AIコンサルティングの企業規模別の懸念点
AIコンサルティングは、企業の規模によって、体制、データの量、予算、関係する部署が大きく異なります。同じ支援内容でも、規模によって懸念の中身が変わる点に注意が必要です。ここでは、規模による違いと、確認の進め方を整理します。
- ■小規模企業
- 対象業務が限られ、支援の費用が見合うかが論点
- ■中規模企業
- 既存システムとの連携や、専任担当者の確保が論点
- ■大企業
- 多部門の調整や、繁忙期の稼働、ガバナンスが論点
規模によって変わる論点を押さえる
規模が小さい企業では、AIを適用できる業務が限られ、支援の費用に見合う効果が出るかが論点になりやすいといえます。一方で、規模が大きい企業では、関係部署の多さが調整の負担になる場合があります。どちらの場合も、自社の規模が支援の進め方に与える影響を把握することが出発点です。
ただし、規模だけで懸念が決まるわけではありません。業務の内容、データの状態、既存システムの構成によっても、問題の出方は変わります。自社の状況にあてはめながら読み進めましょう。
懸念が生じる要因は複数ある
支援がうまく進まない原因は、一つに限られません。依頼先の対応範囲、自社の準備や協力体制、既存システムの仕様など、複数の要因が重なって問題になる場合があります。例えば、依頼先が連携に不慣れな場合と、自社のデータが整っていない場合では、取るべき対策が異なります。
そのため、問題が起きたときに依頼先だけの責任と決めつけるのは適切ではありません。自社が担える準備と、依頼先に確認する事項を分けて考えると、事前に防ぎやすくなります。
懸念を確認する順序を決めておく
懸念を事前に確認するときは、対象とする業務の範囲、予算、既存システムとの連携、運用する時期の順に整理します。この順序で見ると、支援の費用と効果の釣り合いが分かりやすくなります。順序を決めておけば、確認の抜けも防げるでしょう。
各項目について、依頼先に具体的に質問し、書面で回答をもらいましょう。確認した内容は、規模が変わった場合や、担当者が交代した場合にも見直せるよう、社内で共有しておくと安心です。回答の内容に不明な点があれば、その場で追加の質問をしておきます。
50名から100名の企業で起こり得る課題
50名から100名規模の企業は、専任の担当者を置きにくい一方、業務が複雑になり始める段階です。この規模で起こり得る三つの懸念を見ていきます。ここでは、費用、連携、体制の三つについて、対策もあわせて確認します。
業務範囲に対して支援内容が過大になる
高度な支援内容を契約しても、AIを適用する業務が限られていると、費用に見合う効果が得られない場合があります。構想策定から開発、運用までを一括で依頼すると、使わない部分の費用がかかる点に注意が必要です。対象業務を絞り込めていない段階の契約は、特に注意が必要です。
対策として、対象業務を絞り、必要な工程だけを依頼する方法があります。見積書で、工程ごとの費用が示されているかを確認しましょう。範囲を段階的に広げる契約であれば、過大な投資を避けられます。
基幹システムと連携できず手作業が残る
契約の範囲に、既存の基幹システムとの連携が含まれていない場合、AIの出力を人が転記する手作業が残ります。業務の効率化を期待して依頼したのに、効果が小さくなる場合があります。手作業が残ると、転記の誤りが生じる可能性も高まります。
連携が対象外になる原因は、契約範囲、システムの仕様、依頼先の対応経験など、複数あります。依頼前に、連携の有無と範囲を確認し、対象外の場合は別の手段で補えるかを相談しましょう。連携の追加開発が必要な場合は、費用と期間の見積もりも依頼します。
担当者が不足して任せきりになる
この規模では、AI活用の専任担当者を置けず、他の業務と兼務する場合があります。担当者の時間が確保できないと、依頼先とのやり取りが滞り、現場の意見が反映されません。兼務の担当者が複数の部署にいる場合は、役割分担の整理も必要です。
任せきりにすると、支援の終了後に自社で運用できない状態になる恐れがあります。自社が関わる作業量を事前に聞き、無理のない体制を決めましょう。運用を引き継げるよう、手順書の整備も依頼しておくと安心です。
小規模企業で費用対効果を見極める
従業員の少ない小規模企業では、AIの適用範囲が限られ、支援の費用が負担になる場合があります。費用に見合うかを、慎重に見極めましょう。ここでは、費用対効果の見方、契約の組み方、データが少ない場合の進め方を順に確認します。
業務範囲が狭い場合の費用対効果を見る
AIを適用できる業務が少ない、または扱うデータの量が限られる場合は、期待した効果が得られない可能性があります。支援の費用が、削減できる作業時間に見合わない結果になる場合も考えられます。
依頼前に、効果の見込みを数字で試算してもらいましょう。試算の前提となる業務量やデータの量が、自社の実情に合っているかも確認が必要です。AIを使わない方法のほうが適している場合は、そう助言してもらえる依頼先が望ましいといえます。
小さく始めて見直せる契約にする
