事業承継コンサルティングとは
事業承継コンサルティングとは、円滑な事業承継を実現するために、専門的な知識と経験を基に、的確な助言と支援を提供するサービスです。企業の現状分析から始まり、綿密な計画策定、実行支援まで、事業承継に関わるあらゆる段階でサポートしてます。具体的には、以下のような業務内容が挙げられます。
事業承継を成功させるためには、全体の流れや基本的な考え方を理解しておくことも重要です。詳しくは以下の記事で解説しています。
事業承継の計画作成
事業承継の最初のステップは、企業の現状を正確に把握し、将来を見据えた綿密な計画を立てることです。事業承継コンサルタントは、以下のような手順で計画作成を行います。
- 財務状況、資産状況、従業員構成、事業内容などを詳細に分析
- 客観的なデータに基づいて現状を評価
- 経営者の意向や後継者の適性、市場環境などを総合的に考慮
- 最適な事業承継の形を提案
計画には以下のような内容が盛り込まれ、円滑な事業承継の実現を支援します。
- 承継方法の選定
- スケジュールの詳細
- 必要な資金調達
- 効果的な税金対策
- 将来を担う後継者の育成
事業承継全体の業務遂行
事業承継は、単なる経営者の交代に留まらず、法務、税務、財務など、多岐にわたる専門知識が求められます。株式の譲渡、資産の移転、事業の分割、税金対策など、煩雑な手続きや関係各所との交渉を、経営者が単独で行うのは大きな負担です。
事業承継コンサルタントは、経験豊富な税理士や弁護士などの専門家と連携し、これらの業務を円滑に進めるためのサポートを行います。必要な書類作成、煩雑な手続き代行、関係各所との交渉など、事業承継に関わる業務を包括的に支援し、経営者の負担を軽減します。
さらに、綿密なコミュニケーションを通じて、経営者の意向を的確に反映しながら、着実に事業承継を進めていきます。
後継者の育成や支援
事業承継を成功させるためには、将来を担う後継者の育成が不可欠です。後継者が経営を引き継いだ後、事業を円滑に運営し、更なる発展を目指せるように、事業承継コンサルタントは多角的な支援やサポートを行います。
経営ノウハウやスキルの伝授はもちろんのこと、経営者としての資質を育成するためのメンターとしての役割も担います。事業承継後の経営体制構築、従業員との良好なコミュニケーション、経営戦略の策定、円滑な資金調達など、幅広い分野にわたって後継者を支援し、次世代のリーダーを育成します。
また、事業承継においては、経営ノウハウの属人化を防ぐための仕組みづくりも重要です。ERPなどのシステムを活用することで、業務の可視化や標準化が進み、スムーズな引き継ぎにつながります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
事業承継コンサルが必要な企業とは
事業承継は、単に経営者を交代するだけではなく、経営資源や理念、取引先との関係性などを次世代へ引き継ぐ重要な経営課題です。しかし、後継者問題や相続対策、経営ノウハウの属人化など、多くの企業がさまざまな課題を抱えています。特に以下のような悩みを持つ企業は、事業承継コンサルタントへの相談を検討するとよいでしょう。
- 後継者が決まっていない企業
- 親族や社内に適任者がいない場合でも、第三者承継やM&Aなど複数の選択肢を含めて最適な方法を提案してもらえます。
- 経営者の高齢化が進んでいる企業
- 事業承継には数年単位の準備期間が必要とされます。準備不足による混乱を避けるためにも、早期の計画立案が重要です。
- 株式や資産の承継が複雑な企業
- 自社株評価や相続税対策など、専門知識が求められるケースでは、税務・法務面を含めた総合支援が役立ちます。
- M&Aによる事業承継を検討している企業
- 売却先選定や企業価値算定、交渉など、専門的な支援が必要となるため、経験豊富なコンサルタントの存在が重要です。
- 経営ノウハウの属人化が進んでいる企業
- 業務マニュアルの整備やシステム導入などを通じて、スムーズな引き継ぎ体制を構築できます。
- 後継者育成に不安を抱えている企業
- 経営知識やマネジメントスキルの習得支援、経営者としての意識醸成など、承継後を見据えた育成サポートが受けられます。
事業承継は、準備開始が遅れるほど選択肢が限られ、企業経営への影響も大きくなります。自社だけで対応するのが難しいと感じた場合は、早めに専門家へ相談することで、円滑かつ計画的な事業承継を実現しやすくなるでしょう。
事業承継コンサルを活用するメリット
