協調フィルタリングによるレコメンド表示の仕組み
協調フィルタリングは、ユーザーの行動データをもとに関連性の高い商品を導き出す代表的な手法です。仕組みの違いによって表示結果の傾向も変わってきます。
類似ユーザーの行動を活用した表示の仕組み
似た行動をとるユーザー同士の傾向をもとに商品を表示する方法です。閲覧・購入した商品が近いユーザーの行動を参照するため、自分では気づいていなかった商品との出会いにつながる場合があります。
この方式は行動データの蓄積量が少ないと精度が安定しにくい場合があるため、サイトの規模やアクセス数に見合ったロジックが搭載されているかを確認しておくと安心です。新規サイトの場合は、初期表示のロジックが別途用意されているかもあわせて確認しましょう。オープン直後で行動データがほとんどない期間は、人気ランキングなど別のロジックで補う仕組みが用意されているかも重要な確認項目です。
商品同士の関連性を活用した表示の仕組み
一緒に購入されやすい商品や、閲覧の流れが近い商品同士の関連性をもとに表示する方法です。ユーザーの行動履歴が少ない段階でも一定の精度を出しやすいとされています。
ただし関連性の算出ロジックは製品ごとに異なるため、カテゴリーをまたいだ関連付けにどこまで対応しているか、除外したい商品を指定できるかなど、運用に必要な設定項目を事前に確認しておくことが有効です。手動で表示の優先順位を調整できる機能があるかどうかも、運用担当者にとっては重要な確認ポイントになります。
ユーザーの行動履歴を分析するレコメンドエンジンの機能
行動履歴分析は、閲覧や購入といったユーザーの動きをデータとして蓄積し、表示内容に反映するための土台となる機能です。収集範囲によって分析の精度も変わります。
閲覧・購入履歴の収集範囲の確認
閲覧履歴のみを収集する製品と、購入履歴や検索キーワード、お気に入り登録まで含めて収集できる製品では、分析できる粒度に差が出る場合があります。自社が把握したい行動データの種類を事前に整理しておきましょう。
収集したデータをどの程度の期間保持するか、削除依頼があった際にどう対応できるかといった運用面の確認も必要です。個人情報の取り扱いについては、社内の情報システム部門とあわせて確認しておくと安心です。データの保管場所が国内か海外かによって、社内のセキュリティ規定に照らした確認が必要になる場合もあります。
行動データの分析方法の違い
収集したデータをどのような単位で分析するかは製品によって異なります。ユーザー単位で分析する方法と、セグメント単位でまとめて分析する方法があり、必要な精度に応じて選び方が変わります。
分析結果を管理画面でどこまで確認できるかも重要な確認項目です。グラフや表で可視化されているか、csv形式などで外部に出力できるかによって、社内での活用のしやすさが変わってきます。複数の担当者が同時にデータを確認できる権限管理の仕組みがあるかも、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
ユーザーごとにパーソナライズ表示するレコメンドエンジンの機能
パーソナライズ表示は、ユーザー一人ひとりの行動データに応じて表示内容を出し分ける機能です。精度を左右する要素を理解しておくと選定の判断がしやすくなります。
セグメント単位とユーザー単位の出し分け
年代や性別といった属性でまとめるセグメント単位の出し分けと、個々の行動データに基づくユーザー単位の出し分けでは、必要なデータ量や設定の細かさが異なります。自社の運用体制に合わせて選ぶことが大切です。
ユーザー単位の出し分けでは、より細かなパーソナライズが可能になる一方、必要なデータ量や運用負荷が増える場合があります。まずはセグメント単位で始め、段階的にユーザー単位へ移行する進め方も選択肢になります。
パーソナライズの精度を左右する要素
パーソナライズの精度は、収集できる行動データの量や種類、更新頻度など複数の要素が関係します。特定の要素だけを見て精度を判断しないよう注意しましょう。
製品によっては、天候や在庫状況といった外部データと組み合わせて表示を調整できる場合もあります。自社が必要とする条件に対応しているかを、公式情報をもとに確認しておくとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でレコメンドエンジンの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
A/Bテスト機能で改善サイクルを回す方法
A/Bテスト機能は、異なる表示ロジックの効果を比較検証するための機能です。設計のしやすさは製品によって差があります。
テスト設計のしやすさを左右する機能
テスト対象のユーザー数や期間を自由に設定できるか、複数パターンを同時に比較できるかによって、検証にかかる手間が変わってきます。管理画面上での操作のしやすさもあわせて確認しておきましょう。
過去のテスト条件をテンプレートとして保存できる機能があると、繰り返しテストを行う際の設定作業を減らせる場合があります。運用担当者の負荷を踏まえて必要な機能を洗い出しておくとよいでしょう。
テスト結果の確認方法
テスト結果は、表示回数やクリック率だけでなく、購入率や売上への貢献度まで確認できるかが重要です。統計的な有意差をどのように示してくれるかも製品によって異なります。
結果の解釈に迷う場合に相談できるサポート窓口があるかも確認しておくと、社内にデータ分析の知見が少ない場合でも活用を進めやすくなります。テスト結果をもとに次にどのようなパターンを試すべきか提案してもらえるかも、この機会に確認しておくと改善のサイクルを継続しやすくなります。
リアルタイムでレコメンド結果を更新する機能
