特権ID管理システムとは
特権ID管理システムとは、社内システムの運用に利用される特権IDを安全に管理・運用するためのツールです。Excelなどのアナログな手法では、管理が行き届かず、特権IDの不正使用や情報漏えいなどのリスクが起こりやすい状態にあります。特権IDの管理をシステム化することで、セキュリティリスクが低減し、厳格な特権IDの管理が実現します。
特権IDとは
特権IDとは、システム管理者が利用する権限レベルの高い特別なIDです。Windowsの「Administrator」や、UNIX・Linuxの「root」が代表的な例です。
特権IDには、一般のユーザーではもち得ないあらゆる権限が付与されています。そのため、万が一不正利用された場合のセキュリティリスクは計り知れません。企業の機密情報や個人情報を守るためには、適切な特権IDの管理・運用が求められます。
以下の記事では、特権ID管理の必要性や情報漏えいの原因などを解説しているので、あわせて参考にしてください。
特権ID管理システムの機能
特権ID管理システムには、主に「ログ記録」「申請・承認」「ID管理」の3つの機能があります。それぞれの具体例は以下のとおりです。
特権ID管理システムをお探しの方へ
この記事では、おすすめの特権ID管理システムを導入形態別に分類し、価格や機能などを比較しています。「すぐにツール選定に移りたい」という方は、以下の見出しをクリックして、詳しい製品情報をご覧ください。
また、おすすめ製品を一覧表で比較したい方は、以下の見出しよりご確認ください。
▶【比較表】おすすめの特権ID管理システム
特権ID管理システムの導入メリット
高い権限をもつ特権IDはサイバー攻撃から狙われやすく、セキュリティ被害の事例も多く報告されています。システムを活用することで、以下のような効果が得られます。
- ■セキュリティ強化
- 操作ログの取得・管理機能によって、「いつ」「誰が」「どのような目的で」「どの操作を行ったか」がわかる。使用履歴を詳細に追跡できるため、不正な操作があった際に迅速な対処が可能。企業のセキュリティリスクを大幅に軽減できる。
- ■コンプライアンス対応
- アクセス記録や監査レポート機能などによって、監査要求やコンプライアンス要件に対応しやすくなる。証拠の提出が容易になるため、法令遵守を効率的に実現可能。
- ■管理効率の向上
- アクセス権の一元管理や自動承認プロセスなどにより、管理効率が向上し、全体的な運用スピードが高まる。システム管理者の業務負荷も軽減する。
さまざまなメリットをもつ特権ID管理システムは、以下のボタンから一括資料請求(無料)も可能です。どのような製品があるか詳しく知りたい方は、ぜひご利用ください。
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特権ID管理システムの3つのタイプ
特権ID管理システムは、導入形態によって3つのタイプに大別できます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
クライアント・エージェント型
アクセス元であるパソコン端末に、システムをインストールしてアクセス制御を行うタイプです。アクセス制御の高度なセキュリティを提供します。アクセス経路を問わず制御でき、リモートアクセスのログ点検も容易な点が特徴です。オンプレミスとクラウドのどちらの環境下でも導入できます。
▶クライアント・エージェント型の特権ID管理システムの見出しへジャンプ!
ゲートウェイ型
パソコンとシステム間のネットワーク上に設置したゲートウェイサーバを介して、アクセス制御を行うタイプです。一箇所のアクセスポイントを経由するため、一元的に管理・監視できるのが特徴です。既存システムへの影響がないため、導入もスムーズに進められます。クライアント・エージェント型と同じく、オンプレミスとクラウド両方の環境下で導入できます。ただし、オンプレミス環境では、ネットワーク境界ごとにゲートウェイの設置が欠かせません。
▶ゲートウェイ型の特権ID管理システムの見出しへジャンプ!
クライアント・エージェント型およびゲートウェイ型
クライアント・エージェント型と、ゲートウェイ型のどちらにも対応可能なタイプです。自社のシステム環境や特権アクセス方法に応じて、最適な形態を選択できるのが強みです。
▶導入形態を選択可能な特権ID管理システムの見出しへジャンプ!