事業承継コンサルタントを活用するメリットを経営者視点でまとめました。
- 経営に関する多くの課題を解決: 税務、法務、財務、人事など、多岐にわたる専門知識が求められる事業承継を、コンサルタントが専門知識を駆使し的確に解決へと導きます。
- 経営者の負担を軽減: 膨大な時間と労力を要する事業承継の作業を専門家であるコンサルタントに任せることで、経営者は本来の業務に集中することができます。
- 承継後の経営をサポート: 後継者の育成、経営計画の策定、事業戦略の立案など、承継後の安定的な経営体制構築を支援します。
事業承継コンサルを活用するデメリット
事業承継コンサルタントの利用は多くのメリットをもたらしますが、留意すべき点もあります。
- 費用が発生する: 専門的な知識や経験に基づいた質の高いサポートには、着手金や月額費用などの費用が発生します。
- 得意分野が異なる: 税務、法務、M&Aなど、コンサルタント会社によって得意分野が異なります。実績や評判を参考にして、自社の課題やニーズに最適な会社を選ぶ必要があります。
事業承継コンサルの費用相場
事業承継コンサルタントの費用は、料金体系やサービス内容によって異なります。
| 基本顧問契約 | 費用相場 |
|---|---|
| 月次・継続コンサル | 月額10万円〜50万円程度 |
| 期間 | 数か月〜1年程度 |
| 成果報酬型 | 費用相場 |
|---|---|
| 事業承継全体支援 | 売却額×3〜10% |
| 事業承継のM&A(成約時) | 売却価格の3〜7% |
| プロジェクト固定費 | 費用相場 |
|---|---|
| 事業承継戦略立案・計画策定 | 100万〜300万円程度 |
| デューデリジェンス支援 | 50万〜150万円程度 |
| 相続・税務アドバイス込み | 200万〜500万円前後 |
複数の会社からまとめて見積もりを取り、詳細な内容を比較検討することが大切です。
事業承継コンサルの選び方
事業承継を成功させるためには、自社の状況に最適なコンサルタントを選ぶことが不可欠です。以下のポイントを参考に、最適なパートナーを見つけましょう。
資格や信頼性、得意分野
事業承継コンサルタントを選ぶ際には、資格の有無だけでなく、過去の実績や得意分野も確認しましょう。
例えば、税理士や弁護士の資格を持つコンサルタントは、税務や法務に関する専門知識を有しており、複雑な手続きを円滑に進めることができます。特定の業界に特化したコンサルタントは、業界の動向や特有の課題を深く理解しており、より的確な助言を提供できるはずです。
契約期間
事業承継は、一般的に数年単位の時間がかかるため、長期的な視点でサポートしてくれるコンサルタントを選びましょう。契約期間が短いと、引継ぎが不十分なまま支援が終了し、後継者が経営に不安を抱える恐れがあります。
柔軟な対応
事業承継の形態には、親族内承継、役員や従業員への社内承継、第三者へのM&Aなど、さまざまな選択肢があります。企業の規模や業種、経営者の意向、後継者の有無など、状況は一社一様です。そのため、画一的な手法ではなく、自社の課題や将来像に即した最適なスキームを提案できる、柔軟な対応力を備えたコンサルタントを選ぶことが成功への鍵となります。
コミュニケーション能力
事業承継は、経営者の想いや価値観、将来のビジョンを正しく汲み取り、それを後継者や従業員、さらには家族など関係者へ丁寧に伝えていくプロセスです。そのため、コンサルタントには単なる知識やノウハウだけでなく、高いコミュニケーション能力が求められます。経営者の意向を正確に理解し、専門的な内容も分かりやすく噛み砕いて説明できる力は、信頼関係を築き、円滑な事業承継を実現する上で欠かせません。面談を通して確認を行いましょう。
事業承継に強いコンサル会社を比較
数あるコンサルティング会社の中から、おすすめの9社を厳選しました。各社の強みや特徴、費用感などを比較し、自社に最適なパートナーを見つけましょう。
AGSのM&Aサービス (株式会社AGSコンサルティング)
- 豊富なM&A支援実績と専門家による一貫サポート体制
- 財務・税務の専門性でリスクを把握し企業価値を適正評価。
- M&A後のPMIまで幅広く支援します。
M&A総合研究所 (株式会社M&A総合研究所)
- 成約まで費用不要の成功報酬型
- AIが好みや行動を分析し最適な相手を提案する。
- 最短43日、平均7.2ヶ月でM&A成約。
タナベコンサルティングのM&Aコンサルティング (株式会社タナベコンサルティンググループ)
- 戦略策定から統合までM&Aの全工程を一貫サポート
