フルスクラッチ方式:自由にECサイトの構築が可能
フルスクラッチとは、システムやソフトウェアの開発において、既存のものを一切流用せず新規で開発することを指します。
フルスクラッチ方式のメリット
フルスクラッチ方式のECサイトは、アクセスが多い大規模なECサイトに最適です。ゼロからシステムを構築するので、デザインの設定が自由にできるのはもちろんのこと、どんな要望にも対応できます。CRMなどの各種機能にも連携が可能なので、使い勝手はいうまでもありません。
フルスクラッチ方式のデメリット
自由にサイトの構築が出来る反面、インフラやサーバー環境の設計や用意が必要となり最もコストがかかります。また、システムが複雑なため、サイト構築を委託した会社に依存してしまう、減価償却費用の回収に時間がかかるといった理由で、システムが古くなってしまった場合でも乗り換えが困難になります。
パッケージ:基本機能をベースに柔軟なカスタマイズが可能
パッケージとは、ECサイトを構築する上で、予め必要な基本機能を備えているものを指します。この機能をベースにして自由にカスタマイズすることが可能です。
パッケージのメリット
パッケージ方式のECサイト構築は、中・大規模のECサイトによく使われています。もともと備わっている基本機能をベースに、柔軟にカスタマイズができるので、費用や労力をかけずにフルスクラッチに匹敵するECサイトをつくることができます。カスタマイズによって、CRMなどの各種システムとの連携も実現できます。
パッケージのデメリット
フルスクラッチ方式と同様に、インフラやサーバー環境の設計や用意が必要になり、フルスクラッチ方式までとは言わずとも価格は高くなります。また、カスタマイズが必要なので、ECサイト構築までにある程度の時間を要します。
オープンソース方式:ライセンス費用が無料のソフトウェア
オープンソースとは、広く一般にソースコードを公開し、誰でも自由に使えるようにされているソフトウェアのことを指します。
オープンソース方式のメリット
オープンソース方式では、ライセンス費用は無償ですので、安価でECサイトの構築が可能です。カスタマイズやデザインも自由に変更できます。ソースコードが公開されているので、ソフトウェアの信頼性は担保できます。また、自社のシステム担当で保守・運用が可能です。
オープンソース方式のデメリット
オープンソース方式では、バグによってシステムに障害が発生したとしても全て自己の責任となります。オープンソースの提供元はソフトウェアを無償で公開しているにすぎず、ECサイト事業者とは契約関係にはないからです。また、オープンソース方式では、緊急時のサポートがないことや、サービスの永続性がないこともデメリットとして挙げられます。
ASP:安価で手軽なECサイトの構築方法
ASP(Application Service Provider)とは、アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供することであり、また、それを行っている事業者の事を指します。ECサイトにかぎらず、現在では、様々なシステムがASPとして各社から提供されています。
ASPのメリット
圧倒的な価格の安さがASPのメリットです。ASPではブラウザーを利用してECサイトのシステムを使用するため、サーバーやソフトウェアの管理費も必要もありません。また、常にバージョンアップやセキュリティーの更新が行われるので、最新の環境でECサイトの運営を行うことができます。完成されたシステムを利用するので、スピーディーにサイトの構築が可能です。
ASPのデメリット
ASPでは、完成されたシステムを利用するため、機能のカスタマイズができないといったデメリットがあります。デザインもテンプレートのみで変更はできません。また、CRMなどの各種システムとは連携できないので、アクセス数の多い大規模なECサイトの運営は困難でしょう。
クラウドサービス(SaaS)型:ASPの弱点を補う新しい形態
クラウドサービスには、IaaS、PaaS、SaaSなどがあり、アプリケーションやWebサービスを利用するものはSaaSといわれます。クラウド型ECパッケージは、このSaaSにあたります。ASPとの違いは、シングルテナント(ASP)とマルチテナント(SaaS)の違いやシステム全体の柔軟性などに違いがありますが、現在は、どちらもクラウドサービスといわれることが多くなっています。
クラウドサービスのメリット
クラウド型サービスでは、ASPと同様、常に最新の環境でECサイトを運営することができます。デザインやカスタマイズ、各種システム連携も可能なので、ASPとパッケージのいいとこ取りといった構築方法です。
クラウドサービスのデメリット
クラウドサービス型では、柔軟性も高く、多機能であり、かつ、高い頻度で機能追加などの更新も実施されることから、価格が高くなる傾向があります。また、クラウドサービスを狙うEDoS攻撃の対象になってしまうリスクや、ソースコードを開示していないので、セキュリティー面で不安があるといったデメリットもあります。
まとめ
いかがでしたか。ECサイトの構築といっても、それぞれのメリットやデメリットは様々です。自社にあった方法を選ぶ参考にしていただければと思います。