使いにくい生体認証システムに見られる特徴
使いにくさは、毎日認証する利用者と、設定や管理を担う管理者の両方の立場で生じる可能性があります。どのような特徴があると使いにくいと感じられやすいのか、認証の速さ、管理画面、利用者への適合という代表的な3つの例を見ていきましょう。
認証に時間がかかり出入口が混雑する
1回の認証に時間がかかる製品や、何度もやり直しが必要な製品では、始業時刻前の出入口に行列ができる場合があります。認証の速さは、端末の処理性能だけでなく、登録人数の多さや照合の方式、ネットワークの状態によっても変わります。
認証の立ち位置や手の置き方が直感的にわからない端末では、やり直しが増えやすいでしょう。画面や音声で認証の手順を案内する機能があるか、朝の混雑時を想定した人数で試せるかを確認しましょう。
管理画面の操作が複雑でわかりにくい
管理者にとって使いにくい製品では、利用者の登録や権限の変更といった日常的な操作に、何度も画面を切り替える必要があります。メニューの名称が専門用語で書かれていたり、設定項目の説明が不足していたりすると、操作のたびにマニュアルを確認する手間が生じます。
ITに詳しい担当者が社内にいない場合、この手間が運用の負担として積み重なります。よく使う操作を少ない手順で完了できるか、画面上で操作の案内が表示されるかを、試用の段階で実際の担当者が確かめましょう。
利用者の体格や状態にあわない
端末の設置の高さが固定されている場合、身長差のある利用者や車いすの利用者が認証しにくくなる場合があります。顔認証では、カメラの位置と顔の高さがあわないと認証に失敗しやすくなります。
指紋認証では、指先の状態によって読み取りにくい利用者がいる点にも注意が必要です。一部の利用者だけが毎回認証に苦労する状態が続くと、不満の原因になりかねません。多様な利用者を想定し、複数の認証方式を選べるか、代替手段を用意できるかを確認しておきましょう。
生体認証システムの初期設定の難しさ
生体認証システムの初期設定がどの程度難しいかは、製品の仕組みや導入規模、既存の設備によって異なります。つまずきやすい場面を事前に知っておくと、準備や外部の支援の必要性を判断しやすくなります。
端末の設置とネットワークの設定
初期設定で難しさを感じやすいのが、認証端末の設置とネットワークの設定です。端末を社内ネットワークにつなぐ際は、IPアドレスの設定やファイアウォールの調整が必要になる場合があります。ネットワークの知識がないと、作業が進まないことも考えられます。
入退室の扉と連動させるには、電気錠までの配線工事や制御盤の設定も発生します。自社で対応できる範囲と、提供会社や施工業者に依頼する範囲を事前に確認し、初期設定の支援や代行が契約に含まれるかを見積もりの段階で確かめておきましょう。
利用者の一斉登録にかかる手間
導入時には、利用者全員の生体情報を登録する作業が発生します。本人が端末の前で登録する方式の場合、利用者の人数が多いほど日程の調整や登録会の運営に手間がかかります。拠点が複数ある場合は、拠点ごとの登録作業も必要です。
氏名や社員番号をまとめて取り込む機能や、事前に用意した顔写真から登録できる機能があるかどうかで、作業の負担は変わります。登録の手順書やテンプレートが用意されているかも、初期設定の難しさを判断する材料です。
生体認証のサポート対応が遅いと感じる場面
トラブル時に提供会社のサポートからの回答が遅いと、業務への影響が長引く場合があります。サポートの対応が遅いと感じる要因と、問い合わせを円滑に進めるために利用者側でできる準備を整理します。契約前の確認にも役立ててください。
対応の遅れにつながる主な要因
サポートの対応が遅れる要因には、受付時間外の問い合わせや問い合わせの集中が考えられます。原因の調査に時間がかかる不具合や、契約プランによる優先度の違いも影響します。例えば、平日の日中のみ受け付けている窓口に夜間に問い合わせた場合、回答は翌営業日以降となることがあります。
ハードウェアとソフトウェアで問い合わせ先が分かれている場合や、販売代理店を経由する場合も、回答までに時間がかかることがあります。契約前に、受付時間、回答までの目安時間、緊急時の連絡手段を確認しておきましょう。
問い合わせを円滑に進める準備
サポートの対応時間を短くするためには、問い合わせる側の準備も大切です。発生日時、端末の設置場所、エラーメッセージの内容、影響を受けている利用者の人数、すでに試した対処を整理して伝えましょう。原因の調査が進みやすくなります。
問い合わせの内容と回答は社内で記録し、共有しておきましょう。同じトラブルが再び起きた際に社内で対応できる範囲が広がり、サポートへの問い合わせ自体を減らせる可能性があります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生体認証の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
スマホでの生体認証が使いにくくなる制限
スマートフォンの顔認証や指紋認証を使って業務システムにログインする方法は、専用端末が不要で手軽な反面、端末の条件や管理の面で制限が生じる場合があります。導入前に確認したい3つの制限を紹介します。
機種やOSによる対応の違い
スマートフォンに搭載されている生体認証の機能は、機種によって顔認証か指紋認証か、あるいは両方かが異なります。生体認証のセンサーを搭載していない機種では、そもそも利用できません。
生体認証システムやアプリが対応しているOSのバージョンにも条件がある場合があり、古い機種では利用できないことがあります。従業員が使うスマートフォンの機種やOSを事前に把握し、対応状況を提供会社に確認しましょう。OSの更新後に動作が変わる可能性もあるため、更新時の対応方針も確かめておくと安心です。
生体情報の保存先と管理の制約
