信頼性を判断するために集めたい情報
ツールの信頼性は、製品資料の宣伝文句ではなく、提供会社が公開している情報や契約の内容から判断できます。まずは、どのような情報を集めればよいかを確認しましょう。公開情報で足りない部分は、ベンダーへの質問で補いましょう。
稼働状況と障害報告の公開
過去の障害履歴やサーバーダウンの有無を知る手がかりとして、ベンダーが公開している稼働状況のページや障害報告があります。障害の発生日時、影響範囲、原因、再発防止策が公開されているかは、提供会社の情報開示の姿勢を知る材料です。
障害の件数だけで判断するのではなく、報告の内容が具体的か、復旧までの経緯が説明されているかも確認しましょう。公開情報が見当たらない場合は、資料請求や問い合わせの際に過去の障害対応について質問してみるとよいでしょう。
SLAなど契約上の取り決め
SLA(サービス品質保証)は、稼働率の目標や、目標を下回った場合の対応などを定めた取り決めです。SLAを設けているかどうか、設けている場合はどのような条件かを、契約前に確認しましょう。
内容はプランによって異なる場合があります。計画的なメンテナンスの時間が稼働率の計算から除かれているかなど、細かな条件も利用規約やサービス仕様書で確かめておくと安心です。目標を下回った場合に、利用料金の一部返還などの対応があるかも確認項目です。
障害やサーバーダウンへの不安と備え
クラウド型のノーコード・ローコード開発ツールでは、提供側の障害によってアプリが使えなくなる可能性があります。障害の発生をゼロにすることは難しいため、発生時の影響を小さくする備えを整えておきましょう。
障害時に起こりうる業務への影響
ツールに障害が発生すると、アプリへの入力や閲覧ができなくなる、ワークフローの承認が止まる、外部連携の処理が遅れるといった影響が考えられます。受注や出荷など業務の中心となるアプリほど、停止時の影響は大きくなります。
アプリごとに、停止した場合の影響の大きさと、許容できる停止時間を整理しておきましょう。影響の大きいアプリから優先して、障害時の対応を決めておくことが大切です。取引先に影響が及ぶ業務では、連絡の手順も決めておくと安心です。
障害情報の受け取り方と代替手段
障害の発生を早く知るために、ベンダーからの障害通知をメールなどで受け取れるように設定し、受け取る担当者を複数人決めておきましょう。社内への周知の方法も、あらかじめ決めておくと混乱を抑えられます。
障害が長引く場合に備えて、紙の様式や表計算ソフトで一時的に記録し、復旧後にアプリへ入力する手順を用意しておくと、業務を止めずに済む場合があります。代替手順は実際に試しておき、担当者が替わっても実行できるよう文書にまとめておきましょう。
バックアップとデータの保全
ベンダーがデータのバックアップを取得しているか、どの程度の頻度で取得しているかは、データの保全を判断するうえで確認したい点です。利用者側で誤ってデータを削除した場合に、復元を依頼できるかも確認しておきましょう。
重要なデータは、定期的にCSVファイルなどで出力し、社内でも保管しておく方法があります。出力と保管の担当者、保管場所のルールも決めておくと安心です。復元にかかる期間や費用も、あわせて確認しておくと判断材料が増えます。
顧客データの漏えいリスクと対策
ノーコード・ローコード開発ツールで顧客データを扱う場合、情報漏えいのリスクを考慮する必要があります。漏えいの原因は提供側だけにあるとは限らないため、利用者側の対策とあわせて確認しましょう。設定の見直しは定期的に行うことが大切です。
漏えいにつながる複数の要因
顧客データの漏えいにつながる要因には、提供側のシステムの脆弱性(セキュリティ上の弱点)や不正アクセスがあります。利用者側のアクセス権の設定誤りや、アプリの公開範囲の設定ミス、パスワードの使い回しも要因になり得ます。外部に公開するフォームの設定を誤ると、意図しない情報が閲覧できる状態になる恐れもあります。
過去の事例を調べる際は、原因がどこにあったかまで確認すると、自社で取るべき対策が見えてきます。提供会社がセキュリティに関する事故の公表方針を示しているかも、確認しておきたい点です。
利用者側で行う設定と管理
利用者側でできる対策は、アプリや項目ごとの閲覧権限の設定や、IPアドレスによる接続元の制限です。多要素認証の利用や、操作ログの定期的な確認も挙げられます。退職者や異動者のアカウントを速やかに停止する手順も欠かせません。
これらの機能がどのプランで使えるかを確認し、社内のセキュリティ規程にあわせて設定しましょう。設定の内容は一覧にまとめ、定期的に見直す担当者と時期を決めておくと、設定漏れに気づきやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でノーコード・ローコード開発ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
サービス終了や提供条件の変更への備え
クラウドサービスは、提供会社の事業方針によって、サービスの終了や料金・機能の変更が行われる可能性があります。業務アプリを長く使い続けるために、終了時や変更時の扱いを事前に確認しておきましょう。
契約条項で確認したい終了時の扱い
利用規約や契約書には、サービスを終了する場合の事前告知の期間や、利用者のデータの扱いが定められている場合があります。告知から終了までにどの程度の期間があるかによって、移行の準備にかけられる時間が変わります。
料金や機能を変更する際の告知方法も確認しておきましょう。規約の内容がわかりにくい場合は、法務部門と一緒に確認すると安心です。終了後にデータがいつ削除されるかも、あわせて確かめておきたい項目です。
データを持ち出せる形式の確認
サービスの終了や乗り換えに備えて、蓄積したデータをどの形式で出力できるかを確認しましょう。CSVなどの汎用的な形式で出力できれば、ほかのツールへ移行しやすくなります。試用期間中に実際にデータを出力し、内容を確認しておくと安心です。
