CLM(契約ライフサイクル管理)とは
CLM(契約ライフサイクル管理)とは、契約書の作成から締結、更新や管理、破棄に至るまでのプロセスを一元的に管理する手法やシステムのことです。契約業務の効率化やリスク管理を目的として、ワークフローの自動化、電子署名の統合、契約期限の通知などの機能を備えています。
近年、契約業務のデジタル化が進むなか、CLMツールを導入する企業が増えており、業務効率の向上やコンプライアンスの強化が図られています。
CLMと契約書管理システムの違い
契約業務を効率化するためのシステムには、CLMと契約書管理システムがあります。CLMは契約プロセス全体を効率化するのに対し、契約書管理システムは契約書の保管や検索、アクセス管理に特化しています。目的や利用範囲に応じて適切なシステムを選択することが重要です。近年では、契約書管理システムにもCLMの機能が搭載されるケースが増え、両者の違いが曖昧になりつつあります。
CLMツールを導入するメリット
CLMツールを活用すると、どのようなメリットが得られるのか具体的に解説します。
契約プロセスの自動化と業務効率化
CLMツールを導入することで、契約の作成や承認、締結、更新といった一連のプロセスを自動化し、業務効率を向上させます。テンプレートやワークフロー機能により、手作業の負担を軽減し、確認作業の手間やミスを削減。
さらに、電子署名との連携により、契約締結が迅速化され、業務全体のスピードアップにつながります。契約業務の標準化も進み、担当者ごとの対応のばらつきを防ぎます。
契約リスクの最小化とコンプライアンス強化
契約管理の一元化により、過去の契約内容や承認履歴を明確に把握でき、契約リスクの最小化につながります。アクセス制限や自動アラート機能を活用することで、未承認の契約締結や更新漏れも防止。
さらに、法改正への対応や契約条件の自動チェック機能により、コンプライアンスを強化し、企業のリスクマネジメントを支援します。監査対応も容易になり、適切な契約管理が可能です。
契約データの可視化と最適な管理
契約データをデジタル化することで、企業全体の契約状況をひと目で把握できるようになります。例えば、どの取引先とどれくらいの契約を結んでいるのか、更新が必要な契約はどれかなどを簡単に確認できます。
また、部門ごとの契約コストや交渉の傾向を分析し、契約条件をより有利に改善可能です。
コスト削減と契約ライフサイクルの最適化
CLMツールを導入すると、契約書を電子化が進み、印刷や郵送、紙の保管にかかるコストを削減できます。また、契約業務の流れを自動化することで、手作業が減り、作業時間や人件費の節約につながります。
さらに、契約更新や終了タイミングの適切な管理により、不必要な契約の継続を防ぎます。契約にかかる費用全体を抑えながら、より効率的な契約管理が可能です。
CLMツールの選び方
CLMツールを選ぶ際には、機能や使いやすさ、セキュリティ対策の強度などを考慮することが重要です。以下の4つのポイントを押さえて、最適なシステムを選びましょう。
必要な機能が揃っているか
CLMツールを選ぶ際は、自社の契約業務の課題を解決できる機能が揃っているかを確認することが重要です。例えば、契約の更新漏れを防ぐためのリマインダー機能や、契約交渉の進捗を可視化するワークフロー管理、契約書の作成を効率化するテンプレート機能などが挙げられます。
また、AIによる全文検索や契約データの自動分類ができると、必要な契約書をすぐに見つけられます。自社の業務フローに適した機能があるかを見極めることがポイントです。
使いやすいか
契約業務には法務部門だけでなく、営業や経理など他部門も関わるため、誰でも直感的に操作できるツールを選ぶことが大切です。特に「契約書の検索に時間がかかる」「ワークフローの設定が複雑」など、現場で使いにくいツールは定着しません。
実際の業務フローに即したデモを試す、導入後のサポート体制を確認するなど、運用しやすさを事前に確認しましょう。
セキュリティ対策が十分か
契約書には機密情報が多く含まれるため、CLMツールのセキュリティ対策は非常に重要です。データの暗号化やアクセス制御、不正アクセス防止の機能が備わっているかを確認しましょう。
また、ISO27001などのセキュリティ認証を取得しているか、データのバックアップ体制が整っているかもポイントです。クラウド型の場合は、サーバの安全性や運用元のセキュリティ対策の確認も必要です。
既存システムと連携できるか
現在使用しているシステムとの連携が可能かどうかも重要なポイントです。例えば、電子契約システムや会計ソフト、CRM(顧客管理システム)と連携できると、データの入力作業が減り業務効率が向上します。
また、API連携が可能かどうか、既存システムとの互換性があるかを事前に確認することで、スムーズな導入と運用が実現します。
おすすめのCLMツールを比較
ここでは、多種多様なCLMツールを紹介します。自社のニーズに最適なCLMツール選びにお役立てください。
ContractS CLM
