握し、不足や過剰在庫の防止にも役立ちます。
Aerps MASTER Ace (株式会社アイネス)
株式会社アイネスが提供する「Aerps MASTER Ace」は、部品情報や構成管理を一元化し、設計・生産管理業務を支援する部品管理(BOM)システムです。部門間での情報共有をスムーズにし、設計変更時の伝達漏れ防止にも役立ちます。部品管理の精度向上を目指す企業に適したソリューションです。
Celb
株式会社クラステクノロジーが提供する「Celb」は、Excelや図面ファイルで管理していた部品情報をクラウド上で一元管理できるBOMサービスです。部品マスタや構成情報を共有し、最新版管理や更新履歴の確認にも対応しています。低コストで導入しやすく、Excel管理から脱却したい企業に適しています。
生産革新 Bom-jin
株式会社大塚商会が提供する「生産革新 Bom-jin」は、設計技術部門の図面や技術情報を品目台帳で一元管理する部品構成表(BOM)管理システムです。設計ルールの統一による標準化と流用設計を促進し、設計業務の効率化やコスト削減に貢献します。
まとめ
部品管理(BOM)システムは、部品表を一元管理するだけでなく、設計と製造をつなぎ、QCD(品質・コスト・納期)を最適化するための重要な基盤です。Excel管理では情報の属人化や伝達ミスが起こりやすく、業務効率にも限界があります。
導入を成功させるには、自社の生産形態との適合性やE-BOM・M-BOM連携、CADや生産管理システムとの接続性を踏まえて比較することが重要です。まずは気になる製品の資料請求を行い、自社に最適なBOM管理環境を検討してみてください。


