シングルサインオンの運用で発生する業務
シングルサインオンとは、一度の認証で複数のサービスへログインできるようにする仕組みです。導入後は、アカウントと連携設定を維持する作業が続きます。まず、業務の中身を把握しておきましょう。
日常的に発生する作業
頻度が高いのは、入社や退職、異動にともなうアカウントの登録と停止、権限の変更です。人事の情報と連動させて自動で処理できる仕組みがあれば作業は減りますが、例外的な扱いが必要な場合は個別の対応が残ります。
このほか、ログインできないという問い合わせへの対応も日常業務に含まれます。原因はパスワードの誤りだけでなく、端末の設定、連携先サービス側の状態、認証を強める仕組みの登録漏れなど複数考えられます。確認する項目を一覧にしておくと、回答までの時間を短縮できます。
定期的に発生する作業
定期作業としては、アカウントの棚卸し、連携設定の確認、ログの確認とレポート作成があります。棚卸しでは、実際には使われていないアカウントや、必要以上の権限が付与されたままのアカウントを洗い出します。
連携先のサービスは仕様が更新されることがあり、設定の見直しが必要になる場合があります。更新の告知がどの手段で届くかを確認し、受け取る担当者を決めておきましょう。ログの確認については、すべてを毎日見るのではなく、通常と異なる時間帯や場所からのログインなど、注目する条件を決めて絞り込む運用が現実的です。
担当者が少ない企業のシングルサインオン運用
情報システムの担当者が1人、あるいは専任者がいない企業では、作業量を減らす仕組みをサービス側で用意できるかが判断材料になります。
情報システム担当が1人の場合
担当者が1人の環境では、作業が特定の人に集中し、不在時に対応できなくなる状態が課題になります。対策としては、管理者を複数登録する、対応手順を文書に残す、設定変更の記録をサービス側で自動的に残すという3点が挙げられます。
サービスを選ぶ際は、管理画面で日常の作業がどの程度の手数で行えるかを確認しましょう。無料トライアルやデモの機会があれば、アカウントの追加と停止、権限の変更といった作業を実際に試すと判断しやすくなります。あわせて、問い合わせ窓口の対応時間と、依頼できる作業の範囲も確認してください。
情報システム専任者がいない場合
総務や管理部門の担当者が兼務している企業では、連携設定を細かく作り込む前提のサービスは運用を続けにくくなります。主要なサービスとの連携設定が用意されているものや、導入支援を受けられるサービスを検討するとよいでしょう。
ただし、外部に支援を依頼する場合でも、自社側で判断する事柄は残ります。誰にどのサービスへのアクセスを許可するかは、業務内容を知る自社が決める必要があるためです。依頼できる範囲と自社で判断する範囲を契約前に書き出し、両者で認識をそろえておきましょう。緊急時の連絡先と対応時間もあわせて確認してください。
多拠点のアカウントとログイン状況を把握する
拠点が複数ある企業や、グループ会社を持つ企業では、アカウント情報が分散した状態が運用上の課題になります。
拠点ごとに管理している場合の課題
拠点ごとにアカウントを管理していると、同じ従業員が複数のアカウントを持つ状態や、退職者のアカウントが残る状態が生じる可能性があります。全社でどのアカウントが有効かを把握しにくくなります。
整理を進めるには、まず現在のアカウント一覧を拠点ごとに集める作業から始めます。氏名、所属、利用しているサービス、最終のログイン日時を並べると、重複や利用実態のないアカウントが見えてきます。すべてを一度に整理する必要はなく、件数の多い拠点や、扱う情報の重要度が高いサービスから順に進める方法が現実的です。
本社で全社のログイン状況を確認する
一つの管理画面から全社のアカウントとログイン記録を確認できる構成では、誰がどのサービスを使っているかを把握しやすくなります。利用実態が分かると、契約しているサービスの見直しにもつながります。
確認したいのは、記録される項目の範囲、絞り込みの条件を指定できるか、レポートを定期的に出力できるかという点です。あわせて、拠点の担当者へ一部の操作だけを許可できるかも見ておきましょう。権限を役割ごとに分けられると、本社へ作業が集中する状態を避けられます。
グループ会社のアカウントを統合する
グループ会社をまとめて管理する場合、技術的な仕組み以上に、情報の取り扱いと責任範囲の整理が重要です。各社の従業員情報をどこまで共有するか、誰が権限を承認するかを決めないまま統合すると、判断が滞る可能性があります。
進め方としては、まずグループ共通で使うサービスを対象に統合し、各社固有のサービスは各社で管理する形が現実的です。個人情報の取り扱いについては、法務や人事の担当者と確認を進めてください。統合の範囲を段階的に広げる計画にしておくと、途中で見直しやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でシングルサインオンの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
情報システム部門と人事部門の分業
アカウントの管理は、人事の情報と密接に関わります。両部門の役割を整理しておくと、入退社時の対応が滞りにくくなります。
役割を分ける際の考え方
人事部門は入社日や退職日、所属の変更といった情報を持ち、情報システム部門はアカウントと権限の設定を担います。どちらか一方だけでは処理が完結しないため、情報が渡る流れを決めておく必要があります。
整理の方法としては、作業ごとに情報を出す側と設定を行う側を表にする方法が有効です。入社であれば、人事が入社日と所属を登録し、その情報をもとにアカウントが作成されるという流れです。人事システムと連動できる場合は、どの項目が自動で反映されるかを確認し、手作業が残る部分を明記しておきましょう。
入退社時の手順を決める
退職時の対応は、特に手順を明確にしておきたい部分です。アカウントを停止するタイミング、貸与した端末の扱い、認証に使う機器の回収を、いつ誰が行うかを決めておきます。
