ピッキングの意味
ピッキングの概要を見ていきましょう。
指示リストをもとに商品をピックアップする仕事
物流用語におけるピッキングとは、ピッキングリストと呼ばれる指示書に記載された商品を、倉庫や工場内の保管場所から集めてくる作業です。英単語の「picking」は「摘み取り」「採集」などを指します。
単にピッキングと言う場合は、鍵を開けること(lock picking)を指す場合もあります。しかし、ビジネスにおいては基本的に物流用語のピッキングを示すと考えましょう。
ピッキングは軽作業であるため、学生アルバイトや主婦などのパート従業員、外国人労働者などが作業員として採用されることが多いです。ピッキングされた商品はその後、検品・梱包・出荷されます。
日用品から医薬品までさまざまな商品を扱う
ピッキングで扱う商品は業界によりさまざまです。日用雑貨から本・CDのようなメディア、化粧品・医薬品などの化学製品、そのほかアパレル製品、電化製品、食料品まで多岐に渡ります。
基本的に、どのような商品が対象でも作業員がやるべきことは変わりません。作業員はピッキングリストに従って商品が保管されている場所に赴き、そこから必要量の商品をピックアップします。大型電化製品のように重くて運びづらいものはフォークリフトなどを用いるケースもありますが、基本的には人の手で商品を集めます。
ピッキングの方法
ピッキングは摘み取り方式と種まき方式に大別されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
摘み取り方式:発送先ごとに商品を集める
摘み取り方式は、発送先ごとに商品をピッキングする方式です。たとえば、ある作業員は△社向けに商品AとBをピッキングし、別の作業員は◇社向けに商品AとCをピッキングするといった形式です。シングルピッキングやリストピッキング、オーダーピッキングとも呼ばれます。
摘み取り方式の特徴は、ピッキングと同時に仕分けが完了することです。仕分けとは、発送先別に商品を分ける作業です。始めから発送先別に商品を集めるため、改めて仕分ける必要はありません。
ただし、摘み取り方式は商品の保管場所とピッキング商品を集める場所を何度も往復しなければならないのが難点です。上述した商品A・B・Cの例で言えば、△社と◇社の両方に必要な商品Aを、二人の作業員が別々に取りに行っています。これは時間や労力の無駄と言えるでしょう。この無駄を解消するために登場したのが、次節で紹介する種まき方式です。
種まき方式:商品を集めてから仕分けを行う
種まき方式では、すべての発送先に必要な商品をまとめてピッキングします。上述の例で言えば、△社に必要な商品Aと◇社に必要な商品Aをまとめてピッキングするのです。これならば、作業員たちが何度も商品Aの保管場所に足を運ばずに済みます。まとめてピッキングすることから、トータルピッキングとも呼ばれます。
また、種まき方式では作業員が商品の保管場所に移動するのではなく、ベルトコンベアで流れてくる商品を拾うだけのケースも珍しくありません。この点からも、種まき方式はピッキング作業員の負担が少ない方式と言えます。
ただし、集めた商品を仕分ける手間が発生します。手間だけでなくある程度の作業スペースも必要になるため、空間的に余裕がある職場でなければ採用しづらい方式と言えるでしょう。
ピッキングを効率化するシステムとは
ピッキングは基本的に人の手で行うため、人為的ミスが発生しやすい業務と言えます。そのミスを減らし生産性を改善するために有効なのが、ピッキングを支援するITシステムの活用です。いくつかの種類を紹介します。
- 【デジタルピッキング】
- 商品保管場所にデジタル表示器を取り付け、作業員はその表示器を見ながら作業します。
- 【タブレットピッキング】
- 作業員がタブレットを所持し、画面に表示される指示を見ながら作業します。
- 【バーコード・ハンディターミナル】
- ピッキングリストのバーコード情報と商品のバーコード情報を照合することでミスを減らします。
- 【RFIDタグ】
- RFID(Radio Frequency Identifier)タグは商品情報などを埋め込んだタグです。基本的な扱い方は上述のバーコードと変わりませんが、ハンディターミナルに該当する装置がウェアラブルなため作業員の手が塞がりません。
ピッキングの意味と方法について理解して業務に活かそう!
ピッキングとは、ピッキングリストを見ながら商品をピックアップする作業です。日用品やアパレル用品、電化製品など、扱う対象は多岐にわたります。
ピッキングには以下の2種類の方式があります。
- 摘み取り方式
- 発送先ごとに商品を集める
- 種まき方式
- 商品を集めてから発送先ごとに仕分けする
ピッキングを効率化するにはITシステムの活用が有効です。
以上を踏まえて適切にピッキングを行いましょう。