- 譲渡・譲受企業双方へ最適な助言や設計を個別に行います。
- 業界知識と実績に基づき意思決定を支援します。
山田コンサルのM&Aコンサルティング (山田コンサルティンググループ株式会社)
- 相談からアフターフォローまでワンストップ対応。
- 国内外の多様な企業への幅広いM&A支援実績
- 経営視点から最適なM&A戦略策定を支援します。
M&Aキャピタルパートナーズ (M&Aキャピタルパートナーズ株式会社)
- 国内M&A業界の3部門で1位を獲得
- 累計1,000組以上の豊富な実績
- 明瞭で納得感のある手数料体系。
みらいコンサルティングの事業承継 (みらいコンサルティング株式会社)
- 事業承継計画の策定から実行支援まで一貫して対応。
- 後継者育成や経営体制整備を含む承継準備を支援。
- 税務・法務・人事・経営の専門家が連携して対応。
M&Aクラウド (株式会社M&Aクラウド)
- 仲介業者を介さず、買い手と直接交渉や売買が可能。
- 売り手は成約手数料を含め完全無料で利用可能
- マッチング精度が高く、成約までがスピーディー。
MUFGウェルスマネジメント (株式会社三菱UFJ銀行)
- 経営資源の承継、後継者の選定や育成を支援します。
- 資産運用や納税、資産承継を含む総合的なプラン提案
- MUFGグループの総力を結集し、多様なニーズに対応します。
Pro-D-use (株式会社Pro-D-use)
- 顧客の独自性に応じたカスタムメイド型経営支援を提供
- 経営者の右腕として現場で実行面まで伴走支援する。
- 新規事業・承継・再生など多領域の経営支援を行う。
事業承継コンサルに関するよくある質問
事業承継コンサルの利用を検討する際には、費用や支援内容だけでなく、実際によくある疑問や不安についても事前に把握しておくことが大切です。ここでは、事業承継の準備時期や後継者問題、費用感など、経営者からよく寄せられる質問をまとめました。
事業承継は何年前から準備すべきですか?
一般的には、5〜10年前から準備を始めるのが理想とされています。後継者育成や株式承継、相続対策などには長期間を要するため、早めに計画を立てることで、余裕を持って進められるでしょう。
後継者がいなくても事業承継は可能ですか?
可能です。近年では、M&Aによる第三者承継を選択する企業も増えています。社内に適任者がいない場合でも、外部企業への譲渡によって事業や従業員の雇用を維持できるケースがあります。
中小企業でも事業承継コンサルを利用できますか?
利用できます。むしろ中小企業では、経営者にノウハウが集中しているケースが多く、専門家による支援が重要です。最近では中小企業向けの料金プランやスポット相談に対応する会社も増えています。
事業承継コンサルと税理士の違いは何ですか?
税理士は主に税務・相続対策を専門とする一方、事業承継コンサルタントは、後継者育成や経営戦略、M&A支援なども含めて総合的に支援します。必要に応じて税理士や弁護士などと連携しながら、事業承継全体をサポートする点が特徴です。
事業承継コンサルの費用はどのくらいかかりますか?
費用は支援内容によって異なりますが、月額10万〜50万円程度の顧問契約型や、M&A成約時に売却額の数%を支払う成果報酬型などがあります。事前に見積もりや契約内容を比較し、自社に合ったサービスを選ぶことが重要です。
まとめ
事業承継コンサルティングは、企業が次世代へと経営を引き継ぐ際に、計画の立案から実行支援、さらには後継者の育成までをトータルで支援する専門サービスです。
事業承継には、親族内承継・社内承継・M&Aなど複数の選択肢があり、税務・法務・財務など多岐にわたる知識と手続きが求められるため、専門家のサポートが重要となります。コンサルタントの力を借りることで、現状分析から最適な承継方法の提案、各種手続きの実務支援、承継後の経営支援まで一貫したサポートが受けられ、経営者の負担軽減にもつながります。
一方で、コンサルティングには費用がかかるほか、会社ごとに得意分野やサポート内容に違いがあるため、慎重な選定が必要です。信頼性や専門性、契約期間、柔軟な対応力、そして経営者との信頼関係を築ける高いコミュニケーション能力など、多角的な視点で比較・検討することが求められます。
今回ご紹介したコンサルティング会社も、そうした選定の参考としてぜひ活用してください。自社の状況や課題に合った最適なパートナーを見つけ、計画的かつ着実に事業承継を進めることが、次世代への円滑なバトンタッチを実現する第一歩となります。

