ノーコード開発の仕組みと使いどころ
まずは、どんな仕組みで、どんな場面に向くのかを整理しましょう。
画面上で組み立てる仕組み
入力欄やボタン、一覧表といった部品を画面に配置し、データの保存先や動く条件を選んで設定します。文字を打ち込んで命令を書く作業がないため、専門の知識がなくても進められます。作った内容はその場で動かして確かめられます。
似た言葉にローコード開発があります。こちらは、一部にプログラムを書き足せる形です。ノーコードより自由度は高くなりますが、ある程度の技術的な知識が求められます。どちらが向くかは、作りたいものと社内の体制によって変わります。
向いている業務と向かない業務
申請と承認の流れ、日報や報告の集計、簡単な台帳の管理といった業務は、扱いやすい部類です。紙や表計算ソフトで行っている作業を置き換える用途に向きます。部署の中だけで使う小さな仕組みも作りやすい形です。
一方で、複雑な計算を伴うもの、大量の処理を高速に扱うもの、独自の細かい要件があるものは向きにくくなります。社外の利用者に広く提供するサービスも、慎重な判断が必要です。何を作りたいのかを整理してから、対応できるかを確かめましょう。
関心が高まっている背景
業務のやり方を変えたい要望がある一方で、それを形にする技術者を確保しにくい状況があります。外部に依頼すると費用と期間がかかり、小さな改善ほど後回しになりがちです。現場が自分で作れる方法が求められる理由の一つです。
加えて、紙や表計算ソフトのまま残っている業務も多くあります。大がかりなシステムを入れるほどではないものの、手作業が続いている領域です。こうした部分を少しずつ置き換える手段として、検討されるようになっています。
ノーコード開発を取り入れるメリット
この方法の効果は、費用を抑えられることだけではありません。作る速さや、現場との距離にも関わります。3つの角度から整理します。
短い期間で形にできる
要件をまとめて外部に依頼し、完成を待つ形では、数か月かかることもあります。ノーコードでは、作りながら確かめられるため、期間を短くできます。試しに作って使ってみて、合わなければ変えるという進め方も採れます。
この速さは、変化の多い業務で効果を発揮します。ルールが変わった際に、その場で直せるためです。外部に依頼して待つ間に、状況が変わってしまうという事態を避けられます。使ってみて初めて気づく改善も、すぐ反映できます。
現場の担当者が自分で作れる
業務を最もよく知っているのは、実際に行っている担当者です。その人が自分で作れば、要件を伝える段階での行き違いがありません。使いにくい部分も、自分で気づいて直せます。
情報システムの部門に依頼が集中している会社では、その負担も軽くなります。ただし、誰でもすぐ作れるわけではありません。操作の習得と、業務の整理を行う時間は必要です。研修や相談の場を用意し、作る時間を業務として認めることも欠かせません。
外注する費用を抑えられる場合がある
小規模な仕組みを一つずつ外部に依頼すると、そのたびに費用が発生します。社内で作れるようになれば、この費用を抑えられます。小さな改善を積み重ねやすくなる点も利点です。
ただし、製品の利用料は継続してかかります。使う人数やデータの量で料金が変わる形もあります。作りたいものの規模を見積もったうえで、外注する場合と比べることが重要です。
始める前に確かめたい注意点
手軽に始められる一方、注意しておきたい点もあります。
できることの範囲に限りがある
用意された部品と設定の組み合わせで作るため、想定されていない動きは実現できません。作り始めてから、必要な機能がないと気づくこともあります。重要な業務で使う場合は、事前に確かめておく必要があります。
他のシステムとつなぎたい場合も、対応の範囲を確認しましょう。つなげない場合、そこだけ手作業が残ります。今使っている仕組みとの組み合わせを、具体的に想定して確かめることが重要です。
管理されないアプリが増える恐れがある
誰でも作れることは利点ですが、把握できないまま数が増えると問題になります。作った本人しか中身を知らない状態や、その人の異動で誰も直せなくなる状態が生じます。似た仕組みが複数の部署で作られることもあります。
申請して作る手順を決め、どんな仕組みがあるかを一覧で管理しましょう。誰が扱う情報を対象にしてよいかの基準も必要です。管理を厳しくしすぎると手軽さが失われるため、扱う情報の重要さに応じて分ける方法が現実的です。
作った人に依存する状態になりやすい
プログラムを書かない分、作り方は分かりやすくなります。しかし、なぜその設定にしたのかという意図は、記録に残さなければ伝わりません。引き継ぎができないと、直せないまま使い続けることになります。
何のために作ったか、どんな条件で動くかを、簡単な資料として残しておきましょう。複数人が触れる状態にしておくことも有効です。使わなくなった仕組みを止める判断も、定期的に行う必要があります。放置すると、古いデータが残り続けることになります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でノーコード・ローコード開発の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
製品を選ぶときの確認項目
