導入条件を決める前に整理したい社内の準備
導入条件は、サービス側の仕様だけでなく、自社の事情から逆算して決めることが大切です。依頼したい業務、渡す情報、社内の体制を先に整理すると、比較の軸が定まります。考える項目を区分ごとに分け、次の表にまとめました。
| 区分 | 確認する内容 |
|---|---|
| 業務 | 依頼する業務の種類、頻度、成果物の形式 |
| 情報 | 渡す情報の種類、個人情報や機密の有無 |
| 体制 | 社内の窓口、承認の流れ、開始の希望時期 |
| 契約 | 契約期間、解約の条件、料金体系 |
依頼したい業務を洗い出す
最初の作業は、依頼したい業務の洗い出しです。業務の種類、1か月あたりの頻度、完成の基準を一覧にすると、サービス側へ伝える条件が具体的です。手順書がある作業は、そのまま依頼の資料に使える場合があります。
洗い出した業務は、手順が決まっている定型作業と、判断を伴う作業に分けましょう。定型作業は委託しやすい一方、判断を伴う作業は社内に残す場合があります。優先度の高い業務や、負担の大きい業務から、導入の対象を決めます。
業務委託として任せる範囲を決める
オンラインアシスタントは、業務委託の形で提供されるサービスです。成果物や業務の遂行を委託するもので、自社の社員と同じように日々指示を出す働き方とは異なります。この違いを前提に、任せる範囲を決めます。
任せる範囲があいまいだと、依頼のたびに範囲外かどうかで判断が止まる場合があります。業務の範囲、成果物の基準、納期の考え方を文書にして、契約前にサービス側とすり合わせましょう。範囲を変更する場合の手続きも、あわせて確認します。
社内の承認ルールと開始時期を確認する
外部への委託には、社内の承認が必要な場合があります。契約の決裁者、情報管理部門への確認、法務の確認など、必要な手続きを洗い出しておきましょう。稟議の期間が長い会社は、見積もりの取得とあわせて早めに準備を始めます。
手続きに要する期間を見込んで、開始の希望時期を決めます。サービスによって、申し込みから利用開始までの日数や、初期の設定にかかる期間、研修の有無が異なります。繁忙期の直前に開始する計画は、避けると安心です。
日本語対応と国内の商習慣にかかわる導入条件
国産のサービスを探す場合は、日本語での対応と、国内の商習慣を理解しているかが判断材料です。ただし、提供会社の所在地だけでは品質を判断できません。確認する内容を、日本語対応、商習慣、多言語の順に見ていきましょう。
日本語の文書作成と連絡の品質を確認する
日本語でのメールや文書の作成を依頼する場合は、敬語の使い方や、ビジネス文書の書式への理解が重要です。サンプルの提出や、試しの依頼で品質を確かめる方法があります。品質の確認は、導入前に済ませておくと安心です。
確認したいのは、誤字脱字の確認体制、複数名でのチェックの有無、修正依頼への対応の速さです。提供会社が国内にあるかどうかだけでは、これらの品質は判断できません。修正のやり取りが多いと、社内の確認の負担が増える場合もあります。
国内の商習慣への理解を確かめる
請求書の締め日や支払いのサイクル、押印や書面でのやり取りなど、国内の商習慣は企業ごとにも異なります。依頼する業務に関わる習慣を、事前に伝えておきましょう。商習慣が異なる点を伝えずに依頼すると、手戻りが生じる場合があります。
経理の業務を依頼する場合は、インボイス制度や電子帳簿保存法などの制度への理解も確認項目です。制度の判断が必要な部分は、税理士などの専門家が担う領域であり、委託先が対応できる範囲も確認します。
多言語対応の範囲を確認する
海外の取引先とのやり取りがある場合は、多言語に対応できるかを確認します。対応する言語、翻訳と通訳の違い、メールのみか電話も含むかなど、範囲はサービスによって異なります。対応できない言語がある場合の代替方法も、聞いておくと安心です。
対応できる言語の担当者がいても、稼働時間が限られる場合があります。時差のある地域との連絡では、対応時間帯もあわせて確認しましょう。専門用語が多い文書は、事前に用語集を共有すると安心です。
セキュリティ要件が厳しい企業の導入条件
セキュリティ要件が厳しい企業では、委託先の情報管理体制が導入の前提条件です。契約上の取り決め、第三者認証、アカウントの管理の3点から、確認する項目を整理します。確認の結果は、社内の情報管理部門とも共有しましょう。
- ■契約
- 秘密保持、再委託、情報の返却と削除
- ■認証
- ISMSなどの取得状況と、認証の対象範囲
- ■権限
- アカウントの権限設定と、操作の記録
秘密保持と個人情報の取り扱いを契約で定める
秘密保持契約では、対象とする情報の範囲、目的外の使用の禁止、契約終了後の情報の返却や削除を定めます。再委託をする場合は、再委託先の範囲と、承諾の手続きも確認しましょう。契約書に記載がない場合は、追加の取り決めを書面で交わします。
