給与前払いサービスとは?
ここでは、給与前払いサービスの概要や仕組みを解説します。
給料日前でも給与が振り込まれるサービス
給与前払いサービスとは、給料日前でも従業員が希望する日に給与を振り込んでもらえるサービスです。従業員が給与前払いを申請すると、実際に働いた分の給与から一定の割合で振り込まれます。
冠婚葬祭や引っ越しの直後など急な出費でお金が必要な場合に、給料日まで待つ必要がなくなります。そのため、従業員にとって喜ばれるサービスだといえるでしょう。
また、非正規労働者の増加や賃金水準の低下などが原因で、給与即払いのニーズが高まりつつあります。そのような背景もあり、企業において給与前払いサービスが注目を集めているのです。
福利厚生として導入されることが多い
福利厚生の一環として給与前払いサービスを導入する企業も増えています。
従業員が安心して働ける環境づくりは、企業が率先して実行すべき戦略ではないでしょうか。就業環境が充実していると従業員のモチベーションがアップし、さらなる能力を引き出すことも可能になるでしょう。
しかし、給与前払いサービスは経理担当者にとっては負担が大きい業務の1つです。従業員一人ひとりの申請に対して、支払い可能な給与を計算するのは難しいでしょう。
給与前払いサービスとは、このような従業員のニーズに応える便利なサービスであり、経理担当者の負担を軽減することにつながります。
サービス会社が給与を立て替える
給与前払いサービスはサービス会社が前払給与を立て替える仕組みです。そして、後日にサービス会社から前払い給与分の金額が企業に請求されます。そのため企業ではあらかじめ前払い給与を準備する必要がなく、サービス利用のコストもかからないケースがほとんどです。
手数料は前払い給与の3~6%ほどですが、賃金規定や労使協定などを改定する必要はありません。そのため導入しやすいサービスだといえるでしょう。
法律における給与前払いの懸念点とは?
給与前払いには法律上の懸念点があります。それぞれを解説します。
労基法に違反している可能性
サービス会社が前払給与を立て替え、手数料を従業員の口座から天引きしている場合は労基法に抵触する可能性があります。この場合、労基法にある賃金の支払い5原則のうち「全額払いの原則」「直接払いの原則」に違反するかもしれません。
給与前払いサービスを導入する際は、労基法との関連性も視野に入れることが大切です。
貸金業登録がない場合は違法している可能性
サービス会社が前払給与を立て替える場合、法律上貸金業に該当する可能性が高くなるでしょう。この場合、従業員の給料を担保にお金を貸したと見なされ、さらには支払われる手数料も利息と見なされます。
たとえば、従業員が前払い10万円を申請し、手数料で6%支払ったとしましょう。申請日が給料の10日前だった場合、支払った手数料は年利200%を超えることになり、利息制限法違反になる可能性もあります。
お金を貸すサービスの提供には貸金業に登録する必要があることがその理由です。給与前払いサービス会社がお金を立て替えている場合、貸金業登録がされているかを確認しましょう。
給与前払いサービスのメリット
給与前払いサービスを導入するメリットについて解説します。
ニーズが高い福利厚生を少ない費用で実現できる
給与前払いのサービスは利用料が発生しない場合も多いため、少ないコストで充実した福利厚生を実現します。
従業員が働きやすい環境をつくるのは福利厚生の一環です。給与前払いサービスの導入により、従業員思いの企業だとアピールできます。また、他の企業との差別化を図れるでしょう。
求人の応募者数を増やせる
給与前払いサービスの導入により求人の応募者数を増やすことが可能でしょう。給与前払いサービスは求職者にとっても魅力的な福利厚生の1つです。
アルバイトやパートの求人で給与前払いができる企業は、そうでない企業に比べると応募者数が増加する傾向にあります。さらに、働き手不足が深刻な現代において、給与前払いサービスは人材確保の切り札になり得るかもしれません。
従業員の金銭的リスク・離職を予防
給与前払いサービスの活用で、従業員は必要な時に必要な金額を受け取れます。そのため、従業員の金銭的なリスクや離職を予防できる制度だといえるでしょう。
急な出費は誰にでもあるため、給料日を待たずとも給与をもらえる安心感は企業への定着率を高め、離職率低下につながるはずです。また、給料日以前に受け取れる給与があることで、やむを得ないキャッシングを繰り返してしまうリスクの予防につながるでしょう。
給与前払いサービスでよくある失敗例
給与前払いサービスを導入する際に気をつけるべき2つのポイントを解説します。
提携している銀行が少なく、実用性がない
給与前払いサービスでも銀行口座へ申請した金額が振り込まれます。そのため、サービス会社と提携している銀行が少ないと不便であり、実用性が低いため従業員に活用されない場合もあるかもしれません。
また、現在はコンビニに設置しているATMでも現金を引き出すことが可能です。そのため、銀行だけではなく、コンビニのATMでも利用できるかどうか導入前に確認することをおすすめします。利用可能なATMが多いと実用性が高くなり、従業員からの制度に対する評価も上がるでしょう。
手数料・運用コストが高い
給与前払いサービスを導入する場合、従業員が負担する手数料はどの程度か確認しましょう。負担する手数料が高いと利用されない制度になりかねません。
また、給与前払いサービスには前払いのお金を企業側で準備し、事務処理を委託するアウトソーシングタイプもあります。このタイプは状況によって導入や運用コストが高くなる傾向にあります。
給与前払いサービスを導入する場合、サービスの手数料・内容とのバランスを十分に検討することが大切です。
人気の給与前払いサービスを見てみよう
人気の給与前払いサービスを以下の記事で、比較しながら紹介しています。注意点なども紹介しているので、導入の参考にしてみてください。
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なお、こちらではITトレンドで過去30日間、ユーザーから問い合わせの多かった「給与前払いサービス」を紹介しています。製品の口コミや、資料請求の傾向がわかるので、あわせて参考にしてみるとよいでしょう。
給与前払いサービスを利用し従業員の満足度を上げよう
給与前払いサービスは、従業員からの高いニーズがあります。福利厚生として導入することで定着率や離職率を下げることが期待できます。また、サービスの内容によっては低コストで導入ができ、求職者の増加を見込める制度だといえるでしょう。
手数料とサービス内容のバランスを見極め、自社にあった最適なサービスを導入し、従業員の満足度を向上させましょう。