AIコンサルティングの評判が良いかを見る前提
AIコンサルティングは、案件ごとに内容が異なる外部の支援サービスです。そのため、評判の良し悪しは一律に決まりません。まず、評判情報の性質を理解しておくことが、判断の出発点です。ここでは、評判情報の考え方を三つに分けて見ていきましょう。
評判は案件や相性で変わると捉える
AIコンサルティングの成果は、依頼する課題、データの状態、社内の協力体制によって変わります。同じ依頼先でも、ある企業では成果が出て、別の企業では期待どおりにならなかったという場合があります。成果の出方は、依頼先だけでなく自社の準備にも左右されます。
そのため、他社の評判をそのまま自社に当てはめるのは避けるほうが安全です。自社の業種、規模、課題が近い案件での評価かどうかを見ることで、参考になる情報かを見分けられます。評価の理由まで読み取りましょう。
評判情報の種類と性質を整理する
評判に関する情報には、依頼先が公開する事例、第三者の比較サイトや口コミ、知人や取引先からの紹介があります。公開事例は成果が中心に書かれ、第三者の口コミは個人の経験に偏る場合があります。知人からの紹介は、状況が近ければ参考になる場合もありますが、依頼先の全体像は分かりません。
それぞれ、得られる情報と注意点が異なります。一つの情報源だけで決めず、複数を組み合わせて確認しましょう。情報源の種類を書き出して整理すると、どこに偏りがあるかに気づけます。
口コミやランキングの注意点を押さえる
口コミやランキングを読むときは、評価の基準と、掲載の仕組みを確認します。広告やアフィリエイトの収益が関わる場合は、そのことが明示されているかが重要です。運営元が依頼先と関係していないかも、見ておきたい点です。
令和5年10月から、広告であることを隠した表示は、景品表示法の不当表示として規制されています。広告の表記がなく、評価の根拠も示されていない記事は、参考程度にとどめましょう。
実績や規模の情報を読み解く方法
シェア、導入社数、満足度、採用実績は、評判を判断する際によく目にする情報です。数字の大きさだけで判断せず、どのような条件で集計されたのかを確認する姿勢が欠かせません。ここでは、集計条件の見方と、実績の読み方を順に確認しましょう。
- ■集計の主体
- 依頼先の自己申告か、第三者の調査か
- ■対象と期間
- どの範囲の案件を、いつの時点で数えたか
- ■評価の基準
- 満足度を何で測り、誰が回答したか
- ■自社との近さ
- 業種、規模、課題が自社と近い案件か
シェアや導入社数は集計条件を確かめる
シェアや導入社数は、依頼先の規模を示す目安とされますが、集計の条件によって意味が変わります。集計の主体、対象とする範囲、時点が示されているかを確認しましょう。調査会社が行った調査なのか、自社の発表なのかでも、信頼の度合いは変わります。
支援件数の大きさと、自社の課題にあうかどうかは別の問題です。数値の根拠が不明な場合は、その数字を判断材料から外す選択もあります。依頼先に出典を尋ね、答えてもらえるかも、対応の姿勢を知る手がかりです。
満足度は対象者と測り方で読み解く
満足度の調査は、誰が回答し、何を基準に評価したかで結果が変わります。依頼した企業の担当者が答えたのか、経営層が答えたのかによっても、見る観点や評価の理由が異なります。回答者が少数の場合は、傾向を読み取りにくい点にも注意が必要です。
調査の対象者数や、回答の方法が公開されている場合は、信頼性を判断しやすくなります。満足度が高いという記載だけでは、自社の課題にあうかは分かりません。具体的に何が評価されたのかを確認しましょう。
採用実績は自社に近い案件かで見る
上場企業での採用実績は、上場企業との取引経験を知る材料の一つです。取引先の規模が、支援の質を直接示すわけではありません。ただし、AIコンサルティングの支援内容は案件ごとに異なるため、実績の有無だけでは自社への適合を判断できません。
確認したいのは、どの業務の、どの工程の支援だったかです。自社と近い案件の経験を持つ担当者が、実際の支援を担当するのかも聞いておきましょう。実績の公開に、依頼企業の許可を得ているかも確認点です。
セキュリティ認証と情報管理から確かめる
AIコンサルティングでは、自社のデータや業務情報を依頼先に預ける場面があるため、情報管理の体制が評判を判断する重要な材料といえます。認証の見方と、認証以外の確認点を整理します。認証の意味を誤解しないことも大切です。
ISMS認証の意味と認証範囲を確認する
ISMS認証は、ISO/IEC 27001にもとづく第三者認証で、情報セキュリティの管理体制を評価する制度です。認証を取得していると、一定の管理の仕組みがあることを確認する材料の一つです。認証の取得状況は、認証機関や公式の検索サイトで確認できる場合があります。
