給与前払いとは
給与前払いとは、従業員の希望により給与日前に働いた分の給与を受け取れる制度です。前払いできる上限額や回数などについて、企業ごとにルールを設けて運用するのが一般的です。給与前払いは労働基準法で認められた制度であり、「賃金の非常時払い」を行うことは企業の義務でもあります。
参考:労働基準法 | e-Gov法令検索
参考:労働基準法第25条(非常時払)について | 厚生労働省
福利厚生として導入されることが多い
企業が給与前払いを実施している場合、従業員が給与前払いを申請すると、実際に働いた分の給与から一定の割合で給与が支払われます。急な出費でお金が必要な場合に給与日まで待つ必要がなくなるため、従業員にとって有益な制度といえるでしょう。
非正規労働者の増加や賃金水準の低下などの理由から、給与前払いや即払いのニーズが高まる近年、福利厚生の一環として給与前払いを導入する企業が増えています。
サービス会社を利用する企業が多い
企業にとってもメリットの多い制度ですが、企業独自に給与前払いを行うには、多大な労力が必要です。経理部門は通常業務とは別に給与前払いにも対応しなくてはならず、発生件数が多いほど経理担当者の負担は増えるでしょう。そこで業務負担を軽減し効率的に給与前払いを実施するために、多くの企業が給与前払いサービスを利用しています。
給与前払いサービスの仕組み
給与前払いサービスには「立替払い」と「自社払い」の2つの仕組みがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- ■立替払い
- サービス会社が前払い給与を立て替え、後日サービス会社から前払い給与額が企業に請求される。企業はあらかじめ前払い給与を準備する必要がない。
- ■自社払い
- 前払い給与を自社で用意し、預託資金や自社の口座から従業員へ支払う。サービス会社は振込の代行や、預託資金を従業員がATMから引き出せるようなシステム提供を行う。比較的手数料が低い。
立替払いと自社払いのどちらもサービス利用料と振込手数料がかかります。サービス利用料は企業が支払い、振込手数料は従業員負担が一般的です。ただし、企業と従業員のどちらが負担するかを選べたり負担割合を企業ごとに設定したりできるなど、サービス会社によって料金設定や仕組みは異なります。
以下の記事では、おすすめの給与前払いサービスを立替払いと自社払いのタイプ別に紹介しています。自社にあうサービスを選ぶための比較ポイントも解説しているので、あわせてご覧ください。
給与前払いサービス導入と利用の流れ
ここでは、給与前払いサービスを契約してから、実際に利用するまでの一般的な手順を解説します。導入後のイメージをつかむための参考にしてください。
- ■サービス契約の手順
- 1:申し込み・財務審査の実施
- 2:従業員へのアカウント発行・勤怠データの連携
- 3:従業員への説明(初期設定や利用方法など)
- ■サービス利用の流れ
- 1:従業員が給与前払いを申請
- 2:サービス会社または企業が、申請額を従業員の銀行口座へ振り込む
- 3:給与日に企業が申請額を差引いた残りの給与を従業員の銀行口座へ振り込む
- 4:前払い金を企業がサービス会社へ支払う(立替払いのみ)
法律における給与前払いサービスの懸念点とは
給与前払いは法律で認められている制度ですが、信頼できるサービスを選ばないと法的リスクがともないます。サービス選定時に、特に注意しておきたいポイントは以下の2つです。
- ●手数料を従業員の口座から天引きしていないか
- ●貸金業登録されてるか
それぞれの懸念点について詳しく解説します。
手数料を従業員の口座から天引きしていないか
サービス会社が前払い給与を立て替える際に、手数料を従業員の口座から天引きしている場合は労働基準法に抵触する可能性があります。労働基準法第24条にある賃金の支払い5原則のうち、「全額払いの原則」「直接払いの原則」に違反する可能性があるからです。
そのため給与前払いサービスを選定する際には、労働基準法との関連性も視野に入れ、賃金支払いの原則に則った運用ができるか、サービス会社の信頼性を慎重に検討しましょう。
参考:賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
貸金業登録されているか
立替払いの給与前払いサービス会社の多くは、法律上、貸金業に該当します。しかし貸金業登録していないサービス会社もあるため、立替払いを希望する場合はまず賃金業登録されているかを確認しましょう。
また貸金業であれば、出資法が定める年20%の上限金利が該当します。従業員の給与を担保にお金を貸したと見なされ、振込手数料も利息として扱われるのです。しかし賃金業登録されていない場合は、違法な手数料が設定されている可能性があります。振込手数料を年利換算したときに、金利が20%を超える場合は利息制限法違反にあたるため十分に注意しましょう。
参考:違法な金融業者にご注意!|金融庁
