オンプレミスからクラウドサーバーへ移行するメリット
オンプレミスからクラウドサーバーへ移行するメリットを見ていきましょう。
安全な設備を低コストで導入できる
クラウドサーバーはオンプレミスと異なり、通信機器を社内に設置する必要がないため、導入費用がほとんどかかりません。ランニングコストはかかりますが、月額料金として分かりやすい形で現れるため、管理しやすいでしょう。
逆にオンプレミスであれば、多くの通信機器の設置や管理をしなければなりません。導入時に多額の費用が発生するのに加え、空調や設置スペース、人件費も必要です。どのくらいの費用がかかるのか、見通しを立てるのも大変でしょう。
これらの理由から、オンプレミスを導入段階で断念してしまう企業も少なくありません。
容量を柔軟に拡張できる
ストレージの容量はいずれ拡張が必要になります。導入時には充分でも、企業に蓄積されるデータは日々増加していきます。やがて容量が足りなくなるときが来るため、その際に柔軟に拡張できることが大切です。
クラウドサーバーであれば、契約内容の変更だけでストレージの拡張が可能です。オンプレミスのように、物理的に追加する必要はありません。
また、一時的にストレージ容量を増やせるのもクラウドサーバーのメリットです。たとえば、自社サイトでキャンペーンを実施し、急激なアクセス増加が見込まれる期間のみ増量できます。不要になったらストレージの容量を元に戻せばよいだけです。
オンプレミスではこのような柔軟な変更はできません。
どこにいても利用できる
クラウドサーバーは、インターネット環境と端末さえあればアクセスできます。したがって、社外から社内のシステムを利用することも可能です。これにより、テレワークやノマドワークが実現します。
オフィスにいなくても仕事が可能になることで、生産性の向上が期待できるでしょう。
クラウド移行の手順
オンプレミスをクラウドへ移行するためには、以下の2ステップが必要です。
- 1.仮想化
- はじめに、オンプレミスのサーバ環境を仮想化しましょう。サーバの仮想化は、1つの物理的なサーバを論理的に複数分割することで構築されます。
- クラウド環境ではサーバは仮想化された状態であるため、まずオンプレミスでサーバを仮想化してから移行しなければなりません。
- 2.パブリッククラウドへ移行
- ステップ1を経たものを、オンプレミス型プライベートクラウドと呼びます。仮想化はされているものの、まだオンプレミス環境にとどまっている状態です。
- 次はこれを、パブリッククラウド環境に移しましょう。パブリッククラウドとは事業者が仮想化したサーバ環境のことで、ここへのデータ移動がクラウド移行の最終目的となります。
クラウド移行時の注意点
サーバをクラウドへ移行する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
既存システムとクラウドの相性を検証する
オンプレミスで利用可能なシステムが、クラウドサーバーでも同じように動作するとは限りません。中には、クラウドサーバーでは使えないものもあります。使えたとしても、何らかのトラブルが起きるおそれもあります。
データ変換などの作業が必要だと後から発覚すると、業務に大きな支障をきたすでしょう。移行する前から、現行のシステム要件を洗い出し検証したうえで、導入を行わなければなりません。
クラウドとオンプレミスでの連携を可能にする製品もあるため、それらの利用も視野に入れて検討しましょう。
セキュリティが確保できるか確認する
クラウドを利用するということは、社外にデータを預けるということです。オンプレミスとは異なり、セキュリティ環境をすべて自社で管理できません。
したがって、クラウドサーバーに移行する際にはベンダーの信頼性を確認することが大切です。適切なセキュリティ対策を行っているベンダーを選定するために、以下のような項目をチェックしましょう。
- ■施されているセキュリティ対策が明示されているか
- ■暗号化やウイルスチェックなど、セキュリティ対策は豊富か
- ■プライバシーマークの取得など、第三者機関に認められた実績はあるか
- ■トラブル発生時にどこまで対応してくれるか
- ■インターネットVPNや閉域網接続の利用は可能か
素早く移行できるか確認する
オンプレミスからクラウドサーバーへ移行する際、ネットワーク構成やディスクの変更が必要なことがあります。そのため、想定していたより多くの時間や費用がかかることがあります。
したがって、移行にどのくらいの期間や費用が必要になるのか、きちんと確認しておきましょう。海外のサーバ仮想化ソフトのベンダーから、移行が円滑にできるツールが提供されていることもあるため可能ならば検討してください。
クラウドへの依存は避ける
クラウドはオープンな環境であるため、利便性は高くなります。しかし、社内のすべてのシステムがオープンである必要はありません。プライベートに管理すべきものも多いでしょう。
そこで注目されているのが、ハイブリッドクラウドと呼ばれる利用形態です。これはクラウドとオンプレミスを併用し、全体として最適な状態を目指す方法です。最近では、クラウドとオンプレミス間のシステム連携をサポートするサービスも増えています。
このように、クラウドにこだわらず、適材適所で柔軟な利用の仕方も検討しましょう。
自社システムをクラウドへ移行し、ビジネスを円滑にしよう!
クラウドサーバーはオンプレミスと比較し、以下のメリットがあります。
- ■低コストで導入できる
- ■容量の拡張が柔軟
- ■利用場所を選ばない
一方、クラウド移行に伴う注意点は以下のとおりです。
- ■既存システムとクラウドの相性を考慮する
- ■セキュリティ対策が適切か確認する
- ■移行に必要な期間を確認する
- ■クラウドへの依存を避ける
以上を踏まえ、スムーズなクラウド移行を目指しましょう。