データマイニングとは?AIとは?
データマイニングとAIの違いを理解するには、まず両者の定義を確認する必要があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
データマイニング:データから有益な情報を発掘する手法
近年、飛躍的なIT技術の進歩により、企業はもちろん個人でも膨大なデータを保持できるようになりました。しかし、データのすべてが有益なわけではありません。適切にデータを活用するには、膨大なデータから本当に価値があるものを発掘する必要があります。そこで採用されるのがデータマイニングです。
データマイニングとは、膨大なデータから有益な情報を見つけ出す手法の総称です。総称であるため、特定の手法を示すのではありません。
たとえば、テキストマイニングという手法があります。これはテキストデータから単語の使用頻度や単語同士の関係性を明らかにする手法です。データから有益な情報を獲得する手法と言えるため、データマイニング手法の1つと見なせます。
このほか、マーケティング目的で購買データを分析したり、アンケート結果から顧客の特徴を整理したりするのもデータマイニングに含まれます。
AI:人間と同等の知能を実現させるための方法・取り組み
AI(Artificial Intelligence)は人工知能とも呼ばれ、人間と同等の知能を実現させる方法や技術、取り組みのことを言います。
厳密にはAIの定義は定まっていません。そもそも、「人間の知能」を明確に定義づけることが困難なため、AIの定義も曖昧になっています。現在でも、何をもってAIとするかは専門家によって議論されている最中です。ただし、一般的には「物事を学習できること」や「自律的にタスクを遂行できること」がAIを特徴づける性質とされています。
ちなみに、AIには汎用型AIと特化型AIがあります。前者は人間のようにさまざまな物事に対応できるAIです。一方、後者は特定の業務だけなど、できることが限られているAIを言います。現在、本当の意味での汎用型AIは誕生していないため、単にAIと言えば特化型AIを指すことが多いです。
データマイニングとAIの違いや関係性は?
データマイニングとAIの違い・関係性を理解するには、まずデータマイニングが以下の2種類に分けられることを知っておく必要があります。
- 仮説を立てる手法
- 仮説を立て、その仮説が正しいかどうかを統計学的手法で明らかにする手法です。
- 仮説を立てない手法
- 機械にデータを学習させ、データ同士の関係性を明らかにする手法です。人間が仮説を立てなくても、機械が自動で有益な情報を提示してくれるのが特徴です。
上記のうち、後者とAIは密接な関係にあります。AIという広い概念の中に機械学習があり、これが「仮説を立てない手法」に利用されるからです。
機械学習とは、データからパターンを見つけ出し、それを法則化することを言います。これは、人間と同等の知能(AI)を実現するうえで不可欠な性質です。
つまり、両者の関係性は「データマイニングのうち仮説を立てない手法には、AIに求められる機能の一部を利用する」と言えます。
データマイニングやAIの活用事例は?
前述したように、AIがあれば仮説が不要なデータマイニングが実現します。仮説を要するデータマイニングと違い、人間が想像できないデータ同士の関係性をも明らかにできます。これを上手く活用した事例を1つ見てみましょう。
世の中に溢れる製品は、どれも何らかの素材で作られています。その素材を研究し、より良い製品を生み出そうという学問が材料科学です。材料科学では、原子・分子レベルから素材を考え、優れたものを生み出そうとします。
ところが、原子や分子の組み合わせは膨大な数のパターンが考えられます。そのうちどれが有益かを突き止めるのは大変です。
そこで、データマイニングが活用されることになりました。人間では思いつかない優れたパターンを、AIが機械学習によって突き止めてくれるのです。近年ではスマホやPCにおける電池の素材について研究が進んでおり、飛躍的な進歩が期待されています。
データマイニングとAIの違いを理解し、正しく活用しよう!
データマイニングとは、データから有益な情報を取り出すことです。一方、AIは人間と同等の知能を実現させる取り組みや技術を指します。
AIは機械学習の能力を持つため、仮説を必要としないデータマイニングに活用されます。仮説が必要ない分、人間では思いつかない分析結果を得られるのがメリットです。
両者の関係性を知り、データ活用への理解を深めましょう。