Web担当1人でCDN運用が回らなくなるケース
中小企業では、Web担当者が1人でサイトの更新とCDNの運用を兼ねているケースがあります。普段は回っていても、特定の場面で作業が集中し、対応が追いつかなくなる場合があります。起こりうる状況と負担を分散する方法を見ていきましょう。
作業が集中しやすい場面
Web担当者1人の体制で負担が大きくなりやすいのは、キャンペーンやサイトリニューアルなど、更新とキャッシュ(一時保存したデータ)の削除が短期間に重なる場面です。障害の対応と通常業務が同時に発生すると、どちらかが後回しになる可能性があります。
また、担当者が休暇や体調不良で不在のときに問題が起きると、ほかに対応できる人がいないため、復旧までに時間がかかる場合があります。証明書の更新期限など、定期的な作業が漏れるリスクも高まります。
負担を分散する工夫
1人体制の負担を減らすには、キャッシュの削除や証明書の更新など、定型的な作業をできるだけ自動化することが有効です。記事を管理するCMSと連携した自動削除や、証明書の自動更新に対応した製品を選ぶと、手作業を減らせます。
あわせて、手順書を作成し、上長やほかの部署のメンバーにも基本的な操作を覚えてもらいましょう。判断に迷う場面で相談できる外部の支援先を確保しておくことも、担当者1人に依存しない体制づくりにつながります。
情シス不在でCDNを導入した際に起こりうるトラブル
情報システム部門がない会社では、DNSや証明書、セキュリティといった専門的な設定を、Web担当者や総務担当者が手探りで進めるケースがあります。その結果として起こりうるトラブルを3つ紹介します。
DNSや証明書の設定を誤る
CDNの導入では、ドメインの行き先を決めるDNSの設定変更が必要です。設定値を誤ると、サイトやメールが使えなくなるおそれがあります。特に、メールの設定を同じドメインで管理している場合は、変更の影響範囲に注意が必要です。
また、SSL証明書の設定が不十分だと、閲覧者のブラウザに警告が表示される場合があります。作業前に現在の設定値を記録し、変更の手順をベンダーのマニュアルで確認しながら進めましょう。
障害時に原因を切り分けられない
サイトが表示されないといった問題が起きたとき、原因はCDN、元のデータを置くオリジンサーバ、DNS、利用者側の環境など複数の可能性があります。専門知識を持つ人がいないと、どこを確認すればよいかがわからず、対応が長引く場合があります。
障害時に確認する項目と順番、CDN事業者の障害情報ページ、問い合わせ先をまとめた手順書を用意しておくと、初動を早められます。制作会社など外部の支援先がある場合は、連絡の方法と対応範囲も記載しておきましょう。
セキュリティ設定が見直されないまま運用される
専門の担当者がいない場合、不正な通信を遮断するWAFやアクセス制限の設定を初期状態のまま使い続けるケースがあります。初期設定が自社のサイトに適しているとは限らず、必要な防御が働いていなかったり、正常な通信を遮断していたりする可能性があります。
管理画面へのログインに多要素認証を設定していない場合は、アカウントが不正に使われるリスクも高まります。年に1回程度は外部の専門家やベンダーに設定を確認してもらう機会を設けると安心です。
複数拠点で設定とキャッシュが混乱するケース
拠点や事業部ごとにサイトを運営している企業では、CDNの設定やキャッシュの管理が拠点ごとに分かれ、全体として混乱が生じる場合があります。本社が全体を把握できていないと、問題の発見も遅れがちです。複数拠点での運用で起こりうる3つの問題を整理します。
拠点ごとに配信設定がばらつく
各拠点がそれぞれの判断でCDNを設定すると、キャッシュの保持期間やセキュリティの設定が拠点ごとに異なる状態が生まれます。ある拠点ではWAFが有効なのに、別の拠点では無効といった差が生じる可能性があります。
設定のばらつきは、障害やセキュリティ事故の際に原因の特定を難しくします。全社で守るべき共通の設定を文書で定め、本社で定期的に各拠点の設定を確認する仕組みを整えることが大切です。設定をテンプレート化して配布できる製品なら、統一の手間を減らせます。
キャッシュ削除の影響範囲が読めない
複数のサイトが1つのCDN契約を共有している場合、ある拠点が実行したキャッシュの削除が、他の拠点のサイトにも影響することがあります。広い範囲の削除を実行すると、オリジンサーバへのアクセスが一時的に増え、表示が遅くなる場合もあります。
キャッシュの削除を実行できる範囲を拠点ごとに分けられるか、削除の履歴を確認できるかを確認しましょう。大規模な削除を行う際の事前連絡のルールを決めておくことも有効です。
費用と利用状況を把握しにくい
拠点ごとに個別のCDNを契約していると、全社でどれだけの費用がかかっているかを把握しにくくなります。同じ機能を重複して契約していたり、利用されていない契約が残っていたりする可能性もあります。
契約を集約できるか検討するとともに、拠点ごとの利用量と費用を定期的に集計しましょう。拠点別に利用状況を集計できるCDNを選ぶと、費用の配賦や見直しを進めやすくなります。集計結果は、拠点の責任者と共有しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCDNの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
情シスと制作・開発部門の分業で起こる問題
情報システム部門と制作・開発部門でCDNの運用を分担する体制は、専門性を活かせる一方で、部門間の連携が不足すると問題が起こる場合があります。責任の所在が不明確なまま運用を続けると、小さな問題が大きなトラブルに発展するおそれもあります。分業体制で起こりうる問題を3つ紹介します。
設定変更の連絡が漏れる
