音声認識ソフトの機能を理解するための基本的な考え方
音声認識ソフトは製品ごとに搭載している機能の組み合わせが異なります。まず機能全体の分類を把握したうえで、自社の会議や業務の進め方に照らして必要な機能を絞り込むことが選定の第一歩になります。
機能の分類と業務での使われ方
音声認識ソフトの機能は、大きく分けて「文字起こし系」「整理・要約系」「連携・検索系」の3種類に整理できます。文字起こし系はリアルタイム変換や話者分離、整理・要約系は自動要約や辞書登録、連携・検索系は多言語翻訳やキーワード検索が該当します。
自社の業務で音声認識ソフトをどの場面で使うかによって、優先すべき機能は変わります。例えば会議の記録を残すことが目的なら文字起こし系の精度が重要になり、議事録作成の工数を減らしたいなら整理・要約系の機能が業務改善につながりやすくなります。海外拠点とのやり取りが多い企業では連携・検索系の機能を優先度の上位に置く進め方も選択肢になります。すべての機能を一度に検討するのではなく、業務課題ごとに優先順位を整理してから比較すると、候補を絞り込みやすくなります。
リアルタイムで文字起こしができる音声認識ソフトの機能
会議中にその場で発言を文字に変換する機能は、音声認識ソフトの基本機能として多くの製品に搭載されています。ここではリアルタイム変換と話者分離に関する確認ポイントを紹介します。
リアルタイム変換の仕組みと確認したい点
リアルタイム文字起こし機能は、マイクから入力された音声をその場で解析し、画面上に文章として表示する仕組みです。会議の進行と並行して記録が残るため、議事録作成の後工程を減らせる場合があります。
ただし、周囲の雑音や複数人が同時に話す状況では、変換の精度が下がる場合があります。導入前には、実際の会議室の環境に近い条件で試用し、マイクの配置や参加人数による認識のばらつきを確認しておくと、導入後のギャップを防ぎやすくなります。オンライン会議とリアル会議室の両方で利用する予定がある場合は、それぞれの環境でどの程度の精度が出るかをあわせて確認しておくと、運用開始後の想定外を減らしやすくなります。加えて、Web会議ツールとの連携によって音声を直接取り込めるか、外付けマイクを別途用意する必要があるかによっても、導入後の準備作業の量が変わってきます。会議室の広さや参加人数が異なる複数の拠点で使う場合は、拠点ごとに試用したうえで導入を判断すると、認識精度のばらつきに早めに気づきやすくなります。
話者ごとに発言を分離して記録する機能
話者分離機能は、複数人が参加する会議で誰がどの発言をしたかを区別して記録する機能です。議事録に発言者名を残したい場合や、後から特定の人の発言だけを確認したい場合に役立つ場合があります。
この機能の精度は、声質の近さや同時発言の頻度によって変わることがあります。あらかじめ参加者の声を登録できる製品もあるため、登録の有無や登録にかかる手間、登録した情報の管理方法もあわせて確認しておくとよいでしょう。発言者の取り違えが起きた場合に、後から手動で修正できるかどうかも、議事録の正確性を重視する企業では確認しておきたい項目です。参加人数が多い会議では、話者の登録数に上限が設けられている製品もあるため、自社で想定する会議の規模にあわせて上限の有無を確認しておくとよいでしょう。
議事録の整理を助ける自動要約や辞書登録の機能
文字起こしされたデータをそのまま議事録として使うには情報量が多すぎる場合があります。自動要約や辞書登録の機能は、整理の手間を減らす目的で使われることが多い機能です。
文字起こしから議事録を自動要約する機能
自動要約機能は、文字起こしされた文章から要点を抽出し、簡潔な文章にまとめる機能です。長時間の会議でも要点を短時間で把握できるようになる場合があり、議事録作成にかかる時間の削減につながることがあります。
ただし、要約の精度は会議の話題が専門的であるほど下がる場合があります。要約結果をそのまま採用するのではなく、担当者が内容を確認し、必要に応じて修正する運用を前提にしておくと、誤った内容が議事録として残るリスクを抑えやすくなります。要約の粒度を調整できる製品もあるため、詳細版と簡易版を使い分けられるかどうかも、あわせて確認しておくと業務での使い勝手が把握しやすくなります。要約結果の反映に時間がかかる場合もあるため、会議終了後どのくらいの時間で要約が確認できるかも、業務スケジュールにあわせて確認しておくと安心です。
専門用語を辞書登録できる機能
業界特有の専門用語や社内独自の略語は、標準の辞書だけでは正しく認識されない場合があります。辞書登録機能を使うと、あらかじめ用語を登録しておくことで認識精度を高められる場合があります。
辞書登録の方法や反映までの時間は製品によって異なります。登録できる用語数の上限や、部署ごとに辞書を分けて管理できるかどうかも、業務で使う専門用語が多い場合には確認しておきたい項目です。製品のアップデート後も登録した辞書内容が保持されるかどうかは、公式情報だけでは判断しにくい部分もあるため、契約前に問い合わせて確認しておくと安心です。専門用語を大量に扱う業種では、辞書の一括登録機能があるかどうかも、初期設定にかかる時間を左右する項目として確認しておくとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で音声認識ソフトの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