小規模企業では、いきなり大きな契約をせず、単発の相談やPoCから始める方法が現実的です。短い期間と限られた費用で効果を確かめ、続けるかどうかを判断できます。契約の期間を短く設定できるか、更新の条件はどうかも、確認したい点です。
契約の期間や解約の条件も確認しましょう。最低契約期間が長い場合は、効果が出なくても費用が発生し続けます。成果が出なかった場合の扱いと、途中で中断できる条件を、契約書に明記しておくと安心です。
データが少ない場合の進め方を相談する
学習に使えるデータが少ない場合は、一般に公開されているAIサービスの活用や、業務の見直しのほうが効果的なことがあります。独自のモデルを構築する前に、必要性を確認します。必要性の判断自体を、支援に含めてもらえるかも確認します。
データを蓄積する仕組みづくりから支援してもらう方法もあります。将来を見据えて、何を、どのくらいの期間蓄積するかを計画しましょう。個人情報を含むデータの蓄積では、利用目的の特定など、法令にもとづく扱いも確認してください。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でAIコンサルティングの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
大企業で起こり得る運用上のトラブル
大企業では、関係する部署や拠点の数が増えるため、支援の進め方や情報管理の面で別の懸念が生じます。繁忙期の稼働、部門間の調整、ガバナンスの三点を見ていきます。ここでは、それぞれの懸念に対する備え方を、事前の取り決めを中心に確認しましょう。
期末に報告や成果物が集中する
決算期や年度末は、報告書や成果物の作成が集中し、依頼先の担当者の稼働が逼迫する場合があります。自社の担当者も通常業務が忙しく、確認や承認が遅れて、全体の進行が滞る恐れがあります。締め切りの直前に集中する作業は、前倒しして進める工夫も必要です。
対策として、繁忙期を避けた計画にするか、繁忙期の対応体制を事前に取り決めます。成果物の提出時期を分散し、確認の期限に余裕を持たせましょう。依頼先に、繁忙期の稼働の見込みを聞いておくと安心です。
多部門にまたがる調整を進める
複数の部門や拠点で利用する場合は、要件の取りまとめや優先順位の決定に時間がかかります。部門ごとに業務の進め方やデータの形式が異なると、統一した支援が難しくなる場合もあります。各部門の要望を整理する役割を、誰が担うかを決めておく必要があります。
推進の責任者を決め、部門間の調整を担う体制を整えましょう。まず一つの部門で成果を出してから展開する方法もあります。依頼先が複数部門の調整を支援してくれるかも、確認したい点です。
ガバナンスと委託先管理を整備する
大企業では、情報セキュリティや個人情報の取り扱いについて、社内の規程にもとづく審査が求められます。委託先として、依頼先の管理体制を確認する手続きも必要です。審査の結果、追加の資料や契約内容の修正を求められる場合もあります。
経済産業省と総務省のAI事業者ガイドラインは、AI開発者、AI提供者、AI利用者ごとの取り組みを示しており、自社の役割を整理する手がかりです。審査に時間がかかるため、契約の前に審査の期間を見込んでおきましょう。
企業規模にかかわらず使える懸念点の確認項目
企業の規模にかかわらず、契約前の確認によって、懸念を減らせます。規模別の確認点を表にまとめたうえで、共通する契約上の留意点を見ていきましょう。ここでは、費用の内訳、成果物の権利、規模が変わったときの対応の三つを、順に確認しましょう。
| 規模 | 主な懸念 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 小規模企業 | 費用と効果の釣り合い | 効果の試算根拠、契約期間 |
| 50~100名規模 | 連携の不足、担当者の不足 | 連携の範囲、自社の作業量 |
| 大企業 | 繁忙期の稼働、部門調整 | 体制、審査にかかる期間 |
支援範囲と費用の内訳を書面で確認する
どの規模でも、支援の範囲と費用の内訳を書面で確認することが基本です。含まれる作業、含まれない作業、追加費用が発生する条件を、見積書や契約書で明らかにします。契約前に確認しておくと、後からの行き違いを減らせます。
範囲があいまいなままだと、あとから追加の依頼や費用が生じる場合があります。変更が必要になったときの手続きも、あらかじめ決めておきましょう。複数の依頼先から見積もりを取ると、含まれる作業の違いが分かります。
成果物と権利の扱いを契約で取り決める
委託契約では、報告書、学習済みモデル、プログラムなどの成果物について、権利の帰属と利用範囲を取り決めます。契約書の条項は、法務の担当者にも確認してもらいましょう。経済産業省は、AIの利用や開発に関する契約チェックリストを公開しています。
規模が変わって利用する部門や拠点が増えたときにも、成果物を継続して使えるかが重要です。ライセンスの範囲、再利用の可否、第三者への提供の制限を確認しましょう。再利用に制限がある場合は、将来の展開に影響するため、契約前に条件を確かめます。