製品によって、得意な範囲が分かれます。作りたいものと、管理の仕方、支援体制という3つの点から確認しましょう。
作りたいものを実現できるかを確かめる
まず、何を作りたいのかを具体的に書き出します。そのうえで、必要な機能が用意されているかを確かめましょう。無料で試せる期間があれば、実際に作ってみる方法が確実です。
扱えるデータの量や、同時に使える人数の上限も確認します。将来的に対象を広げたい場合、その規模に耐えられるかを見ておきましょう。今使っている業務システムとつなげられるか、その方法も確かめておきたい点です。
管理と権限の仕組みを確かめる
誰が作れるか、誰が使えるかを設定できるかを確認します。作られた仕組みの一覧を管理者が把握できる機能があると、増えすぎる状態を防げます。データを誰が見られるかの設定も重要です。
作った内容の控えを残せるか、間違えたときに戻せるかも確かめましょう。運用の途中で製品を変える可能性を考え、データを取り出せる形かも聞いておきます。困ったときの相談先と対応の時間帯も、確認しておくと安心です。
社内で支える体制を整える
作る人を現場に任せる場合でも、困ったときに相談できる相手は必要です。情報システムの担当者が窓口となる形や、社内で先に習得した人が支える形が考えられます。相談の経路を決めておくと、作りかけで止まる状態を防げます。
提供元による支援の内容も確かめましょう。操作の説明会があるか、作例が公開されているか、質問への回答にどのくらいかかるかを聞いておきます。学べる資料が整っていると、社内での広がり方も変わります。
プログラムを書かずに業務システムを作れるツール
業務部門が自分たちで仕組みを作りたい場面に向けた、ノーコード・ローコード開発ツールを紹介します。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 部署・業種別ですぐに使えるサンプルアプリ
- プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、画面から項目を組み合わせて業務アプリを作成できるクラウド型のツールです。案件の管理や日報の記録といった業務向けの仕組みを、プログラムの記述なしで用意できます。作成したアプリはあとから項目を追加するといった変更も進めやすく、業務の変化に応じた見直しがしやすい構成です。
Platio
- ノーコードで誰でも簡単に業務アプリ作成
- 初期費用ゼロ!月々2万円台からの始めやすい価格感
- 現場に合った業務アプリをスピード導入
アステリア株式会社が提供する「Platio」は、スマートフォンから使える業務アプリを作成できるノーコードツールです。現場での日報や点検記録の入力に向いた構成が用意されており、外出先や作業現場からの入力を想定した設計になっています。作成したアプリは既存のシステムとデータを連携させる構成にも対応しています。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、業務のワークフローを含めた仕組みを作成できるローコード開発ツールです。申請と承認の流れを画面から設計でき、部門ごとに異なる業務プロセスにも対応しやすい構成になっています。既存の紙やエクセルでの運用から置き換える際の移行支援も受けられます。
Bubble (Bubble Group, Inc.)
- ノーコードでアプリ開発を実現
- 直感的なドラッグ&ドロップ式のUI設計
- スケーラブルなアプリ構築が可能
Glide (Typeguard, Inc.)
- スプレッドシートからドラッグ&ドロップでアプリ作成
- 豊富なテンプレートで素早く形に
- リアルタイムでのデータ同期・共有
ノーコード開発に関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 本当に知識がなくても作れますか?
- プログラムを書く知識は不要ですが、業務の流れを整理し、データの持ち方を考える作業は必要です。表計算ソフトで関数を組める程度の理解があると進めやすくなります。研修や相談の場を用意しておきましょう。
- Q2: 情報システム部門は関わらなくてよいですか?
- 関わり方を決めておくことが重要です。作るのは現場でも、扱ってよい情報の基準や、他のシステムとつなぐ部分は専門的な判断が必要です。相談できる窓口を用意しておきましょう。
- Q3: 作ったものは他の製品に移せますか?
- そのまま移せるとは限りません。データは取り出せても、作った仕組みは作り直しになる場合があります。長く使う想定なら、乗り換えの際の扱いを契約前に確かめておきましょう。
- Q4: どこから始めるとよいですか?
- 紙や表計算ソフトで行っている小さな業務から試す方法があります。失敗しても影響の小さいものを選び、作り方を身につけてから広げましょう。最初から重要な業務を対象にしない進め方が現実的です。
まとめ
ノーコード開発には、短い期間で形にできること、現場の担当者が自分で作れること、外注する費用を抑えられる場合があることというメリットがあります。一方で、できることの範囲や、管理されないアプリが増える恐れ、作った人への依存という課題も伴います。まずは影響の小さい業務から試し、管理の仕組みとあわせて進めましょう。資料請求を活用してみてください。

