ワンタイムパスワードのトークンの基本を知る
トークンにはいくつかの種類があり、それぞれ使い方や運用の手間が異なります。まずは代表的な種類と、実際の利用の流れを確認します。仕組みを理解しておくと、社員への説明もしやすくなります。
ハードウェア型とソフトウェア型の違い
ハードウェア型トークンは、専用の小型機器に表示される数字を入力する方式です。ネットワークに接続せずに使えるため、通信環境に左右されにくい特徴があります。電池切れや破損に備えて、あらかじめ予備の機器を用意しておく企業もあります。
ソフトウェア型トークンは、スマートフォンやパソコンにアプリをインストールして利用する方式です。専用機器を持ち歩く必要がなく、社員一人ひとりに配布しやすい点が特徴です。自社の運用体制や予算、セキュリティ要件にあわせて、どちらを使うか慎重に検討するとよいでしょう。両方の方式を組み合わせて、部署ごとに使い分けている企業も見られます。
トークンを使ったログインの基本的な流れ
ログイン時には、通常のIDとパスワードに加えて、トークンに表示される数字を入力します。数字は一定時間ごとに切り替わるため、その時点で有効な番号を確認して入力する必要があります。数字を確認してから入力までの間隔が空くと、無効になってしまうこともあります。
入力までの制限時間を過ぎると、番号が無効になり再入力が求められる場合があります。初めて利用する社員には、操作の流れをあらかじめ説明しておくと、戸惑いを減らせます。実際の画面を用いた簡単な手引きを用意しておくと理解が深まります。
トークンの発行から配布までの流れを整える
トークンを実際に業務で使うには、発行や配布の手順を整えておくことが欠かせません。ここでは実務で押さえておきたい2つのポイントを紹介します。準備段階の手間を惜しまないことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。
利用者ごとにトークンを登録する手順
トークンを利用するには、あらかじめ管理者が利用者ごとにアカウントと紐づけて登録する作業が必要です。登録の際は、利用者の所属や権限に応じた設定もあわせて行います。対象人数が多い場合は、事前に登録リストを整理しておくと作業を進めやすくなります。
登録作業を一括で行える管理画面を備えた製品もあり、利用人数が多い企業では作業の効率化につながります。手作業での登録が多いほど、入力ミスのリスクも高まる点に注意が必要です。登録漏れがあるとログインできない社員が出るため、配布前の確認を丁寧に行うことが大切です。配布後に一度テストログインを行ってもらうと、登録漏れを早い段階で発見しやすくなります。
紛失・故障時の再発行対応を決めておく
ハードウェア型トークンは紛失や故障のリスクがあり、ソフトウェア型も端末の機種変更時に再設定が必要になる場合があります。事前に再発行の手順を決めておくと、実際のトラブル時に落ち着いて対応できます。紛失に気づいた際にすぐ連絡できる窓口も、あわせて周知しておくと安心です。
再発行までの間、代替手段でログインできる仕組みを用意しておくと、業務への影響を抑えやすくなります。管理者への連絡先をあらかじめ周知しておくことも忘れずに行いましょう。代替手段を悪用されないよう、利用できる条件をあらかじめ限定しておくことも大切です。
ワンタイムパスワードを業務で活用する場面
ワンタイムパスワードは、社内システムへのログインだけでなく、さまざまな場面で活用されています。代表的な2つの活用場面を紹介します。活用場面を広げることで、対策の効果をより実感しやすくなります。
社外からのリモートアクセスに使う
テレワークや出張先から社内システムにアクセスする際、通常のパスワードだけでは不正アクセスのリスクが残ります。トークンを組み合わせることで、社外からのアクセスでも本人確認の精度を高められます。カフェや公共の通信環境からアクセスする機会が多い職種では、特に有効な対策です。
VPN接続とあわせて利用するケースも多く、外部からの脅威に備える対策のひとつとして位置づけられています。リモートワークの導入が進む企業ほど、活用の必要性が高まる傾向があります。導入前に、既存のVPN製品との組み合わせが可能かも確認しておくとよいでしょう。
クラウドサービスへのログインに使う
複数のクラウドサービスを利用している企業では、それぞれのログインにワンタイムパスワードを組み合わせることで、パスワードの使い回しによるリスクを抑えられます。サービスごとに異なるパスワードを覚える負担も軽減できます。
シングルサインオンの仕組みとあわせて導入すると、社員の操作負担を抑えながらセキュリティを確保しやすくなります。利用するサービスの数が多いほど、効果を実感しやすい対策といえます。連携できるサービスの範囲は製品によって異なるため、事前の確認が欠かせません。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でワンタイムパスワード関連製品の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
トークン利用時に起こりやすいトラブルへの対処
トークンを日常的に使う中では、いくつかのトラブルが起こる場合があります。ここでは代表的な2つのケースと対処の考え方を紹介します。事前に想定しておくことで、問い合わせが集中した際にも落ち着いて対応できます。
