暗号化ソフトの認証サーバーで起こりうる障害リスク
暗号化ソフトはクラウド型・オンプレミス型を問わず、認証サーバーとの通信が必要になる場面があります。ここでは、認証基盤に障害が起きた場合の影響と、事前に確認すべき点を紹介します。
認証サーバー停止時に業務へ及ぶ影響
クラウド型の暗号化ソフトでは、ライセンス認証やアクセス制御をベンダー側のサーバーで行う仕組みが一般的です。このサーバーに障害が発生すると、ファイルの復号や新規暗号化ができなくなり、業務が一時的に停止するおそれがあります。
実際の障害履歴を公開しているベンダーは限られており、契約前にSLA(サービス品質保証)の内容や過去の障害公表実績を問い合わせて確認することが重要です。オフライン環境でも一定期間は復号を継続できる仕組みを備えた製品であれば、影響を抑えられます。
障害時の代替手段とサポート体制の確認方法
障害が発生した際にどの程度の時間で復旧するか、代替の認証手段が用意されているかは製品によって異なります。導入前に問い合わせ窓口の対応時間や、障害発生時の通知方法を確認しておくと安心です。
また、サポート窓口が国内にあるか、日本語での対応が可能かも重要な判断材料です。過去の障害情報を公式サイトやニュースリリースで開示しているベンダーは、情報開示に対する姿勢が明確といえます。
暗号化のマスターキー・管理者権限にまつわるリスク
暗号化ソフトの安全性は、暗号アルゴリズムだけでなくマスターキーや管理者権限の管理体制にも左右されます。このセクションでは、キー管理と権限分掌の考え方を整理します。
マスターキーの管理不備が招く情報漏えい
暗号化されたデータを復号する鍵(マスターキー)が漏えいすると、暗号化そのものの意味が失われます。過去には、鍵の管理を特定の担当者に依存していたことで、退職や人為的なミスをきっかけに情報へアクセスできなくなる、あるいは第三者に鍵が渡ってしまうといった事例が報告されています。
鍵管理を専用のハードウェアセキュリティモジュール(HSM)や、権限を分割して管理する仕組みで運用している製品であれば、単一の担当者に依存するリスクを減らせます。導入時には鍵の保管方法とバックアップ体制を必ず確認しましょう。
管理者権限の分掌と職務分離の重要性
データベース管理者(DBA)がすべての権限を持っていると、暗号化されたデータであっても内部から閲覧・改ざんされるリスクが残ります。DBAとセキュリティ管理者の役割を分け、それぞれ異なる権限を割り当てる仕組みを持つ製品を選ぶことで、内部不正の抑止につながります。
アクセスログを記録し、誰がいつどのデータにアクセスしたかを追跡できる監査機能も、権限漏えい時の早期発見に役立ちます。導入前にこれらの機能が標準搭載されているか確認しておくとよいでしょう。
暗号化サービス終了で復号できなくなるリスク
暗号化ソフトを提供するベンダーが事業を終了したり、サービス自体を廃止したりすると、暗号化したデータを復号できなくなる可能性があります。ここでは、このリスクへの備え方を解説します。
サービス終了時に想定されるデータアクセス不能の事態
クラウド型の暗号化サービスでは、復号処理そのものをベンダーのシステムに依存している製品があります。このような製品でサービスが終了すると、猶予期間内に復号やデータ移行を済ませない限り、暗号化されたデータへ二度とアクセスできなくなるおそれがあります。
契約前に、サービス終了時のデータ移行手順や猶予期間について、利用規約やサポートへの問い合わせで確認しておくことが重要です。オンプレミス型やローカルで鍵を管理できる製品は、ベンダー依存度を下げられます。
ベンダーロックインを避けるための選定ポイント
特定ベンダーの独自形式でしか復号できない製品を選ぶと、乗り換えや事業終了時にデータが扱えなくなるリスクが高まります。標準的な暗号化アルゴリズム(AESなど)を採用し、鍵のエクスポートやバックアップが可能な製品を選ぶと、将来的な移行の負担を抑えられます。
また、導入実績が長く、事業継続性について情報開示をしているベンダーかどうかも、選定時の判断材料です。契約前に運営会社の設立年数や資本背景を確認しておくと安心です。
暗号化システムの導入実績や口コミの読み解き方