反映までに時間差が生じる場合、その間の扱いも取り決めが必要です。人事システムの情報が翌日に反映される仕組みであれば、最終出社日の当日に手動で停止する手順を用意しておくとよいでしょう。手順は文書にまとめ、両部門の複数の担当者が参照できる場所に保管してください。担当者が変わっても同じ手順で進められる状態が望ましい形です。
運用体制別の確認項目を整理する
ここまでの内容を、体制ごとの確認項目としてまとめます。自社の状況に近い行を起点に、資料請求時の質問リストを作る材料としてください。
体制ごとの比較の目安
下表は、運用体制ごとに優先して確認したい項目を整理したものです。実際の要件は利用サービス数や拠点数によって変わるため、検討の出発点として活用してください。
| 運用体制 | 優先して確認したい項目 |
|---|---|
| 担当者1人 | 管理者の複数登録、日常作業の手数、変更履歴の自動記録 |
| 専任者なし | 主要サービスの設定の用意、導入支援の範囲、緊急時の対応時間 |
| 多拠点 | 全社の一覧表示、権限の分離、レポートの自動出力 |
| グループ統合 | 共通利用と個別利用の切り分け、情報共有の範囲、承認手順 |
| 人事との分業 | 人事システムとの連動項目、反映までの時間、手作業が残る範囲 |
体制を見直すタイミング
運用体制は一度決めたら固定するものではなく、従業員数の増減や利用サービスの追加にあわせて見直すものです。契約の更新時期は、体制を含めて全体を再検討する機会として活用できます。
見直しの際は、直近1年で発生した作業の件数と対応時間を集計すると判断材料になります。入退社の対応、問い合わせ、連携設定の変更といった項目に分けて数えると、どこに時間を要しているかが見えてきます。特定の担当者に偏っている場合は、権限の分散や自動化の範囲を広げる検討につながります。
少人数でも運用しやすいシングルサインオン
管理を担う人数が限られる場合、日常の作業をどこまで減らせるかが判断の材料になります。運用の負担を抑えたい製品を紹介します。
Gluegent Gate(グルージェント ゲート)
- 連携サービスとのシングルサインオン設定で利便性を向上
- 連携サービスのIDを一元管理することで管理者の負荷を軽減
- 多要素認証、アクセス制限をサービスごとに自由に組み合わせ可能
サイオステクノロジー株式会社が提供する「Gluegent Gate(グルージェント ゲート)」は、シングルサインオンとID管理を行うクラウドサービスです。複数のサービスへのログインを一度の認証でまとめられ、接続元や利用者の条件に応じたアクセスの制御にも対応します。管理画面から利用者の登録と停止を扱えるため、担当者が限られる組織でも作業を進めやすい構成です。
IIJ IDサービス
- 超図解マニュアルと直感的・シンプルなUIで導入・運用がカンタン
- デバイス証明書認証やFIDO2認証など、さまざまな認証機能に対応
- 複数の国内DCで稼働する万全のセキュリティ体制
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJ IDサービス」は、社内外のサービスへのログインをまとめるシングルサインオンのクラウドサービスです。利用者情報の管理と認証を一つのサービスで扱えます。国内の事業者による提供のため、設定や運用の相談を日本語で進められる点も検討の材料になります。
SeciossLink(セシオスリンク)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- IDの一元管理で業務効率化
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
株式会社セシオスが提供する「SeciossLink(セシオスリンク)」は、クラウド型のシングルサインオンおよびID管理のサービスです。利用者の情報を集約して管理し、複数のサービスへのログインをまとめられます。日々の登録や権限の変更にかかる手数を試用の機会で確かめておきましょう。
サテライトオフィス・シングルサインオン (株式会社サテライトオフィス)
- 7,000社以上の導入実績を誇る!( Microsoft 365版含む)
- SAML承認による外部システムとの連携も可能!
- クライアント証明書機能やセキュアブラウザ機能も無料!
シングルサインオンに関するFAQ
シングルサインオンの運用体制について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 担当者が1人でも運用できますか?
- 運用そのものは可能ですが、不在時に対応できる人がいない状態は避けたいところです。管理者を複数登録できるか、手順を文書に残せるかをあわせて検討してください。
- Q2: 人事システムと連動していない場合はどうなりますか?
- アカウントの登録や停止を手作業で行う運用になります。件数が多い場合は負担が大きくなるため、ファイルの取り込みで対応できるかを確認してみてください。
- Q3: 拠点ごとに管理者を置くことはできますか?
- 権限を役割ごとに分けられるサービスであれば、拠点担当者へ一部の操作だけを許可する運用ができます。分けられる単位と操作の範囲を確認しましょう。
- Q4: 退職時のアカウント停止はどのタイミングで行うべきですか?
- 最終出社日を基準に、人事情報の反映時間を踏まえて決めるとよいでしょう。反映に時間差がある場合は、当日に手動で停止する手順もあわせて用意しておくと安心です。
まとめ
シングルサインオンの運用体制は、担当できる人数、拠点やグループの広がり、人事部門との情報の受け渡しという3点で考えると整理しやすくなります。担当者が少ない企業では管理者の複数登録と作業の手数、多拠点では一覧表示と権限の分離、人事との分業では反映時間と手作業の範囲が論点です。現在の作業量を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。