添付ファイルや変更履歴、ワークフローの承認記録まで出力できるかは製品によって異なります。アプリの設定は別の製品へそのまま移せない場合があるため、設計内容を文書で残しておくことも有効です。
導入実績と悪い口コミから信頼性を見極める
導入実績の数字や口コミは、信頼性を判断する材料の一つですが、読み方を誤ると判断を誤る恐れがあります。数字の根拠と口コミの内容を確かめる方法を確認しましょう。複数の情報を組み合わせて判断する考え方も紹介します。
導入実績の数字の定義を確かめる
導入社数や利用者数の数字は、有料契約の数なのか、無料プランや試用を含む登録数なのかによって意味が異なります。集計の時期や対象範囲が示されているかも、数字の根拠を判断するポイントです。
定義が明記されていない場合は、ベンダーに確認しましょう。数字の大きさだけでなく、自社と近い規模や業種での利用例があるかを確かめるほうが、選定には役立つ場合があります。実績の数字が更新された時期も、あわせて確認しておきましょう。
悪い口コミから課題を読み取る
悪い口コミには、動作が遅い、サポートの回答に時間がかかる、料金が上がった、複雑な処理に向かないといった内容が見られる場合があります。これらは、導入前に確認すべき項目を洗い出す手がかりになり得ます。
ただし、口コミの原因が製品だけにあるとは限らず、利用者側の設定や使い方が影響している場合もあります。投稿の時期や、投稿者の利用条件も踏まえて読み取りましょう。同じ不満が複数の情報源で挙がっている場合は、デモや試用で重点的に確かめましょう。
複数の情報を組み合わせて判断する
信頼性は、障害情報や認証、実績の数字、口コミのどれか1つだけで判断するのではなく、複数の情報を組み合わせて確かめることが大切です。例えば、障害報告の内容が具体的で、SLAの条件も明示されている製品は、情報開示の面で比較しやすいといえます。
集めた情報は、確認した日付と情報源をあわせて比較表に記録しておきましょう。導入後も年に1回程度は情報を見直すと、提供条件の変化に早く気づけます。判断に迷う点は、情報システム部門や法務部門の意見も聞いておくと安心です。
データ保全や長期利用の観点で比べたい開発ツール
セキュリティ認証や権限設定、長期利用を前提とした開発基盤、既存環境からの移行支援など、信頼性の判断材料に関わる製品を紹介します。SLAや障害時の連絡体制は、資料請求の際に個別に確認しましょう。
SPIRAL WebTools
- 現場の担当者自身がサイトやフォーム、業務アプリを簡単に作成
- 金融機関や官公庁にも採用されるセキュリティ基盤で安心
- 柔軟な権限設定で、誰がどのデータを閲覧・編集できるか設定可能
スパイラル株式会社が提供する「SPIRAL WebTools」は、現場の担当者自身がサイトやフォーム、業務アプリを作成できるノーコードツールです。提供元はプライバシーマークのほか、ISO/IEC 27001やISO/IEC 27017などの認証を取得しています。権限設定によってデータへのアクセスを制御できるため、顧客データの取り扱いを利用者側の設定とあわせて検討したい場合の候補です。クラウド、SaaS、サービスの形態で提供されます。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、Webデータベースとワークフロー機能を備えたノーコード開発プラットフォームです。大企業ならではの複雑なワークフローや権限制御に対応しており、閲覧や編集の範囲を組織の実態にあわせて設定できます。業務部門でもノーコードで開発できる点も特徴です。データベース統合、テンプレート、カスタマイズ、システム連携の機能を備え、クラウド・SaaSで提供されます。紙や押印を前提とした運用の見直しにも活用できます。
楽々Framework3
- EOL(サポート終了)を気にせず長く使える開発基盤
- 部品活用で高品質・標準化されたシステム開発
- 開発から運用保守まで支え、継続改善と内製化を実現
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Framework3」は、基幹システム開発とレガシー刷新を支える純国産のローコード開発基盤です。サポート終了を気にせず長く使える開発基盤のため、提供条件の変更や基盤の乗り換えに備えたい場合に検討できます。部品を活用して標準化されたシステム開発を進められ、開発から運用保守までを支えます。提供形態はオンプレミスやクラウドなどです。ビジュアルエディターやワークフロー自動化の機能も備えています。
ArielAirOne
- 大手企業のペーパーレスをノーコード/ローコードで実現
- Notes移行ツールで管理者と現場の移行負荷を大幅に削減
- スクリプトを設定することで、複雑なアプリケーション作成も可能
株式会社ワークスアプリケーションズが提供する「ArielAirOne」は、Notesと同等以上の機能と拡張性を掲げる業務開発プラットフォームです。Notes資産を活用でき、Notes移行ツールにより管理者と現場双方の移行負荷を抑えられます。既存の環境からの移行を検討している場合の候補です。ノーコードとローコードで業務のデジタル化を進められ、ワークフロー自動化やシステム連携、テンプレート、カスタマイズの機能を備えています。
Visual LANSA (株式会社ランサ・ジャパン)
- 30年の歴史、導入実績8000社以上。
- ローコード開発、連携、モダナイゼーションを統合。
- 単一言語とIDEで全てを生成
まとめ
ノーコード・ローコード開発ツールの信頼性は、確認できる情報から判断することが大切です。障害情報の公開やSLA、セキュリティ対策、サービス終了時の条件、実績の数字の定義を確かめましょう。障害時の代替手順やデータの保全、利用者側の設定など、自社でできる備えもあわせて整えましょう。
信頼性に関する情報をそろえて、資料請求で製品を比較することをおすすめします。