時刻のずれによる認証エラーを防ぐ
ワンタイムパスワードは、サーバーとトークンの時刻情報をもとに数字を生成する仕組みが一般的です。端末の時刻がずれていると、正しい番号を入力しても認証が通らない場合があります。原因が分かりにくいトラブルのため、あらかじめ知っておくと安心です。
ソフトウェア型トークンでは、自動で時刻を同期する機能を備えた製品もあります。認証エラーが続く場合は、端末の時刻設定を確認することが解決の糸口になることがあります。改善しない場合は、早めに管理者へ相談する案内をしておくとよいでしょう。
入力ミスや制限時間切れへの対応
表示された数字を焦って入力すると、誤入力や桁数の見間違いが起こりやすくなります。制限時間内に入力が完了しないと、番号が切り替わり再度の確認が必要です。似た形の数字を見間違えるケースも少なくありません。
落ち着いて画面を確認する習慣をつけることに加え、制限時間の目安を利用者に周知しておくと、操作に慣れていない社員でも対応しやすくなります。焦らず操作できる環境づくりも、トラブルを減らす工夫のひとつです。
ワンタイムパスワードを導入する際の運用ルール
トークンを社内に定着させるには、操作方法の周知だけでなく、運用ルールを整えておくことも重要です。ここでは導入時に確認したいポイントを紹介します。ルールが整っていないと、現場での運用が担当者任せになりがちです。
対象範囲と例外対応を明確にする
全社員を対象とするのか、特定の部署やシステムに限定するのかを最初に決めておくことが重要です。対象範囲が曖昧なままだと、運用開始後に混乱が生じる可能性があります。段階的に対象を広げていく進め方も検討する価値があります。
出張者や外部委託先など、通常とは異なる利用状況にある人への対応もあらかじめ検討しておくと、運用開始後の問い合わせを減らせます。例外対応のルールを文書化しておくとよいでしょう。運用ルールは一度決めて終わりにせず、状況にあわせて見直していく姿勢も大切です。
社員への周知と問い合わせ窓口の整備
導入時には、トークンの使い方や注意点をまとめた案内を社員に周知しておくことが求められます。操作に不安を感じる社員がいることを前提に、分かりやすい資料を準備しておくとよいでしょう。図解を交えた案内にすると、より理解を得やすくなります。
不明点があった際に相談できる問い合わせ窓口を用意しておくと、社員が自己判断で対応してトラブルが広がることを防ぎやすくなります。窓口の連絡先は、配布する案内資料にあわせて記載しておくと親切です。よくある質問をまとめておくと、同じ問い合わせが繰り返されることも減らせます。
ワンタイムパスワードや多要素認証に対応した製品
トークンを使った認証の仕組みや運用イメージをつかむために、ワンタイムパスワード関連サービスの製品例を紹介します。
SeciossLink(セシオスリンク)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- IDの一元管理で業務効率化
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
株式会社セシオスが提供する「SeciossLink(セシオスリンク)」は、国産のIDaaS型セキュリティプラットフォームです。ID管理や多要素認証、アクセス制御、シングルサインオン(SSO)などの機能を備えています。Active Directoryやクラウドサービスとのユーザーデータ同期、パスワードレス認証に対応するほか、UEMやEDR、SASEなどのセキュリティ製品とも連携できます。2011年の提供開始から継続して展開されているサービスです。
Secioss Access Manager Enterprise(SAME)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
- 柔軟なルール設定が可能なアクセス制御機能を搭載
株式会社セシオスが提供する「Secioss Access Manager Enterprise(SAME)」は、SSOや多要素認証、アクセス制御を実現するオンプレミス型のソフトウェアです。Google WorkspaceやMicrosoft 365など複数のクラウドサービスに対応しています。ID・パスワード認証やクライアント証明書認証、ワンタイムパスワード、FIDO認証など多様な認証方式もサポートします。ユーザーやアクセス元IPアドレス、時間帯などの条件によるアクセス制御も可能です。
ワンタイムパスワード (ソフトバンク株式会社)
- 一時的なパスワードで不正ログインを防止します。
- クラウド対応で導入・運用が容易。
- 既存システム連携でセキュリティ強化を実現。
PassLogic (パスロジ株式会社)
- 安全な認証環境を状況に合わせて構築
- 毎日のログイン作業を効率的に行う「シングルサインオン」
- トークンや専用の認証デバイスが不要
まとめ
ワンタイムパスワードのトークンは、種類ごとの特徴を理解したうえで、発行・配布からトラブル対応、運用ルールまで整えることで効果的に活用できます。社外からのアクセスやクラウドサービスの利用が増える中、導入を検討する価値は高いといえるでしょう。自社に合った製品を選ぶ際は、複数の情報を比較しながら検討してみてください。運用ルールとあわせて見直すことで、無理のない体制を築きやすくなります。

