導入後に想定とずれる背景
サブスクリプション管理システムとは、継続的な契約にもとづく課金と請求、契約者の情報をまとめて扱う仕組みです。導入で軽くなる工程と、そうでない工程を分けて把握しておきましょう。
仕組みで解決できる範囲を確認する
システムによって軽くなりやすいのは、課金の実行、請求書の作成、契約情報の記録、集計といった定型的な作業です。一方、契約者からの相談への対応、料金の設計、解約を減らすための取り組みは、判断や工夫が必要な領域です。
導入前に、現在かかっている時間を工程ごとに把握しておきましょう。請求の作成に多くの時間を使っているなら効果を見込めますが、個別対応が中心なら別の対策も必要です。工程ごとの時間を記録しておくと、導入後の比較にも使えます。
関係者の期待をそろえる
導入の目的が関係者の間で異なると、完了後の評価も分かれます。経理は請求作業の削減を、営業は契約状況の把握を、経営層は解約率の改善を期待しているという状態は珍しくありません。
着手の段階で、解決したい課題と、完了時に確認する項目を文書にしておきましょう。請求作成にかかる日数、問い合わせの件数、請求の誤りの件数、解約率といった項目が候補です。数値で示せると、次の施策を検討する際の説明にも使えます。
解約対応の属人化が残る理由
システムを導入しても、解約の申し出への対応が特定の担当者に偏る状態が続くことがあります。
判断の基準が決まっていない場合
解約の申し出を受けた際、どのような案内をするか、条件を提示するかといった判断は、担当者の経験に委ねられがちです。基準が文書になっていないと、担当者によって対応が変わります。
整理の方法としては、解約の理由ごとに対応の選択肢を決めて一覧にする方法があります。料金が理由なら下位のプランを案内する、一時的な事情なら休止を提案するといった形です。提示できる条件の範囲も決めておくと、担当者が個別に判断する場面を減らせます。決めた内容は文書に残し、複数の担当者が参照できる場所へ保管しましょう。
対応の記録が残らない場合
誰がどのような対応を行ったかが記録されていないと、同じ契約者から再度連絡があった際に経緯を追えません。引き継ぎの際にも情報が失われます。
確認したいのは、契約者ごとに対応の履歴を記録できるか、解約の理由を選択または記入できるか、その内容を集計できるかという点です。問い合わせを管理する仕組みを別に使っている場合は、そちらとの連携も検討しましょう。記録が残る形にしておくと、対応の傾向を振り返る材料にもなります。どの案内が受け入れられたかを集計できれば、次回以降の対応の精度も上げられます。
手作業からの移行でつまずく原因
表計算ソフトなどで請求を管理していた状態から切り替える過程では、いくつかの課題が生じます。
既存の契約情報が整っていない場合
移行の際、現在の契約内容を新しいシステムへ登録する必要があります。しかし手作業で管理していた情報には、記載の揺れや、更新されていない項目が含まれている場合があります。そのまま移すと、誤った請求につながる可能性があります。
避けるには、移行を情報の整理の機会として活用しましょう。契約者ごとに、現在のプラン、金額、開始日、支払い方法、次回請求日を一覧にして確認します。不明な点は契約者へ照会する期間を設けてください。件数が多い場合は、金額の大きい契約や、条件が特殊な契約から着手する方法が現実的です。移行の作業を依頼できるか、その範囲はどこまでかも、事前に確認しておきましょう。
切り替えの時期を決めていない場合
請求の周期の途中で切り替えると、旧来の方法と新しいシステムの両方で処理が発生し、重複や漏れが生じる可能性があります。どの時点から新しいシステムで請求するかを明確にする必要があります。
計画としては、請求の区切りにあわせて切り替える方法が挙げられます。あわせて、切り替え前の請求について問い合わせを受けた際に参照できるよう、旧来の記録を保管しておきましょう。最初の請求は件数を絞って実施し、内容を確認してから全体へ広げる進め方も、影響を抑える方法として検討できます。
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解約率が変わらない理由
システムを導入しても解約の状況が改善しない場合、把握と対応の両面から確認します。
解約の背景を把握できていない場合
解約時に記録できるのは、契約者が申告した理由に限られます。実際には別の事情がある場合もあり、記録だけでは背景をつかみきれない可能性があります。
補うには、利用状況のデータとあわせて確認する方法があります。ログインの頻度が下がっている、特定の機能を使わなくなっているといった変化が見えると、解約前に気づける場合があります。ただし、把握できる範囲は提供しているサービスの性質によって変わります。どのデータを取得できるかを確認したうえで、活用の方法を検討してください。
把握した内容を対応につなげていない場合
解約の傾向が分かっても、それを踏まえた対応が行われなければ状況は変わりません。誰がその情報を見て、何を判断するかという流れを設計する必要があります。
