親事業者の売掛債権はファクタリングできる?
親事業者の売掛債権は、基本的にファクタリング可能です。その証拠に公正取引委員会によって、「ファクタリング契約を拒否することは下請法違反」、「ファクタリング方式を採用したことで、親事業者が下請け業者に不当な扱いをすることは独占禁止法違反」という見解も示されています。
そのため、下請け業者が親事業者の売掛債権をファクタリングしてもまったく問題ありません。
ファクタリングへ影響を与える下請法の概要とは?
ファクタリングに影響を及ぼす下請法とは、どのような法律なのでしょうか。
下請代金の支払いを遅延してはいけない
下請法では、「下請代金を期日までに支払わなくてはならない旨」が規定されています。設定できる支払期日は、商品・サービスを受け取った日から60日以内です。支払い方法はできるだけ現金が望ましく、手形を発行する場合は、親事業者が割引料を負担します。一般的な金融機関で割り引けない手形は、発行できません。
下請代金を減額してはいけない
下請事業者に責任がある場合を除き、あらかじめ決めた代金を減額してはいけません。また「返品」や「有償支給原材料等の対価の早期決算」も、減額に相当するため禁止です。
返品されると、本来受け取るはずだった売上金がなくなります。
有償支給原材料等の対価の早期決算の禁止とは、親事業者が下請け業者にもつ債権と、下請代金の相殺を禁止することです。
たとえば下請け会社が商品を製作する際、親事業者から原材料を仕入れるケースがあります。この場合、本来であれば、原材料費の支払い債務と下請け代金の売掛債権は別個に考えるべきです。
しかし中には、原材料費の支払期日を前倒しして両者を相殺し、下請事業者の資金繰りを阻害する親事業者もいます。下請事業者にとって本来受け取るはずだった売掛債権の金額が変わることで、ファクタリングの利用にも弊害が出るのです。
下請法ではこのような、下請代金を直接的・間接的に減額する手法を禁止しています。
下請事業者に対して不利益な扱いをしてはいけない
下請業者に責任がないにも関わらず、無理な発注変更やキャンセルなどをしてはいけません。親事業者が自己の利益のために、下請事業者に不利益な扱いをするのは、下請法で厳格に禁止されています。
下請代金支払遅延等防止法|e-Gov法令検索ファクタリングするなら2社間・3社間、どちらを選択すべき?
ファクタリングには、2社間・3社間で行う方法があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、状況に合わせて使い分けましょう。
2社間ファクタリングは、債権者とファクタリング事業者間の契約です。債権譲渡の通知が必要ないため、売掛先に知られることなく債権を現金化できます。スムーズに取引を進められるため、迅速に資金調達したいときにおすすめです。ただし債権譲渡の登記を行うと、売掛先に債権を譲渡したことを知られる可能性があります。
また売掛金の回収リスクが高くなるため、手数料も高めです。
3社間ファクタリングは、債権者・ファクタリング事業者・売掛先の契約です。手数料が安く、売掛先が倒産した際の貸し倒れリスクもありません。ただし債権譲渡の通知が必要なため、売掛先に債権譲渡について秘密にしたいときには不向きです。売掛先との関係性が悪いと、「資金繰りが悪いのではないか」という不信感を与える可能性もあります。
また3社の合意が必要なため、2社間より工程が複雑です。
下請業者も安心してファクタリングの利用を!
下請け業者でも、親事業者の売掛債権をファクタリングできます。下請法や独占禁止法で守られているため、遠慮する必要はありません。
親事業者には、以下の遵守が求められます。
- ■下請代金の支払いを遅延しない
- ■下請代金を減額しない
- ■下請事業者に対して不利益な扱いをしない
ファクタリングには、2社間・3社間があります。それぞれの特徴を押さえて、下請業者も安心してファクタリングを利用しましょう。