ノーコード・ローコード開発のセキュリティが重要視される理由
ノーコード・ローコード開発は、現場主導でのシステム化を可能にする手法として注目されています。一方で、導入が進むにつれて、情報管理や統制が弱くなりやすい点には注意が必要です。ここでは、セキュリティが重要視される背景を整理していきます。
業務システム化による情報資産の増加
ノーコード・ローコード開発を活用すると、申請管理や顧客管理など、これまで紙や表計算ソフトで扱っていた情報が業務システムとして一元管理されます。その結果、個人情報や取引情報といった重要な情報資産が集約され、漏えい時の影響も大きくなりがちです。
情報資産が増えるほど、アクセス権限の管理やデータ保護の重要性は高まります。セキュリティ対策を後回しにしてしまうと、業務効率化のメリットがリスクに変わる可能性も否定できません。
現場主導開発によるリスク拡大
ノーコード・ローコード開発は、情報システム部門以外の担当者でもアプリを作成できる点が大きな特徴です。その反面、セキュリティに関する知識が十分でないまま開発が進むケースも見受けられます。
設定ミスや不要な公開範囲の拡大が起こりやすくなるため、現場主導だからこそ共通ルールやチェック体制を整備しなければなりません。対策を講じないまま運用を続けると、リスクが見えにくくなるでしょう。
外部サービス連携の増加
業務効率化を目的として、ノーコード・ローコード開発では外部のクラウドサービスや業務システムと連携するケースが増えています。連携先が増えるほど、データの流れは複雑になり、管理の難易度も上がります。
外部サービス側のセキュリティ水準や契約内容を含めて確認しなければ、想定外のリスクを抱えることにもなりかねません。連携範囲を把握したうえで、慎重に運用する姿勢が求められます。
ノーコード・ローコード開発で考慮すべきセキュリティ対策
ノーコード・ローコード開発におけるセキュリティ対策は、製品側の技術的対策と、企業側で定める運用ルールの両面から考える必要があります。どちらか一方だけでは不十分なため、全体像を把握したうえで整理していくことが大切でしょう。
アクセス権限管理の徹底
業務アプリでは、誰がどの情報にアクセスできるのかを明確にすることが欠かせません。管理者や一般利用者、閲覧のみの担当者など、役割に応じた権限設定により、不要な情報閲覧を防ぎやすくなります。
技術的な対策としては、ユーザーごとの権限設定や多要素認証の導入が有効とされています。SOC 2やISO/IEC 27001といったセキュリティ標準を満たすプラットフォームでは、これらの機能が標準で備わっている場合も多いでしょう。
データ暗号化と通信保護
業務データを安全に扱うためには、保存時と通信時の両方で暗号化が行われているかを確認する必要があります。製品側で暗号化が標準対応されているかどうかは、選定時に見落とせないポイントです。
あわせて、社内で使用する端末やネットワーク環境についても、通信の安全性を確保しなければなりません。データの持ち出しや共有方法を定めた社内ルールと組み合わせて運用することが求められます。
操作ログと監査体制
誰が、いつ、どのような操作を行ったかを記録する操作ログは、不正防止やトラブル発生時の対応に役立ちます。ISO/IEC 27001では、情報セキュリティマネジメントの一環としてログ管理の重要性が示されています。
ログ取得が可能な製品を選ぶことで、問題発生時の原因追跡がしやすくなるでしょう。また、取得したログを定期的に確認する運用体制を整備しておくことも、安定した運用には欠かせません。
以下の記事ではノーコード・ローコード開発の価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
ノーコード・ローコード開発の運用管理で重要なポイント
セキュリティ対策は導入時だけで完結するものではありません。運用を続ける中で維持できてはじめて、十分な効果を発揮します。ここでは、運用管理の観点から特に意識したいポイントを整理します。
アプリ管理ルールの整備
現場でアプリが次々に作成されると、どのアプリが業務で利用されているのか把握しにくくなります。アプリの作成基準や公開範囲、廃止の判断基準をあらかじめ定めておくと、管理がしやすくなるでしょう。
組織的な管理ルールを設けることで、特定の担当者に依存した運用を防げます。その結果、セキュリティ水準を一定に保ちやすくなります。
バージョン管理と変更履歴管理
業務アプリは、運用開始後も改善や修正を重ねながら使われていきます。そのため、変更内容を記録し、誰がどのような修正を行ったのかを把握できる状態が重要です。
技術面では、変更履歴が自動で保存される機能があると管理負担を軽減できます。運用面でも、変更前に内容を確認し、承認を経て反映する流れを作ることで、想定外の不具合を防ぎやすくなるでしょう。
運用担当者の役割分担
ノーコード・ローコード開発では、開発を担当する人と運用管理を担う人の役割を分ける意識が重要です。同一人物に権限が集中すると、不正やミスに気づきにくくなってしまいます。
役割分担を明確にし、相互に確認できる体制を整えておくことで、リスクを抑えた運用につながります。
ノーコード・ローコード開発におけるセキュリティ対策ツールの考え方
ノーコード・ローコード開発では、製品に標準搭載されている機能だけでなく、外部ツールとの組み合わせも検討対象になります。自社の運用体制や管理レベルを踏まえたうえで、無理のない対策を考える視点が重要です。
標準機能で対応できる範囲
多くのノーコード・ローコード開発ツールには、アクセス制御や操作ログ管理など、基本的なセキュリティ機能が備わっています。まずは、標準機能だけでどこまで対応できるのかを整理しておく必要があります。
業務内容やセキュリティ要件に照らし合わせながら、過不足のない機能が提供されているかを確認していくと、導入後のギャップを抑えやすくなるでしょう。
外部セキュリティツール連携
より高度な管理が求められる場合には、外部のセキュリティツールと連携する選択肢も検討されます。例えば、認証基盤や監査ツールと組み合わせることで、管理の精度を高められる可能性があります。
ただし、連携時にはデータの受け渡し方法や責任範囲を明確にしておかなければなりません。運用が複雑になりすぎないよう注意が必要です。
運用コストとのバランス
セキュリティ対策は欠かせませんが、コストや運用負荷とのバランスも考慮する必要があります。自社の規模や扱う情報の重要度に応じて、現実的な対策レベルを見極めることが大切です。
無理のない運用の継続が、結果的にセキュリティ水準を維持しやすくなるでしょう。
まとめ
ノーコード・ローコード開発は、業務効率化を進めるうえで有効な手段です。一方で、セキュリティや運用管理への配慮が不足すると、思わぬリスクを招くおそれがあります。技術的な対策と組織的なルール整備を両立させることで、より安心して活用しやすくなるでしょう。
導入を検討する際は、自社の運用体制やセキュリティ要件に合った製品を比較する視点が欠かせません。ITトレンドでは、複数のノーコード・ローコード開発ツールをまとめて資料請求できます。情報収集の第一歩として、ぜひ活用してみてください。


