中小企業の情シス部門における主な課題
中小企業の情シス(情報システム)部門は、以下のような課題を抱えがちです。
- ●担当者ひとりに業務が属人化する「ひとり情シス」の発生
- ●人手不足・コスト高騰による情シス不在
- ●ほかの部署との兼業情シス従業員の負担増大
- ●経営層による情シス部門の軽視
情シス部門の課題を放置しておくと、セキュリティ対策の遅れや製品・ソリューション選定の不適合といったリスクが発生しかねません。そこで、情シス部門の業務をアウトソーシングする中小企業が増えています。
株式会社バッファローが調査した結果によると、中小企業の約7割がサーバ構築やネットワーク構築をはじめとする情シス業務の一部、またはすべてをアウトソーシングしていることがわかりました。
社内で有力な人材を複数人確保できない場合に、アウトソーシングはごく一般的な選択肢になりつつあるようです。
参考:中小企業の44.1%が「情シス担当者の人数が足りない」と回答。70.3%が情シス業務を外部委託【情シス業務の外部委託に関する実態調査】 | 株式会社バッファローのプレスリリース
(出典元:株式会社バッファロー)
情シスアウトソーシングサービスとは
情シスアウトソーシングサービスとは、社内の情報システム業務や、PCなどのIT資産関連業務の一部またはすべてを外部企業に委託できるサービスです。安定的なIT人材の確保や情シス部門の業務負担軽減を図るために、情シスアウトソーシングサービスを導入する企業が増えています。
情シスアウトソーシングサービスに依頼できること
情シスアウトソーシングサービスには、主に以下の業務を依頼できます。
業務名 |
概要 |
IT機器のキッティング |
PCやタブレットなどの手配や初期設定、ソフトウェアのインストール業務 |
サーバ・システム・ネットワークの構築および運用保守 |
社内で運用するサーバやシステム・ネットワークをすぐに使用できる状態に構築し、トラブルがないようサポートする業務 |
セキュリティ対策 |
ランサムウェアなどサイバー攻撃の脅威への対策策定やツール導入、従業員教育、パスワード管理などの業務 |
ヘルプデスク |
顧客および社内からの問い合わせや質問・トラブルへの対応業務 |
DXコンサルティング |
ITツール・システムを用いた業務効率化提案、および実行のサポート |
サーバやシステムの構築・運用保守のような専門性が高い業務から、キッティングやヘルプデスクのような専門性は低いものの工数がかかる業務まで委託可能です。必要な業務をピンポイントまたは一括して委託すれば、情シス担当者の負担を大きく軽減できます。
情シスアウトソーシングサービスのメリット・デメリット
情シスアウトソーシングサービスには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット |
デメリット |
・安定的に情シス人材を確保できる ・採用コストを削減できる ・サーバやシステムの安定した稼働を維持できる |
・費用対効果の見極めが難しい ・自社にノウハウが蓄積されない |
常駐タイプのサービスを選択すると自社で雇用したほうが安い場合もありますが、多くのケースで安定的に人材確保をしながらコスト削減が実現可能です。重要なシステムを安定稼働できるようになるため、トラブル発生による業務の停滞を防ぎます。
ただし、情シスは売上が発生する部門ではないので、かけた費用に対する効果が出ているかを見極めづらい点はデメリットといえます。担当者が経営者にアウトソーシングの必要性をアピールしても、理解を得るのが難しい可能性があるでしょう。
また、アウトソーシングを行うと、自社に運用のノウハウが蓄積されません。将来的に企業の規模が拡大したときに社内運用を目指すなら、アウトソーシングは避けたほうがよいケースもあります。
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情シスアウトソーシングサービスをお探しの方へ
この記事では、情シスアウトソーシングサービスを3つのカテゴリに分けて紹介します。すぐにサービスの選定に移りたい方は、以下のカテゴリをクリックして、詳しい製品情報をご確認ください。
情シスアウトソーシングサービスの選び方
情シスアウトソーシングサービスには多くの種類があるため、自社の運用にジャストフィットするサービスの選定が必要です。ここでは、情シスアウトソーシングサービスの選定ポイントを3つ解説します。
依頼を想定している業務に対応しているか
情シスアウトソーシングサービスは、それぞれ対応可能な業務範囲が異なります。導入から運用・保守までワンストップで対応するサービスもあれば、ピンポイントで特定業務だけ対応するサービスもあるため留意が必要です。
また、一部のサービスは対応可能な機器やシステムに制限があり、そもそも自社の運用にフィットしないこともあり得ます。負担の大きい業務や外注すべき業務を洗い出して、その業務を網羅的に対応できるかがポイントとなるでしょう。また「単に対応可能か」だけでなく、「ヘルプデスクに強い」「システム運用に強い」といったサービスごとの特徴が、自社の要望とマッチするかもチェックすべきポイントです。
サービスの提供スタイル・サポート体制はどうか
情シスアウトソーシングサービスの提供スタイルは、主に「常駐」と「リモート」の2タイプです。リモートの場合、定期訪問がサービスに含まれていることもあります。