整理の方法としては、集計の結果を定期的に確認する場を設け、対応の候補を検討する形が挙げられます。料金、機能、利用の定着、案内の内容といった観点ごとに、担当する部門を決めておきましょう。仕組みだけで解約が減るわけではないため、運用の設計とあわせて進めることが大切です。実施した施策と、その後の解約率の変化を記録しておくと、効果を確かめる材料になります。
請求処理が集中する時期の対応
月初や特定の日に請求の処理が集まると、完了までに時間がかかる場合があります。
集中を見込んだ確認
多くの契約が同じ日に請求日を迎える構成では、その日に処理が集中します。件数が増えるほど完了までの時間も延びるため、想定する件数を伝えて確認しておきましょう。
確認したいのは、処理の進行状況を確認できるか、完了までの目安が示されるか、途中で失敗した分を後から再実行できるかという点です。あわせて、稼働状況の公開方法と、問題が生じた際の連絡手段も確認しておきます。経理の締めの日程と照らして、余裕のある計画を立てましょう。処理が遅れた場合に誰へ連絡するかも、事前に決めておくと対応が進みます。
運用側で分散させる工夫
請求日を契約ごとに分散させると、処理の集中を和らげられる場合があります。契約の開始日を基準にする方式であれば、自然に分散します。一方、月初にまとめる方式は、経理の処理をそろえやすいという利点があります。
どちらを選ぶかは、経理の運用と契約者への案内のしやすさによって変わります。システムを選ぶ際は、両方の方式に対応しているか、契約ごとに請求日を設定できるかを確認しましょう。分散させる場合は、集計の締め方をどうするかもあわせて経理の担当者と検討してください。既存の契約について請求日を変更する場合は、契約者への案内も必要になります。
手作業からの移行を進めたいサブスクリプション管理システム
表計算ソフトで管理していた請求を切り替える際は、既存の契約情報をどう移すかが要点になります。移行を相談したい製品を紹介します。
Scalebase
- サブスクモデルの複雑な契約も、標準項目で一元管理!
- 契約情報を登録するだけで、 毎月の請求が自動化!
- 新サービスや新プランの投入、 料金改定にスムーズに対応!
Scalebase株式会社が提供する「Scalebase」は、契約情報の一元管理と請求業務の効率化を目的とした販売管理システムです。日割り計算や従量課金の自動処理に対応し、請求の漏れを防ぐ仕組みを備えています。見積の作成や入金の消し込みにも対応します。
ハヤサブ
- サブスクリプションビジネスの特性に合わせた販売管理を実現
- 多様で複雑な料金パターン・料金条件・請求パターンに対応
- 周辺システムと柔軟にシステム連携し、販売管理を一元化
株式会社オロが提供する「ハヤサブ」は、企業間の継続課金を対象とした販売管理システムです。複数の課金形態に対応し、契約の変更にともなう条件も管理できます。営業支援や会計の仕組みと接続する手段が用意されているため、既存のシステムとの組み合わせも検討できます。
クラウドK
- 通販に必要な業務をトータルサポートし、シームレスな運用を実現
- 1アカウント月額15,000円からのスモールスタートが可能
- ECシステムをお客様のビジネス成長に合わせて引越し可能
FutureRays株式会社が提供する「クラウドK」は、通販業務に特化した基幹システムです。受注から出荷、入金、督促までを一元管理でき、定期購入やサブスクリプションの管理にも標準で対応します。手作業で分かれていた業務をまとめたい場合の選択肢になります。少ない契約数から始められる料金体系が用意されています。
サブスクONE (株式会社サジェスタム)
- 多様な課金パターンや料金プランに対応
- エンタープライズからミッドサイズまで安定稼働の実績
- 既存システムや独自業務に合わせたカスタマイズが可能
サブスクリプション管理システムに関するFAQ
システムの導入でつまずきやすい点について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 既存の契約情報はそのまま移行できますか?
- 記載の揺れや更新されていない項目が含まれている場合があります。移行を情報の整理の機会として活用し、内容を確認してから登録することをおすすめします。
- Q2: 切り替えの時期はいつがよいですか?
- 請求の区切りにあわせる方法が一般的です。最初の請求は件数を絞って実施し、内容を確認してから全体へ広げると影響を抑えられます。
- Q3: 導入すれば解約率は下がりますか?
- 把握はしやすくなりますが、対応につなげる運用がなければ状況は変わりません。集計結果を確認する場と、担当する部門を決めておきましょう。
- Q4: 請求日は契約ごとに分けられますか?
- 対応する製品があります。分散させると処理の集中を和らげられる一方、経理の締め方も変わるため、担当者と検討したうえで方式を選んでください。
まとめ
サブスクリプション管理システムの導入が想定とずれる背景には、仕組みで解決できる範囲の認識、既存情報の整理、施策につなげる運用、請求日の設計という要素があります。属人化を避けるには対応の基準と記録の様式を整え、移行では区切りにあわせた切り替えが有効です。導入前の数値を記録しておくと効果の確認もしやすくなります。自社の状況を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。