個人情報を扱う場合は、個人情報保護法にもとづく委託先の監督が必要です。委託先の安全管理措置の内容を質問票や書面で確認し、結果を記録しておくと、社内の説明にも使えます。不明な点は、法務担当者や専門家に確認すると安心です。
ISMSなど第三者認証の対象範囲を確認する
ISMSは、情報セキュリティの管理体制を評価する国際規格ISO/IEC 27001にもとづく認証制度です。プライバシーマークは、個人情報の取り扱い体制を評価する制度です。取得の有無は、確認項目の一つになります。
認証は、組織全体ではなく、一部の部門や拠点のみを対象にしている場合があります。依頼する業務を担当する部門が対象に含まれるかを、認証の範囲として確認しましょう。認証があっても、自社の要件を満たすとは限りません。
アカウント権限と操作記録の管理を確認する
自社のシステムや共有フォルダへのアクセスを委託する場合は、アカウントの権限設定が重要です。閲覧のみ、編集可能、削除可能などを区別し、必要な範囲に限定します。共有アカウントを複数人で使い回さない運用も有効です。
委託先の担当者ごとにアカウントを分け、操作の記録を残せるかも確認します。担当者の入れ替わりや契約終了のときに、アカウントを速やかに停止する手順も、あらかじめ決めておきましょう。操作記録の保管期間も、問い合わせで確認できます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でオンラインアシスタントの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
専門性の高い業務とカスタマイズに関する導入条件
経理や人事など専門性の高い業務を依頼する場合は、担当者の経験と対応範囲の確認が欠かせません。自社の手順にあわせた対応ができるかどうかも、導入条件に含まれます。条件を表で整理したうえで、3つの観点を見ていきます。
| 条件 | 確認すること |
|---|---|
| 専門業務の経験 | 担当者の経験分野、担当できる業務の範囲 |
| 手順の調整 | 自社のフォーマットや手順への対応方法 |
| ツールの指定 | 自社で使うチャットやストレージに対応できるか |
経理や人事の専門業務に対応できる体制を確認する
経理や人事の業務は、法令や社内規程の理解が必要な場面があります。担当者の経験分野や、過去に対応した業務の種類を、問い合わせで確認しましょう。担当者が入れ替わった際にも、同じ水準で対応できるかを聞いておきます。
判断が必要な業務は、委託先が行える範囲と、自社が判断する範囲を分けます。税務申告の代理や社会保険の手続きなど、資格が必要となる業務は、税理士や社会保険労務士などが担う領域です。依頼できる範囲は、書面で確認します。
自社の手順やフォーマットへの対応方法を確認する
カスタマイズ性とは、サービスが自社の手順や書式にどこまであわせて対応できるかを指します。人が作業するサービスでは、手順書やテンプレートの共有で対応する形が考えられます。ソフトウェアの設定変更とは異なる点に注意しましょう。
自社のフォーマットを渡して作業できるか、手順の変更を依頼できるか、変更の連絡方法は何かを確認しましょう。対応の範囲によって追加の条件が生じる場合があるため、契約前に聞いておきます。変更の履歴を残せるかも確認しておくと、後から経緯を追えます。
連絡手段やツールの指定に対応できるか確認する
自社が使うチャットツールやクラウドストレージを指定して、依頼のやり取りをしたい場合があります。委託先が対応しているツールや、自社のツールを使えるかは、サービスによって異なります。自社のツールの指定が難しい場合の代替手段も聞いておきます。
API連携が必要な場合は、連携の可否や範囲を早めに確認しましょう。人が作業するサービスでは、システム連携を前提としない場合もあります。連携の詳細は、利用する業務の内容にあわせて相談します。
契約と稼働にかかわる導入条件の最終確認
最終的な契約の段階では、契約の形、稼働の条件、費用の取り決めを確認します。後から条件の違いに気づくことを防ぐため、書面で内容を残しておくことが大切です。確認する3つの項目を、順に見ていきましょう。
業務委託契約と派遣の違いを理解する
業務委託契約は、業務の遂行や成果物を委託する契約で、作業者への指揮命令は委託先が行います。派遣は、派遣先が派遣労働者に指揮命令をする契約で、法律上の枠組みが異なります。契約書の名称だけでなく、実際の働き方がどうなるかも重要です。
業務委託の契約でも、発注側が作業者に細かく指示を出す状態が続くと、偽装請負と判断される恐れがあります。依頼の方法や窓口を契約前に確認しましょう。不安があれば、弁護士などの専門家に相談すると安心です。
稼働時間と担当者の体制を確認する
