マシンラーニング(機械学習)とは
マシンラーニング(機械学習)とは、蓄積されたデータをもとに、機械自らが反復的に学習し分析や予測を行うことです。顔認識や文字認識、天候予測、ECサイトのレコメンド機能など、さまざまな分野で活用されています。機械に膨大なデータを学習させアルゴリズムにもとづいてデータの規則性を見つけ出し、予測や判断を行います。機械学習アルゴリズムは、連続値を用いて特定の数値から別の数値を予測する「回帰」と、分析対象のデータ属性をカテゴリーや種類で判定する「分類」が使用されるのが一般的です。
機械学習技術には、以下のものがあります。
- ■データの分類・グループ化
- データを識別し、カテゴリーや種類での分類や類似性の高いものをグループ化する
- ■データの圧縮
- 不要なものを削除し、機械学習の精度を上げる
- ■予測
- 学習したデータから相関関係・因果関係について分析し、将来的な数値を予測する
- ■レコメンデーション
- データから関連するものを探し、ニーズを予測して提案する
マシンラーニングの関連用語として人工知能(AI)がありますが、マシンラーニングはAI技術におけるデータ分析手法の一つです。そのほかの人工知能の分析手法としては、ロボットなどに用いられるプランニング技術や、アプリなどで多く使用されるマッチング技術などがあります。
マシンラーニング(機械学習)の種類
マシンラーニングには、学習モデル(入力データや出力データなど)の有無によって「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類に大別されます。具体的に見ていきましょう。
入力・出力データを用意する「教師あり学習」
教師あり学習では、あらかじめ機械に正解となる学習データを、出力データとして覚え込ませます。そして、入力データが出力データに沿った正しい結果を返すように学習させる方法です。これを「教師」とすると、機械は「生徒」として、提示されたデータ(先に登録してあるデータ)から傾向分析を行ないます。例えば、天候の雨雲予測や売上予測において、教師あり学習が活用されています。
入力データのみを用意する「教師なし学習」
教師あり学習は正解となる出力データがあることに対し、教師なし学習は出力データの正解を知らない状態で学習をします。大量に入力されたデータを分析し、データの特徴を機械に判断させます。例えば、顧客の購買情報の傾向分析などです。顧客の購買情報を傾向ごとにグループ分けし、嗜好を分析して顧客にあった商品をおすすめします。このような手法を「クラスタリング」と呼び、教師なし学習の代表的な学習法です。
データを用意しない「強化学習」
教師あり学習や教師なし学習では、数列などの静的な入力データを分析したのに対し、強化学習では動的な入力データを分析します。例えば、ロボットが歩行距離を延ばすための方法を、機械自身が試行錯誤しながら答えを見出します。動的なデータを収集して学習するため、分析結果がそれぞれの調査対象に適した結果を導き出せることが大きな特徴です。学習前のデータ収集が必要ないため、3つの種類の中では最も人間による監視が少ない学習方法といえます。
マシンラーニング(機械学習)活用のメリット
マシンラーニングは、業務を効率化させたり、人間の処理能力を超える複雑な作業でも正確に対応できたりします。以下で具体的に解説します。
業務効率化で人員コスト削減
通常、大量のデータを収集し規則性を見出すなど、人間の手で分析や予測を行う場合は時間と手間がかかります。マシンラーニングは、最初に大量のデータを覚え込ませるだけで、自動的に分析したり予測したりできるのがメリットです。
通常、マシンラーニングを開発する工程ではコーディングを行う必要がありますが、製品によっては自動機械学習機能を搭載しており、開発期間を短縮できる場合もあります。コーディング知識のない人でも容易に開発できるツールもあるため、人的コストの削減にもつながるでしょう。
複雑な作業もスピーディーに対応
マシンラーニングは、人の手では処理しきれないビッグデータの解析や人間が認識できない規則性を発見するなど、複雑な作業も正確かつスピーディーに対応できます。
例えば、店舗などで活用されている防犯カメラの画像認識技術もマシンラーニングの一つです。来店者数や店内の混雑状況、年齢や性別などの顧客属性、交通状態などさまざまな要素を総合的かつリアルタイムに分析し、需要予測につなげます。
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マシンラーニングとディープラーニングの違い
ディープラーニングとは、マシンラーニング(機械学習)の手法の一つです。どちらもAI(人工知能)というカテゴリーに属していますが、人間の指示を要するか否かという点において違いがあります。
- ■マシンラーニング(機械学習)
- 人(エンジニア)が介入して学習目的や内容を指示する
- ■ディープラーニング
- 人の手を介さず、機械そのものが自動的に学習する
ディープラーニングは、機械がデータを処理する工程で、データの特徴を自動的に判断する特性をもっています。また、人間の脳の神経細胞と近しい構造で分析するよう設計されています。しかし、ディープラーニングは大量のデータが必要になるため、マシンラーニングと比較するとアルゴリズムの学習に時間がかかるのが特徴です。
以下の記事では、機械学習・ディープラーニング・AIの違いや使い分け、活用事例などを解説しています。
マシンラーニング(機械学習)の活用シーン
機械学習は、顔認証システムや動画配信サービス、ECサイトのレコメンド機能などで活用されています。詳しい活用シーンを見ていきましょう。
顔の認識
機械学習活用の代表的な例として、不審者を検出する顔認証システムが挙げられるでしょう。教師あり学習方法を活用し、事前に正解となる出力データとして、不審者の画像データを読み込ませておきます。そして監視カメラに映し出された顔が出力データと一致した場合は、不審者の可能性があるとして検出されます。ほかにも、店舗などで活用される顔認証機能付きの防犯カメラでは、非購買客層の行動パターンや来店客の導線を把握することで、マーケティングにも活用可能です。
レコメンド機能
定額動画配信サービスなどにおいて、初回登録後に好きな動画のジャンルや、利用者の好みについて質問を設けている場合があります。質問の答えによって、利用者に適した動画コンテンツをおすすめするのがレコメンド機能です。配信サービスのほかに、ネットショッピングなどでも広く活用されています。
マシンラーニングを理解しAI活用を検討してみよう
マシンラーニング(機械学習)とは、人工知能における種類の1つで、経験をもとに機械へ学習させる仕組みのことです。機械にデータを学習させ、データの背景にあるルールや傾向を見つけ出します。マシンラーニングを導入することで、人間の処理能力を超える複雑な作業に対応できたり、業務効率化が図れたりするでしょう。自社の生産性アップやビジネス拡大のために、さっそくマシンラーニング(機械学習)の資料を取り寄せ、比較検討してみてはいかがでしょうか。