クライアントPC管理の連携性を確認する前提
連携性とは、クライアントPC管理と他のシステムが、情報をやり取りできる度合いのことです。連携の目的と方式を先に整理しておくと、製品ごとの対応状況を同じ基準で比べられます。まずは、連携の種類から見ていきましょう。
- ■取り込む連携
- ディレクトリサービスなどから、利用者や組織の情報を取り込む
- ■渡す連携
- PCの情報を、資産管理や問い合わせ管理などのシステムへ渡す
- ■つなぐ連携
- 画面の遷移や遠隔操作の起動など、操作を他のシステムとつなぐ
連携で解決したい課題と情報の流れ
連携は、情報の流れによって3つに分けられます。他のシステムから取り込む連携、PCの情報を他のシステムへ渡す連携、画面や操作をつなぐ連携です。どの流れが必要かを最初に整理しましょう。
どの業務で二重入力や手作業の転記が発生しているかを洗い出すと、連携で解決したい課題が明確になります。連携先の候補は、利用中のシステムから挙げていきましょう。現場の困りごとが、連携の優先順位を決める手がかりになります。
連携方式の種類と違い
連携の方式には、APIによる自動連携、CSVファイルによる受け渡し、同じ提供会社の製品同士で用意された連携機能などがあります。APIとは、システム同士が情報をやり取りするための窓口です。APIは自動化に向く一方で、開発や設定の手間がかかる場合があります。
CSVは手軽ですが、受け渡しの作業が手動になる場合があります。業務の頻度や担当者の技術力にあわせて選びましょう。両方の方式に対応した製品なら、段階的に切り替えることもできます。
連携性を評価する基準の決め方
連携性の高さは、感覚ではなく基準で判断しましょう。連携できる相手、やり取りできる情報の種類、反映の頻度、設定で必要となる作業の4点を基準にすると、製品を比較しやすくなります。
連携が可能という説明だけでは、実際の業務で使えるか分からない場合があります。標準機能として提供されるのか、追加の開発が必要なのかも、あわせて確認しましょう。標準機能で連携できる範囲が広いほど、導入時の準備を抑えやすくなります。
Active Directoryなど利用者情報との連携
Active Directory(AD)やMicrosoft 365は、企業の利用者情報の基盤として使われています。これらとの連携は、台帳の利用者情報を正確に保つための土台となるため、連携できる範囲を具体的に確認しましょう。
Active Directoryとの連携で取り込める情報
Active Directoryは、利用者やPCの情報を一元的に管理する、Microsoftのディレクトリサービスです。連携すると、ユーザー名や所属部署、グループの情報を、クライアントPC管理に取り込めます。
取り込める項目や同期の頻度は、製品によって異なります。部署や役職ごとに設定を割り当てられるか、グループを管理の単位として使えるかも、確認したい点です。連携の設定を担当する部署も決めておきましょう。
Microsoft 365との連携で確認する点
Microsoft 365と連携する場合は、どの情報を取得できるかを確認します。利用者のアカウント情報やライセンスの割り当て状況などと、PC側の情報を結びつけられると、台帳の管理が楽になる場合があります。
クラウドで利用者を管理するMicrosoft Entra IDとの連携に対応しているかも、確認項目です。オンプレミスのActive Directoryと併用している環境では、どちらの情報を基準にするかを決めておきましょう。基準が曖昧だと、利用者情報が食い違う原因になります。
利用者情報の連携で変わる運用負担
入社、異動、退職のたびにPCの利用者情報を手作業で更新していると、台帳が実際の状況とずれる場合があります。ディレクトリサービスと連携すると、変更が自動で反映され、更新漏れを減らせます。
退職者のPCの回収や、異動先での設定変更の依頼を、人事情報の変更と結びつけられると、手順の抜けを防ぎやすくなります。反映までに時間差があるかも、確認しておきましょう。退職日当日の反映が間にあうかどうかも、運用上の確認点です。
MDMやヘルプデスクシステムとの連携性
PCの情報は、モバイル端末の管理や社内からの問い合わせ対応と結びつけると、活用の幅が広がります。連携によってどの業務が楽になるのかを、具体的に想定しながら確認しましょう。連携先の担当部署にも、事前に意見を聞いておくと進めやすくなります。
MDMとの連携の考え方
MDM(モバイルデバイス管理)は、スマートフォンやタブレットを管理する仕組みで、PCを対象とするクライアントPC管理とは役割が異なります。両者を連携させると、PCとモバイル端末を同じ利用者の端末としてまとめて把握できます。
連携の方式は、APIによる情報の受け渡し、CSVによる取り込み、同じ提供会社の製品同士の連携機能など、製品によって異なります。どの情報を連携できるかを、具体的に質問しましょう。
ヘルプデスクシステムとの連携で変わる対応
ヘルプデスクシステムは、社内からの問い合わせを受け付けて、対応状況を管理する仕組みです。クライアントPC管理と連携すると、問い合わせの内容とあわせて、そのPCの機種やソフトウェアの情報を確認できます。
担当者が利用者に機種名やバージョンを聞き取る手間が減り、原因の切り分けを進めやすくなります。問い合わせ画面から遠隔操作を起動できるかなど、画面の遷移もあわせて確認しましょう。連携の設定に管理者の権限が必要かも、見ておきたい点です。
連携先で重複する情報の持ち方
複数のシステムが同じ情報を持つ場合は、どのシステムを正とするかを決めておく必要があります。例えば、利用者情報はディレクトリサービス、PCの構成情報はクライアントPC管理を正とする方法があります。項目ごとに正とするシステムを分けて決めます。