稼働時間は、対応する曜日、時間帯、月間の契約時間の上限を確認します。時間を超過したときの扱いや、翌月への繰り越しの可否も、サービスによって異なります。稼働時間の上限は、繁忙期の依頼量も見込んで確認しましょう。
担当者は、固定の1名か、複数名のチームかも確認項目です。担当者が入れ替わる場合の連絡や引き継ぎの方法を聞き、休暇のときの代替体制もあわせて確認しておきましょう。体制の変更があるときは、事前に通知されるかも聞いておきます。
契約期間と解約条件、費用の取り決めを確認する
契約期間の縛りがあるか、途中で解約できるか、解約の通知が必要な期間はいつかを確認します。プラン変更の可否と、変更したときの条件も聞いておきましょう。契約の更新時に条件が変わるかも、あわせて確認します。
料金体系は個別に確認が必要で、サービスごとに内訳が異なります。追加費用が生じる場合の条件、見積もりに含まれる項目、請求のタイミングを書面で確認します。複数のサービスから見積もりを取り、同じ条件で比較しましょう。
情報管理や委託範囲を確認したいサービス
導入条件のうち、情報管理の取り組みや対応業務の範囲を確認する対象として、オンライン業務代行サービスを紹介します。
タクシタ
- 採用率0.5%の本当のプロ人材のみが在籍
- 幅広い業務を柔軟に対応できるチーム体制
- ご依頼内容が決まっていなくても業務の棚卸しから対応可能
株式会社kubellパートナーが提供する「タクシタ」は、経理、労務、採用、営業事務などのバックオフィス業務を、チャットを通じてオンラインで依頼できる業務代行サービスです。製品ページには、社会保険労務士法や税理士法などの士業法を含め、法令上受託できない作業の依頼は受け付けないと記載されています。特別な準備や書類を用意せず、メールやビジネスチャットから依頼できるため、導入前の条件確認から相談できます。対応範囲は問い合わせで確認しましょう。
オンライン業務代行 StepBase(ステップベース)
- パーソルグループの長年の実績を活かした業務代行を月4.8万円で
- 採用倍率500倍以上!実務経験が豊富なアシスタントを直接採用
- マニュアルは不要!事前準備なしで業務依頼可能。内製化支援にも
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社が提供する「パーソルグループのオンライン業務代行 StepBase(ステップベース)」は、必要な時に必要な分だけ依頼できるオンライン業務代行サービスです。業務を行うアシスタントは直接採用しているとされ、会社情報を社外に出すことへの不安は、導入前に確認したい点の一つです。労務、経理、総務、事務などが依頼の例で、その他の業務は個別に相談できます。対応できる範囲と情報の取り扱いは、契約前に確認しましょう。
パソナBPO・アウトソーシング (株式会社パソナ)
- 現状分析・業務設計に基づき運用体制を構築。
- 専門チームが業務の立ち上げから改善まで伴走。
- IT・デジタル活用による効率的な運用支援。
CONVERGENCEのBPOサービス (コンバージェンス株式会社)
- コンサルノウハウで時間・人材不足を解決
- 最短1ヶ月から利用可能で多角的な課題解決
- 人事経験者が現場視点で確実な成果創出
オンラインアシスタントに関するよくある質問
オンラインアシスタントの導入条件についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:導入前に社内で決めておくことは何ですか?
- A:依頼したい業務の範囲、渡す情報の種類、社内の窓口と承認の流れを先に整理しましょう。開始の希望時期もあわせて決めておくと、サービスとの条件の確認が進めやすくなります。
- ■Q2:ISMSの認証があれば安心して依頼できますか?
- A:認証は判断材料の一つですが、依頼する業務を担当する部門が認証の対象範囲に含まれるかの確認が必要です。認証があっても自社の要件を満たすとは限らないため、契約や権限管理もあわせて確認しましょう。
- ■Q3:経理や人事の専門的な業務も依頼できますか?
- A:対応できる範囲は、担当者の経験やサービスによって異なります。税務申告の代理など資格が必要な業務は、税理士などの専門家が担う領域です。依頼できる範囲は書面で確認しましょう。
- ■Q4:多言語での対応は条件に含めるべきですか?
- A:海外の取引先とのやり取りがある場合は、確認する価値があります。対応する言語や範囲、稼働時間の違いはサービスごとに異なるため、問い合わせで確認しましょう。
まとめ
オンラインアシスタントの導入条件は、社内の準備、日本語対応と商習慣、セキュリティ、専門業務への対応、契約と稼働の5つに分けて確認できます。認証の対象範囲や、業務委託契約と派遣の違いは、見落としやすい点です。条件を書面で整理したうえで、複数のサービスに資料請求し、自社の導入条件にあうかを比較してみてください。