多言語翻訳やキーワード検索など連携性の高い機能
グローバルに事業を展開する企業や、過去の会議記録を頻繁に振り返る企業では、翻訳機能や検索機能の有無が選定の決め手になることがあります。ここでは活用場面が広がりやすい代表的な2つの機能を取り上げて詳しく紹介します。
文字起こしと同時に多言語翻訳できる機能
多言語翻訳機能は、文字起こしされた内容を別の言語に自動で変換する機能です。海外拠点との会議や、多言語を話す参加者がいる打ち合わせで、内容の共有をスムーズにできる場合があります。
翻訳の精度は言語の組み合わせや専門用語の量によって変わることがあります。対応言語の範囲や、翻訳結果を後から修正できるかどうかも、実際に利用する言語にあわせて公式情報で確認しておくとよいでしょう。専門用語が多い会議では、翻訳前の辞書登録内容が翻訳結果にも反映されるかどうかを確認しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。海外拠点との定例会議で継続的に利用する場合は、翻訳の反映速度がリアルタイムに近いか、事後の一括翻訳になるかによって使い勝手が変わるため、業務フローにあわせて確認しておくとよいでしょう。対応言語の追加予定や更新頻度についても、公式情報やベンダーへの問い合わせを通じて確認しておくと、将来的な拠点拡大にも対応しやすくなります。
過去の録音データをキーワード検索できる機能
キーワード検索機能は、蓄積した文字起こしデータの中から、特定の単語を含む会議を探し出す機能です。過去の会議内容を振り返る場面が多い企業では、検索にかかる時間の短縮につながる場合があります。
検索対象となるデータの保存期間や、検索できる項目の範囲は製品によって異なります。長期間のデータを蓄積して活用したい場合は、保存容量の上限や、データの削除・保存に関する運用ルールもあわせて確認しておくと安心です。社内規程で録音データの保存期間が定められている企業では、自動削除の設定ができるかどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。検索結果から該当箇所の音声を再生できる機能があると、文字だけでは分かりにくいニュアンスを確認できる場合があり、振り返りの精度を高める手段として役立つことがあります。複数のキーワードを組み合わせて絞り込み検索ができるかどうかも、蓄積データが増えてきた段階で使い勝手に影響する項目です。検索結果の表示件数や並び替えの方法、絞り込み条件の細かさが用途にあっているかも、実際の運用場面を想定して確認しておくと、日々の業務での使いやすさを判断しやすくなります。
文字起こしや要約、検索機能に強みを持つ音声認識ソフト
ここでは、文字起こしや自動要約、辞書登録、キーワード検索といった機能面での強みを持つ音声認識ソフトを紹介します。自社が重視する機能を軸に比較する際の参考にしてください。
PKSHA Speech Insight
- リアルタイムで顧客対応を自動テキスト化しACWの業務負荷を削減
- 使い方は簡単!会話ボタンを押すだけで記録が完了!
- 通話内容のテキスト化・データ化で、業務の工数を効率化
株式会社PKSHA Technologyが提供する「PKSHA Speech Insight」は、コールセンターやコンタクトセンターでの顧客対応をリアルタイムでテキスト化するAI音声認識サービスです。オペレーターと顧客の会話を自動で文字起こしするほか、使用を禁止したい言葉をあらかじめ設定し、実際に使われた際に管理者へ通知する機能を備えています。応対品質の管理や振り返りの効率化を一連の流れで行いたい企業に向いています。
LINE WORKS AiNote
- 独自研究開発による高い音声認識技術
- 高品質かつ低価格の業界トップクラスのコストパフォーマンス
- 法人利用でも安心の国際基準レベルのセキュリティ
LINE WORKS株式会社が提供する「LINE WORKS AiNote」は、ビジネスチャット「LINE WORKS」と連携して使える音声認識サービスです。会議中の発言をその場で文字に変換し、話者ごとに発言を聞き分けて要点をまとめられます。日常的に利用しているチャットツールと同じ環境で管理できるため、部署や案件が複数にまたがる場合でも、過去のやり取りを見返しやすい点が特徴です。
AmiVoiceSDK (株式会社アドバンスト・メディア)
- LGWAN環境で利用可。リアルタイム認識・iOSアプリは対象外。
- ChatGPT連携で議事録のAI要約・編集・共有が可能。
- 専門分野向け音声認識辞書が選択可能。
KIBITWordSonarforVoiceView (株式会社FRONTEO)
- AIが自動で分類・クラスタリング
- 文章入力で類似した声を即時抽出
- 声の変化をマップとグラフで可視化、少数意見も発見
まとめ
音声認識ソフトの機能は、文字起こし・要約・辞書登録・翻訳・検索など多岐にわたります。すべての機能を使いこなす必要はなく、自社の会議の進め方や業務課題にあわせて優先度をつけることが大切です。機能ごとにできることと注意点を整理したうえで、複数製品を比較しながら自社の業務課題に合う組み合わせをじっくりと検討してみてください。


