ファクタリングにおける手数料の相場
ファクタリングには2社間・3社間といった2つの取引方法があります。そこで、まずはそれぞれの取引において手数料の相場はどの程度なのか解説します。
2社間ファクタリング:10~30%で設定されている
2社間ファクタリングとは、利用企業とファクタリング会社間で契約が完了する取引のことです。売掛先に売掛債権譲渡の承諾を得る必要がありません。そのため、売掛先に債権譲渡を知られることなくファクタリングが行えます。
2社間ファクタリング手数料の相場は、売掛金の約10~30%です。この取引方法を採用した場合、売掛金は利用企業に支払われ、その後ファクタリング会社に送金されます。
しかし、このときファクタリング会社に送金せずに売掛金を別の支払いに充てる企業も中にはいます。そうなると未回収になってしまうというリスクがあるため、手数料が高めに設定されているのです。
3社間ファクタリング:1~9%で設定されている
3社間ファクタリングは利用企業・ファクタリング会社・売掛先の間で行われる取引です。売掛債権をファクタリング会社に譲渡する旨を売掛先に通知するという特徴があります。
3社間ファクタリング手数料の相場は売掛金の約1~9%です。2社間ファクタリングと比べて手数料が安いのは、売掛先からファクタリング会社へ直接売掛金が支払われ、未回収のリスクが低くなるためです。
ファクタリングの手数料を決める要因
ファクタリング企業は、どこも同様の基準で手数料を設定しています。では、その要因は何なのでしょうか。
売掛先の信頼性が高いかどうか
ファクタリングは売掛債権が回収できて成立するサービスです。売掛債権が回収できなければ、ファクタリング会社は多大な損失を被ります。そこでファクタリング会社は、与信調査を行います。
その結果、売掛先の信頼性が高いと判断されると、未回収のリスクが低くなり、手数料が安くてもサービスとして成り立ちます。しかし、信頼性が低いと未回収のリスクが高く、手数料も高めに設定される傾向にあります。
売掛金の金額が高いかどうか
ファクタリング会社にとって回収できる売掛債務の金額が大きいほど魅力的な案件だといえます。少額の案件を数件契約するよりも、1件の高額な案件のほうが効率よく利益を得られるからです。そのため売掛金が高額なほど、競合他社に取られたくないという心理により、手数料が低くなる傾向にあります。
なお、売掛金が高額でも売掛先の信頼度が低いと未回収のリスクが高くなるため、ファクタリング会社から敬遠されがちです。
ファクタリングにかかる手数料の内訳
ファクタリングの手数料には以下の費用が含まれます。
- 掛け目
- 売掛債権の買取率を指し、額面の75~90%が一般的です。回収リスクが高いと掛け目は小さく、低ければ大きくなります。売掛債権を回収できた場合、掛け目で減額された分は利用企業に返還されます。
- 買取手数料
- ファクタリング時にかかる手数料のことです。
- 債権譲渡登記費用
- 売掛債権の買い取りを証明する手続きにかかる費用です。利用企業の要望で登記しないケースもあります。
- 印紙代
- 契約書に貼る印紙代です。債権譲渡を登記をする場合は登録免許税がかかります。
- 振込手数料
- 売掛債権の買取代金を指定口座に振り込む際の手数料です。ファクタリング会社が負担するケースもあります。
- 交通費
- 利用企業との面談時にかかる交通費です。なお、ファクタリングは売掛債権の譲渡取引に該当するため、取引にかかる諸費用に消費税は課税されません。これは、国税庁の公式サイトにも明記されています。
ファクタリングの手数料を抑える方法
ファクタリングにはさまざまな手数料がかかります。では、その手数料を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。
複数の見積りを取り比較する
ファクタリングの手数料は全社一律ではありません。また、それぞれの会社が独自の審査基準を設けています。そこで、複数のファクタリング会社から見積りを取って手数料を比較しましょう。そして、複数の見積りを取っている旨を交渉時に担当者へ伝えると有利に交渉を進められるでしょう。上手くいけば手数料を抑えられるかもしれません。
取引先やファクタリングの担当者と信頼関係を築く
ファクタリングには保証人や担保は必要ありません。そのため、売掛債権を買い取っても売掛金を回収できないリスクをファクタリング会社は抱えています。このような理由から、ファクタリング会社は利用企業や売掛先の信用度を重視する傾向にあります。
ファクタリング手数料は企業独自の基準があるとはいえ、少なからず担当者の意向も反映されるものです。利用企業の信頼も申し分なく、また売掛先も信用のおける企業だと、ファクタリング会社も安心して取引に臨めるでしょう。
ファクタリング会社から信頼を得るためにも、担当者と密なコミュニケーションを心がけ、良好な関係の構築に努めてください。
ファクタリングの手数料について理解し適正な取引をしよう!
ファクタリングにおける手数料の相場は、2社間で10~30%、3社間だと1~9%です。売掛先の信頼度や売掛金額により手数料は異なります。また、買取手数料のほかにも、債権譲渡登記費用や振込手数料などがかかる場合があります。手数料を抑えるためにも数社から見積りを取り、担当者と良好な関係の構築に努めてください。
上記を踏まえ、適切なファクタリングを行いましょう。