ECサイト構築で必要とされる機能
ECサイト構築において、どのような機能を搭載しなければならないのでしょうか。
1.ショッピングカート
ECサイトでは、顧客が選んだ商品は一時的にショッピングカートに保存されます。このショッピングカート内で合計金額が算出され、支払い手続きが行われて初めて購入取引が完了します。したがって、ショッピングカート機能はECサイト構築に不可欠です。
本格的なECサイト運営を目指すのなら、できる限り分かりやすく手間のかからないショッピングカート機能を搭載しましょう。手続きが煩雑だと顧客は億劫に感じ、せっかくカートに入れられた商品が購入されずじまいになることがあります。これをカゴ落ちと言います。
2.決済サービス
店頭で商品を購入する際、自分の望む支払い方法に店が対応していないために困った経験がある人は多いでしょう。これはECサイトでも同じことです。できるだけ多くの決済サービスに対応していた方が顧客満足度が高くなります。
ECサイトの場合、クレジットカード・代金引換・コンビニ決済への対応は不可欠です。そのほか、銀行振込・プリペイドカード・交通系ICカード、携帯キャリアによる決済など、広く使われている決済サービスに対応しましょう。
ただし、とにかく増やせば良いというものでもありません。種類を増やせば顧客満足度は高くなる反面、管理の手間や手数料などの負担も増加します。顧客の声を聞きながら、対応決済サービスの種類と数を最適化していきましょう。
3.暗号化などのセキュリティ
ECサイトでは顧客の氏名や住所、電話番号、クレジットカード番号などの個人情報を取り扱います。いずれも、流出してしまえば大きな被害につながりかねない重要な情報です。したがって、顧客が安心してこれらの情報を入力できるよう、セキュリティ対策を講じましょう。
まず、個人情報を入力するページの暗号化は必須です。情報が第三者の手に渡らないように、SSL通信で保護しましょう。できれば、ECサイト内の全ページをSSL化するのが理想的です。一昔前とは異なり、現在ではSSL化するほうが標準となっています。そのほか、クレジットカードの不正利用を防ぐ認証システムなどを導入し、充分なセキュリティ体制を構築しましょう。
4.受注管理機能
ここまで紹介した3つの基礎的な機能は、ECサイトのユーザーが触れる機能です。しかし、これらだけではECサイトは成り立ちません。顧客が購入手続きを行った情報を管理し、適切に商品を届ける仕組みも必要です。
そのための機能が受注管理機能です。誰からどの商品に対していくつの注文があったのか、お金は支払われたのかなどを正確に管理します。この機能が優れているほど発送までの時間が短縮され、誤発送などのリスクも少なくなるため、顧客満足度が向上します。
ECサイト構築を行う5つの方法
続いて、ECサイト構築を行う方法を5つ紹介します。
1.レンタルサーバとOSSパッケージサービスを併用する
OSSとはオープンソースソフトウェアの頭文字をとったもので、一般向けに無料公開されているソフトウェアを言います。
レンタルサーバを借りて、OSSを利用すればECサイトを構築できます。OSSは無料公開されているため、ローコストで構築可能です。また、自由度が高いため、技術さえあれば好きなように構築できるのがメリットと言えます。
しかし、自社でゼロから構築しなければならないため、負担は大きい方法です。トラブルの際にも自力で解決しなければなりません。長期的に見ると、ほかの方法を採用した方が安いこともあります。
2.ショッピングカートASPを利用する
ショッピングカートASPとは、ショッピングカート機能を提供するASPのことです。また、ASPとは「Application Service Provider」の略で、インターネット上で提供されているサービスを指します。
ショッピングカートと銘打ってありますが、多くのサービスではHP構築機能も提供されています。したがって、基本的にECサイト構築サービスの1種だと考えて問題ありません。
ベンダーが提供するサービスをレンタルする形態であるため、月々の利用料金が発生します。また、ある程度できあがったシステムを提供される形態上、自社で自由にできない部分も少なからず存在します。その代わり、自社ですべてを用意する必要がないため、少ない負担で運用できるのがメリットです。
3.モール型ECサイトを活用する
モール型ECサイトとは、ショップスペースを提供するECサイトのことです。ユーザーはショップスペースを借りて自社のショップを展開することになります。
基本的なECサイト機能はモール型ECサイトに元々備わっているため、自社で構築する必要はありません。また、そのモール型ECサイトが有名な場合は、集客しやすいメリットもあります。
その代わり、契約時の初期費用や月額利用料、そのほかポイントシステムや決済サービス、アフィリエイトシステムなどの利用料金が発生します。また、SEO対策を始めとした独自の集客施策を実施しづらいのも難点です。多くのユーザーが利用するため、自社のショップや商品が埋もれることがあります。
4.ECパッケージを活用する
ECサイト構築に必要な機能や仕組みが一通り揃った製品をECパッケージと言います。自社サーバにECパッケージをインストールして使います。
ある程度できあがってはいますが、自社の管理下に置け、自由度が高いのがメリットです。また、商品管理や売上管理などの機能があらかじめ搭載されているため、初期段階から本格的なECサイト運営が実現します。
しかし、費用が高いのが難点です。ECサイト構築方法の中ではもっとも導入ハードルが高く、基本的に大企業向けの方法と言えます。
5.フルスクラッチを採用する
フルスクラッチとは、ゼロからECサイトを構築することです。OSSを含む、既存のプログラムは一切使いません。高度な技術と膨大な開発費を要し、トラブル発生時にも自社ですべて解決しなければならないため、大規模企業向けの構築方法と言えます。
しかし、ほかのどの方法よりも自由度が高いのがメリットです。技術と費用さえあれば、自社の望み通りのECサイトを構築できます。また、既存の型にはまらないECサイト構築を目指す場合は、この方法を採用するしかないでしょう。
ECサイト構築について基礎から理解し、適した方法を採用!
ECサイト構築には以下の機能が必要です。
- ■ショッピングカート
- ■決済サービス
- ■暗号化などのセキュリティ
- ■受注管理機能
また、ECサイト構築を行うには以下の方法があります。
- ■レンタルサーバとOSSパッケージ
- ■ショッピングカートASP
- ■モール型ECサイト
- ■ECパッケージ
- ■フルスクラッチ
どの構築方法が適しているかは、企業規模やECサイトの理想像により異なります。自社に最適な方法を採用しましょう。