クライアントPC管理の機能の全体像
クライアントPC管理の機能は、把握する、維持する、制御するという3つの役割に分けて捉えられます。全体像をつかんでおくと、自社に必要な機能と、優先度の低い機能を見極めやすくなります。まずは3つの役割の内容を確認しましょう。
- ■把握する機能
- ハードウェアやソフトウェアの情報を収集し、台帳として管理する
- ■維持する機能
- ソフトウェアの配布や更新プログラムの適用、遠隔サポートを行う
- ■制御する機能
- 操作ログの取得や、外部デバイスの利用制限を行う
3つの役割による機能の分類
把握する機能には、ハードウェアやソフトウェアの情報を集める資産管理があります。現状を知ることが、管理の出発点です。維持する機能には、ソフトウェアの配布や更新プログラムの適用、遠隔サポートが含まれます。
制御する機能には、操作ログの取得や、USBなど外部デバイスの利用制限があります。幅広い機能を1つで備える製品と、特定の機能に絞った製品があるため、自社が必要とする役割から確認しましょう。
MDMやIT資産管理との違い
MDMは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を、遠隔で管理する仕組みです。クライアントPC管理は、主に社内で使うパソコンを対象に、情報の収集や配布、ログの取得を行います。
PCとモバイル端末を1つの仕組みで扱える製品もあり、両者の境界は製品によって異なります。IT資産管理は、機器やソフトウェアの台帳管理に重点を置く呼び方として使われる場合があります。名称より機能で判断しましょう。
管理方式で変わる取得できる機能の範囲
PCに専用ソフトウェアを入れるエージェント型は、操作ログの取得や外部デバイスの制御など、PC内部の動きにかかわる機能を提供しやすい方式です。ただし、全PCへの導入作業が必要となります。導入の手間と取得できる情報のバランスを見ることが大切です。
エージェントを入れないエージェントレス型は、ネットワーク上の機器情報の収集に向く方式です。使いたい機能がどちらの方式で提供されているかを確認し、必要に応じて両方の方式を持つ製品も検討しましょう。
PC情報を自動収集する資産管理
資産管理の機能は、ハードウェアとソフトウェアの情報を自動で集め、台帳として管理する役割を持ちます。手作業の台帳で起こりがちな更新漏れを抑え、PCの現状を把握しやすくなります。ここからは、収集する情報の種類ごとに確認点を見ていきましょう。
ハードウェア情報の自動収集
ハードウェア情報の収集では、PCの機種名、製造番号、CPUやメモリ、ディスク容量、OSの種類などを自動で取得します。インベントリ情報とは、こうしたPCの構成情報の総称です。
収集の頻度や、取得できる項目は製品によって異なります。PCの入れ替えや修理の履歴を管理できるか、利用者の情報と結びつけられるかも、確認したい点です。台帳の項目を自社で追加できると、運用にあわせやすくなります。
ソフトウェア情報の収集と一覧化
ソフトウェア情報の収集では、各PCに導入されているソフトウェアの名称とバージョンを一覧にします。一覧は台帳へ自動で反映されるため、棚卸しの手間を減らせる点が利点です。許可していないソフトウェアの利用や、更新されていない古いバージョンを見つける手がかりにもなります。
禁止するソフトウェアを登録し、検出時に管理者へ通知する機能を備えた製品もあります。通知の方法や、誰がいつ対処したかの記録を残せるかも確認しましょう。確認の結果は台帳に反映できると便利です。
ライセンス管理の機能の見方
ライセンス管理では、購入したライセンスの数と、実際に導入されているソフトウェアの数を照らし合わせます。ライセンスの不足や余剰を把握でき、契約更新の判断材料になります。
ただし、ライセンスの条件はソフトウェアごとに異なるため、自動で照合できる範囲には限りがあります。対応しているソフトウェアの種類や、手入力で補える仕組みがあるかを確認しましょう。更新の時期を知らせる通知があると、期限切れの防止に役立ちます。
ソフトウェア配布とパッチ適用の機能
ソフトウェアの配布と更新プログラムの適用は、PCの状態をそろえるための機能です。担当者が各PCを回る手間を減らし、更新の遅れによる脆弱性のリスクを抑える役割があります。ここでは、配布の仕組みと更新の管理、実行の条件に分けて確認点を整理します。
ソフトウェア配布の仕組み
ソフトウェア配布は、管理者が指定したソフトウェアを、対象のPCへ遠隔で導入する機能です。利用者の操作を必要とせず一括で導入する方式と、利用者に導入を促す通知方式があります。業務用ソフトウェアの導入や、設定ファイルの反映にも使えます。
配布の結果を一覧で確認できるか、導入できなかったPCに再度実行できるかも、比較の際に見たい点です。実行結果の記録も確認しましょう。配布するデータの容量が大きい場合の扱いも、事前に質問しておくと安心です。
OSや更新プログラムの適用管理
OSやアプリケーションの更新プログラムには、脆弱性の修正が含まれる場合があり、適用の遅れが情報漏えいなどのリスクにつながる場合があります。パッチとは、不具合や脆弱性を修正する更新プログラムを指します。
適用済みのPCと未適用のPCを一覧で把握し、未適用のPCにだけ適用を促せる機能が役立ちます。適用前に業務ソフトとの相性を確認する運用も、あわせて検討しましょう。重要な部署では、検証用のPCで先に試す方法もあります。
配布対象と実行時間の指定
配布や更新は、部署、拠点、PCの種類などで対象を絞って実行できると安心です。まず少数のPCで試し、問題がなければ範囲を広げる段階的な配布が行えるかを確認しましょう。誤った配布を止められるかも見ておきたい点です。
実行時間を指定できる機能も重要です。業務時間中の再起動を避け、夜間や休憩時間に実行することで、業務への影響を抑えられます。回線の負荷を分散する仕組みがあるかも確認項目です。
