企業規模とCDNがかみあわないときの懸念点
CDNの選定で起こりうるミスマッチは、大きく2つの方向に分けられます。自社の規模に対して製品や契約が大きすぎる場合と、反対に小さすぎる場合です。それぞれでどのような問題が起こりうるのかを整理しておきましょう。
規模に対して製品や契約が大きすぎる
配信量が少ない企業が、大規模な配信を前提とした製品や契約を選ぶと、使わない機能や最低利用料金の分まで費用を支払う可能性があります。設定項目が多い製品では、担当者が使いこなせず、運用の負担が増えることも考えられます。
高機能な製品が悪いわけではなく、自社の利用状況に対して費用や運用の負担が見合っているかが問題です。導入前に、必要な機能と配信量を整理しておくことが重要です。将来の拡大は、契約の更新時に見直す前提で考えるとよいでしょう。
規模に対して機能や処理能力が足りない
反対に、事業の規模や配信量に対して機能が足りない製品を選ぶと、手作業が残ったり、繁忙期に十分な効果を得られなかったりする場合があります。権限管理や操作履歴の機能が不足し、複数人での運用が難しくなることもあります。
導入時には問題がなくても、事業の成長にあわせて配信量や利用者が増えると、不足が表面化するケースもあります。数年先の事業計画もふまえて、上位プランへの移行のしやすさを確認しておきましょう。
小規模企業でCDNの費用対効果が悪くなるケース
従業員が少なく、サイトへのアクセスも限られる企業では、CDNの費用が効果を上回ってしまう場合があります。50名規模の企業や、トラフィックが少ない小規模企業で起こりうるケースと、費用対効果を見直す手順を紹介します。
50名規模で高機能なCDNを選んだケース
50名規模の企業が、WAFやボット対策、高度な分析機能を含む上位プランを契約したものの、配信量が少なく機能も使いこなせないケースが考えられます。この場合、月額の固定費が効果に見合わず、割高な状態が続く可能性があります。
原因としては、将来の拡大を見越して大きめの契約をした、営業担当者の提案のまま機能を選んだといった点が挙げられます。契約前に、自社で使う予定の機能と使わない機能を書き出し、プランの内容と照らしあわせることが大切です。
トラフィックが少ない企業が契約したケース
月間のアクセスが少ないコーポレートサイトでは、CDNを導入しても表示速度の改善を実感しにくい場合があります。もともとサーバの負荷が低く、利用者も国内の近い地域に限られる場合は、CDNの効果が小さくなりやすいためです。
このような状況で最低利用料金のある契約をすると、費用対効果が悪くなる可能性があります。小規模なサイトでは、無料プランや無料枠、最低利用料金のない従量課金の製品から試す方法も検討しましょう。
費用対効果を見直す手順
すでにCDNを契約していて費用対効果に疑問がある場合は、まず管理画面で実際の配信量や、キャッシュ(一時保存したデータ)が使われた割合を確認しましょう。利用していない機能やオプションがあれば、解約やプランの変更を検討します。
あわせて、導入前と比べた表示速度やサーバ費用の変化を確認し、効果を数値で把握することが大切です。契約期間の途中でプランを下げられるか、違約金が発生するかも契約書で確認しておきましょう。見直しの結果は、次回の契約更新の判断材料として記録に残します。
100名規模で安価なCDNを選んだ際の機能不足
100名規模の企業では、複数のサイトや社内システムとCDNを組み合わせて運用するケースがあります。料金の安さを優先して製品を選ぶと、既存のシステムと連携できずに手作業が残る場合があります。起こりうる問題と確認したい点を整理します。
基幹システムと連携できないケース
例えば、商品や価格の情報を基幹システムで管理し、その内容をWebサイトに反映している企業では、更新のたびに関連するページのキャッシュを削除する必要があります。安価な製品で、キャッシュ削除をプログラムから操作するためのAPIが提供されていない場合は、自動化が難しくなります。呼び出し回数の上限が低い場合も同様です。
その結果、担当者が管理画面から手作業で削除を行うことになり、作業の漏れや反映の遅れにつながる可能性があります。更新の件数が多い企業ほど、この負担は大きくなります。
手作業が残りやすい業務の例
連携の不足によって手作業が残りやすい業務として、キャッシュの削除のほかに、ログの集計や利用料金の部門別の配賦、アカウントの追加と削除が挙げられます。ログをCSVで出力できない製品では、報告資料の作成に時間がかかる場合があります。
また、1回のログインで複数のサービスを使えるシングルサインオンと連携できない製品では、担当者の異動や退職のたびに個別にアカウントを管理する必要があります。小さな手作業でも、積み重なると運用の負担や設定ミスの原因になりえます。
契約前に確認したい連携要件
機能不足を避けるには、契約前に連携が必要な業務を洗い出し、製品が対応しているかを確認することが大切です。APIで操作できる範囲や呼び出し回数の上限、ログの出力形式、シングルサインオンへの対応などが主な確認項目です。
料金の安さだけで比較せず、手作業にかかる人件費も含めて費用を比べましょう。対応状況が資料でわからない場合は、ベンダーに具体的な業務の流れを伝えて回答を得ると、判断の精度が上がります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCDNの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
大企業でアクセス集中に処理が追いつかないケース
大規模なサイトを運営する企業では、セールやキャンペーンの際にアクセスが集中し、CDNを導入していても表示の遅れやエラーが発生する場合があります。原因はCDN側だけとは限らず、複数の要因が重なることもあります。
