シングルサインオン(SSO)の導入事例
さて、シングルサインオンの導入を検討する際に最初に考えたいのが、シングルサインオンを導入すべきかどうか、ということです。ここからは、以下のモデルケースにおける導入事例について考えていきましょう。
具体的には、IT系企業子会社の従業員160人程度企業で、出先でモバイルPCやスマートデバイスを業務用に使用することもあるA社を想定して考えていきます。導入事例は様々ありますが、一つのシングルサインオンの事例として参考になるはずです。

クラウドサービスのパスワード管理における課題
ここからは、A社が社内でクラウドサービスを利用し、そのパスワード管理に課題を感じている、という前提のもと考えていきましょう。
業務の効率化を目的とするクラウド化
A社はもともとIT系の親会社を持つということもあり、ITを積極的に活用して業務の効率化を図ってきていました。もう少し細かくみると、社内のシステム運用に携わる人員やそのコスト、リソースを削減し、自社リソースの最適な配置を目指していました。その一環として取り組んだのが、業務アプリケーションのクラウド化という方法です。
クラウド化に伴う煩雑なパスワード管理
ところが、A社はクラウド化を進める上で当初は想定していなかった課題に直面することになります。具体的には、使用するクラウドアプリケーション・サービスの種類が増えるにつれ、多くのIDやパスワードの管理をする必要があり、この課題を解決することが求められたのです。
パスワード管理を効率化するシングルサインオン
つまり、多くのログイン情報を管理しなければならなくなり、認証のプロセスが煩雑化、業務効率の低下も招きかねない状況となりました。この状況は、シングルサインオンの導入が求められる典型的な事例だといえます。こうした場合には、シングルサインオンの導入により効果も見込まれ、導入を検討してもいい状況だと言えるでしょう。
シングルサインオンの導入効果
さらに踏み込んで、シングルサインオンを導入すべきかどうかについて、さきほどの企業モデルを引き継いで、検討してみましょう。次に確認したいのは、導入の効果についてです。
情報・アプリケーションへのアクセス効率化
シングルサインオンの導入効果として、さきほどの従業員数160人のモデル企業では、ワークスタイルの改革に結実しました。具体的には、シングルサインオンを導入するとともに、ポータルを導入し、単一のログイン情報でアクセスできる入口の簡略化とともに、さまざまな情報へのアクセスを効率化する、プラットフォームを準備しました。
そうすることで、業務上必要とされる情報やアプリケーションへのアクセスが容易になり、業務効率の改善が図られました。それだけではなく、スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスからのアクセスにも対応しました。
その結果、外出先や会議室からでも業務アプリケーションへのアクセスができるようになり、活用シーンを広げられたといいます。主に、こうした業務面での効果を求める企業は、シングルサインオンの導入を検討してもいいでしょう。
ログイン認証の効率化
加えて、ログイン認証時の利便性の向上やセキュリティの強化という効果も見込まれ、そうした要望のある企業でも導入の効果が見込めます。
ログインの認証の煩雑化の低減という点には、何度も触れてきましたが、この点が解消されれば、従業員が使うシステムの利便性が向上し、またIDとパスワードが統一されれば一つのパスワードだけを管理すればよく、ログイン情報の紛失やパスワード忘れによる再設定などの管理工数低減が見込まれます。
シングルサインオンの導入はセキュリティも強化する
単一のログイン情報を管理すればいいというシンプル化は、IDとパスワードを付箋に書いてパソコンに貼り付けるといったログイン情報の流出や、それを契機とした大規模流出事故の発生を事前に抑制できます。つまり、セキュリティ環境を改善できるということです。こうした点に魅力を感じられましたら、シングルサインオンの導入をおすすめします。