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操作ログ取得と外部デバイス制御
操作ログの取得と外部デバイスの制御は、情報漏えいの対策として使われる機能です。取得できる範囲や制御の細かさが製品によって異なるため、目的にあわせて確認しましょう。従業員への説明の方法も、あわせて整理します。
操作ログで取得できる情報
操作ログでは、ファイルの操作、アプリケーションの起動、Webサイトの閲覧、印刷、メールの送信などを記録します。取得できる項目は製品によって異なり、あらゆる操作を記録できるとは限りません。
ログは、問題が起きた際の調査だけでなく、不正な持ち出しの抑止にも使われます。保管期間や検索のしやすさ、ログの量が増えた場合の保管方法も、あわせて確認しましょう。検索の条件を保存できると、調査の効率が上がります。
USBなど外部デバイスの制御
外部デバイスの制御では、USBメモリや外付けドライブ、スマートフォンの接続などの利用を制限できます。全面的に禁止する方法のほか、許可した機器だけを使えるようにする方法があります。
書き込みだけを禁止して読み取りは許可するなど、細かい設定ができるかも確認しましょう。例外的に利用する場合の申請の流れや、利用した記録を残せるかも、運用を想定した確認項目です。機器の種類ごとに制御を分けられると、業務の運用にあわせやすくなります。
ログ取得の目的と従業員への説明
操作ログの取得は、従業員の行動を記録する性質があるため、目的や範囲を事前に周知することが大切です。取得する情報、閲覧できる担当者、保管期間を、社内規程に明記しましょう。入社時や異動時の説明も、あわせて検討します。
労務面の配慮が必要なため、人事や法務の担当部署に相談したうえで進めます。必要以上の情報を取得しない設定ができるかも、製品を選ぶ際の確認点です。説明の機会を設けると、従業員の理解を得やすくなります。
遠隔サポートと機能比較の進め方
遠隔操作の機能は、日々の問い合わせ対応を支える機能です。ここまでの各機能を表で整理したうえで、遠隔操作の確認点と、自社に必要な機能の優先順位の決め方、比較表の作り方を解説します。
| 機能 | できること | 確認する点 |
|---|---|---|
| 資産管理 | ハードウェアとソフトウェアの情報を自動で収集する | 収集項目、更新の頻度 |
| ライセンス管理 | 購入数と導入数を照らし合わせる | 対応するソフトウェアの範囲 |
| 配布と更新の適用 | ソフトウェアを遠隔で導入し、更新プログラムを適用する | 対象の指定、実行時間 |
| 操作ログ | ファイルやWebなどの操作を記録する | 取得項目、保管期間 |
| 外部デバイス制御 | USBなどの利用を制限する | 許可の細かさ、例外の申請 |
| 遠隔操作 | 離れたPCの画面を見ながら操作する | 接続の許可、接続の記録 |
リモート操作による遠隔サポート
リモート操作は、管理者が離れた場所にあるPCの画面を見ながら操作できる機能です。操作方法の問い合わせや設定変更の対応に使え、担当者が現地へ出向く手間を減らせます。拠点が離れている場合に特に役立ちます。
利用者の許可を得てから接続する仕組みか、接続の記録が残るかを確認しましょう。接続中であることが利用者に分かる表示があると、意図しない操作への不安を抑えられます。テレワークのPCにも使えるよう、社外のネットワークからでも接続できるかを確認しましょう。
必要な機能の優先順位の決め方
機能は数が多いほど良いとは限りません。使わない機能が多いと、設定や運用の負担が増えるためです。自社の課題を先に挙げ、その解決に必要な機能から優先順位を付けましょう。
現場の担当者の意見も取り入れます。例えば、情報漏えい対策を重視するなら操作ログと外部デバイス制御、資産の把握を重視するなら資産管理が中心です。必要な機能だけを選んで段階的に導入できるかも、製品を選ぶ際の確認点です。
機能比較表の作り方
機能を比較するときは、機能名ではなく、できることを基準に表を作ります。同じ名称の機能でも、取得できる項目や制御の細かさが異なる場合があるためです。表の列は、取得項目や設定の細かさなど具体的に書きます。
各製品に同じ質問を伝え、回答を表へ記入していきましょう。公式資料で確認できない項目は、デモや無料トライアルで確かめます。確認の日付と回答した担当者名も残しておくと、製品の更新で内容が変わった場合にも見直しやすくなります。
機能の観点で比較したい製品
資産管理やソフトウェア配布、操作ログの取得といった機能の対応範囲を比べる際に、候補となる製品を紹介します。
AssetView Cloud +
- ヒトを軸とした人事情報連携による管理でセキュリティ対策
- 業務に必要なプランのみ選択しコスト削減と高効率な運用を実現
- 目的に沿った運用ができるよう導入から運用まで幅広くサポート
株式会社ハンモックが提供する「AssetView Cloud +」は、IT資産の管理から情報漏えい対策、PCの更新管理まで対応するクラウド型の運用管理ツールです。ハードウェアやソフトウェアの情報を自動で収集し、ソフトウェア配布やセキュリティパッチの管理、禁止ソフトの制限、PC操作ログの管理に対応しています。無線通信や外部記憶媒体の利用制御についても、製品ページに記載があります。実行のタイミングを指定した配布や更新の設定ができるかも、確認しておきたい点です。
クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View
- 「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2026-2027」で1位を獲得!