リアルタイム更新は、直前の行動をすぐに表示へ反映する機能です。更新頻度によって表示の鮮度が変わります。
更新頻度の違いによる影響
製品によっては数分単位で反映される場合もあれば、1日単位でまとめて更新する場合もあります。更新頻度が粗いと、直前に閲覧した商品と表示内容にずれが生じる場合があります。
更新頻度は表示の鮮度と処理負荷のバランスによって設計されているため、自社サイトのアクセス数や更新頻度への要望に対応できる製品かどうかを、公式情報や問い合わせで確認しておくと安心です。
リアルタイム性が求められる場面
セール期間や在庫の変動が激しい商材を扱う場合、リアルタイム性が低いと売り切れ商品を表示し続けてしまう場合があります。取り扱う商材の特性に応じて必要な更新頻度を見極めましょう。アパレルや食品など季節性の強い商材では、更新頻度が精度に直結しやすいため特に注意が必要です。
逆に更新頻度が高すぎると、表示内容が頻繁に変わりすぎてユーザーが混乱する場合もあります。商材や利用シーンに応じたバランスを考慮して選定することが大切です。更新のタイミングを一部の画面だけ固定できるなど、柔軟な設定ができるかも確認しておくと運用しやすくなります。
効果をレポートで分析するレコメンドエンジンの機能
レポート機能は、レコメンド表示がどの程度成果につながっているかを確認するための機能です。確認できる指標の種類は製品によって異なります。
確認できる指標の種類
表示回数やクリック率に加えて、レコメンド経由の購入率や売上貢献度まで確認できるかは、効果測定の精度を左右する重要な確認項目です。指標の粒度が自社の分析ニーズに合っているか確認しましょう。
指標を期間ごとに比較できる機能や、キャンペーン単位で絞り込める機能があると、施策の効果検証がしやすくなります。必要な粒度でデータを見られるかを事前に確認しておきましょう。他の分析ツールへエクスポートできる形式に対応しているかも、社内での二次活用を考えるうえで確認しておきたい項目です。
レポートの活用方法
レポートを定期的に確認する運用ルールを決めておかないと、機能があっても活用されないまま放置される場合があります。誰がいつ確認するかをあらかじめ決めておくことが有効です。
レポートの見方が分からない場合に相談できる窓口があるかも、契約前に確認しておくとよいでしょう。社内に分析担当者がいない場合は、特に重要な確認項目になります。定期的なレポート共有の頻度や形式を事前にすり合わせておくと、運用開始後のミスコミュニケーションを防ぎやすくなります。
機能を比較して選ぶレコメンドエンジン
協調フィルタリングやパーソナライズ表示、A/Bテスト、レポート分析など、記事で紹介した機能を実際に搭載しているレコメンドエンジンを紹介します。
Marketing Cloud Personalization
- 顧客のあらゆる瞬間をAIとデータでパーソナライズ
- 嗜好をリアルタイムで見極め、お客様に寄り添うレコメンドが可能
- あらゆるデータを分析し、キャンペーン効果の最大化が実現
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Marketing Cloud Personalization」は、Webサイトやアプリでのユーザー行動をリアルタイムに分析し、パーソナライズされたレコメンドを表示するエンジンです。行動データの更新をすぐに表示へ反映できる仕組みを備え、A/Bテスト機能によって異なる表示ロジックの効果を比較できます。分析レポートでは購入率や売上への貢献度まで確認でき、施策の効果検証に活用できます。
アイジェント・レコメンダーS
- 大規模・中堅ECで高い評価を得ている高精度AIエンジンを搭載
- 運用はAIが自動でユーザー行動を学習・最適化するので手間いらず
- スタートアップや中小規模のECサービスでもお求めやすい価格帯
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社が提供する「アイジェント・レコメンダーS」は、協調フィルタリングをベースにしたレコメンドエンジンです。閲覧・購入といった行動データをもとに、商品同士の関連性や類似ユーザーの傾向を活用した表示に対応します。中小規模のECサイト向けに設計されており、シンプルな設定で導入しやすい点が特徴です。表示結果はレポート機能で確認できます。
ZETA RECOMMEND
- 従来の入出力形式で実装でき、導入工数・改修リスクも軽減
- 自在なフィルタリング処理と多彩なデータ取得・活用が可能
- SNS・広告配信・Eメールなど、外部システムとデータ連携
ZETA株式会社が提供する「ZETA RECOMMEND」は、複数のレコメンドロジックを備えたECサイト向けのエンジンです。閲覧履歴や購買データをもとにした協調フィルタリングに加え、A/Bテスト機能によって異なるロジックの効果を比較検証できます。表示結果は管理画面のレポートで確認でき、クリック率や購入率など複数の指標をもとに改善を進められます。
楽レコ (コロニーインタラクティブ株式会社)
- システムが自動的に関連商品を登録
- 半年以上の継続率98%
- 在庫がある商品のみをレコメンド表示
EC RECOMMENDER (エクスプロージョン株式会社)
- MakeShopやEC CUBEなど多くのショッピングシステムに対応
- 簡単なオートマ設定・複雑なマニュアル設定を使い分け可能
- 確認機能で複雑なアルゴリズムをチューニング
まとめ
レコメンドエンジンの機能は、協調フィルタリングや行動履歴分析、パーソナライズ表示、A/Bテスト、リアルタイム更新、レポート分析など多岐にわたり、必要な機能は自社の商材や運用体制によって異なります。それぞれの仕組みを理解したうえで、自社に合う機能を備えた製品を比較検討してみてください。

