業種によって選び方が異なる背景
ワンタイムパスワードは共通の仕組みですが、業種ごとに求められるセキュリティ基準や運用体制が異なるため、選ぶ際の観点も変わります。同じ機能でも、業種によって優先すべき項目が変わる点には注意が必要です。まずは全体像を整理し、次章以降で業種ごとの観点を具体的に見ていきます。
| 業種 | 重視されやすい観点 |
|---|---|
| 金融業 | 不正送金対策や本人確認の厳格さ |
| 製造業 | 工場や拠点をまたぐ利用のしやすさ |
| 医療法人 | 電子カルテなど既存システムとの連携 |
| 官公庁・自治体 | 厳格な本人確認と監査対応 |
業種ごとに規制や慣習が異なる要因
金融業や医療分野では、業界固有のガイドラインや規制が存在し、それにあわせた認証方式が求められる場合があります。自社が属する業種の規制動向を確認しておくことが重要です。
規制の内容は改定される場合もあるため、最新の情報を確認する習慣も大切です。一方、製造業や小売業では、規制よりも現場での使いやすさや、既存の業務システムとの連携性が優先される傾向があります。
選定時に業種を踏まえて確認する視点
業種別の要件を確認する際は、一般的な機能紹介だけでなく、自社と同じ業種での導入事例があるかを確認する方法が有効です。導入実績の数字ではなく、具体的な活用内容を確認しましょう。
似た規模や業態の事例があれば、導入後のイメージがつかみやすくなります。次の章から、代表的な業種ごとに、確認しておきたい選び方のポイントを具体的に見ていきます。
金融業・保険業向けの選び方
金融業や保険業では、不正送金対策や本人確認の厳格さが重視される傾向があります。確認したい観点を整理します。
- 不正アクセス対策の認証方式を確認する
- 金融関連ガイドラインへの対応状況を確認する
- 顧客向け画面での使いやすさを確認する
不正送金対策としての認証方式
金融業では、不正送金やなりすましを防ぐため、複数の要素を組み合わせた認証方式が求められる場合があります。自社が対応すべきガイドラインの内容を確認し、それに沿った認証方式を選ぶことが重要です。
認証方式によって顧客の操作負担が変わるため、利便性とのバランスもよく考慮しましょう。顧客向けサービスに組み込む場合は、操作の分かりやすさも重要な観点です。
保険業における本人確認の観点
保険業では、契約手続きの際の本人確認にワンタイムパスワードを活用する場合があります。手続きの種類によって求められる確認水準が異なるため、自社の業務フローに合わせて確認することが重要です。
オンライン契約の比率が高まるなか、確認の仕組みを整えておく必要性は高まっています。顧客対応の窓口担当者が、認証にまつわる問い合わせに対応できるよう、事前にマニュアルを整備しておくことも有効です。
製造業・小売業向けの選び方
製造業や小売業では、複数の拠点や店舗端末での利用のしやすさが重視される傾向があります。確認したい観点を整理します。
- ■Q:複数拠点でも同じ仕組みを使えますか?
- 製品によって対応範囲が異なるため、拠点数や利用人数に応じたプランがあるかを契約前に確認することをおすすめします。
- ■Q:店舗端末との連携はどう確認すればよいですか?
- 既存の店舗システムとの連携実績があるかを、契約前にベンダーへ具体的に確認しておくと安心です。
製造業での拠点をまたいだ利用
製造業では、複数の工場や拠点でシステムを利用するケースが多く、拠点をまたいでも一貫した認証運用ができるかが重要な観点になります。拠点ごとに異なる仕組みを使うと、管理が煩雑になる懸念があります。
本社の情報システム部門が全拠点を一元的に管理できるかどうかも、確認しておきたい観点です。
小売チェーンでの店舗端末との連携
小売業では、店舗端末のログインとワンタイムパスワードを連携させることで、なりすましによる不正操作を防ぎやすくなります。既存のPOSシステムや店舗端末との連携実績を確認しておきましょう。
開店前や繁忙時間帯でも、認証の手間で業務が滞らないかも確認しておきたいポイントです。
医療法人・官公庁向けの選び方
医療法人や官公庁では、既存システムとの連携や、厳格な本人確認、監査への対応が重視される傾向があります。確認したい観点を整理します。
- 電子カルテなど既存システムとの連携実績を確認する
- 監査に必要な操作履歴の記録範囲を確認する
- 本人確認の水準が規定に沿っているか確認する
医療法人での既存システムとの連携
医療法人では、電子カルテや院内システムとの連携が求められる場合があります。既存システムとの連携実績があるかどうかを、契約前に具体的に確認することが重要です。
導入している電子カルテのメーカーとの連携実績を、個別に確認しておくと安心です。医療現場では、多忙な合間に操作する場面も多いため、認証にかかる時間や手間が業務の妨げにならないかも確認しておきましょう。
官公庁・自治体での厳格な本人確認
