経営管理とは
経営管理とは簡単にいうと、企業のヒト・モノ・カネ・情報の管理です。以下のフローを繰り返すことで経営資源を適切に配分・調整し、事業の効率を向上します。
- ●活動計画を立てる
- ●活動をモニタリングする
- ●成果に応じて改善案を立てる
組織の維持や成長のためには経営管理が欠かせません。まずは経営管理の目的や、担当すべき人、混同されがちな「経営企画」との違いについて解説します。
経営管理の目的
経営管理の最大の目的は、事業計画を達成することです。有限な経営資源を最大限に活かし、売上や利益の増加による企業の成長を実現します。
もし事業が計画通りに進まなければ、経営管理のデータから原因を導き出せます。早期に計画を軌道修正し、大きな損失を防止できるでしょう。
経営管理は誰がやる?
多くの企業では、以下のようなバックオフィス業務に従事する従業員が担当しています。
規模の小さい企業では、役員が経営管理をすべて担っているケースも存在します。経営管理ではマーケティングの知識や全体を俯瞰する分析能力が求められるので、適任者を検討しましょう。
経営企画との違い
経営管理と経営企画は、根本的な目的が異なります。
経営企画とは、目標の達成に向けて、市場調査をして計画・戦略を策定することを指します。将来を見越した具体的な取り組みを決めつつ、中長期的な計画を立てるのが経営企画です。
一方で経営管理では、経営企画で策定した計画や戦略を実現するために、経営資源の適切な分配や管理を行います。
経営管理の4つの基本
「経営学の父」と呼ばれる経営思想家のドラッカー氏によれば、経営管理の基本機能は以下の4つです。
- ■マーケティング機能
- 顧客のニーズにあった商品・サービスを開発し、販売する仕組みを作る
- ■イノベーション機能
- 新技術・新製品・新たなサービスで顧客の新しい満足を生み出す
- ■経営管理的機能
- KPIの設定や管理会計により、組織の生産性を上げる
- ■利益機能
- 上記3つの機能にもとづき行われた事業の成果を測定し、課題点をフィードバックする
4つの基本機能が一つでも欠けると、売上の低迷やキャッシュフローの悪化など企業の経営に問題が生じます。経営管理により企業の経営資源を適切に配分し、最大のパフォーマンスを引き出さなければいけません。
経営管理の仕事内容
経営管理の具体的な仕事内容は、以下の5つに細分化されます。
- ●生産管理
- ●販売管理
- ●人事管理
- ●労務管理
- ●財務管理
生産管理
生産管理では、製品の生産計画策定から、顧客へ出荷するまでの一連の流れを管理します。具体的な業務例は以下の5つです。
- ●原材料の購買計画
- ●作業員の最適配置
- ●品質や納期・コストの最適化
- ●原材料在庫の適正化
- ●急激な需給変動への対応
生産管理を正しく行うことで、最小のリソースで最大量の生産が実現します。外的な要因による突然の需要増加にも対応し、売上の向上が期待できるでしょう。
販売管理
販売管理では、ヒトとモノの流れを総合的に管理します。具体的な業務例は下記の4つです。
- ●見積作成・管理
- ●売上管理
- ●在庫管理
- ●購買(仕入)管理
販売管理を適正に行えば、在庫不足による製品供給トラブルがなくなります。売れ行きがよい商品の傾向を確認し新たな施策を立案することで、マーケティングの効果を高められます。
人事管理
人事管理では、主に人材の確保や適正な配置を行います。具体的な業務例は下記の4つです。
- ●採用活動
- ●人事評価
- ●人材配置
- ●人材育成・教育
人材は企業活動の成果を大きく左右する、まさに事業の主体です。昨今は少子高齢化で人口減少が進み、人材確保も難しくなってきています。特に力を入れて取り組むべき仕事です。
労務管理
労務管理では、従業員の労働環境を管理・整備します。具体的な業務例は下記の5つです。
- ●就業規則の作成・更新
- ●社会保険等の手続き
- ●勤怠管理
- ●給与支払い
- ●福利厚生の整備
労働環境を改善することで従業員のモチベーションを高め、離職防止や人材の定着率向上にも役立ちます。知識や技能をもった従業員が長期的に従事することで、高い生産性を維持できるでしょう。
財務管理
財務管理では、企業内のすべての資金や資産を管理します。具体的な業務例は以下の5つです。
- ●決算書の作成
- ●財務状況の分析
- ●収入・支出の管理(資金管理)
- ●予算管理
- ●経費精算
資金や資産を適切に管理することで、過度な借り入れや一時的なキャッシュ不足などを防げます。無駄な出費を発見してコストを削減すれば、利益の向上も期待できます。
経営管理の2つの手法
適切な経営管理を実現するための主な手法は以下のとおりです。それぞれ詳しく解説します。
- ●Excelシートの活用
- ●経営管理システムの導入
Excelシートの活用
ExcelやGoogleスプレッドシートなど、表計算ソフトを用いた経営管理は多くの企業で導入されている手法です。使い慣れたツールであり、コストも多くかからない点がメリットです。小規模の企業で、あまり費用をかけられない場合の選択肢の一つといえるでしょう。ただし、Excelでの経営管理には以下3つのデメリットがあります。
- ●管理方法が属人化しやすい
- ●ヒューマンエラーが起こりやすく気づきにくい
- ●データ量が増えると動作遅延やエラーが起こりやすい
Excelは同時編集ができず大人数での管理に適さない点から、作業が特定の担当者に偏りがちです。また、他部署が入力作業を行うなかでExcel関数が変更・破壊され、集計ミスにつながる可能性があります。
また、管理するデータが多いと、動作遅延やエラーが起こりやすくなり作業効率が大幅に下がります。従業員数が数十名に及ぶ中小・中堅企業は、Excelではなく経営管理システムを活用するのが得策です。
経営管理システムの導入
経営管理システムとは、より高度なデータ分析や活用で、適切な経営資源の管理と利益の最大化をサポートするシステムです。Excelに比べてコストはかかるものの、データをシステム内で一元管理し、迅速な意思決定を支援します。経営管理システムを使用するメリットは以下の3つです。
- ●無駄のない社内リソースの配分が可能になる
- ●ヒューマンエラーが起こりづらい
- ●ノウハウを蓄積できる
各種業務システムと連携することで、データの入力・更新作業も大幅に効率化できます。これから本格的に経営管理をはじめるなら、経営管理システムを導入して企業を成長させましょう。
まとめ
組織の維持や成長のためには、経営管理による適切な経営資源の管理が欠かせません。「生産・販売・人事・労務・財務」の5つを適切に管理し、リソースの適正化と利益の最大化を実現しましょう。
経営管理システムを使用すれば、Excelよりも高度なデータの利活用が可能です。ただし、システムによって得意な業種や対応する業務範囲は異なります。以下の記事ではおすすめの経営管理システムを比較しているので、参考にして自社に適したシステムを検討しましょう。