重要な基幹システムのトラブルが頻繁に発生し、改修や問い合わせ対応に追われるようなら、スピーディーな対応が可能な常駐タイプがおすすめです。一方で緊急性のない業務を委託する場合や、ひとり情シスの負担を軽減するのが目的の場合には、費用が抑えられるリモートタイプをおすすめします。
また、万が一システム停止が発生した場合に、日時や時間帯を問わず即時の復旧を求めるなら、時間外や休日対応のサポート有無も確認しましょう。
セキュリティに関する取り組みがあるか
情シスアウトソーシングサービスは性質上、委託先に自社の機密データや個人情報の管理も任せることになります。万が一情報漏えいが起これば、自社のブランドや信用の毀損で大きな損害を被るリスクがあります。
特にIT資産管理を委託したいと考える企業は、セキュリティに強みのあるサービスを利用するのがおすすめです。データ管理やバックアップ体制、情報の取り扱いに関するポリシーを事前に確認しておきましょう。
なお、サービスの運営企業が「ISO27001」「Pマーク(プライバシーマーク)」といった認証を取得していれば、情報の取り扱いに関する基本方針が明確に定められています。サービス選定のひとつの指標として活用しましょう。
情シスアウトソーシングサービスの料金相場
情シスアウトソーシングサービスの料金体系は、主に「月額固定制」と「従量課金制」の2つです。月額固定制の場合、料金の相場は以下のようになっています。
- ●システム運用に強く、情シス業務全般を委託できるサービス:月額40万円~
- ●特定業務を依頼できるスポット系のサービス:月額8,000円~
ただし情シスアウトソーシングサービスの料金は、依頼する業務の内容や範囲により大きく変動します。そのため、完全に固定の料金を公開しているサービスはほとんどありません。複数のベンダーに見積もりを依頼し、委託できる業務内容と料金を比較検討するのがおすすめです。
幅広い業務を代行する情シスアウトソーシングサービス3選
IT機器のキッティングやヘルプデスクなど、幅広い業務の代行が可能な情シスアウトソーシングサービスを紹介します。情シス部門が不在で、新規採用またはフル外注を検討している企業におすすめです。
《ITセクレタリィBiz》のPOINT
- 現状業務の整理棚卸しや標準化・脱属人化等、すべてお任せ
- 月1日からフル常駐まで、業務量に応じてIT秘書を派遣
- 経験豊富であらゆる分野に対応可能なSEがサポート
株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズが提供する「ITセレクタリィBiz」は、25年以上にわたる情シス部門のサポート実績をもちます。月に一度のリモート業務からフル常駐まで、業務量に応じてIT秘書が情シス業務を代行。綿密なヒアリングを実施し業務の棚卸しを行うため、どの業務をアウトソースすべきかといった初期の相談も可能です。
製品・サービスのPOINT
- プロが的確にアドバイスし、情報システム部門をサポート
- 専任者を雇うより、コストを抑えて効率的に運用可能
- 社内のITトラブル対応をアウトソーシングし、本業に専念
チェックフィールド株式会社が提供する「ITコンシェルジュ」は、専任の担当者が2名体制でサポートします。プライバシーマークを18年以上継続して取得しており、大切な個人情報を安心して預けられます。リモート+出張対応のみのサービス形態のため、コストを抑えつつ情シス業務全般をアウトソースしたい企業におすすめです。
選択肢が多く決めかねる方は、最新の月間資料請求ランキングも参考にしてください。
システム運用に強い情シスアウトソーシングサービス8選
システムの保守や運用支援を得意とする情シスアウトソーシングサービスを紹介します。
《ジョーシス》のPOINT
- デバイスのラインナップ豊富!最安値クラスのITアウトソーシング
- PC回収や保管、再キッティングもすべてアウトソースOK
- 不要PCはジョーシスが下取り。そのまま廃棄可能
ジョーシス株式会社提供のITデバイスの統合管理サービス「ジョーシス」は、業界最安値クラスで豊富なデバイスを提供し、PCの購入・リース・キッティング・回収・再キッティングまでアウトソース可能。ITデバイス台帳に情報が自動反映されるため、転記ミスや更新漏れも防ぎます。
製品・サービスのPOINT
- セイノーグループで培ったシステム構築・保守ノウハウを凝縮
- サーバー、PC、スマホ、ハンディなど様々なデバイスを取り扱い
- 全国規模の物流網を駆使した配送サービスをセットで提案
株式会社セイノー情報サービス提供の「LCM」は、IT資産の調達から廃棄までを一括管理します。豊富な経験を活かしたキッティングや保守運用、幅広いデバイスに対応し、全国規模の物流網で迅速に配送をサポート。専用設備と管理システムで高品質な運用が可能です。
製品・サービスのPOINT
- 企画業務から運用業務までほぼ全領域での支援が可能
- どんな情報システム業務も、半日作業から個別依頼ができる
- 情報システム部員を本来の企画業務へシフトすることが可能
ハイブリィド株式会社の「情シスSourcing」は、情シス業務のコンサルティングから運用支援までを低コスト・小ロットで委託できます。アウトソーシング・インソーシング、AI活用による効率化など、多角的なソリューションを提供。小規模タスクから本格的なIT支援まで柔軟に対応し、専門知識の共有でクライアントの成長も促します。
FLEXSY SUPPORT情報システム代行サービス
製品・サービスのPOINT
- 社内ITの困りごとやトラブル等、貴社の悩みに合わせて業務を代行
- 専門のチームがリモートで対応することで、安価で即解決!
