機械学習とは?データマイニングとは?
機械学習とデータマイニングの概要を見ていきましょう。
機械学習:分類や予測を行う仕組みを作るための技術
機械学習とは、物事の分類や予測を行うための規則やモデルを自動的に構築する技術です。
従来、機械に何かをさせようとすれば、そのために必要な規則やモデルを人間が全面的に機械に教えなければなりませんでした。しかし、機械学習では機械が膨大なデータを教材として自ら規則・モデルを学習します。
近年注目されているディープラーニングも、機械学習の1種です。ディープラーニングは人間や動物が持つ脳の仕組みを参考にした機械学習の方法で、高度な規則・モデルの学習が可能です。
そして、ディープラーニングを含む機械学習はAIを支えています。AIは人間のように物事を認識したり判断したりする機械ですが、そのためにはまず学習が欠かせないからです。
データマイニング:データの中から有益な情報を得る手法
データマイニング(data mining)とは、膨大なデータの中から有益な知識を得ることです。英単語の「mining」は「採掘」を意味します。データを鉱脈に例えるなら、データマイニングはそこから鉱石に該当する情報を掘り出す活動と言えるでしょう。
データマイニングはさまざまな分野で活用されていますが、代表的なのはマーケティング分野です。たとえば、地域別の商品販売データから「地域Aでは商品Xが売れやすい」といった法則を探し出せます。これが分かれば、地域Aで商品Xの取扱量を増やすなどのマーケティング施策を実施できます。
機械学習とデータマイニングの違い・共通点は?
機械学習とデータマイニングは、どちらも膨大なデータを処理する点で共通しています。しかし、両者は主に目的が異なります。
機械学習は人間が行うことを機械(AI)に代行させるためのものです。つまり、学習した内容は機械自身が用いるのであり、人間はそこに関与しません。たとえば、Webで一般的に使われている自動翻訳機能を考えると分かりやすいでしょう。
これは機械自身が機械学習によって得た知見を基に文章を翻訳するものです。したがって、人間が得られるのは、翻訳結果だけとなります。
一方、データマイニングはあくまで人間の意思決定を支援するものです。膨大なデータを処理して数値やグラフを表示してくれますが、最終的な判断は人間が下します。たとえば、「地域Aでは5人に1人が商品Xを買う」という結果が出ても、これが「よく売れていると言えるか否か」を判断するのは人間です。
機械学習とデータマイニングの関係性は?
続いて、機械学習とデータマイニングの関係性を見ていきましょう。
データマイニングにおける一つのアプローチ方法
機械学習はデータマイニングに活用することも可能です。たとえば、データマイニングによって得られた過去のデータの分析結果から、機械学習したAIが未来のデータを予測できます。未知のデータを予測して判断材料として活用すれば、より適切な意思決定が実現するでしょう。
また、通常のデータマイニングのように判断材料を提供させるのではなく、最初からAIに判断を任せることも可能です。たとえば、購買データを基に機械学習したAIは「地域Aでは商品Xがよく売れる」などと、人間が判断すべき結論まで教えてくれます。ただし、「なぜそう言い切れるのか」については人間が考えなければなりません。
さまざまな分析手法が用いられる
データマイニングに用いられる、機械学習による分析手法にはいくつかの種類があります。代表的なものを見ていきましょう。
- 回帰分析
- ある変数Yの変化を、別の変数Xの変化によって説明する手法です。たとえば、体重をY、身長をXとすると、Xが大きいほどYも大きくなると説明できます。これを利用すれば、既存のデータから未知の数値を予測することが可能です。
- クラスタリング
- 与えられたデータをグループ分けすることです。グループごとの特徴を際立たせることで、データ間にある未知の関係性を見出せる場合があります。たとえば、地域別に顧客をグループ分けすれば、地域ごとに売れやすい商品が異なることを発見できるかもしれません。
- 頻出パターンマイニング
- データの中から一定以上現れるパターンを見つけ出す手法です。購買データの中から、よく同時に購入されている組み合わせなどを発見できます。
機械学習とデータマイニングの関係を知り、適切に活用!
機械学習とは、分類や予測を行う仕組みを作るための技術です。学習によって得た規則やモデルは機械(AI)自身が行使します。一方、データマイニングはデータの中から有益な知見を発見するためのものです。あくまで人の意思決定を支援する仕組みであり、最終的な判断は人間が下します。
両者は異なるものですが、データマイニングに機械学習が活用されることも多いです。違いと関係性を理解し、上手に活用しましょう。