正とするシステムを決めておくと、情報が食い違った場合に確認する先が明確になります。連携の設定や変更の責任を、自社と提供会社のどちらが担うかも、あらかじめ整理しておきましょう。担当を明確にしておくと、連携の見直しも円滑に進みます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でクライアントPC管理の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
API連携とCSV出力で確認する点
標準の連携機能で足りない場合は、APIやCSV出力が連携の手段となります。自動化したい業務を先に決めたうえで、それぞれで確認する項目を整理します。提供される機能の範囲や仕様は製品によって異なるため、個別の確認も欠かせません。
API連携で自動化できる業務
API連携を使うと、PCの台帳情報を資産管理のシステムへ自動で送ったり、他のシステムの情報をクライアントPC管理に反映したりできます。手作業の転記や、定期的なファイルの受け渡しを減らせます。
例えば、PCの台帳と会計システムの固定資産を結びつけたり、ヘルプデスクの画面にPCの情報を表示させたりする使い方があります。どの業務を自動化したいのかを、先に決めておきましょう。効果の大きい業務から始めると、成果を確認しやすくなります。
APIの仕様で確認する項目
APIで確認したいのは、公開されている範囲、取得や更新ができる情報の種類、認証の方式、1回に扱える件数の上限です。仕様書が公開されているか、問い合わせに回答してもらえるかも、判断材料です。
連携の開発を自社で行うか、外部の事業者に依頼するかによって、必要な準備が変わります。連携の状態を管理者が確認できる画面や通知があると、運用の負担を抑えられます。仕様が更新された場合の連絡方法も、確認しておくと安心です。
CSV出力の柔軟さの見方
CSV出力の柔軟さは、出力する項目を選べるか、条件で絞り込めるか、文字コードや区切りを指定できるかで判断します。取り込み先のシステムが求める形式にあわせられるかが重要です。日本語を含むデータは、文字コードの違いで文字が正しく表示されない場合があるため、特に確認したい点です。
定期的に自動で出力できるか、前回からの差分だけを出力できるかも、確認項目です。手作業で出力する運用では、担当者の負担が増えたり、作業の抜けが発生したりする場合があります。
連携性を比較して導入を進める手順
連携性は、連携先ごとの違いを表に整理し、段階的に進めると確認しやすくなります。ここでは、連携先別の確認点を表にまとめたうえで、導入を進める手順と、製品を比べるための比較表の作り方を解説します。連携は導入後の運用にも影響するため、手順も確認しておきましょう。
| 連携先 | 連携で実現すること | 確認する点 |
|---|---|---|
| Active Directory | 利用者や組織の情報の取り込み | 取り込める項目、同期の頻度 |
| Microsoft 365 | アカウントやライセンスの状況の把握 | 連携できる情報の範囲 |
| MDM | PCとモバイル端末の一元的な把握 | 連携方式、重複情報の扱い |
| ヘルプデスクシステム | 問い合わせへのPC情報の紐づけ | 参照できる項目、画面の遷移 |
| API | システム間の自動連携 | 公開範囲、認証方式、件数の上限 |
| CSV出力 | 他のシステムでの集計や取り込み | 出力項目、文字コード、自動出力 |
連携範囲を絞った段階的な始め方
連携は、最初から広い範囲で始めるのではなく、効果の大きいものから段階的に進めると安心です。例えば、利用者情報の連携から始めると、台帳の正確さが高まり、その後の連携も進めやすくなります。段階ごとに、連携の対象、担当者、完了の基準を決めておきましょう。
完了の基準が曖昧だと、次の段階に進む判断がしにくくなります。1つの連携が安定してから次に進めると、問題が起きたときの切り分けも容易です。社内への周知も段階にあわせて行います。
検証環境での確認と運用時の確認
連携の設定は、本番環境に影響を与えないよう、検証環境やテスト用の少数のPCで先に試しましょう。情報が期待どおりに反映されるかを、画面とデータの両方で確認します。一部の項目だけが欠けていないかも見ておきましょう。
運用に入った後は、連携が停止した場合に管理者へ通知されるか、履歴を確認できるかも重要です。連携の状況を定期的に点検する担当者と、引き継ぎの手順も決めておきましょう。特定の担当者に頼りすぎない体制が大切です。
連携性の比較表の作り方
連携先ごとに、連携の可否だけでなく、方式、取得できる情報、反映の頻度を記入する表を作りましょう。各製品に同じ質問を伝えると、回答を並べて比較できます。表は、社内の関係者にも共有しやすい形にまとめましょう。
公式資料で確認できない項目は、提供会社に質問します。回答の日付と担当者を記録し、必要に応じて無料トライアルで実際の動作を確かめましょう。複数の担当者で確認する場合も、記録があると共有が容易です。
連携性の確認で比較したい製品
他システムとの連携の考え方や方式を比べる際に、確認の対象としたい製品を紹介します。
AssetView Cloud +
- ヒトを軸とした人事情報連携による管理でセキュリティ対策
- 業務に必要なプランのみ選択しコスト削減と高効率な運用を実現
- 目的に沿った運用ができるよう導入から運用まで幅広くサポート
株式会社ハンモックが提供する「AssetView Cloud +」は、人を軸にIT資産や情報資産、SaaSを一元管理するクラウド型の運用管理ツールです。人事情報と連携した管理を特徴としており、利用者情報にもとづく運用を検討する際の比較対象です。IT資産管理や情報漏えい対策、PC更新管理など、目的ごとのプランから選べます。連携できる人事システムの範囲や方式、反映の頻度は、資料請求の際に確認しましょう。
クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View
- 「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2026-2027」で1位を獲得!