- IT担当者と柔軟な分担が可能、発生課題や改善状況を共有
フレックシステムズ株式会社提供の「FLEXSY SUPPORT情報システム代行サービス」は、中小企業のIT業務を遠隔で代行します。必要に応じて訪問対応も行い、セキュリティ教育や業務改善サポートも実施。社内IT担当者との連携や顧客からのフィードバックも収集しながら業務の質向上・改善を目指します。
《シェアードサービス》のPOINT
- 価値のあるパートナーシップを提供するオフサイト形態のサービス
- 経験豊富で厳選されたバックオフィスのプロによる業務支援
- 課題可視化・業務改善・ビジネス成功への提案等、幅広くサポート
アルファテックス株式会社が提供する「シェアードサービス」は、従業員数250~5,000名程度の中堅・大企業に適したオフサイト形態のサポートサービスです。経理業務のサポートや業務改善に関わるコンサルティング、DX支援が受けられます。厳選されたバックオフィスのプロが課題を可視化し、業務改善やDX推進をサポートします。
株式会社プロスゼットのIT 運用・管理保守サービス
製品・サービスのPOINT
- デザインにこだわった業種・業態・業務を問わない業務システム
- 各部署の利用ソフトを統合した業務一気通貫のシステム開発
- 課題ごとや部署ごとの部分的な業務改善をサポート
株式会社プロスゼットの「IT 運用・管理保守サービス」は、企業のITインフラ設計から運用、セキュリティ対策、業務システム開発まで幅広くサポートします。導入前のカウンセリングを通じて最適な提案を行い、予算やスケジュールに合わせたシステムを構築。業種や業務に応じたオリジナルシステムやツール選定・サポートも提供します。
《Azure Managed Service》のPOINT
- 24時間体制で専門人材による高度なサポートを提供
- サービスの対応範囲も広く、月額2万円からのお手頃価格
- 四半期で振り返りを実施し、アドバイザリーレポートを提出
TD SYNNEX株式会社が提供する「Azure Managed Service」は、Azureの監視・運用・管理を包括的にサポートするマネージドサービスです。専門エンジニアによる24時間体制での高度なサポートを提供し、障害発生時にも迅速な対応が可能。月額2万円からの手頃な価格で広範囲なサービスに対応し、四半期ごとの振り返りを通じて最適な運用を支援します。
《HiVAS》のPOINT
- 他社導入システムも含め、監視、障害対応、オペレーションを代行
- 複数ベンダーの導入でも機器障害時の保守連絡先は一元化
- サービス内容はご要望に応じて自由に組み合わせるビュッフェ方式
エイチ・シー・ネットワークス株式会社が提供する「HiVAS」は、クラウド・仮想・ネットワーク基盤の運用を遠隔でサポートします。24時間365日体制でIT機器の監視を行い、障害発生時には迅速に復旧対応をサポート。要望に応じて監視や運用作業を柔軟にカスタマイズ可能で、複数ベンダー機器の管理も一元化できます。
問い合わせサポートに強い情シスアウトソーシングサービス
IT機器のトラブルや従業員からの問い合わせなど、ヘルプデスク業務を得意とする情シスアウトソーシングを紹介します。
《ICTサポート》のPOINT
- 事務所のお困りごとは内容問わずご相談いただけます!
- ITの専門知識を持ったスタッフが対応してくれるので安心!
- オペレーターが遠隔にて操作支援&サポート致します。
株式会社テクニカが提供する「ICTサポート」は、オフィス内の機器の不具合や操作方法に関するあらゆるトラブルに対応します。定期訪問やリモートサポートを通じて、機器の調子や操作に関するご相談を受け付け、事前にトラブルを防ぐための対策も提案。従業員数10~100名程度の中小企業に最適です。
まとめ
情シスアウトソーシングサービスを活用することで、ひとり情シスの発生をはじめとする、中小企業の情シス部門に関するさまざまな課題を解決できるでしょう。ただし、情シスアウトソーシングサービスに委託できる業務範囲や料金体系は、サービスにより大きく異なります。複数のサービスを比較検討して、自社にマッチするものを導入しましょう。