ContractS株式会社が提供する「ContractS CLM」は、契約書の作成から管理、分析までを一元化するクラウド型プラットフォームです。他の業務システムとの連携も容易で、企業のニーズに応じたカスタマイズが可能です。AIによる契約書の自動レビュー機能では、リスクの高い条項を自動検出し、修正提案を行うことで、法務担当者の負担を軽減します。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
Hubble
株式会社Hubble提供する「Hubble」は、契約書のバージョン管理と共同編集に特化したツールです。複数人でのリアルタイム編集やコメント機能を備えています。過去の修正履歴を簡単に追跡でき、契約書の変更点を一目で確認可能です。法務部門だけでなく、他部門との円滑な連携を促進します。
参考価格:月額95,000円~ ※無料プランあり
マネーフォワード クラウド契約
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド契約」は、クラウド型の契約管理システムです。電子契約の締結から契約書の保管・管理までを一元化します。会計ソフトや経費精算システムとの連携により、契約情報をもとにした経理業務の効率化が図れます。中小企業から大企業まで幅広く対応しています。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
OPTiM Contract
株式会社オプティムが提供する「OPTiM Contract」は、AI技術を活用して契約書管理を効率化するクラウド型サービスです。契約書をアップロードするだけで、AIが契約書名や取引先企業名、日付などの情報を自動抽出し、管理台帳を自動作成します。また、電子契約サービスとの連携や、紙のスキャンデータのOCR処理にも対応しており、紙と電子の契約書を一元管理できます。
参考価格:月額9,980円~
契約管理DX ConPass[コンパス]
株式会社日本パープルが提供する「契約管理DX ConPass[コンパス]」は、紙と電子の契約書をクラウド上で一元管理するサービスです。契約書をアップロードするだけで、AIが自動的に管理台帳を作成し、契約期限の通知機能により更新漏れを防止します。また、契約書のスキャンから原本保管までを一括して依頼でき、管理工数を大幅に削減できます。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
Docusign CLM
ドキュサイン・ジャパン株式会社が提供する「Docusign CLM」は、契約ライフサイクル全体を効率化・自動化するプラットフォームです。テンプレートや条項ライブラリを活用した迅速な文書作成、AIを用いた交渉支援、ドラッグ&ドロップによるワークフロー設計など、多彩な機能を備えています。また、SalesforceやSAP Aribaなどの業務アプリケーションとの統合やAPI連携により、ワークフローの接続性と拡張性を向上させます。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
リーガレッジ
株式会社コスモルートが提供する「リーガレッジ」は、契約書業務のDX化を支援するクラウド型契約書管理システムです。契約書をドラッグ&ドロップでアップロードするだけで、AIが自動的に解析・データ化し、登録作業を効率化します。また、条文単位での検索やテンプレート機能により、過去の契約書から参考条文を瞬時に検索・活用できます。
参考価格:8,800円(税込み)
RICOH Contract Workflow Service
リコージャパン株式会社が提供する「RICOH Contract Workflow Service」は、契約に関する相談から締結後の契約書管理までをワンストップで対応するクラウドサービスです。法務相談の自動回答機能により、対応件数の90%削減を実現。法務部門の業務効率化を支援します。また、契約の全過程を記録・検索・閲覧できるため、内部統制の強化やコンプライアンスリスクの低減にも寄与します。
参考価格:ベンダーへお問い合わせください
Keiyaku.Ai
リーガルテック株式会社が提供する「Keiyaku.Ai」は、AIとブロックチェーン技術を活用した次世代の電子契約プラットフォームです。独自のエディターにより、契約書をAI分析に適したデータ形式で作成でき、二重暗号化により情報漏えいを防止します。また、契約書の保管方法として、ブロックチェーンとクラウドの選択が可能で、各企業のDXステージに合わせた運用ができます。
参考価格:13,200円(税込)
まとめ
CLMツールを活用することで、契約業務の効率化、リスク管理の強化、コスト削減が可能になります。選定時には、必要な機能や使いやすさ、セキュリティ対策、既存システムとの連携を重視することが重要です。自社のニーズに適したツールを導入し、契約管理のデジタル化を進めましょう。