ただし、認証の範囲は組織やサービスごとに異なり、認証が製品や支援の安全性を保証するものではありません。自社の案件を担当する部門が認証範囲に含まれるかを、登録情報や証明書で確認しましょう。
プライバシーマークの見方を知る
プライバシーマークは、JIS Q 15001にもとづいて個人情報を適切に取り扱う体制を整えた事業者を、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)などが認定する制度です。個人情報を扱う案件では、確認材料の一つです。取得の有無だけで判断しない点に注意しましょう。
この制度も、事業者としての体制を評価するものであり、個別の案件の安全を保証するものではありません。認定の有効期間や、更新の状況もあわせて確認しましょう。認定番号を尋ねれば、登録の有無を調べられます。
認証以外の情報管理の取り組みを聞く
認証の有無にかかわらず、実際の運用を確認することが大切です。データの保管場所、作業を行う担当者の範囲、再委託の有無、作業後のデータ削除について、具体的に説明してもらいましょう。
個人情報保護委員会は、生成AIサービスへ個人情報を入力する際に、利用目的の達成に必要な範囲内かを確認するよう注意喚起しています。自社のデータの扱いを、書面で取り決めておくと安心です。支援の終了後に、データの返却や削除の証明を受け取れるかも聞いておきます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でAIコンサルティングの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
評判を自社で確かめる実践の手順
外部の情報だけでなく、依頼先との直接のやり取りからも、評判の確かさを判断できます。確認する先と、得られる情報、注意点を表にまとめました。ここでは、事例の聞き方、面談での見極め方、情報源の記録方法を順に見ていきます。
| 確認先 | 得られる情報 | 注意点 |
|---|---|---|
| 公開事例 | 支援の内容と成果の概要 | 成功例に偏る場合がある |
| 第三者の口コミ | 個人の経験や印象 | 評価基準が不明確なこともある |
| 依頼先との面談 | 体制や進め方の具体像 | 質問を事前に用意する |
| 既存の依頼企業 | 実際の支援の様子 | 紹介に同意を得る必要がある |
自社に近い事例の詳細を聞く
公開されている事例に加え、自社と近い業種や課題の案件について、支援の内容を詳しく聞きましょう。課題、実施した工程、期間、成果が出るまでの経緯を尋ねると、実際に近い像が得られます。守秘義務のため話せない内容があれば、その理由も聞きます。
うまくいかなかった点や、途中で見直した点を教えてもらえるかも重要です。良い面だけでなく、課題についても誠実に答える依頼先は、信頼性を判断する材料の一つです。回答は、書面でも受け取りましょう。
面談と提案内容で支援の質を確かめる
評判は、提案の段階でも確かめられます。自社の課題を丁寧に聞き取り、AI以外の手段も含めて提案しているか、費用対効果の見立てに根拠があるかを確認します。費用の内訳や、追加費用が発生する条件の説明が明確かも判断材料です。
PoCを小規模に実施し、実際の進め方や報告の内容を確かめる方法もあります。担当者の説明が分かりやすいか、質問に具体的に答えるかを見ておくと、契約後の支援の様子を想像できます。複数の依頼先で同じ課題を伝え、提案の違いを比べるのも有効です。
参考にした情報源を記録して見比べる
複数の情報源から得た評判は、出典、確認した日付、内容を表にまとめて記録しましょう。情報源の種類ごとに、評価が一致している点と、食い違っている点が見えてきます。日付を記録しておけば、古い情報に頼る誤りを避けられます。
食い違いがある点は、依頼先に直接尋ねて確かめましょう。社内で検討する際にも、根拠を示して説明できるため、関係者の合意を得やすくなります。契約後に、期待とのずれがなかったかを振り返る材料としても役立ちます。
評判の良さを契約で裏づける確認点
評判が良くても、自社との契約で同じ品質が得られるとは限りません。期待する内容を契約書に明記することで、評判を実際の支援につなげやすくなります。ここでは、成果物、著作権とデータ、責任分担の三つを、順に確認しましょう。
成果物の範囲と検収の基準を取り決める
契約では、成果物の種類、納期、品質の基準、検収の方法を明記します。報告書、学習済みモデル、プログラムなど、何がいつ納品されるのかが明確であれば、期待とのずれを防げます。受け入れの条件を事前に決めておくと、納品時の確認も円滑です。
検収の基準があいまいだと、納品後に修正の範囲で意見が分かれる場合があります。評判の良い依頼先であっても、口頭の約束は書面に残しましょう。修正の回数や期限も、あわせて定めておくと安心です。
生成物の著作権とデータの扱いを確認する