特権ID管理システムの比較ポイント・選び方
特権ID管理システムの選定時には、導入形態のほか、「アクセス制御の強度」「監査への対応」「システム運用の汎用性」にも注目してみてください。
アクセス制御の強度は適切か
特権IDを適切に管理するためには、システムが提供するアクセス制御の強度が重要です。例えば、ロールベースのアクセス制御(※)や、ジャスト・イン・タイムアクセス(※)が可能かを確認してください。特権IDの限定的な付与により権限を最小限にとどめ、セキュリティリスクを抑止します。また、多要素認証も効果的です。認証を強化しアクセス経路を限定すれば、不正アクセスのリスクを低減できます。
※ロールベースのアクセス制御とは、ユーザーのロール(役割)に応じてアクセスとアクションを割り当てる方式。
※ジャスト・イン・タイムアクセスとは、ユーザーに対して一時的に特権や必要な権限を付与する方式。
監査への対応は容易か
保存・監視したログ情報をもとに、監査レポートとして可視化できると便利です。監査レポートの自動生成機能があれば、監査時に必要なデータを簡単に取得可能です。例えば、ログイン失敗履歴やアクセス履歴、アカウント点検など、豊富な監査レポート機能をもつ製品があります。また、作業申請情報と操作ログを組み合わせて、詳細な監査レポートを作成できる製品も提供されています。ログ情報を視覚的に管理することで、監査報告業務の効率化が可能です。
システム運用の汎用性が高いか
特権ID管理システムがさまざまなインフラ環境やデバイス、OSに対応できるかも重要です。例えば、クラウド・オンプレミス・ハイブリッドなど複数の環境に適応していれば、企業の成長にあわせたシステム環境の変更も容易です。Windows・Linux・macOSなど異なるOSに対応していれば、企業内の端末を統一して管理できます。IoTデバイスやスマートフォン・タブレットなどのマルチデバイス対応なら、セキュリティ範囲がさらに広がります。
導入製品にお悩みで、まずは最新の人気製品から検討してみたい、という方はこちらのランキングも参考にしてください。
【比較表】おすすめの特権ID管理システム
ここからは、おすすめの特権ID管理システムを紹介します。まずは機能や提供形態などを比べた一覧表をご覧ください。また、ITトレンド編集部が調査し見えてきた特権ID管理システムの傾向を以下にまとめています。製品の比較・検討にお役立てください。
- ●製品タイプは、クライアント・エージェント型とゲートウェイ型が二分する。どちらにも対応可能なタイプは少数。
-
- ●ほぼすべてのシステムがアクセス制限機能をもっている。
- ●大半のシステムが申請・承認機能、パスワードの有効期間設定、作業ログの取得・管理を活用可能。
- ●監査レポートを作成できるシステムも多い。
- ●シングルサインオン認証や多要素認証を搭載したシステムは限られる。
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特権ID管理システムの料金相場
特権ID管理システムは、提供形態によって利用料金が異なります。この記事で紹介している製品は、クラウドが1ライセンスあたり月額100円~5,000円ほど。オンプレミスとパッケージが400,000円~1,500,000円ほどです。
いずれの提供形態も、利用する機能や管理対象システム数などに応じて、料金が大幅に変動します。個別の見積が必要なベンダーも多いため、気になる製品は見積や資料請求を活用して、積極的に情報収集してみてください。
▶導入形態を選択可能な特権ID管理システム
クライアント・エージェント型と、ゲートウェイ型のどちらにも対応する特権ID管理システムです。自社のシステム環境に応じて、最適な方法を選択できます。
《ESS AdminONE》のPOINT
- 特権ID管理のあるべきプロセスを実現!必要十分な機能を搭載
- あらゆるシステムをパスワードレスで一元的に管理可能!