公式サイトに掲載される導入実績や、比較サイトの口コミは参考になる一方、そのまま鵜呑みにせず読み解き方を押さえておく必要があります。このセクションでは、情報を確認する際のポイントを紹介します。
導入実績の根拠を確認する視点
「導入企業〇社」といった数値は、契約社数か稼働社数か、業種や規模の内訳が公開されているかによって信頼度が変わります。数値の算出時点や対象範囲が明記されていない場合は、営業担当者に根拠を確認するとよいでしょう。
加えて、第三者機関が運営する比較・レビューサイトに掲載された実際の利用者の評価もあわせて確認すると、公式情報だけでは見えない運用面の実態を把握しやすくなります。
「重くなる」「不具合が出る」という口コミの背景
暗号化ソフトの口コミには、「PCの動作が遅くなった」「特定の環境でブルースクリーンが発生した」といった声が見られる場合があります。これらは暗号化処理がCPUやディスクI/Oに負荷をかけることや、他のセキュリティソフトとの競合によって起こることが多くあります。
導入前に無償トライアルや検証環境で自社のPC環境との相性を確かめること、対応OSやドライバーの動作要件を事前に確認することで、こうした不具合を避けやすくなります。サポート窓口への問い合わせ実績も判断材料といえます。
権限分掌と監査ログで信頼性を確保できる暗号化製品
ここまで見てきた障害対応やキー管理、権限分掌といった観点を踏まえ、実際にどのような製品が選択肢となるかを紹介します。データベースの暗号化にあたっては、アクセス制御や監査ログといった機能の有無が、信頼性を判断するうえでのポイントです。
D.AMO DP
- 既存データベースに後付けでクエリー変更せずに導入可能
- 選択的暗号化を実現しデータベースの機密性と可用性を両立
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DP」は、Oracle・SQL Server向けのデータベース暗号化製品です。カラム単位での暗号化に対応するほか、アクセス制御機能と監査ログ機能を備えており、本記事で取り上げた管理者権限の分掌やアクセス履歴の追跡といった課題に対応できます。
D.AMO DE
- 暗号化の導入時アプリケーションのコードやクエリーの改修不要
- カラム単位で機密データを選択的に暗号化
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
同じくペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DE」は、PostgreSQLやMySQLなどのOSS系データベース向けの透過的暗号化製品です。データベースエンジンレベルで動作する仕組みのため、既存システムの改修を必要とせずに導入できる点が特徴です。
データ暗号化 (タレスジャパン株式会社)
- 物理・仮想サーバーのデータ管理を、鍵とポリシーで一元化。
- 高性能な暗号化で外部・内部脅威からデータを保護。
- 独立したデータ保護と鍵管理でクラウド移行を支援。
WinMagicSecureDoc (ウィンマジック・ジャパン株式会社)
- マルチデバイスを単一コンソールで管理可能。
- リムーバブルメディアも暗号化対応。
- PBConnex™で認証前のデバイス起動・データアクセスを制限。
SophosEncryption (ソフォス株式会社)
- OS標準暗号化を活用しCentralで鍵管理と復旧を簡素化。
- 暗号化のまま編集・共有でき業務を止めない設計。
- 複数端末とOSの暗号化を可視化し統制・規制対応。
TrellixCompleteDataProtection (Musarubra Japan株式会社)
- ドライブ暗号化とアクセス制御で端末データを保護。
- USBやクラウドなど多様なチャネルでDLPが情報流出を防止。
- 単一コンソールで運用を統合し、監査・法令対応を支援。
まとめ
暗号化ソフトの信頼性は、認証サーバーの障害対応、マスターキーや管理者権限の管理体制、サービス終了時のリスク、導入実績や口コミの読み解き方といった複数の観点から見極める必要があります。自社の運用環境にあった製品を選ぶことで、安心して暗号化ソフトを導入できます。導入前にぜひ各社のサポート体制や契約内容を確認してください。