参考:上限金利について【貸金業界の状況】|日本貸金業協会
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給与前払いサービスのメリット
給与前払いサービスを導入するメリットは、以下の3つが挙げられます。
- ●従業員ニーズの高い福利厚生を少ない業務工数で実現できる
- ●求人の応募者数を増やせる
- ●従業員の金銭的リスク・離職を予防できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
従業員ニーズの高い福利厚生を少ない業務工数で実現できる
給与前払い制度は、手続きを担当する経理部門にとっては大きな負担となりえます。例えば、勤怠状況の確認や前払い金額の算出・振込、給与日に支払う差額分の計算などが発生します。給与前払いサービスを利用すれば、これらすべての業務をサービス会社に委託できます。申請者が増えても問題なく処理できるようになるでしょう。
求人の応募者数を増やせる
福利厚生に給与前払いサービスを導入することで、求人の応募者数増加が期待できます。給与前払いや日払いに対応することで他社との差別化が図れ、自社のアピールポイントにもなります。
働き手不足が深刻な現代において、人材確保の切り札になり得るかもしれません。
従業員の金銭的リスク・離職を予防できる
給与前払いサービスの活用で、従業員は必要なときに必要な金額を受け取れます。そのため、従業員の金銭的なリスクや離職を予防できる制度だといえるでしょう。
急な出費は誰にでもあるため、給与日を待たずとも給与をもらえる安心感は企業への定着率を高め、離職率低下に寄与します。また、給与の一部を前倒して受け取れることで、やむを得ないキャッシングを繰り返したり、禁止している副業を始めたりするなどのリスク予防にもつながります。
給与前払いサービスのデメリットと注意点
給与前払いサービスの導入効果を最大化するためには、サービス選定時に気をつけるべき2つのポイントがあります。
- ●提携している銀行が少なく利便性が低い
- ●手数料や運用コストが高い
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
提携している銀行が少なく利便性が低い
前払い給与の支払い方法はサービスによって異なりますが、申請した金額が従業員の銀行口座へ振り込まれるケースが多いです。その際、サービス会社と提携している銀行が少ないと、新たに口座を開設する手間が生じます。逆に、コンビニに設置されているATMで利用できるサービスはより利便性が高いといえます。
手数料や運用コストが高い
給与前払いサービスを検討する際には、従業員が負担する手数料の適切性に注意しましょう。いくら希望のタイミングで給与を前払いできたとしても、手数料が高すぎれば利用してもらえません。また、運用コストもサービスごとに大きく異なります。そのため手数料と運用コスト、サービス内容を見極めることが大切です。
給与前払いサービス導入の注意点については以下の記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。
おすすめしたい給与前払いサービス年間TOP3
ここからは、「ITトレンド年間ランキング 給与前払いサービス」をもとに、人気TOP3を紹介します。気になる製品はこの記事から無料で資料請求できるので、ぜひご利用ください。
株式会社メタップスペイメントが提供する「CRIA(クリア)」は、企業負担がなく、トータルコストも抑えられる点が最大の魅力です。決算代行事業のノウハウを活かして、セブン銀行ATMでの給与の受け取りや口座振込を実現しました。
従業員はスマホアプリで申請を行えます。企業側のサポートは専任の担当者が行い、トラブルがあれば24時間365日問い合わせが可能です。
「即給 byGMO」は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供する給与前払いオンラインサービスです。三井住友銀行のリアルタイム振込を実装しています。三井住友銀行グループの高い信頼性とセキュリティ基準で構築されているため、安全な運用が期待できるでしょう。
また、事前に資金を預け入れるデポジット型と、ベンダーが資金を立て替える立替型から選択が可能です。
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給与前払いサービスを導入して従業員満足度を上げよう
給与前払いサービスは、従業員からの高いニーズがあります。福利厚生として導入することで、定着率の向上や求職者の増加などが期待できます。サービス導入の際は利用料金とサービス内容を見極め、自社にあった最適なサービスを導入し、従業員の満足度を向上させましょう。
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