委託契約では、成果物の権利の帰属と、依頼先が自社のデータを学習などに再利用しないかを確認します。経済産業省は、AIの利用や開発に関する契約チェックリストを公開しています。
生成AIの出力については、文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」で、学習と生成物の利用の段階に分けて整理しています。他者の著作物に似た生成物を公開しないための確認手順も、取り決めておきましょう。出力をそのまま使わず、人が確認する工程も設けると安心です。
AI事業者ガイドラインで責任の分担を整理する
経済産業省と総務省のAI事業者ガイドラインは、AI開発者、AI提供者、AI利用者の三つの主体ごとに、取り組む事項を示しています。依頼先と自社の役割を整理する手がかりです。自社がAI利用者に当たる場合は、利用に関する事項が参考とされます。
ガイドラインは指針であり、個別の責任は契約で定める必要があります。AIの出力に誤りがあった場合の確認や対応を、誰がどこまで担うかを明記しておくと、問題が起きたときも円滑に進められます。
確かめる材料が示されたAI支援サービス
評判を数字や口コミだけで判断しないために、認証や認定など、公開されている情報から確かめられるサービスを取り上げます。
Microsoft 365 Copilot
- ワークショップ/PoC/アセスメント/サポート/カスタマイズの5Plan
- 何から利活用を始めていいかわからない方に向けた体験とサービス
- Microsoft 365 Copilotトータルソリューションパートナー 認定
株式会社ピーエスシーが提供する「Microsoft365 Copilot」は、Copilotの活用を支援するサービスです。ワークショップ、PoC、アセスメント、サポートなどの5つのプランが用意され、段階に応じて依頼内容を選べます。製品ページには、Microsoft 365 Copilotトータルソリューションパートナーとして認定されていると記載されています。認定の内容や支援の範囲は、資料請求や問い合わせで確かめましょう。
neoAI Chat/Work
- 安心して社内データを活用できる高セキュリティ環境
- RAGと豊富なAIエージェントで高精度なアウトプットを出力
- 調査・分析・資料作成など、幅広い業務が入れるだけで完結
株式会社neoAIが提供する「neoAI Chat/Work」は、豊富なAIエージェントを搭載した、企業向けの生成AIプラットフォームです。製品ページには、ISO/IEC 27001の認証を取得していると記載されています。ただし、認証の範囲は組織やサービスごとに異なるため、自社の利用範囲が対象に含まれるかを確認することが大切です。RAGで社内データを参照する仕組みや、専用環境のプランについても、資料で確かめられます。
ChatGPT活用コンサルティング (株式会社HappyCreate)
- AIチャットボットランキング第1位
- 中小企業向けAIチャットボット導入サービス
- 従業員向けのChatGPT活用トレーニングも提供
AI導入支援サービス (deep consulting株式会社)
- AIエンジニアとデータサイエンティストが最先端技術を提供
- PoCのみなどスポット的なコンサルティングにも対応
- 自社でAI開発できる体制づくりを支援
AIコンサルティングに関するよくある質問
AIコンサルティングの評判についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:口コミが少ない依頼先は、避けたほうがよいですか?
- A:口コミの量だけでは判断できません。口コミが少なくても、自社に近い案件の説明、体制、契約内容を確認して判断する方法があります。
- ■Q2:依頼先の紹介事例は、どこまで参考にできますか?
- A:事例は成果が中心に書かれる場合があるため、課題、実施した工程、期間、うまくいかなかった点まで尋ねて確かめましょう。公開に依頼企業の許可を得ているかも確認点です。
- ■Q3:ISMSやプライバシーマークがあれば、安心して依頼できますか?
- A:どちらも事業者の体制を評価する制度で、案件の安全を保証するものではありません。ISMSは認証範囲が組織やサービスごとに異なるため、担当部門が範囲に含まれるかを確認しましょう。
- ■Q4:ランキングや比較サイトの情報は、参考にしてよいですか?
- A:評価の基準と掲載の仕組みが示されていれば、参考にできます。広告であることが明示されていない場合は、参考程度にとどめましょう。
まとめ
AIコンサルティングの評判が良いかは、口コミや数字の大きさではなく、集計の条件、自社に近い実績、情報管理の体制を確かめて判断します。ISMSやプライバシーマークは体制を評価する制度であり、案件の安全を保証するものではありません。評判を契約書で裏づけたうえで、複数の依頼先の資料を請求して比較してみてください。