規模の変化に対応できるかを聞く
企業が成長して規模が大きくなると、必要な支援の内容も変わります。依頼先が、規模の拡大や利用部門の増加に応じて、支援の範囲を広げられるかを確認しておきましょう。支援の単価や契約の形態が変わらないかも、見ておきたい点です。
逆に、事業の縮小で支援を減らしたい場合の条件も大切です。契約の見直しや解約の条件を、規模の変化を想定して取り決めておくと、長期的な負担を抑えられます。規模の拡大に伴う体制の変更についても、あらかじめ相談しておきます。
規模に応じて相談できるAI支援サービス
企業規模ごとの懸念を踏まえ、対象となる規模や依頼の進め方が確認できるサービスを取り上げます。
AIDX顧問
- AI・DXのプロがヒアリングから構築、内製化まで一気通貫で支援
- AIを活用した理想の社内体制を構築し、貴社の資産を増やせる
- 貴社の業務・環境に応じた最新AIの活用方法を月1でアドバイス
株式会社LOGが提供する「AIDX顧問」は、AI・DXの専門家が、ヒアリングから設計、実装、内製化までを支援するAI顧問サービスです。全ての規模に対応するとされ、提供エリアは全国で、月1回のアドバイスを受けながら継続して進める形です。自社の規模や課題に応じた依頼範囲や進め方は、ヒアリングの段階で相談できます。業務や環境に応じた最新のAIの活用方法を提案する点が特徴で、疑問点があれば打ち合わせの場で都度相談しながら進められます。
pluszeroのAI開発
- AI開発だけでなく、上流から下流までワンストップで対応可能
- 企業規模・分野を問わず、様々な事業課題の相談が可能
- 自然言語処理に注力し、研究開発を通して技術の進展を牽引
株式会社pluszeroが提供する「pluszeroのAI開発」は、課題発見からAI開発、保守までをワンストップで提供するアウトソーシングサービスです。企業規模を問わず、さまざまな事業課題を相談できるとされています。専任のタスクフォースが社内の情報システム部門のように対応するため、専任の担当者を置きにくい企業も、依頼の形を確認できます。対応する機能として、AIソリューションの開発・実装とデータ分析・モデリングが示されています。
Microsoft 365 Copilot
- ワークショップ/PoC/アセスメント/サポート/カスタマイズの5Plan
- 何から利活用を始めていいかわからない方に向けた体験とサービス
- Microsoft 365 Copilotトータルソリューションパートナー 認定
株式会社ピーエスシーが提供する「Microsoft365 Copilot」は、Copilotの活用を支援するサービスで、ワークショップ、PoC、アセスメント、サポートなどの5つのプランが用意されています。対象とする企業の規模は、資料で確認しましょう。何から利活用を始めればよいか分からない企業に向けた体験も用意されています。AI導入戦略の策定を含む対応機能やプランごとの範囲は、資料で確かめられます。
AI導入支援サービス (deep consulting株式会社)
- AIエンジニアとデータサイエンティストが最先端技術を提供
- PoCのみなどスポット的なコンサルティングにも対応
- 自社でAI開発できる体制づくりを支援
ChatGPT活用コンサルティング (株式会社HappyCreate)
- AIチャットボットランキング第1位
- 中小企業向けAIチャットボット導入サービス
- 従業員向けのChatGPT活用トレーニングも提供
AIコンサルティングに関するよくある質問
AIコンサルティングの企業規模の懸念点についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:小規模企業でも、AIコンサルティングを依頼する意味はありますか?
- A:対象業務やデータの量によって異なります。依頼前に効果の見込みを試算してもらい、単発の相談やPoCから始めると、費用に見合うかを確かめられます。
- ■Q2:大企業では、どの時期の依頼に注意が必要ですか?
- A:決算期や年度末など、報告や成果物が集中する時期は、依頼先と自社の双方の稼働が逼迫する場合があります。繁忙期の対応体制を事前に取り決めるか、時期をずらして計画しましょう。
- ■Q3:企業の規模が変わったら、契約を見直せますか?
- A:契約の内容によります。規模の拡大や縮小に応じて、支援の範囲や契約の形態を変更できる条件を、契約前に確認しておくと安心です。
- ■Q4:兼務の担当者しか置けない場合は、どうすればよいですか?
- A:自社が関わる作業量を事前に聞き、無理のない体制を決めましょう。手順書の整備を依頼しておくと、支援の終了後も運用を引き継ぎやすくなります。
まとめ
AIコンサルティングの企業規模ごとの懸念点は、小規模企業では費用対効果、50名から100名規模では連携と担当者の確保、大企業では繁忙期の稼働や部門調整が中心です。原因は複数あるため、契約前に範囲、費用、成果物の権利を書面で確認しましょう。自社の規模にあう依頼先を探すため、複数の資料を請求して比較してみてください。