- 安心してお使いください!サポート期限を設けない永久サポート
「ESS AdminONE」は、システム運用管理を支援するエンカレッジ・テクノロジ株式会社提供の次世代型特権ID管理ツールです。特権ID管理ソフトウェア業界初のコンテナ技術を採用し、OSなどのバージョンに依存しない安定した稼働が強みです。また、サポート終了期限を設けない「永久サポート」を実施。ツールのバージョンが古くなっても、利用中は継続的な支援が受けられます。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / パッケージソフト / アプライアンス |
参考価格 |
396,000円~ |
無料トライアル |
〇 |
機能 |
申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、監査レポート、多要素認証 |
いい点
金融・証券・保険
100名以上 250名未満
改善してほしい点
電気、電子機器
1,000名以上 5,000名未満
Aegis Wall
NHN テコラス株式会社提供のセキュリティソフトウェア「Aegis Wall」は、エージェントレスかつ低コストで、特権IDの個人認証やアクセス管理を実現します。ワンタイムパスワードによる二段階認証と、ユーザー個人を特定できる追加認証が可能です。さらに、完全なログ記録や厳密なアクセス制御により、企業の情報セキュリティを強化できます。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / パッケージソフト |
参考価格 |
オンプレミス向けプラン:初期費用1,500,000円~ クラウド向けプラン:年間300,000円~/5ホスト |
無料トライアル |
ー |
機能 |
申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
▶クライアント・エージェント型の特権ID管理システム
続いて、オンプレミス・クラウドのどちらにも導入しやすいクライアント・エージェント型特権ID管理システムを紹介します。
iDoperation (アイディーオペレーション)
製品・サービスのPOINT
- 特権ID管理に必要な機能をすべて提供します。
- 純国産・使いやすいUIで、監査対応実績100%を実現します。
- OS、DBからクラウドまで幅広い管理に対応します。
NTTテクノクロス株式会社提供の「iDoperation(アイディーオペレーション)」は、9年連続シェアNo.1を誇る特権ID管理システムです。特権ID管理に必要な機能を網羅し、AWSやAzureといったクラウドサービスの特権ID管理にも対応しています。豊富な監査レポートやマニュアルを用意しており、監査対応の実績も豊富です。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
パッケージソフト / SaaS |
参考価格 |
573,750円~ |
無料トライアル |
ー |
機能 |
申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、監査レポート、シングルサインオン |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点
卸売・小売業・商業(商社含む)
750名以上 1,000名未満
改善してほしい点
情報処理、SI、ソフトウェア
1,000名以上 5,000名未満
製品・サービスのPOINT
- 特権ID管理の課題を
- 各種監査対応・運用改善が可能
- すぐに導入が可能、非対応ターゲットの連携も実現可能
株式会社NSDが代理店として提供する「iDoperation」は、システム構築から保守まで一貫してサポートします。個別開発により、標準対応していないシステムへの連携も可能です。特権IDは個人発行と複数名利用を選べるため、自社に適した運用が実現するでしょう。
対象企業規模 |
従業員規模100名以上 |
提供形態 |
パッケージソフト |
参考価格 |
ー |
無料トライアル |
〇 |
機能 |
申請承認、アクセス制限、監査レポート、シングルサインオン |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点
情報処理、SI、ソフトウェア
250名以上 500名未満
改善してほしい点
素材
1,000名以上 5,000名未満
《WEEDS Trace》のPOINT
- アクセス経路を問わず制御可能!抜け漏れのない特権ID管理を実現
- 監査が厳しい金融機関への導入実績が多数あり安心して導入できる
- 徐々に統制範囲を広げていくこともできるスモールスタートが可能
ウイーズ・システムズ株式会社が提供する「WEEDS Trace」は、特権ID管理の強化とアクセスログ取得を一元化します。エージェント型で、ネットワーク変更なしにあらゆるアクセスを制御できるため、抜け漏れのない管理が可能です。金融業界など、厳しいセキュリティ基準に対応した豊富な導入実績があり、多くの業界で信頼されています。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / パッケージソフト |
参考価格 |
ー |
無料トライアル |
ー |
機能 |