制作部門がサイトの構成を変更した際に、情報システム部門へ連絡が届かず、CDNの設定が古いまま残るケースがあります。その結果、新しいページがキャッシュされない、または更新が反映されないといった問題につながる可能性があります。
反対に、情報システム部門がセキュリティ設定を変更し、制作部門が把握しないままサイトの一部が表示されなくなる場合もあります。変更の予定と内容を共有する仕組みを設けることが重要です。
障害時の対応範囲があいまいになる
障害が起きた際、原因がCDNの設定なのか、サイトのプログラムなのかがすぐにはわからない場合があります。対応の範囲が決まっていないと、各部門が相手側の確認を待ってしまい、対応が滞る可能性があります。
障害時に一次対応を担う部門と、原因の切り分けの手順、上位者や専門部署へ対応を引き継ぐエスカレーションの流れを事前に決めておきましょう。対応の記録を残しておけば、再発防止の検討にも役立ちます。年に1回程度、部門合同で障害対応の訓練を行うのも有効です。
権限の設定が業務とかみ合わない
CDNの管理画面で、全員に管理者権限を付与していると、意図しない設定変更が起こるリスクが高まります。反対に、権限を厳しく制限しすぎると、制作部門がキャッシュの削除のたびに情報システム部門へ依頼する必要が生じ、作業が滞る場合があります。
業務の内容にあわせて、部門ごとに必要な操作だけを許可できるかを確認しましょう。操作履歴を記録する機能があると、変更の経緯を後から確認できます。権限の見直しは、組織変更のタイミングにあわせて行いましょう。
CDN運用の失敗を減らす体制の見直し方
ここまで紹介した問題の多くは、運用ルールの整備と定期的な見直しによって起こる可能性を下げられます。特定の製品に乗り換えるだけでは改善しない場合もあるため、まずは体制とルールを点検しましょう。体制を見直す際に確認したい主な項目は次のとおりです。
- ■手順書
- 設定変更や障害対応の手順が文書化され、複数人が参照できるか
- ■権限
- 担当者ごとの操作範囲が業務内容とかみ合っているか
- ■連絡体制
- 変更時と障害時の連絡先と順番が決まっているか
運用ルールの文書化と共有
CDNの運用ルールは、設定変更の申請と承認、キャッシュ削除の範囲、障害時の連絡手順などを文書にまとめ、関係者全員が参照できる場所で共有しましょう。紙ではなく社内のWikiやクラウドストレージで管理すると、更新や検索の手間を減らせます。
ルールは作って終わりではなく、実際の運用で困った点を反映して改善していくことが大切です。新しい担当者が加わった際の説明資料としても活用できます。更新した日付と担当者を記録しておくと、内容の鮮度も管理できます。
定期的な設定と体制の棚卸し
半年や1年ごとに、CDNの設定や契約、アカウントの一覧を棚卸しすることをおすすめします。退職者のアカウントが残っていないか、使われていない設定やオプションがないかを確認しましょう。
あわせて、運用を担う人数や役割分担が現状にあっているかも見直します。体制に無理がある場合は、自動化の範囲を広げる、外部の支援を受けるといった選択肢を検討し、特定の担当者に負担が偏らない状態を目指しましょう。棚卸しの結果は経営層にも報告しておくと、体制強化の判断材料になりえます。
運用体制の課題を踏まえて選ぶCDN
担当者1人での運用や情シス不在、複数拠点での管理など、体制面の課題を踏まえて比較したいCDNサービスを紹介します。
エッジキャッシュCDN
- 限られた予算で効率化・年間予算を決定しやすい月額定額料金採用
- 専門知識不要・設定やチューニングはすべてサポートが実施
- Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入可能
合同会社レッドボックスが提供する「エッジキャッシュCDN」は、設定やチューニングをすべてサポートが実施するCDNサービスです。情報システム部門がない企業や、Web担当者が1人で複数業務を兼ねている企業でも、専門的な調整作業を任せる形で運用を進められます。Webサイトやサーバーに変更を加えずに導入できるため、制作・開発部門の作業への影響も抑えられるでしょう。キャッシュ技術を活用し、Web表示速度の向上や突発的な負荷への対策を図れます。
Cloudflare (Cloudflare Japan株式会社)
- 1つのダッシュボードで全拠点のネットワークを管理可能!
- Enterpriseプランは稼働率100%を実現!
- 平均で1日1,120億件の脅威をブロックする圧倒的な稼働実績!
HyperCDN (株式会社ハイパーボックス)
- 国内エッジサーバー多数でキャッシュ配信し負荷分散。
- SSL対応、CNAMEで自社ドメイン利用可。
- 転送量ダッシュボード、アラート、アクセスログを提供。
IDCFクラウド CDN (株式会社IDCフロンティア)
- 国内外に多数の拠点!居場所を問わず安定した配信が可能!
- ログをリアルタイムで保存!利用者の動向をすぐに掴める!
- 豊富な料金プランでニーズに合った契約ができる!
CDN77 (DataCamp Limited)
- リアルタイムでの詳細なレポートと分析機能を提供。
- API経由でCDN設定の自動化と管理が可能。
- HTTP/3など最新技術をサポート
AzureContentDeliveryNetwork (日本マイクロソフト株式会社)
- グローバルな高速・高信頼性コンテンツ配信。
- カスタムドメインHTTPSなどでコンテンツをセキュアに保護可能。
- Azureとの統合で数分で導入、スケーラブルに対応。
まとめ
CDNの運用でつまずく原因は、体制やルールにある場合があります。例えば、担当者1人への作業の集中や専門知識の不足、拠点ごとの設定のばらつき、部門間の連携不足です。定型作業の自動化や手順書の整備、権限と連絡体制の設計、定期的な棚卸しによって、問題が起こる可能性を下げられます。自社の体制で無理なく運用できる製品を選ぶために、資料請求をして複数のCDNを比較検討してみてください。

