ゼロトラストとは
ゼロトラストとは、自社にかかわるすべてのアクセスを疑うセキュリティの概念です。ゼロトラストでは、各アクセスを個別に評価し、認証されたアクセスのみを許可します。現代のクラウド利用増加にともない、外部からのアクセス対応が重要になっており、ゼロトラストセキュリティの需要が増しています。
ゼロトラストセキュリティにもとづく備えは、IT環境が劇的に変化するなかで注目され、大企業のみならず中小企業においても必要不可欠な要素です。
中小企業こそゼロトラストが必要な理由
ここからは、中小企業こそゼロトラストセキュリティが必要な3つの理由を詳しく解説します。
- ■サイバー攻撃の増加
- ■リモートワークの普及
- ■予算や人材不足
サイバー攻撃の増加
サイバーセキュリティの世界では、攻撃手法の進化が絶え間なく続いています。かつては大企業が主なターゲットでしたが、現在では中小企業も攻撃の対象になっています。
中小企業は、取引先大企業へのアクセスポイントとしての役割も担っている場合があり、攻撃者のターゲットになりやすいでしょう。また、大企業と比べると資金面で潤沢でない場合があるため、高度なセキュリティシステムの導入が困難なことがあります。
しかし、サイバー攻撃のターゲットとなっている状況においては、ゼロトラストセキュリティの導入が不可欠です。ゼロトラストセキュリティは、信頼されていないすべてのアクセスを検証することにより、潜在的な脅威を防ぐものです。
中小企業はサイバー攻撃から自社を守るために、ゼロトラストセキュリティの導入を早急かつ前向きに検討することが求められます。
リモートワークの普及
ICTやDXの進展にともない、中小企業においてもクラウド活用やリモートワークが普及しています。これにより、遠隔地からの企業重要データや基幹システムへのアクセスが増加しました。この働き方の変化にともない、従来の境界型セキュリティのみに依存することのリスクが浮き彫りになりました。
中小企業においても、働き方の変化にともなうセキュリティリスクを軽減するため、ゼロトラストセキュリティの導入が不可欠といえます。ゼロトラストセキュリティの導入により、遠隔地からのアクセスでも、企業のデータとシステムの安全性を高めることが可能です。
予算や人材不足
中小企業は、大企業と比べて予算や人材の制約があるため、適切なセキュリティ対策がとれないことがあります。サイバーセキュリティの重要性が高まる状況において、予算や人材の課題を克服することは難しい側面があるといえます。
こうした状況のなかで、中小企業が抱える人材や、予算の制限による課題を解決するためのひとつの手段となり得るのがゼロトラストセキュリティです。
ゼロトラストセキュリティは、これまでのセキュリティ対策と比較して費用対効果が高いとされ、運用も比較的容易なものがあります。そのため、中小企業でも効果的なセキュリティ対策を実施することが可能になるでしょう。サイバー攻撃の脅威が高まるなか、中小企業にとってゼロトラストセキュリティは、安全かつ効率的な選択肢といえます。
中小企業がゼロトラストを導入するメリット
ここからは、中小企業がゼロトラストを導入する以下の3つのメリットについて、詳しく解説します。
- ■強固なセキュリティを効率的に実現できる
- ■情報漏えいリスクを減らせる
- ■DX化など新しい技術導入にも対応できる
強固なセキュリティを効率的に実現できる
予算や人材の制約が大きい中小企業では、従来のセキュリティ対策では十分な保護が難しくなりつつあります。ゼロトラストセキュリティを導入することで、予算や人材のの制約から解き放たれ、社外からのアクセスやクラウドサービスの利用でも、円滑な業務の遂行が可能になるのです。
従来のセキュリティ対策が社内ネットワークに焦点を当てていたのに対し、ゼロトラストはネットワークの内外を問わずセキュリティを提供します。中小企業でも高度なセキュリティ対策を実現し、リスクを最小限に抑えることが可能になります。ゼロトラストの導入は、中小企業にとって安全な運用を実現するための鍵となるでしょう。
情報漏えいリスクを減らせる
中小企業がゼロトラストセキュリティを導入することで、情報漏えいのリスクの大幅な減少が可能です。