アクセス集中時に遅延が起こる主な原因
アクセス集中時の遅延は、キャッシュできないページへのアクセスが増え、元のデータを置くオリジンサーバに処理が集まることで起こる場合があります。カートや決済、会員ページなど、利用者ごとに内容が変わる画面はCDNでキャッシュできないためです。
また、キャッシュの保持期間が短すぎる設定や、URLの末尾に付く文字列の違いで同じページが別々に保存される設定も、オリジンへの負荷を高める要因です。データベースやアプリケーションの処理能力が影響している場合もあります。
契約や設定による制限
CDNの契約によっては、帯域やリクエスト数に上限が設けられていたり、大量のアクセスが想定される場合に事前の申請を求められたりすることがあります。上限や申請の要否を把握していないと、セール当日に想定外の制限がかかる可能性があります。
また、WAFやボット対策の設定が厳しすぎると、正常な利用者のアクセスまで遮断される場合があります。集中時の挙動を想定し、設定と契約条件を事前に確認しておくことが重要です。
事前に講じたい対策
アクセス集中に備えるには、セール前にキャッシュできるページの範囲を見直し、主要なページのキャッシュを準備しておくことが有効です。複数の配信拠点からの問い合わせを集約してオリジンを守る機能があれば、活用を検討しましょう。
あわせて、ベンダーが許可する方法で負荷試験を行い、どこで処理が詰まるかを把握しておくことも大切です。当日の監視体制やベンダーへの連絡手順を決め、関係部署と共有しておくと、問題が起きた際も初動を早められます。
規模にあうCDNを選ぶための事前準備
企業規模とCDNのミスマッチを避けるには、従業員数だけでなく、実際の配信量や運用体制をもとに判断することが大切です。一度選んで終わりにせず、導入後も定期的に確認する姿勢が重要です。導入前と導入後に取り組みたい準備を2つ紹介します。
配信量と運用体制の可視化
CDNを選ぶ前に、月間の転送量やリクエスト数、アクセスが集中する時期、配信先の地域を把握しておきましょう。あわせて、運用を担う人数や知識の程度、連携が必要なシステムも整理しておきます。
これらの情報があれば、必要な機能と不要な機能を判断しやすくなり、ベンダーからも自社の規模にあった提案を受けやすくなります。情報は1枚の資料にまとめ、社内の関係者と共有しておくと、選定の判断がぶれにくくなります。
段階的な契約と定期的な見直し
将来の規模が読みにくい場合は、最初から長期の大型契約を結ぶのではなく、従量課金や短期の契約から始める方法があります。利用状況を見ながら、必要に応じて上位プランや年間契約へ移行しましょう。
導入後も、半年や1年ごとに配信量や費用、使っている機能を見直すことが大切です。事業の変化にあわせて契約を調整すれば、過剰なコストや機能不足を早めに解消できる可能性があります。見直しの時期は、予算策定のスケジュールとあわせて決めておくと進めやすくなります。
自社の規模にあう候補を探せるCDN
費用や機能、アクセス集中への備えなど、企業規模とのかみあいを確かめながら比較したいCDNサービスを紹介します。
エッジキャッシュCDN
- 限られた予算で効率化・年間予算を決定しやすい月額定額料金採用
- 専門知識不要・設定やチューニングはすべてサポートが実施
- Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入可能
合同会社レッドボックスが提供する「エッジキャッシュCDN」は、従業員規模・売上規模を問わず、全ての規模に対応するCDNサービスです。月額定額の料金体系を採用しており、年間予算を立てやすい点が特徴です。キャッシュ技術を活用し、Web表示速度の向上や突発的なアクセス集中への対策を図れます。設定やチューニングはサポートが実施するため、規模の小さい企業で運用担当者を確保しにくい場合にも比較検討できるでしょう。
KeyCDN (proinity LLC)
- 世界のエッジサーバーを活用した低遅延配信CDN
- HTTP/2・Brotliによる高速化・性能最適化
- APIとSDKで既存インフラやアプリへ容易に統合可能。
HyperCDN (株式会社ハイパーボックス)
- 国内エッジサーバー多数でキャッシュ配信し負荷分散。
- SSL対応、CNAMEで自社ドメイン利用可。
- 転送量ダッシュボード、アラート、アクセスログを提供。
IDCFクラウド CDN (株式会社IDCフロンティア)
- 国内外に多数の拠点!居場所を問わず安定した配信が可能!
- ログをリアルタイムで保存!利用者の動向をすぐに掴める!
- 豊富な料金プランでニーズに合った契約ができる!
AkamaiCDN (アカマイ・テクノロジーズ合同会社)
- 世界規模の分散サーバーから低遅延配信。
- Web/アプリ向け高可用性・高スケーラビリティ
- 配信、API、メディア向け最適化・負荷分散に対応。
Google Cloud CDN (グーグル合同会社)
- Googleのエッジ網でコンテンツを高速配信
- 遅延低減によるウェブ・アプリの性能向上
- キャッシュ活用でサーバー負荷と帯域コストを削減
CacheFly (CacheNetworks, LLC.)
- 75拠点以上のサーバ網を展開し、配信実績多数。
- 動画・ゲーム・ソフト配信に最適化された高速転送機能を搭載。
- 100%稼働SLAと柔軟なプランで安定運用を実現するCDN。
まとめ
CDNは、企業規模や配信量にあわないと、過剰なコストや機能不足、アクセス集中時の処理の遅れといった課題につながる可能性があります。小規模企業では、最低利用料金や使わない機能に注意が必要です。中規模企業では連携の範囲、大企業では契約上の制限やキャッシュの設定を確認しましょう。自社の配信量と運用体制を把握したうえで、資料請求をして規模にあうCDNを比較検討してみてください。