スマートフォンの生体認証では、生体情報が端末の中に保存され、サーバには送られない仕組みが採用されている場合があります。FIDO2などの規格に対応した認証では、端末内で本人確認を行い、その結果だけをサーバに伝えます。
この仕組みは生体情報の漏えいリスクを抑えられる一方、管理者が利用者の生体情報を一元管理できないという特徴もあります。機種変更の際には、新しい端末で生体情報や認証の設定をやり直す必要がある点を運用ルールに組み込みましょう。
私物スマホを業務に使う場合の課題
従業員の私物のスマートフォンを業務の認証に使う場合、会社が端末の設定やセキュリティの状態を管理しにくいという課題があります。端末の紛失時の対応や、退職時の認証設定の解除方法もあらかじめ決めておく必要があります。
私物の端末に業務用のアプリを入れることに抵抗を感じる従業員もいるため、利用の同意やルールの説明も欠かせません。会社支給の端末で利用するのか、私物の端末を認めるのかを決めたうえで、対応する製品を選びましょう。
生体認証の使いにくさを導入前に見抜く方法
使いにくさには、資料を読むだけではわからず、実際に操作してみて初めて気づく部分があります。導入後に後悔しないために、導入前の試用と導入後の改善の仕組みという2つの取り組みを紹介します。
現場担当者による試用と評価
無料トライアルやデモ機の貸し出しを活用し、実際に使う現場の担当者に操作してもらいましょう。情報システム部門だけで評価すると、現場の利用者が感じる不便さや、案内表示のわかりにくさを見落とすおそれがあります。
試用では、朝の混雑を想定した連続認証、マスクや手袋を着けた状態での認証、新しい利用者の登録、権限の変更といった場面を試すことが大切です。評価項目をまとめたチェックシートを用意すると、複数の製品を同じ基準で比較できます。
導入後の改善要望を受け付ける仕組み
導入前に十分に試しても、運用を始めてから気づく使いにくさもあります。利用者が不便に感じた点を報告できる窓口を設け、定期的に内容を集計しましょう。
設定の見直しで改善できる内容は社内で対応し、製品の機能に関わる内容は提供会社に要望として伝えます。要望を受け付ける窓口や、機能改善の情報を利用企業に公開しているかも、製品を選ぶ際の確認項目です。改善の結果を利用者に共有すると、運用への理解も得やすくなります。
認証時の手間を減らしたい企業向けの製品
乾燥した指や指の置き方に配慮した指紋リーダーや、パスワード忘れの心配がない顔認証など、使いにくさの解消に向けて比較したい製品を紹介します。
DigitalPersona SDK
- 乾燥指に強い指紋リーダーを使用可能
- 360度どこからでも認証可能な指紋リーダーを使用可能
- 登録時の指の置き方を再現不要な指紋リーダーを使用可能
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する「DigitalPersona SDK」は、アプリケーションに指紋認証システムを組み込むための開発キットです。360度どの向きからでも認証できる指紋リーダーや、登録したときの指の置き方を再現しなくても認証できる指紋リーダーを利用できます。乾燥した指に強い指紋リーダーにも対応しています。認証のたびに指の向きを気にする手間を減らしたい場合に確認したい製品です。自社のアプリケーションに組み込んで使う開発者向けの製品のため、開発体制もあわせて確認しましょう。
EdgeFACE
- オフィスや工場のDXを推進するエッジ・オンプレ顔認証システム
- 完全売り切りで1台から導入可能!SDKは無償提供で量産活用可能
- パスワード忘れ・鍵紛失の心配なし!ICカード書き換え作業も不要
イノテック株式会社が提供する「EdgeFACE」は、エッジとオンプレミスで動作する顔認証システムです。顔で本人を確認するため、パスワードを忘れたり鍵を紛失したりする心配がなく、ICカードの書き換え作業も不要です。こうした点は、利用者と管理者の手間を比べる際の材料の一つです。国産の顔認証AIと国産の産業用パソコンメーカーの強みを掛け合わせ、長期の安定稼働を重視しています。売り切り型で1台から導入でき、SDKは無償で提供されます。
FaceVOX〜ekyc対応顔認識AI〜 (vizo株式会社)
- お客様の利用環境やシステムに合わせ様々なカスマイズが可能
- 他社のAPIを利用しておらず、自社オリジナルAIモデルを使用
- オンライン電子本人認証(eKYC)の対応でよりセキュリティを強化
KPASクラウド (パナソニック コネクト株式会社)
- 世界最高水準の顔認証精度を実証済み。
- 汎用端末+API連携によるスピーディな導入。
- 入退場管理・勤怠・決済連携など幅広いユースケースに対応。
NeoFaceKAOATO (NECソリューションイノベータ株式会社)
- マスク着用時でも顔認証が可能
- AIによる振る舞い検知でウォークスルー認証を支援
- マスキング機能でプライバシーに配慮した運用が可能
AUTH thru (株式会社ロココ)
- 顔認証で手ぶら解錠、ICカード・暗証番号不要。
- 認証ログを自動記録し、管理画面から確認可能。
- 拠点・扉ごとに細かく入退場制限を設定可能。
VisionPass / VisionPass SP (株式会社昭電)
- 3D・赤外線カメラ搭載で、マスクや横顔でも認証可能。
- 非接触の高速顔認証で、円滑なアクセス管理を実現。
- 屋内外対応で既存の入退室管理システムと統合可能
まとめ
生体認証システムが使いにくいと感じる原因は、認証の速さや管理画面の操作性といった製品の特徴だけではありません。初期設定の難しさやサポート体制、スマホで利用する際の機種やOSの条件も関係します。
導入前に現場の担当者と試用し、使いにくさが生じる場面を確かめておくことが大切です。複数の製品を資料請求し、自社の環境で無理なく使えるかを比較してみてください。