ゼロトラストセキュリティは、従来のファイアウォールやVPNのようなネットワークベースの防御策に依存せず、アクセスの検証と認証に重点を置くアプローチを採用しています。これにより、社内外からのアクセスに対して、同様のセキュリティレベルの提供が可能になります。
ゼロトラストセキュリティでは、必要最小限の設定で強固なセキュリティを提供するため、限られた予算と人員でも、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを効果的に軽減できるのです。
DX化など新しい技術導入にも対応できる
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、セキュリティの強化が不可欠です。中小企業においても、ゼロトラストセキュリティはDXの進展を支える重要な役割を担います。ゼロトラストセキュリティを導入することで、クラウド利用やリモートアクセスが常態化する現代のビジネス環境に適応し、自社のデジタル化を安全に進められるでしょう。
ゼロトラストセキュリティは、どのデバイスからのアクセスであっても、アクセスの正当性を継続的に検証し、管理可能です。中小企業が新しい技術やプラットフォームを導入する際のセキュリティリスクを軽減し、ビジネスの効率化と成長をサポートします。
また、ゼロトラストセキュリティは、社内外のネットワーク環境においても一貫したセキュリティ対策を提供し、守るべき情報資産の保護を強化します。中小企業はDXの過程で生じるさまざまなセキュリティ課題に柔軟に対応し、競争力のあるビジネス環境を維持できるでしょう。
中小企業がゼロトラストを導入するデメリット
ここからは、中小企業がゼロトラストを導入する以下の2つのデメリットについて、詳しく解説します。
- ■導入費用やランニングコストがかかる
- ■業務効率や利便性が下がることがある
導入費用やランニングコストがかかる
ゼロトラストセキュリティを導入するにあたり、システムの設置や既存のネットワークの再構築に関する一時的な費用が発生します。また、導入後もシステムを維持管理するためのランニングコストが必要です。
特に中小企業では、ゼロトラストセキュリティに求められる技術的な専門知識が不足している場合が多く、外部の専門家を雇用することもあります。その場合は、追加の人件費やトレーニング費用が必要です。さらに、システムの監視や管理を効率的に行うためのツールやサービスの導入も、追加コストとして考慮する必要があります。
ゼロトラストセキュリティの導入を検討する際は、これらのコスト要因を総合的に評価し、中小企業の経済的な実情に適した計画を立てることが重要です。予算を組むためには、事前に詳細な情報収集とコスト分析が必要となります。
業務効率や利便性が下がることがある
ゼロトラストセキュリティを導入する中小企業のデメリットは、業務効率や利便性が低下する可能性があることです。ゼロトラストセキュリティでは、ネットワーク内のすべてのアクセスを信用せず、常に検証する必要があります。従業員がシステムにアクセスする際の手順が増加し、業務にかかる時間が増える場合があります。
例えば、従業員が日常的に利用するアプリケーションやデータへのアクセスに、追加の認証手続きが必要になることが挙げられます。このため、システムへのアクセスが遅延し、作業効率が低下するかもしれません。
このデメリットを回避するには、ゼロトラストセキュリティ導入の際に、利便性とセキュリティのバランスを考慮した仕組みを構築することが必要です。例えば、特定の信頼できるデバイスやアプリケーションに対しては、アクセス手順を簡素化するといった方法が考えられます。
また、従業員に対する十分なトレーニングやサポートを提供することで、システムへの適応を促進し、効率の低下を最小限に抑えることが可能です。
中小企業こそゼロトラストセキュリティを導入しよう
ゼロトラストセキュリティは、サイバー攻撃を受けたときの打撃が大きい中小企業こそ積極的に導入すべき対策です。まずはこの記事で紹介したゼロトラストセキュリティのメリットやデメリットを踏まえたうえで、導入に向けて検討する必要があるでしょう。
ITトレンドでは、ゼロトラストセキュリティの多様なソリューションを紹介しています。
それぞれのソリューションの特徴を把握してまずは資料請求し、自社にあったゼロトラストセキュリティを見つけてみてはいかがでしょうか。