- セキュリティ強化から資産管理までPCの運用管理を全面支援
- PCの稼働状況や利用状況をダッシュボードで可視化
Sky株式会社が提供する「SKYSEA Client View」は、情報漏えい対策とIT資産管理に必要な機能を搭載した運用管理ソフトウェアです。インベントリ管理やソフトウェア配布、セキュリティパッチ管理、PC操作ログの管理に対応し、USBデバイスなどの利用を、使用可能、読み取り専用、使用不可といった区分で設定できます。収集した情報を横断的に活用できる点も特徴です。ログの保管期間などの条件は、個別に確認しましょう。
OPTiM Biz Premium
- 「PC・スマホ・ID・SaaS・物品」、あらゆる資産を一元管理
- MDM市場No.1の国産MDMを含むIT資産管理をワンパッケージでご提供
- OPTiM Bizエージェントを利用しアプリケーション操作ログを収集
株式会社オプティムが提供する「OPTiM Biz Premium」は、社給のクライアントPCを中心に一元管理できる端末管理(MDM/UEM)サービスです。IT資産管理、ソフトウェア配布、禁止ソフトの制限、PC操作ログの管理に対応し、アプリの配信や更新、機能制限によって管理漏れを抑えます。PCとスマートフォンをあわせて管理したい場合に、機能の範囲を比べる候補です。取得できるログの項目や、配布の対象を絞る方法は、資料請求の際に確認しましょう。
Systemwalker Desktop Patrol (富士通株式会社)
- ICT資産をセキュリティと資産管理の両面から一元管理。
- 自動収集された情報で定期的な棚卸やライセンス管理を効率化。
- セキュリティポリシー違反の検出とリモート操作による問題対応。
USB HardLocker 5 (株式会社ライフボート)
- USB鍵でPCロック・即ログオン。パスワード不要。
- 不正な外部接続を自動ブロックし、データ漏えいリスクを低減。
- 情報漏えい対策と高セキュリティ運用を支える総合保護機能。
クライアントPC管理に関するよくある質問
クライアントPC管理の機能についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:資産管理だけを先に始めて、あとから機能を追加できますか?
- A:製品によっては、オプションや上位のプランで機能を追加できる場合があります。追加できる機能の範囲や、既存のデータを引き継げるかを確認しましょう。段階的に導入したい場合は、最初の契約の時点で提供会社に相談すると安心です。
- ■Q2:ソフトウェアの配布や更新を、業務時間中に実行しても問題ありませんか?
- A:更新の内容によってはPCの再起動が必要となり、業務に影響する場合があります。夜間や休憩時間に実行を予約できるか、対象を絞って段階的に配布できるかを確認しましょう。まず少数のPCで試す運用も有効です。
- ■Q3:MDMがあれば、クライアントPC管理は不要ですか?
- A:MDMは主にスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が対象で、PCの操作ログ取得やソフトウェア配布などの機能とは役割が異なります。両方を扱える製品もあるため、管理したい端末と必要な機能から判断しましょう。
- ■Q4:USBなど外部デバイスの制御を始めると、業務に支障は出ませんか?
- A:全面的に禁止すると、業務で必要な利用まで止まる場合があります。許可した機器のみ使えるようにする、書き込みだけを禁止するなど、段階的な設定が選択肢です。例外的に利用する場合の申請の流れも、あらかじめ決めておきましょう。
まとめ
クライアントPC管理の機能は、把握する、維持する、制御するの3つの役割で整理できます。資産管理やライセンス管理、ソフトウェア配布とパッチ適用、操作ログと外部デバイス制御、遠隔操作が主な機能です。操作ログを取得する場合は、事前の周知も欠かせません。機能の名称ではなく、できることで比較し、複数の製品の資料を請求してみてください。