- セキュリティ強化から資産管理までPCの運用管理を全面支援
- PCの稼働状況や利用状況をダッシュボードで可視化
Sky株式会社が提供する「SKYSEA Client View」は、クライアントPCの情報を自動で収集し、IT資産管理や情報漏えい対策に対応する運用管理ソフトウェアです。APIやカスタマイズに対応しており、製品ページには、ログ管理や勤怠管理といった分野の製品との連携情報も掲載されています。連携の目的に応じて必要な情報を取り出せるかを確かめるとよいでしょう。連携できる製品や方式は個別に確認しましょう。
OPTiM Biz Premium
- 「PC・スマホ・ID・SaaS・物品」、あらゆる資産を一元管理
- MDM市場No.1の国産MDMを含むIT資産管理をワンパッケージでご提供
- OPTiM Bizエージェントを利用しアプリケーション操作ログを収集
株式会社オプティムが提供する「OPTiM Biz Premium」は、PCやスマートフォン、ID、SaaSなどの資産を一元管理する端末管理(MDM/UEM)サービスです。PCとモバイル端末を同じサービスで扱えるため、MDMとの連携方法を検討する際に、1つのサービスで管理する選択肢として比較できます。他システムとの連携方式は個別に確認しましょう。アプリの配信や更新、ログ取得など、管理できる内容もあわせて比較してください。
Systemwalker Desktop Patrol (富士通株式会社)
- ICT資産をセキュリティと資産管理の両面から一元管理。
- 自動収集された情報で定期的な棚卸やライセンス管理を効率化。
- セキュリティポリシー違反の検出とリモート操作による問題対応。
瞬快 (富士通株式会社)
- 再起動でPC環境を瞬間復元し、不整合を防止。
- ディスクイメージの一斉配信やUSBリカバリ機能
- リモート操作等を一元管理し、セキュリティと運用負荷を削減。
クライアントPC管理に関するよくある質問
クライアントPC管理の連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:連携できると記載があれば、すぐに使えますか?
- A:連携できる情報の範囲、標準機能か追加の開発が必要か、利用に必要なバージョンやライセンスの条件を確認しましょう。記載だけでは実際の業務に使えるか分からない場合があるため、検証環境やトライアルでの確認が有効です。
- ■Q2:社内にシステム開発の担当者がいなくても、連携できますか?
- A:標準の連携機能やCSVによる受け渡しであれば、設定のみで進められる場合があります。APIを使う場合は開発が必要になることがあるため、提供会社の支援の範囲や、外部の事業者に依頼できるかを確認しましょう。
- ■Q3:連携先のシステムを入れ替える予定がある場合は、何に注意すべきですか?
- A:連携が特定のシステムの仕様に依存していると、入れ替え時に再設定が必要になる場合があります。APIの仕様が公開されているか、仕様の変更が事前に知らされるかを確認しましょう。CSVのような汎用的な形式は、移行しやすい場合があります。
- ■Q4:連携すると、利用者の情報はどこまで他のシステムに渡りますか?
- A:連携の設定によって、渡す項目や範囲が異なります。個人を特定できる情報を渡す場合は、連携先での閲覧権限や保管の方法も確認しましょう。必要な項目だけを選べるかも、製品を比較する際の確認点です。
まとめ
クライアントPC管理の連携性は、連携先、連携できる情報、連携方式の3点で確認できます。Active DirectoryやMicrosoft 365は利用者情報、MDMやヘルプデスクは端末と問い合わせ対応、APIやCSVは他システムとの受け渡しが確認の中心です。連携先ごとの違いを表に整理し、複数の製品の資料を請求して比較してみてください。