申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、監査レポート |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
ここまで紹介した製品について詳しく知りたい方は、以下のボタンより一括資料請求をご利用ください。
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▶ゲートウェイ型の特権ID管理システム
ここからは、スムーズな導入が特徴のゲートウェイ型の特権ID管理システムを紹介します。
《SecureCube Access Check》のPOINT
- 今求められる特権ID管理を短期間かつ低コストで実現
- 延べ500社以上に導入、市場シェアNo.1※
- 純国産・自社開発製品のため保守・サポート体制も充実
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社の「SecureCube Access Check」は、作業申請から監査まで、特権ID管理に必要な機能をオールインワンで提供します。既存のシステムへの影響が少ないため、大規模システムでも短期間の導入が可能です。クラウドとオンプレが混在したシステム構成にも柔軟に対応できます。
対象企業規模 |
従業員規模100名以上 |
提供形態 |
パッケージソフト / SaaS |
参考価格 |
ー |
無料トライアル |
ー |
機能 |
申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、監査レポート |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点
卸売・小売業・商業(商社含む)
100名以上 250名未満
改善してほしい点
情報処理、SI、ソフトウェア
1,000名以上 5,000名未満
製品・サービスのPOINT
- 著名企業でのセキュリティインシデントの頻発により需要急拡大
- CyberArkは特権ID管理の分野でのグローバルリーダー
- 川崎重工業のリアルフィールドで培った構築/運用ノウハウ
ベニックソリューション株式会社が提供する「特権アクセス管理ソリューション」は、想定外の特権ID利用をリアルタイムに検知し、サイバー攻撃から企業データを守ります。特権IDの利用日時や用途、利用者などを細かく管理でき、動作も制限可能。特権IDを利用した操作ログも記録します。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
オンプレミス / クラウド |
参考価格 |
ー |
無料トライアル |
ー |
機能 |
アクセス制限、作業ログ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《Gluegent Gate》のPOINT
- 連携対象システムとのシングルサインオン設定を簡単に行える
- SAML 2.0 SPに対応したサービスとフレキシブルに連携設定が可能
- 構築が不要なクラウドサービスのため簡単に導入ができる
サイオステクノロジー株式会社提供の「Gluegent Gate」は、統合ID管理機能に加えてシングルサインオン・多要素認証を実現します。クラウド(SAML)やオンプレ(代理認証)に対応し、複数のシステムの効率的な管理が可能です。迅速なサポートと定期的なアップデート情報の提供で、安心して運用できます。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
クラウド / SaaS |
参考価格 |
月額100円~/ライセンス |
無料トライアル |
ー |
機能 |
アクセス制限、シングルサインオン、多要素認証 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点
卸売・小売業・商業(商社含む)
5,000名以上
改善してほしい点
卸売・小売業・商業(商社含む)
5,000名以上
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特権ID管理システム導入時の注意点
特権ID管理システムを導入する際には、フローや運用ルールに注意しましょう。以下で詳しく解説します。
特権ID管理のフローを明確にする
特権IDを適切に管理するためには、特権ID利用の正当性を点検・監査できる体制が求められます。現状のフローを見直し、システムを用いた効率的な管理フローを構築しましょう。一般的な特権ID管理フローを以下で紹介するので、参考にしてみてください。
運用ルールを整備する
管理フローだけでなく、特権ID管理の運用ルールの整備も重要です。例えば、特権ID管理業務の責任範囲を明確にする、権限を付与する基準を制定する、日時を限定してIDを付与するなどが考えられます。特権ID管理システムを導入する前に、必要最低限の権限を洗い出して運用ルールを整備しておきましょう。
まとめ
特権IDはアナログな手法で管理すると担当者の負担が大きくなるため、システム化がおすすめです。システムを選ぶ際は、アクセス制御の強度やレポートの多様さ、マルチデバイス対応かを確認してみてください。これらが充実していれば、より効果的な特権IDの管理が可能になります。自社に適した特権ID管理システムを導入して、セキュリティ強化を図りましょう。
製品ごとの機能や特徴をよく理解するためには、資料請求の活用がおすすめです。ぜひ積極的に活用してみてください。