官公庁や自治体では、住民情報など機密性の高い情報を扱うため、厳格な本人確認と、操作履歴を監査できる仕組みが求められる場合があります。監査対応に必要な記録範囲を確認しておくことが重要です。
誰が、いつ、どの端末から認証を行ったかを追跡できる機能があるかも、契約前にあわせて確認しましょう。
IT企業における開発環境のアクセス制御
IT企業では、開発環境へのアクセス制御にワンタイムパスワードを活用するケースがあります。確認したい観点を整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| API連携の可否 | 既存の開発基盤と連携できるか |
| 権限管理の細かさ | 環境ごとにアクセス権限を分けられるか |
開発環境ごとのアクセス制御
IT企業では、本番環境と開発環境でアクセス権限を分ける必要があり、環境ごとに細かく認証設定ができるかが重要な観点になります。権限設定の細かさは製品によって差があるため、事前に確認しましょう。
プロジェクトごとに、細かくアクセス範囲を分けられるかどうかも、確認しておきたい観点です。開発者の入れ替わりが多い環境では、認証情報の発行や失効を迅速に行えるかどうかも、業務効率に影響します。
既存の開発基盤との連携性
社内で利用している開発基盤やID管理システムとワンタイムパスワードを連携できるかどうかは、運用の手間に大きく影響します。API連携の対応状況を契約前に確認しておくことが重要です。
既存のID管理システムとの連携実績があるかも、契約前にあわせて具体的に確認しておきましょう。連携が難しい場合、認証情報を二重で管理する必要が生じ、運用負荷が高まる懸念があります。
業種に対応したワンタイムパスワード製品
金融業や医療法人など、業種ごとに求められる要件に対応したワンタイムパスワード製品をご紹介します。
SeciossLink(セシオスリンク)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- IDの一元管理で業務効率化
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
株式会社セシオスが提供する「SeciossLink(セシオスリンク)」は、シングルサインオンとあわせてワンタイムパスワードによる認証に対応するIDaaSです。複数のクラウドサービスへのログインをまとめて管理できるため、複数のシステムを利用する金融業や製造業など、幅広い業種の企業で導入が検討されています。業種特有のセキュリティ要件への対応状況は、契約前に個別に確認するとよいでしょう。
Secioss Access Manager Enterprise(SAME)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
- 柔軟なルール設定が可能なアクセス制御機能を搭載
株式会社セシオスが提供する「Secioss Access Manager Enterprise(SAME)」は、企業向けのアクセス管理基盤とワンタイムパスワード認証を組み合わせたサービスです。医療法人や官公庁など、厳格なアクセス制御が求められる業種において、権限管理と認証を一元的に運用したい企業の選択肢になります。
ワンタイムパスワード (ソフトバンク株式会社)
- 一時的なパスワードで不正ログインを防止します。
- クラウド対応で導入・運用が容易。
- 既存システム連携でセキュリティ強化を実現。
PassLogic (パスロジ株式会社)
- 安全な認証環境を状況に合わせて構築
- 毎日のログイン作業を効率的に行う「シングルサインオン」
- トークンや専用の認証デバイスが不要
業種別のワンタイムパスワードに関するFAQ
ワンタイムパスワードの業種別選び方について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:金融業や保険業ではどのような点を重視すべきですか?
- 高いセキュリティ水準や認証規格への対応が重視される傾向があります。導入前に具体的な要件を整理しておくことが重要です。
- ■Q2:IT企業の開発環境ではどのようなアクセス制御が必要ですか?
- 開発環境と本番環境で権限を分けるなど、用途にあわせた細かなアクセス制御ができるかを確認することが望まれます。
- ■Q3:製造業や小売業ではどのような点を重視すべきですか?
- 拠点や店舗ごとのアクセス管理のしやすさ、現場での運用負担の少なさが重視される傾向があります。
- ■Q4:医療法人や官公庁ではどのような要件が求められますか?
- 個人情報や機密情報を扱うため、厳格な認証水準や監査対応への準拠が求められる傾向があります。
まとめ
ワンタイムパスワードの選び方は、金融業や製造業、医療法人、官公庁、IT企業など、業種によって重視すべき観点が異なります。自社の業種特有の要件を整理したうえで、既存システムとの連携実績や本人確認の水準を確認することが大切です。社内の関係部署とも相談しながら、まずは資料請求で自社に合う製品を確認してみてください。

