特権ID管理市場の規模
ITR社の調査によると、2017年度の国内特権ID管理市場の売上金額は48億4,000万円です。これは、前年比10.0%の増加となっており、需要が高まっているといえます。
特に、セキュリティ対策を行うモチベーションで特権ID管理システムを導入する企業が増えています。結果として、2017年度に特権ID管理市場に参入したほぼ全てのベンダーの売上が増えている、という状況です。
2018年度以降も需要は高まっていく見込みです。同社によると、2017年度から2022年度の年平均成長率は6.3%、2022年には66億円規模になると予測されています。
参照:ITRが特権ID管理市場規模推移および予測を発表 | ITR
特権ID管理の需要が高まる背景
特権ID管理の需要が高まっているのは、特権IDに関するセキュリティ被害が拡大しているからです。今までは、内部の不正利用を防ぎ、情報漏えいの対策をする必要がありました。
しかし、サイバー攻撃が増えるにつれて外部からの攻撃の対策を行う必要が出ています。外部からの攻撃を受けると、情報漏えいだけでなく情報改ざんやシステム障害といった被害を受けるでしょう。
特に近年ではサイバー攻撃が巧妙化・高度化しているため、防ぎにくいです。中でも高権限である特権IDは外部から狙われやすくなっており、より厳重に管理しなければなりません。このようなリスクの高まりによって、特権ID管理システムを導入する企業が増えました。
今後はクラウドのシステムへの移行が進むことによって、さらに特権IDの不正アクセス被害は増大します。そのため、今後も市場は拡大すると予測されています。
特権ID管理システムの3つの機能
特権ID管理の市場推移から必要性を感じた場合は、システムの導入に向けて検討を進めましょう。そのためにも、特権ID管理システムが持つ3つの主な機能を紹介します。
1.申請・承認機能
特権ID管理システムは、ID(アカウント)にログインする権限を付与し、アクセスを制限できます。アクセスが制限されている状態でログインしようとすれば、権限やアクセス申請が必要です。
このような環境を整備していれば、不正なシステムへのアクセスを排除することが可能です。また、特権IDの利用に申請・承認が必要になるため、特権IDが不正利用された場合に速やかに原因を特定できるでしょう。
このように不正できる環境を排除することで、セキュリティ強度の高い安全な特権ID管理につながります。
2.ログ記録機能
特権ID管理システムには、アクセスログなどを保存する機能が搭載されています。申請・承認機能があることで、誰がアクセスしようとしたかは把握できます。
しかし、特権IDを使って具体的に何をしたのかまでは分かりません。そこで、特権IDの利用をログとして保存すれば、万が一の事態が発生しても行動まで把握できます。
このように、問題が発生した後に原因を究明できる仕組みがあると、被害の拡大を防げます。もし、内部の不正利用の詳細が分かれば、適切に特権ID管理を行える社内制度を構築できるでしょう。
3.パスワード管理機能
特権IDを管理する上でもっとも重要なのは、パスワードを厳重に管理することです。もし特権IDのパスワードが漏れてしまえば、重大なセキュリティ被害が発生してしまうでしょう。
特権ID管理システムでは、アクセスする際にワンタイムパスワードを発行します。ワンタイムパスワードがもし外部に漏えいしてしまっても、1度しかログインに使えないため問題ありません。
他にも、特定の利用者にはパスワードを開示せずに自動でログインする機能もあります。パスワードを開示しなければ、情報が漏れるリスクを減らすことが可能です。
このようにパスワードを安全に利用できる仕組みを活用することで、適切な管理につながります。
市場規模が拡大している特権ID管理の導入を検討しよう
特権ID管理システムの市場は、セキュリティリスクの増大と比例して拡大しています。高い権限を持つ特権IDは外部から狙われやすいです。内部の不正利用による損失も無視できません。
近年ではサイバー攻撃が激化しているため適切に特権IDを管理する必要があるでしょう。特権ID管理システムは申請・承認、ログ記録、パスワード管理を行う機能を搭載しています。
必要性を押さえて特権ID管理システムの導入を検討しましょう。